太陽光発電付きの不動産の売却を予定している人の中には、「太陽光発電が付いているので高く売れるはず」と思っている人も多いのではないでしょうか?
しかし、太陽光発電にはメリットだけでなくデメリットも伴うため、うまく売却しなければ売却価格が想定よりも安くなる可能性もあるので注意が必要です。
この記事では、太陽光発電付きの不動産を高く売る売却手順について解説します。
目次
- 太陽光発電付き不動産のメリット・デメリット
1-1.太陽光発電付き不動産のメリット
1-2.太陽光発電付き不動産のデメリット - 太陽光発電付きの不動産を高く売る手順
2-1.不動産の売却方法について検討する
2-2.不動産会社に査定を依頼する
2-3.不動産会社に仲介を依頼する
2-4.売買契約を締結する - まとめ
1.太陽光発電付きの不動産のメリット・デメリット
太陽光発電付きの不動産は、一般的な不動産よりも付加価値が高いことから、売却する際も売却価格が高くなると考えている人も多いのではないでしょうか?
しかし、太陽光発電にはメリットだけではなくデメリットも伴うため、必ずしも売却価格が高くなるとは言い切れません。
少しでも太陽光発電付きの不動産を高く売却するには、太陽光発電付きの不動産の特徴を事前に把握してから売却に臨むことが重要です
それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
1-1.太陽光発電付きの不動産のメリット
まず、太陽光発電付き不動産のメリットを見て行きましょう。ここでは下記の2点を取り上げています。
- 売電による利益が得られる
- 電気代の節約につながる
それぞれ詳しく解説します。
売電による利益が得られる
FIT(再生可能エネルギー固定価格買取)制度に該当している太陽光発電が設置されている住宅の場合、設置から10年間は電力会社が一定価格で電力を買い取ってくれます。
太陽光発電の設置から10年が経過しておらず、買取保証期間が残っている不動産の場合、売電による利益が得られる不動産として売却することが可能です。
残存の買取保証期間がどのくらいなのかで売出価格に上乗せできる価格は異なりますが、太陽光発電の収益が査定価格に加味されるため、太陽光発電のない不動産よりも好条件で売却できる可能性が高いと言えます。
なお、屋根に設置する太陽光パネルの発電量は10kw未満がほとんどですが、10kw以上の場合は買取保証期間が20年間に延長されます。
電気代の節約につながる
ここまでの解説で「買取保証期間終了後の電力の買取はどうなるの?」と疑問を抱いた人も多いと思います。この場合、固定価格での買取保証がなくなることで買取価格は変動しますが、期間終了後も同じ電力会社、もしくは他の電力会社が買い取ってくれる可能性があります。
買い取ってもらえない場合でも、昼間の発電可能な時間帯の自家消費や、蓄電池が設置されている場合は日中に貯蓄した電力を夜間に使用することも可能です。
蓄電池があれば災害時の非常用電源を備えた物件として売り出せるため、万が一の事態に備えたいという人への需要も期待できるでしょう。
1-2.太陽光発電付きの不動産のデメリット
次に、太陽光発電付き不動産のデメリットを見て行きましょう。ここでは下記の2点を取り上げています。
- メンテナンス費用が生じる
- 手続きに時間と手間がかかる
それぞれ詳しく見て行きましょう。
メンテナンス費用が生じる
太陽光発電に必要な設備には、老朽化によるケーブルの断線、災害による破損など、様々なトラブルが生じる可能性があります。JISの基準を満たしている太陽光発電の設備の場合、最低10年間の無料保証が規定されていますが、設備によって保証期間は異なります。
保証期間の経過後は、定期的なメンテナンスや発電効率が低下した場合の設備交換などに費用がかかるという点に注意が必要です。
保険に加入すれば災害で設備にトラブルが生じた場合も補償を受けることが可能ですが、何も生じなければ保険料が無駄にかかることになります。
太陽光発電の設備が無い不動産にはこれらの費用がかからないことを考えると、太陽光発電付き不動産は利益を得られる反面、メンテナンスが必要であり、維持経費がかかるという点が売却に不利に働く可能性があります。
手続きに時間と手間がかかる
太陽光発電付きの不動産を売却する際は、通常の不動産の売却とは異なり、手続きに手間と時間がかかります。
例えば、不動産の売却では太陽光発電の所有者が変更になるため、経済産業省に名義変更の手続きを行う必要があります。また、売電の契約先の電力会社に契約者と振込口座変更、太陽光発電協会に財産処分承認申請を行う必要があります。
購入時に補助金を受け取っている場合、法定耐用年数の17年以内に不動産を売却する際は補助金の一部を返還しなくてはなりません。
手続きに時間と手間がかかって、売買がやや煩雑となるのが太陽光発電付きの不動産を売却する際のデメリットと言えるでしょう。
2.太陽光発電付きの不動産を高く売る手順
太陽光発電付きの不動産を高く売るためには、太陽光発電付きの不動産の特徴だけでなく売却の手順を把握した上で売却に臨むことが重要です。
太陽光発電付きの不動産を高く売る手順として、以下の4つが挙げられます。
- 不動産の売却方法について検討する
- 不動産会社に査定を依頼する
- 不動産会社に仲介を依頼する
- 売買契約を締結する
それぞれの手順について詳しく見ていきましょう。
2-1.不動産の売却方法について検討する
太陽光発電付きの不動産を高く売却したい場合、まず売却方法について検討します。太陽光発電付きの不動産の売却方法として、以下の3つが挙げられます。
- 太陽光発電付きの不動産のまま売却する
- 太陽光発電の設備を処分してから売却する
- 新居に太陽光発電の設備を移設してから売却する
買取保証期間がまだ残っている場合や蓄電池が設置されている場合は、太陽光発電付きの不動産であることをアピールできるため、そのまま売却した方が良いと言えます。
しかし、買取保証期間が少ないもしくは切れている、蓄電池が設置されていない不動産ではメリットが少なく、修繕コストがかかることがデメリットになるため、太陽光発電の設備を処分してから売却した方が良いケースもあります。
また、太陽光発電の設備が使用できるケースでは、新居に太陽光発電の設備を移設してから売却するのも選択肢の1つです。
しかし、移設に費用がかかる、電力会社の変更で買取価格が下がる可能性もあるので注意が必要です。売却方法の選択ミスを減らすまたは手続きミスを減らすためにも、仲介を依頼する不動産会社に相談しながら売却を進めてみましょう。
2-2.不動産会社に査定を依頼する
不動産に合う売却方法を考慮しながら、複数の不動産会社への査定依頼を検討しましょう。1社ではなく複数の不動産会社に依頼する理由は、不動産会社で査定の際に重視するポイントが異なり、査定結果にも差が生じるためです。
ただし、不動産会社の中には仲介の依頼を受けるために根拠なく高い査定結果を提示する不動産会社もいるので注意が必要です悪質な不動産会社に騙されないためにも、価格だけでなく査定結果の根拠を比較して不動産会社を選ぶことが大切です。
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2-3.不動産会社に仲介を依頼する
複数の不動産会社に査定を依頼した後は、不動産会社に仲介を依頼します。各不動産会社で査定結果や営業力の高さ、売却時に必要な変更手続きのサポート、仲介手数料の設定などが異なるため、それらを踏まえながら仲介する不動産会社を決めます。
仲介手数料が上限よりも安い不動産会社に仲介を依頼した場合は、数十万円、数百万円高く不動産を売却したのと同じ効果が得られるため、仲介手数料がいくらに設定されているか確認しておきましょう。
2-4.売買契約を締結する
不動産会社に仲介を依頼して買主が見つかった場合は売買契約を締結します。売買契約を締結すれば全て完了というわけではなく、太陽光発電付きの不動産の場合は引渡しまでに名義、契約者、口座などの変更手続きを行わなくてはなりません。
速やかに変更手続きを終えなければ、引渡しのスケジュールに支障が生じる、売電の利益が振り込まれないといったトラブルに発展する可能性があります。
トラブルを未然に防ぐためにも、どのような手続きが必要なのかを確認する、変更手続きをサポートしてくれる不動産会社を選ぶことが重要と言えるでしょう。
3.まとめ
太陽光発電付きの不動産は、売電による利益が得られる、電気代の節約につながるといった理由で一般的な不動産よりも好条件で売れる可能性が高いと言えます。
しかし、買取保証期間が経過しているもしくは蓄電池が設置されていない、メンテナンスの保証期間が過ぎている場合、メリットよりデメリットが上回ってしまい、売却に不利に働く可能性もあるので注意が必要です。
各不動産で適切な売却方法が異なるため、不動産会社に相談しながら売却を進めることが重要です。太陽光発電付きの不動産の特徴と売却手順を把握した上で売却に臨みましょう。
矢野翔一
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