東京のマンションは2012年以後価格が上昇傾向にあることから、今売却をすれば相対的に高い価格で取引されることが考えられます。
しかし、東京オリンピック前後で不動産価格が下落する可能性も懸念されているため、売却の時期は十分検討する必要があるでしょう。売却をする際は他にどのような点に注意すれば良いのでしょうか。
この記事では、東京都心のマンションを売却するにあたり、都心のマンションの価格推移や今後の不動産価格に関する問題など、知っておくと役にたつ5つのポイントについて解説します。
目次
- 東京都心のマンション価格推移とオーナーの意識
1-1.2012年以降の価格推移
1-2.投資用の不動産オーナーの意識 - 都心の人口と今後の人口予測
2-1.転入超過数
2-2.東京都心の今後の人口推移予測 - インフラや都市の再開発などの状況
3-1.東京オリンピック開催に向けた都市の再開発
3-2.高輪ゲートウェイ駅開業とリニアモーターカーの開通 - 不動産価格下落の可能性
4-1.2022年問題
4-2.団塊の世代が後期高齢期を迎える問題 - 大阪万博の影響
- まとめ
1.東京都心のマンション価格推移とオーナーの意識
東京都心のマンション価格はここ数年上昇してきました。今が売り時なのかどうか、価格推移を見ながら考えてみましょう。
1-1.2012年以降の価格推移
2012年から2013年にかけての期間を起点に、日本の不動産価格は上昇を続けています。以下のグラフでは一都三県の2010年から2019年にかけての区分マンションの価格推移を確認することができます。
*不動産投資と収益物件の情報サイト健美家「四半期レポート2019年7月~9月期」から引用
このグラフから、2013年までは一部地域を除き価格は横ばいで推移していますが、2013年以降は、どの地域も価格が上昇してきていることが確認できます。
1-2.投資用の不動産オーナーの意識
では投資用不動産を所有しているオーナーはどのような意識を考えているのでしょうか。ノムコムプロが会員に向けて「不動産価格は今後どのように推移すると思うか」という内容を聞いた「不動産投資に関する意識調査」では、2017年から2019年にかけて、不動産価格が下がると思っている人が約2倍近く、全体の半数ほどが下がると感じているというデータが確認できます。
このことから、多くの人が「上昇した不動産価格がそろそろ下がるのではないか」と思っていることが想定できます。下がると予想する人が一斉に売却に動いた場合には、価格相場が下落する可能性がありますので、価格推移には注意が必要です。
2.都心の人口と今後の人口予測
マンションの賃貸ニーズにはそこに住む人口の増減も影響してきます。都心の人口がどのように推移しているのかを見てみましょう。
2-1.転入超過数
東京都心の転出入者の状況はどのようになっているのでしょうか。以下のグラフでは、各都道府県における2017年と2018年の転入超過数が確認できます。
*総務省作成「住民基本台帳人口移動報告平成30年結果」から引用
こちらのグラフから、ほとんどの県で転入者より転出者の方が多い結果となっています。全体の人口が減少する中で、東京都は転入者超過数が都道府県の中で最も多いことが確認でき、人口が増えていることが予測されます。
さらに細かく見てみましょう。以下は同じ資料から引用した表です。転入者超過数の多い市町村を確認することができます。
こちらの表から、全国の市町村の中で東京都区部が最も転入者が多いことが確認できます。この資料から、現在東京都区部では集中的に人口が増えていることが確認でき、人口の面から不動産投資をするには条件が良いと言えます。
2-2.東京都心の今後の人口推移予測
現状では東京には人口が集中しているため、マンション投資を継続することには問題はないと予想されます。では、将来的な東京の人口推移はどのように予測されているのでしょうか。以下は東京都政策企画局が作成した資料から引用したものです。
*東京都政策企画局作成「2060年までの東京の人口推計」から引用
このグラフから日本全国においては、2010年をピークにその後人口は減少傾向にありますが、東京都では2025年までは増加傾向にあることが予測されています。特に東京都区部においては2030年までは増加傾向にあり、その後も減少は緩やかで、2060年時点でも2005年とほぼ同じくらいの人口になるということが予測されています。
このことから、東京都心においては投資用マンションを所有し続けていても、賃貸ニーズが高いために運用はスムーズに進められる可能性が高いことが考えられます。また売却を検討する場合でも、投資用マンションを購入したいというニーズを期待することができるでしょう。
3.インフラや都市の再開発などの状況
道路や線路などのインフラや都市自体が整備・再開発された場合、その後に人が集まりマンションの賃貸ニーズが高まる傾向にあります。東京都心部の開発状況を見てみましょう。
3-1.東京オリンピック開催に向けた都市の再開発
現在東京都心部ではオリンピック会場となる臨海エリアなど各地で再開発が進められています。再開発においてはオリンピック会場の開発だけでなく、選手村はオリンピック終了後に住宅として活用される予定になっていて、就業人口や地域の居住者を含め10 万人以上の増加が見込まれています。
さらに臨海エリアには、都心の新橋や銀座から直通で移動できるBRTという巨大バスが乗り入れる計画になっていて、人の移動も今以上にスムーズになることが予想されます。
3-2.高輪ゲートウェイ駅開業とリニアモーターカーの開通
都心では臨海エリア以外でも再開発が行われています。東京都心部では山手線の高輪ゲートウェイ駅が2020年の東京オリンピックに合わせて開業する予定になっています。また、1つ隣の品川駅は2027年に名古屋までリニアモーターカーが開通する予定になっていて、東京都以外のエリアから東京都心部への移動時間がさらに短縮されることが予想されます。
インフラや都市開発で、東京都心への人の移動が容易にできるようになることが考えられ、住環境も活性化される可能性があります。このようなことは賃貸ニーズが高まる要因にもなりますので、投資用不動産を所有し続けるにも売却するにも、条件は良いと言えるでしょう。
4.不動産価格下落の可能性
東京都心で不動産投資をする際の環境は、有利なものだけではありません。不利になると思われる要因もあります。マンションの売却を検討する際は、価格が下がる前に売却することが大切です。不利な要因にはどのようなことがあるのかを見てみましょう。
4-1.2022年問題
2022年問題とは「生産緑地」と呼ばれる農地が指定を解放されることで生じる問題のことです。1974年に施行された生産緑地制度は、営農を継続すれば税制上の優遇を受けられるというものですが、多くの農地でその指定期限が2022年までとなっています。
2022年以降は地主が更新を希望しなければ優遇措置が解除されるため、土地が売却されたりマンションなどが建てられたりして不動産の供給量が増え、不動産価格が下落する可能性があることが懸念されています。
4-2.団塊の世代が後期高齢期を迎える問題
以下は国土交通省が発表した、2025年における人口ピラミッドの図です。
*国土交通省作成「人口の推移と将来推計」から引用
2025年には、日本で最も人口が集中している団塊の世代の全ての人が後期高齢者になるため、社会保障費の急増が懸念されています。そのため、不動産投資をする年代層にその負担がかかることで投資へ回す資金が不足し、不動産市場が冷え込むことも考えられます。
このように今後は、不動産投資を継続するにはマイナスになるような要因もあります。不動産を売却するなら、このような問題が発生する前の方が良いかもしれません。
まとめ
東京都心のマンションを売却する際に知っておくと役にたつことについてご紹介しました。東京都心のマンションは、賃貸ニーズが高く長期的にも収益が見込めますので、保有し続けていても効率の良い投資ができる可能性があります。
しかし、東京オリンピックを一つの境目として、価格が揺らぐ可能性もありますし、2022年問題のように、不動産価格の下落が懸念される問題も控えています。賃貸ニーズが高いということは購入ニーズも高いということに繋がりますので、今のうちに売却しておくのも良い選択肢だと言えるでしょう。
マンションを売却する際は、このような点を慎重に検討して取り組むようにしましょう。
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西宮光夏
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