空き家を所有していると、維持管理費や固定資産税の支払いなどの支出がかさみます。その上、災害や犯罪などのリスクもあります。そこで売却しようと考えているが、買取と仲介、どちらにしたらよいか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、空き家買取のメリット・デメリットについて、仲介との違いを含めて説明し、不動産会社の探し方も紹介します。
目次
- 空き家買取とは?仲介との違い
- 空き家買取のメリット
2-1.短期間に売却できる
2-2.費用、手間をかけずに売却できる
2-3.問題がある空き家でも売却しやすい
2-4.契約不適合責任による売主の責任を軽減できる
2-5.仲介手数料が原則不要 - 空き家買取のデメリット
3-1.売却価格が安くなる傾向がある
3-2.買取できないことがある - 不動産会社の探し方
4-1.買取を取り扱っている不動産会社に依頼する
4-2.複数の不動産会社の査定価格を比較する - まとめ
1.空き家買取とは?仲介との違い
空き家買取とは、空き家を直接不動産会社に買い取ってもらうことです。
空き家買取の流れとしては、売主側で買取を扱っている不動産会社にアプローチをすると、不動産会社が調査をして価格査定をおこないます。不動産会社が提示してきた、買取価格、買取条件に納得したら、売買契約となります。
契約後、空き家の引渡しまでは1カ月程度あけて、代金も契約時は手付金、引渡し時に残金を受け取る、という流れが主になります。なお、仲介と異なるのは、買主が個人ではなく、不動産会社となることです。
仲介による不動産売買では、仲介の依頼を受けた不動産会社が個人の買主を探すことになります。買取では、不動産会社は、買い取った空き家にリフォームやリノベーションをおこなって再販をしたり、戸建であれば解体して新築の建売をおこなったりします。
また、仲介の不動産会社が、ハウスメーカーや設計事務所などの買取業者を紹介することもあります。
2.空き家買取のメリット
空き家買取のメリットは、次のような点にあるといえるでしょう。
- 短期間に売却できる
- 費用、手間をかけずに売却できる
- 問題がある空き家でも売却できる
- 契約不適合責任による売主の責任を軽減できる
- 仲介手数料が原則不要
以下で、それぞれの内容を詳しくみてみましょう。
2-1.短期間に売却できる
空き家買取の大きなメリットは、短期間に空き家を売却して現金化できることにあるといえます。空き家買取では、買取先が不動産会社であるため、不動産会社が買取意志を明確にした段階で、ほぼ確実に売却できることになります。
これに対して、仲介で売却する場合は購入者を探すのに時間がかかる上、購入者が現れるかどうかは不確実であり、いつ、どのような条件で売却できるかは市場環境次第になります。
2-2.費用、手間をかけずに売却できる
仲介で売却する場合、空き家をどのように利用するニーズを持つ購入者をターゲットとするかによって、売主側で負担する費用が発生することがあります。
たとえば、家をそのまま利用する人をターゲットとするのであれば、水回り設備などの生活に必要な設備を修理しておく必要があるでしょう。反対に、土地として利用する人向けに売り出すのであれば、売主側で空き家の解体費用を負担するケースもあります。
また、仲介では、購入希望者が現れた場合、売却のチャンスを逃さないために売主側としては真摯に対応する必要があり、手間がかかります。
空き家買取では、このような費用や手間を大幅に省くことができるのは大きなメリットといえるでしょう。中には売主側ではいっさいの費用負担をせずに現状のまま買い取る不動産会社もあります。
2-3.問題がある空き家でも売却しやすい
所有している空き家について、借地や共有であるなど権利関係に問題があったり、建物に大きな瑕疵(欠陥)があったり、あるいは、そもそも再建築可能な土地でなかったり、というように、個人には売りにくい問題がある場合があります。
このような場合、売却できる可能性を探るために、買取という選択肢を検討してみましょう。買取専門業者であれば、不動産を活用して収益を生み出すノウハウを数多く持っているため、問題がある空き家であっても買い取ってくれる可能性があります。
2-4.契約不適合責任による売主の責任を軽減できる
仲介の場合、個人間売買となり、売主が契約不適合責任を負うケースも多くなります。契約不適合責任を負う契約では、契約内容に適合しない場合、追完請求や代金の減額請求をされる可能性があり、売主の責任が大きくなります。
しかし、買取では多くの場合で買主が不動産会社であるため、契約不適合責任が免責となります。このように、売主の責任を軽減できる可能性が高いことも、買取のメリットといえるでしょう。
2-5.仲介手数料が原則不要
買取では、不動産会社が仲介業務をおこなうことがないため、原則として仲介手数料はかかりません。売却価格に対して手取り額が増えることも買取のメリットと言えるでしょう。
ただし、不動産会社が他の買取業者を紹介し、その仲介業務をおこなう場合には、仲介手数料がかかることがあります。また、仲介手数料がかからない場合であっても、買取価格は仲介に比べて安くなる場合が多くなる点に注意が必要です。
3.空き家買取のデメリット
空き家買取の最大のデメリットは、売却価格が安くなる傾向があることでしょう。また、物件や買取業者によっては買取できない場合もあります。
3-1.売却価格が安くなる傾向がある
買取の場合、仲介で個人の購入希望者を探して売却する場合と比較すると2~3割程度、売却価格が安くなる傾向があります。
不動産会社は、その空き家をリフォームして再販したり、あるいは解体して新しい家を建売したりして、利益を得ることを目的として買取します。直接個人へ売却できる仲介と比較して、買取は売却価格が安くなってしまう点に注意が必要です。
3-2.買取できないことがある
ノウハウがある買取業者であれば、問題がある不動産でも買い取ってもらえる可能性がありますが、その不動産を買い取って利益を上げることが難しい場合や、そのようなノウハウがない場合は、買い取ってもらえないこともあります。
4.不動産会社の探し方
買取の不動産会社の探し方は、買取の得意な不動産会社に依頼することと、複数の不動産会社の査定価格を比較すること、が大切であるといえるでしょう。
4-1.買取を取り扱っている不動産会社に依頼する
売買を取り扱っている不動産会社の中には、買取を取り扱っていない業者もあります。空き家の買取について問い合わせる場合は、買取実績を確認しましょう。できれば、買い取ってもらいたい空き家の種類、立地、広さ、築年数などが似たような条件の買取実績があるとよいでしょう。
買取専門の不動産会社や、買取を扱っている不動産会社が提携している不動産一括査定サイトなどもあるので利用することを検討してみましょう。
下記、買取業者も提携している主な不動産一括査定サイトの一覧です。これらのサイトを利用することで登録時の備考欄・売主希望欄に「買取価格で査定してほしい」「仲介と買取の価格を比較したい」のように要望を書くことで、効率的に買取業者を探すことが出来ます。
主な不動産一括査定サイト
サイト名 | 運営会社 | 特徴 |
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4-2.複数の不動産会社の査定価格を比較する
買取では、仲介と異なり、不動産会社の査定価格が直接買取価格につながります。複数の買取不動産会社の査定価格を比較し、高値の査定価格を付けた不動産会社に買取を依頼するようにしましょう。
まとめ
空き家買取のメリット・デメリットを踏まえると、売却代金が少なくなっても、なるべく早く売却して資金を得たい場合や、売却手続きにかける手間を抑えたい場合、問題があって個人には売りにくいと考えられる場合などに向いているといえるでしょう。
仲介売却で不動産一括査定サイトを利用する場合、査定価格だけでなく仲介会社の信頼性や対応力についても判断する必要があります。一方、買取査定はそのままの価格が売却価格となります。
仲介売却と迷う場合は、仲介と買取の査定価格を比較しながら、どちらが自身に合った売却方法なのか慎重に検討してみると良いでしょう。
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佐藤 永一郎
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