シービーアールイー株式会社(CBRE)が2月6日発表した2023年第4四半期(Q4)の日本投資市場動向(Japan Investment MarketView)で、投資額は前年同期比57%減の6600億円となった。前年同期の大型取引(大手町プレイス、4400億円)の反動減が主要因だが、加えて、海外投資家が2023年半ばから慎重姿勢に転じており、投資額は同78%減と引き続き低調だった。
アセットタイプ別で増加率が最も大きかったのは住宅で、投資額は1870億円(同50%増)。個別取引では、J-REITの大型取引(ポートフォリオ20棟、469億円)などが増加に寄与した。エリア別では東京23区が同2.7倍と牽引役となった。東京23区を中心に、インフレ・賃金上昇の定着を想定して今後も賃料上昇ストーリーが描きやすいことが好感されている。次いで増加率が高かったのは商業施設で、投資額は1150億円(同48%増)となった。
Q4のJ-REIT投資額(10億円以上が対象)は1720億円(同52%減)となった。公募増資は3件(前年同期は10件)で、調達額は300億円(同76%減)。投資額及び公募増資額の減少の主因は、いずれも物流施設における大幅減。物流施設特化型REITの公募増資額はゼロ(前年同期は966億円)だった。一方、J-REITによる住宅とホテルの投資額はそれぞれ同23%増、同46%増となった。
J-REITの投資口価格のパフォーマンスは低迷した。欧米の金利上昇や、日銀のイールドカーブ・コントロールの修正などを受けて10年国債利回りが上昇したことを背景に、東証REIT指数は、通年で4.6%の下落となった。
2023年通年の投資額(10億円以上が対象)は約3.8兆円で、対前年比3%の減少となった。投資主体別の投資額を見ると、J-REITを含む国内投資家が同12%増加した一方、海外投資家は同28%減少した。海外投資家の慎重な投資スタンスに関して、同社は「日銀によるイールドカーブ・コントロールの修正でマイナス金利解除の観測が高まった結果、日本の金利上昇によるキャップレートの上昇が懸念された可能性」を指摘している。
アセットタイプ別では、ホテルの投資額が前年比約2.5倍の約5290億円と大幅に増加、過去5年の最高額を更新した。訪日外客数の回復と客室平均単価の上昇が要因。商業施設も複数の大型取引の寄与で同75%増となった。一方、オフィスは同43%減少の約1.1兆円で、2012年以来の低水準だった。
CBREが日本を投資対象とする投資家に実施した調査では、2024年の取得額が「昨年より増加する見込み」と回答した日本の投資家の割合は6ポイント低下した一方、売却額が「昨年より増加する見込み」の同割合は9ポイント上昇した。同社は「今後の取得姿勢の鈍化などが示唆される」として、2024年の投資額は前年比で減少すると予測する。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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