投資用マンションの買い時・売り時を見極めるポイントは?7つ解説

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不動産投資では、不動産価格の推移や将来の賃貸ニーズなどから、物件を購入するタイミングと売却するタイミングを見極めることも重要なポイントです。売買のタイミング次第で購入金額や売却金額が異なり、経営を左右することもあります。

そこで今回は、投資用マンションの買い時と売り時を見極める7つのポイントを解説していきます。不動産投資にお行ける売買タイミングに悩む方はご参考ください。

目次

  1. 投資用マンションの買い時を見極めるポイント
    1-1.金利
    1-2.時期
    1-3.物件価格
  2. 投資用マンションの売り時を見極めるポイント
    2-1.不動産市況
    2-2.大規模修繕工事
    2-3.オーナーチェンジ
    2-4.デッドクロス
  3. まとめ

1 投資用マンションの買い時を見極めるポイント

今回、買い時を見極めるポイントとして取り上げたのは「金利」「時期」「物件価格」の3つです。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1-1 金利

投資用マンションの物件価格は数千万円から数億円になるため、金融機関の融資を活用して資金調達する方が多いでしょう。借りた資金は利息を足して返済していくことになります。つまり、融資額が同じでも金利によって総返済額が異なるということになります。

例えば、投資用マンションを1,500万円の25年間のローンで購入しようとしたとき、金利が2.8%だった場合と、3.3%だった場合の総返済額は下記のようになります。

  • 金利が2.8%の場合…毎月の返済額:69,581円、総返済額20,874,156円
  • 金利が3.3%の場合…毎月の返済額:73,494円、総返済額22,048,090円

金利が3.3%の場合、2.8%よりも毎月の返済額が約4,000円、総返済額が120万円ほど高くなってしまいます。家賃を10万円にした場合、ローンを支払った後は金利が2.8%なら30,419円が手元に残りますが、金利が3.3%なら26,506円となります。このように金利が低いときに購入した方が利益が出しやすいため、金利が低いとき、金利が上昇する前が投資用マンションの買い時の目安となります。

金利の上下を予想するには、世界経済と日本経済の情勢をつぶさに確認しておくことが大切です。2022年6月時点、日本は低金利の状態が続いていますが、米国との金利差から円安が加速し、金利上昇のリスクが高まっていると言えます。

【関連記事】円安が不動産投資に与える影響は?バブル期との比較や、金利・インフレの視点で検証

1-2 時期

中古マンション投資を空室から始めたいという場合は、引っ越しシーズンを見据えた時期が買い時になります。購入後すぐに引っ越しシーズンが到来すると、空室期間を短くして入居者の確保がしやすくなります。引っ越しシーズンにおける傾向としては、下記のようになります。

  • 2〜4月…4月から新年度が始まり、就職や転職、異動などがあるため
  • 8〜9月…9月で半期が終了し、10月からの異動があるため

例えば、物件を購入した後でリフォームやリノベーションを行いたいのであれば、12月や7月頃が買い時になります。ただし、12月は不動産の流通量が少なくなってくる時期でもあるため、好条件の物件が市場に出ていない可能性も考慮しましょう。

1-3 物件価格

投資用マンションにはおおよその相場観はありますが、最終的な売出価格の設定は売主が行っています。そのため、購入予定の不動産の価格が必ずしも不動産市場の傾向と連動しているとは限りません。

売りに出されている物件価格が適正価格だと判断できれば、一つの買い時と捉えることも出来るでしょう。物件の適正価格を知るには、下記のような方法があります。

成約事例情報サイト

全国指定流通機構連絡協議会が運営・管理する「レインズマーケットインフォメーション」で調べる方法です。購入を検討している物件とエリアや沿線、駅、専有面積、築年数などを同じにして検索をすると、1年間で成立した取引の販売価格や成約価格が掲載されます。これらの価格からおおよその相場価格を知ることができます。

不動産情報ポータルサイト

SUUMOなどの不動産情報ポータルサイトで、検討している物件と「地域」「物件種別」「専有面積」「最寄り駅」「間取り」「築年数」などの条件を合わせて検索を行うと、販売中の物件一覧が表示されます。表示されている物件の平均値を確認することで、おおよその相場価格を知ることができます。

2 投資用マンションの売り時を見極めるポイント

次に取り上げるのは売り時を見極めるポイントです。「不動産市況」「大規模修繕工事」「オーナーチェンジ」「デッドクロス」の4つについて詳しく見ていきましょう。

2-1 不動産市況

中古不動産の売買は、売主と買主による1対1の相対取引で行われます。そのため、買主候補が多いとき、あるいは市場で売りに出されている不動産の数が少ないときに売り出すと、高い価格あるいは早期に売却できる可能性があります。

下記は公益財団法人東日本不動産流通機構が提供している「レインズデータ」の「首都圏不動産流通市場の動向(2021年度)」から中古マンションに関する情報を抜粋した表です。

年度 新規登録件数 成約件数
2018年度 208,786件 37,601件
2019年度 201,966件 37,912件
2020年度 170,388件 37,049件
2021年度 160,554件 37,828件

※引用:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2021年度)」より抜粋

不動産投資用だけではなく中古マンション全体の数字ですが、上記の表を見て分かる通り、新規登録件数は2018年度より毎年減少しています。しかし、成約件数はほとんど横並びで、2020年度よりも2021年度の方が件数は多くなっています。こうした状況を見ると、新型コロナウィルスなどの影響で中古マンションを売りに出す人が減っていますが、買主の購入意欲は低下していないと考えられます。こうした時期も売り時と判断することができます。

一方、投資用マンションの買い時を見極める際も不動産市況はポイントになります。不動産市場に不動産の数が多いときは、価格が値下がりする傾向があるからです。買主の立場になった際にも、ぜひ参考にしてください。

2-2 大規模修繕工事

マンションは通常、10年から15年に1度の間隔で大規模な修繕工事を行います。外壁塗装や電気設備、給水用設備、防水設備などの劣化が進んでいると考えられるからです。

この大規模修繕工事の前後も、投資用マンションの売り時になります。ただし、工事前で売却するのか、工事後で売却するのかはオーナーの考え方によって異なります。例えば、大規模修繕工事前に売却しようとする場合、工事前に増額されていることの多い修繕積立金を支払わなくてもよくなるといったメリットがあります。しかしその一方で、建物が劣化している状態のため、買主が現れにくいといったデメリットがあるのです。

反対に大規模修繕工事が終わった後であれば、外観や共用部などが綺麗になっており、買主が現れやすく、価格を下げなくてもいいといったメリットがあります。どちらが自分にとってメリットがあるのかはオーナーによって判断が分かれるところです。

一棟アパートの場合は、オーナーに大規模修繕工事を実施するかどうかの決定権があります。しかし投資用マンションの場合は、管理組合などの決定に従うことになります。そのため大規模修繕工事が行われる時期を、適切に把握しておくことが大切です。

2-3 オーナーチェンジ

オーナーチェンジとは、入居者がいる状態で物件の売買をすることです。買主にすると、新しく入居者を募集する必要がないため、すぐに収入を得られるという利点があります。こうした特徴から、オーナーチェンジ物件に限定して探しているオーナーもいます。

そのため入居者がいるうちに売却するのも戦略の一つになります。空室で売却するよりは、物件価格を高く設定でき、さらに早期に買主が決まる可能性があるからです。

入居者の賃貸借契約は2年間に設定されるケースが多いでしょう。この場合、契約を結んだ直後から1年が経過した後ぐらいまでが売り時となります。退去が間近に迫っている場合は、空室と同じと見る買主候補もいるため、契約期間ができるだけ残っている方が高く売却できると考えられるからです。

なお、買主がリフォームを検討している場合や室内の状態を詳しく確認したいと考えている場合もあります。必ずしもオーナーチェンジでの売却が有利に働くというわけでないという点にも注意しておくことが大切です。

2-4 デッドクロス

不動産投資では、減価償却期間が終了するタイミングのことを「デッドクロス」と言います。減価償却とは、10万円以上の固定資産を購入した際に、一括で経費に計上するのではなく、法定耐用年数に応じて毎年計上していく方法です。建物などの固定資産は経年劣化するため、このような方法が採用されています。

鉄筋コンクリート造りの投資用マンションでは、購入価格を47年間で償却していくことになります。(中古で購入した場合は残存年数で償却)下記、建物の構造別に法定耐用年数をまとめた表です。

構造または目的 法定耐用年数
鉄骨鉄筋コンクリート造または鉄筋コンクリート造 47年
れんが造、石造またはブロック造 38年
木造 22年
軽量鉄骨造(厚さ3ミリ以下) 19年
軽量鉄骨造(厚さ3〜4ミリ) 27年

※引用:国税庁「減価償却のあらまし」より抜粋

減価償却費は数万円〜数十万円以上になることもあり、経費として計上することができると課税所得を抑えることができます。しかし法定耐用年数を過ぎてしまうと、減価償却ができなくなるため計上できる経費が減少します。

つまり、デッドクロスを過ぎて投資用マンションを所有していると、課税所得が大きくなってしまうため、手元に残るキャッシュが減ってしまうのです。そのため減価償却期間の終了、つまりデッドクロスになるまでに余裕があるタイミングも一つの売り時と考えることができます。

なお、減価償却費を計上していることで毎年の不動産所得が圧縮され、会計上の赤字となっている場合には給与所得などのその他の所得と損益通算することができます。しかし、売却する際はこの償却分が物件取得費から差し引かれ、譲渡所得税の課税分が大きくなることに注意しておきましょう。(※参照:国税庁「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」)

まとめ

今回は、投資用マンションの売買を見極める際のポイントを合わせて7つ取り上げました。どのタイミングを優先するのかはオーナー次第ですが、適切なタイミングを見極められるように、投資用マンションの買い時と売り時のポイントをしっかり覚えておきましょう。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。