地域活性化につながる不動産投資の方法は?5つの取り組み事例と手順を解説

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不動産投資は、所有する不動産を賃借人に貸して賃料を得るのがビジネスモデルです。しかし近年、物件オーナーが利益を得るだけではなく、地域に貢献する手法としても注目されるようになっています。

そこで今回のコラムでは、地域活性化につながる不動産投資の方法を紹介していきます。具体的な事例や始める際の手順についても解説していきます。

目次

  1. 地域活性化につながる不動産投資の5つの方法
    1-1 空き家や有休土地を利活用する
    1-2 高齢者専用住宅・障がい者専用住宅を運用する
    1-3 リゾート地や観光地で民泊を運営する
    1-4 地域特化型J-REITで投資する
    1-5 不動産投資型クラウドファンディングに投資する
  2. まとめ

1 地域活性化につながる不動産投資の5つの方法

不動産投資は入居者がいれば毎月の定収入が確保できる、不動産投資ローンによるレバレッジ効果があるなど、主には金銭的な利益を得る方法として注目されてきた投資手法の一つです。

一方、不動産投資は入居者の生活面・安全面に大きな影響を有することになります。「まちづくり」という観点からは地域の住みやすさや治安などにも影響を及ぼしたりするなど、事業経営者として様々な人や環境に対して影響力を持つことになります。

中には大企業だけではなく、中小企業や個人でも行えるような取り組みも増えてきており、不動産投資を通じて社会貢献をしている個人のオーナーもいます。以下は地域活性化につながる不動産投資の主な方法です。

  • 空き家や有休土地を利活用する
  • 高齢者専用住宅・障がい者専用住宅を運用する
  • リゾート地や観光地で民泊を運営する
  • J-REITで投資する
  • 不動産投資型クラウドファンディングに投資する

次の項目から、上記の5つの取り組みについて紹介し、始める際の手順のほか、事例も紹介していきます。

1-1 空き家や有休土地を利活用する

総務省統計局の「平成30年住宅・土地統計調査」によると、2018年に調査した時点で日本国内には848万9,000戸の空き家が存在しています。少子高齢化や人口減少などが主な原因とされ、2013年の調査時から約30万戸の空き家が増えています。最悪のシナリオなら、2038年には全国の空き家は2,254万戸に増え、3戸に1戸は空き家になるという推計もあります。

空き家を放置したままにしておくと、老朽化が進み一軒家であれば自然倒壊が起きるほか、不法投棄や犯罪などに利用されることも懸念されます。また景観を損ねてしまうため、地域全体の印象が悪くなってしまう可能性もあります。

そこで、各地で取り組みが行われているのが空き家の再利用や活用です。具体的には下記のような手法が考えられます。

  • 空き家の賃貸経営
  • 空き家のリフォーム再販
  • 空き家を利用した事業経営、など

このように空き家を利活用して不動産投資を行うことで、地域の人口増加や雇用創出につながることが期待できます。また空き家ではなく、地方の有休土地を購入し、賃貸住宅やテナントなどを設けて運用することでも、地域活性化につながる不動産投資ができます。

空き家を利活用する手順

空き家を利活用するには、まずはどのような空き家があるのか探すことから始めます。各エリアには空き家の売買ができる空き家バンクなどの専用サイトがあるほか、不動産総合ポータルサイトなどでも空き家を探すことができます。具体的な流れを見ていきましょう。

  1. 空き家を探す
  2. 空き家の活用方法を決める
  3. リフォーム工事が必要な場合は施工会社に依頼する
  4. 賃貸をする場合は賃貸仲介会社、売却する場合は売買仲介会社に依頼する(事業を始める場合は人材募集など事業開始の準備を始める)

ただし、空き家は人口減少が進んでいる地域に点在していることが多く、投資対象としてはリスクもあります。空き家再生のノウハウがない場合は、空き家再生を手掛ける不動産会社や、クラウドファンディングに出資する方法も検討するようにしましょう。

【関連記事】築古物件のDIY投資を始める方法・手順は?投資家の体験談を紹介

1-2 高齢者専用住宅・障がい者専用住宅を運用する

高齢化社会が進む中、高齢者の住宅問題はさらに深刻になると言われています。高齢者の単身世帯が増えていることもあり、高齢者が安心して暮らすためには住まいの確保が欠かせません。

しかし、孤独死の懸念があることや現役世代と比較して収入が減少しているなどの理由から、保証会社の審査が通りにくいなどの問題もあります。

こうした社会的な背景から、政府では「住宅セーフティネット法」(正式名称「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」)を制定し、住宅セーフティネット制度を整備しています。この制度を活用して、物件オーナーとして高齢者に住まいを提供することで地域への貢献ができます。入居者を確保しやすくなるため、空室対策にもなるメリットがあります。

住宅セーフティネット制度を活用するには「セーフティネット住宅情報提供システム」への登録が必要です。登録後に、情報を公開し入居者を募集することで高齢者への住まいを提供することが可能になりますが、登録するためには住戸の床面積が25㎡以上などの基準に適合している必要があります。

基準に適合しない場合でも、バリアフリー性能を高め、浴室のヒートショック対策などを行い、セーフティネット住宅情報提供システムに登録せずに高齢者用賃貸住宅として提供することも可能です。

住宅セーフティネット制度を活用する手順

住宅セーフティネット制度を活用するには、セーフティネット住宅情報提供システムに登録することがスタートです。始める手順は下記の通りです。

  1. 登録窓口への事前確認
  2. 事業者(賃貸人)のアカウント登録
  3. 登録申請書の作成
  4. 登録申請書等の提出
  5. 登録情報の公開
  6. 入居者募集の開始

また、住宅セーフティネット制度では、オーナーに対して下記のような4つの支援があります。

  • 住宅の登録制度
  • 登録住宅の改修への補助
  • 入居者負担の軽減
  • 住宅確保要配慮者に対する居住支援

住宅セーフティネット制度は高齢者だけではなく、障がい者や子育て世帯など、住宅の確保に配慮が必要な方も対象になります。なお、2022年2月末時点で全国で710,652戸の住宅が登録されています。「セーフティネット住宅情報提供システム」で幅広い情報を提供していますので、検討される方は参考にしてください。

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1-3 リゾート地や観光地で民泊を運営する

リゾート地や観光地では、近隣の民家が空き家になっていることも少なくありません。こうした空き家を利活用することで需要が見込める可能性もあります。その一つが民泊の運営です。利用客を呼び込むことができ、地域の活性化につなげることができます。

民泊施設とマンスリーマンションを併用するなどの手法もあり、所有する物件を最大限に活用することもできます。また、リゾート地や観光地にはガイドなどとして働く人もおり、通勤者向けあるいはリゾートバイト向けの賃貸住宅の需要もあります。

ただし、民泊には種類があり、対応する法律も異なります。十分に調べた上で始めるようにしましょう。

リゾート地や観光地で民泊運営を始める手順

民泊には、年間を通して営業できる旅館業民泊、各自治体の特区で営業する特別民泊、年間180日未満で営業できる新法民泊の3つの種類があります。どの形態で営業を開始するか検討するところから始めます。

  1. 民泊の形態を決める
  2. 許可申請または届出を行う
  3. リフォームやリノベーションを行う
  4. 民泊サイトなどに登録する
  5. 運営を開始する

民泊の形態によって、許可申請、認定申請、届出のみと申請の方法も異なり、提出する書類も異なります。スムーズに始めるには事前の準備を怠らないようにしましょう。

【関連記事】民泊可能物件の探し方は?賃貸と所有、それぞれのケースで解説

1-4 地域特化型J-REITで投資する

J-REIT(Jリート、日本版不動産投資信託)とは、投資法人が投資家から集めた資金で不動産の運用を行い、投資家に利益を分配する金融商品です。投資家が投資証券を所有することで、不動産投資による運用益が得られる仕組みになっています。

J-REIT市場に上場している投資法人の中には、地域活性化につながる事業を展開している法人があります。下記がその一例です。

  • 星野リゾート・リート投資法人
  • マリモ地方創生リート投資法人
  • 東海道リート投資法人
  • ヘルスケア&メディカル投資法人
  • 福岡リート投資法人
  • 阪急阪神リート投資法人

中でも、地域を限定して不動産投資を行う地域特化型J-REIT(ご当地リート)と言われるのが、「阪急阪神リート投資法人」「福岡リート投資法人」「東海道リート投資法人」です。

このほか、取引所に上場せずに私募リートとしてオープンエンドで運用されている「ひろしま地方創生リート投資法人」「JR九州プライベートリート投資法人」もあります。2023年には、「北海道リート投資法人」が運用を開始する見込みになっており、ご当地リートは全国に広がっていることがわかります。

J-REITを始める手順

J-REITを始めるには、取引を行う証券会社を選ぶことから始めます。口座に入金後、銘柄を選ぶという流れになります。詳しく見ていきましょう。

  1. 証券会社を選ぶ
  2. 証券口座を開設する
  3. 口座に入金する
  4. 銘柄を選ぶ
  5. 銘柄を購入すると運用が開始される
  6. 銘柄を売却すると運用が終了する

三井住友銀行と連携できる「SMBC日興証券」や、住信SBIネット銀行と連携できる「SBI証券」などのネット証券であれば、PCやスマホから簡単に取引を行うことができるうえ、取引手数料も割安になっています。下記の記事でネット銀行と連携できるネット証券会社5社をまとめていますので、まだ口座を開設されていない方は併せてご参考下さい。

【関連記事】ネット証券とネット銀行を連携するメリットは?ネット証券会社5社を比較

それぞれの投資法人では投資対象を明確にしており、下記のような分類をしています。

  • 住居特化型…投資対象はマンションを中心とした住居
  • オフィスビル特化型…投資対象はオフィスビル
  • 商業施設特化型…投資対象は大型を中心とした商業施設
  • 物流施設特化型…投資対象は倉庫などの物流施設
  • ホテル特化型…投資対象はホテル
  • ヘルスケア施設特化型…投資対象は介護・医療などのヘルスケア施設

これらの特化型を2種類融合させている複合型、3種類以上融合させている総合型という区分もあります。地域活性化につながる投資を行っている投資法人を選ぶ場合は、対象地域などで判断すると良いでしょう。前述したように、地域に特化している投資法人の場合、地域特化型とも言われます。

【関連記事】REIT(リート)銘柄を選ぶポイントは?人気ファンド3本も紹介

1-5 不動産投資型クラウドファンディングに投資する

不動産投資型クラウドファンディングとは、特定の不動産に対して複数の投資家が出資して運営する手法です。不動産のプロが厳選した案件や不動産投資会社が建てた物件に出資をし、加入口数に合わせて分配金を受け取る仕組みになっています。不動産を保有(登記)しない匿名組合型のクラウドファンディングでは、1万円〜10万円など比較的少額から始めることができるのが特徴です。

このうち地域活性化につながる取り組みを行っているクラウドファンディングに出資することで、地域活性化につながる不動産投資ができます。具体的な事例として「CREAL(クリアル)」と「信長ファンディング」について見ていきましょう。

「CREAL(クリアル)」(運営会社:クリアル株式会社)

ESG不動産投資クラウドファンディング「CREAL」CREAL(クリアル)は、運用資産残高が約450億円(2022年4月末時点)のクリアル株式会社が運営するクラウドファンディングです。東証グロース市場に上場しており、対象物件は投資用マンションのほか、ヘルスケア施設や保育施設、教育施設など多彩で地域貢献につながる投資もできます。1万円から投資ができるので、初心者の方でも少ない資金から始めることができます。

※CREALでは、下記ページ経由で新規に投資家登録やファンドへの投資を行うと最大50,000円のAmazonギフト券がプレゼントされるキャンペーンを開催中です。詳しくはCREALのキャンペーンページでご確認下さい。

「信長ファンディング」(運営会社:株式会社ウッドフレンズ)

信長ファンディングを運営するのは、東証スタンダード市場と名古屋証券取引所に上場している株式会社ウッドフレンズです。

信長ファンディングで運用される不動産は運営会社のウッドフレンズが保有しており、中には地場産業の林業を生かした木造物件も含まれています。地元産や国内産の建材を積極的に活用していることから、不動産でのESG投資が可能な点も、同サービスの特色といえるでしょう。名古屋など東海エリアに投資ができることも特徴です。

まとめ

不動産を所有するということは、その地域に関わりを持つということになります。不動産投資は主にオーナーが利益を得るための投資手法ですが、地域活性化につなげられるのも不動産投資の魅力の一つとなっています。

今回のコラムでは代表的な5つの方法について解説しました。それぞれに特徴がありますので、ご自身の投資スタイル、地域貢献への想いなどから総合的に判断するようにしましょう。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。