米証券取引委員会(SEC)委員長のGary Gensler氏が、担保資産に有価証券を持つ暗号資産やステーブルコインは証券法の枠組みで規制される可能性があると主張した。7月21日に法曹協会のオンラインイベントで見解を示したとされている。
SECの公開したドキュメントによると、証券によって価値が決められる暗号資産やステーブルコインは既存規制の対象になる可能性が高いという。Gensler氏は、「株式トークンやステーブルコイン、その他の暗号資産は、集権型か分散型かに限らず証券法の枠組みで規制される可能性がある。」と発言した。
株式トークンとは、デリバティブ取引所FTXやBinanceが提供しているサービスで、テスラやAppleといった上場株をトークン化することで小額から擬似株式投資ができるものである。Gensler氏の見解は、株式トークンの価値は上場株に明確に連動しているため証券に該当するといった主旨だ。
Binanceについては、株式トークンのサービス以外にも各国規制当局から厳しい指摘を受けている。CEOのCZ氏は、今後は規制に準拠したサービス展開を重視していくとの方針を示しており、今後の動きには注目が集まっている。
ステーブルコインについても、担保資産が現金だけでなく債券やコマーシャルペーパーといった資産から構成されているため、結果的に証券に該当する可能性があるという。2021年に入り、相次いでステーブルコインが担保資産の内訳を公開している。
ステーブルコイン市場の大部分のシェアを持つUSDTとUSDCに加え、PAXも内訳を公開しており、いずれも債券やコマーシャルペーパーを担保資産に組み込んでいる。これは、ステーブルコインの価格を安定させるためにリスクの低い資産が必要になるためだ。
現状、日本を含む世界的にステーブルコインは暗号資産として定義されておらず、規制は未整備の状態にあるといえる。ステーブルコインが暗号資産と証券のどちらに分類されるのか、または別の新たな枠組みが誕生するのか、それ次第でビジネスの進め方に大きな影響が出ると考えられる。
株式会社techtec リサーチチーム
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