築古物件のDIY投資を始める方法・手順は?投資家の体験談を紹介

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数ある不動産投資手法の中でも比較的低リスクで高利回りを狙えることから、近年人気が急上昇中の築古物件のDIY投資。築古物件のDIY投資は自身の施工によりリフォーム費用で最も高額となる人件費を削減でき、物件価格も安価というのが大きな特徴です。

そんな築古物件のDIY投資を検討している方で気になるのは、実際に始める手順や方法などの詳細では無いでしょうか。

今回のコラムでは実際に首都圏の郊外エリアで築47年の築古物件のDIY投資にチャレンジし、修繕、客付まで行った筆者が、築古物件のDIY投資を検討している方に向けて経験談を踏まえながら手順と方法について解説していきます。

目次

  1. 築古物件のDIY投資を始める方法・手順
    1-1.築古物件のDIY投資は自身の不動産知識が重要
    1-2.先輩大家さんのDIYをお手伝いする下積み
    1-3.実際に習得した知見・経験を元に内見で物件を調査する
    1-4.投資する築古物件を選んだ判断のポイント
  2. 築古物件の購入前に押さえておきたい諸費用
  3. 築古物件の購入後のDIYの手順・客付け(入居者募集)のポイント
    3-1.築古物件の不動産売買契約後、DIYを開始
    3-2.築古物件の客付(入居者募集)で行ったポイント
    3-3.築古物件のDIYを諦めた箇所・利用した業者例
  4. まとめ

1.築古物件のDIY投資を始める方法・手順

築古物件のDIY投資は大きく分けて、以下4つの手順で進めていきます。

  1. 知識・技術学習
  2. 内見・買付
  3. DIY開始
  4. 客付(入居者の募集)

しかし、手順だけではザックリとしていて、具体的な方法がよく分からない方も多いでしょう。以下、筆者が実際に行った手順を踏まえながら、詳細を解説していきます。

1-1.築古物件のDIY投資は自身の不動産知識が重要

築古物件のDIY投資で最初に始めておきたいポイントは、書籍や教材などを通して不動産知識を得る自身への投資です。

不動産投資の失敗は手法に問わず知識不足が引き起こすケースも少なくありません。特に、築古物件のDIY投資を行うためには投資的な観点に加えて、修繕に必要な知識を蓄積するのが重要な課題となります。

特に高額修繕が発生する傾き・雨漏り・外壁の劣化・浄化槽工事といった物件の特徴や、囲繞地など不推奨の立地条件の事前知識は1つ知らないだけで数百万円単位の修繕費・撤退を余儀なくされてしまう場合もあります。

また金融商品への投資と違い、不動産投資では全く同じ商品が存在しません。物件の個性によって採用すべき戦略の打ち手が多いほど改善の余地が大きいということになり、どのような打ち手が良いか判断するためにも知識が必要になります。

築古物件では人気のDIY投資だけではなくノーリフォーム・シェアハウス・貸し倉庫・レンタルスペースといった数々の投資戦略が存在します。

そんな幅広い手法を効率よく学ぶには、比較的安価な書籍を購入して勉強を進めるのが、コストパフォーマンスが良い定番の初期投資であると思います。私は50〜100冊程度を目安に様々な投資手法を学び、選んではいけない物件の回避といった落とし穴を避けるためにも、築古物件のDIY投資は事前の知識への投資が非常に重要と考えていました。

1-2.先輩大家さんのDIYをお手伝いする下積み

書籍や教材で一定の知識を蓄えただけでは、どうしてもプロの職人のような数々のDIY技術を会得することができません。そこで検討しておきたいのが、先輩大家さんの物件へボランティアを行い、基礎的な技術を習得させて貰う方法です。

特にどこの物件でも行うことが多い内装のペンキ塗りやクロス・クッションフロアの引き方といったDIYは、施工する範囲が広く先輩大家さんも工期を少しでも短くするために人手が欲しいというのが正直な本音です。そこへ自身で名乗りを上げてガンガンお手伝いすることにより、基礎技術を習得するだけでは無く現場で用意している細かい必要な道具を把握することもできます。

また、お手伝いを根気強く続けることで、今後の物件購入に伴い先輩大家さんがメンターとしてサポートしてくれる場合もあります。ただし、先輩投資家の方々は皆勉強家でテイカー気質の方を極度に毛嫌いするため、相手の時間を奪わないよう配慮を行いつつお手伝い中にさりげなく質問するなどの工夫が必須です。

先輩大家さんへのお手伝いは無給に加え、交通費も基本的には自腹となる修行の下積み期間となります。そのため見極めは必要ですが、自身で修繕を行う必要があるDIY投資では、下積みにより培った現場経験が、成功確率を大幅に上昇させてくれる要因の1つであると私は考えています。

先輩大家さんの見つけ方ですが、私の場合は偶然身近に先輩大家さんが居たため苦労しませんでした。どうしても知人など身近に先輩大家さんが居ない場合には、オンラインサロンやジモティといったDIYコミュニティへの参加で見つけてみるのも選択肢の1つでしょう。

1-3.実際に習得した知見・経験を元に内見で物件を調査する

書籍や教材で知識を習得し、先輩大家さんへのボランティアにより習得した経験を基に不動産会社へ問い合わせを行い、物件の内見を行います。

内見と聞くと新築の購入や賃貸の下見といったイメージがありますが、築古物件のDIY投資では、「内見=リフォーム費用・期間の見積もり」という側面があります。つまり自身が修繕業者になったつもりで、工費の見積もりをとるイメージです。

また、数十件以上の物件を内見することにより、物件状態や立地と価格帯の相場感を身につけることも大切です。一例として、以下の重要なポイントはチェックしておきましょう。

築古物件の内見でチェックしておきたいポイント

  • 物件の傾き
  • シロアリ被害
  • 事故物件かどうか
  • インフラ設備の確認(下水・ガス・水道)

また内見に必要な道具として、最低限以下を持ち合わせていくと良いでしょう。

内見で必要な道具

  • 手袋
  • ヘッドライト
  • ビー玉
  • マイナスドライバー

ビー玉は部屋の傾き具合を調べるため、マイナスドライバーは畳を剥がした裏にシロアリが居ないかチェックをするために使用します。また、私自身は過去にリフォーム業での実務経験を元に屋根裏から防水シートの劣化具合のチェックや、床下の湿気具合まで調べるためにヘッドライトが欠かせませんでした。

可能であれば築古物件の内見時に検討したいのは、先輩大家さんや業者といった知人と一緒に内見を行う手法です。特に300万円以下で安価に販売されている物件は仲介手数料も安価なため、不動産業者は直接立ち会わずにキーボックスのナンバーで案内するといった物件が大多数となるので、この場合は複数人での内見も可能となります。

こうして複数物件をチェックしていくと、安すぎる物件は高額修繕が伴うなど大まかな値段帯の特徴が掴めてきます。

指値交渉(価格交渉)の注意点

しかし、築古物件の買付時に注意しておきたいのが指値交渉(価格交渉)です。指値交渉をすることで売出価格よりも安く購入することができますが、もともと状態の良い物件への指値交渉については通らない可能性が高いと言えます。

築古物件投資の人気上昇に伴って多くの投資家が参入しています。私も物件を探している際には、「不動産会社側は指値の嵐で参っている」ということを実際に伺いました。

状態の良い物件を見つけても指値を入れることで物件が購入できず、休日返上で物件を探し続けてしまうことにも繋がります。特に首都圏郊外エリアでは先輩大家さんやコミュニティを見つけやすい反面、ライバルとなる投資家の数も他エリアより多くなっています。

私自身も半年ほど探し続けた結果として得られた知見として、購入価格が安く高利回りが狙える物件ほど傾き・雨漏り・事故物件など、ライバルでは解決することができない強みが必要になると想定することができました。

また安価すぎる物件は高額修繕が伴う都合上、結果として修繕作業が少ない物件を購入した方が安く済むケースが想定されるのも内見し続けて得られた経験の1つです。

そんな複数物件の内見を行う地道な作業の中で良い条件の物件を購入するためには、ライバルより先に出るために敢えて指値を入れずに現金一括払いで買付を行うといった、売主側にもメリットのある提案が必要になります。実際に内見を続けて条件の良い物件に指値を行い、購入できずに見逃し時間を無駄にしてしまった失敗も多数も存在します。

1-4.投資する築古物件を選んだ判断のポイント

実際に私が購入した物件は250万円で販売されており、以下の理由と総合的なDIY費用の負担が少ないことが想定されるため買付証明の提出を決意しました。

  • 都市ガス、上下水道
  • リフォーム済みの水洗トイレ
  • 傾きやシロアリといった心理的瑕疵無し
  • 外壁の状態が良好
  • ローカル路線徒歩15分、JRも自転車でアクセス可能と好立地
  • 残置物が殆ど無いため、DIY期間も短いと想定
  • 周囲に大型商業施設の建設予定との情報から土地価格の向上による出口戦略も期待高

ただし、懸念点として72㎡という家の狭さと、首都圏郊外にも関わらず駐車場無しという点がマイナス要因となります。ですが築古物件は何かを妥協する必要があると割り切り、複数の強みでカバーできると判断し購入を決意しました。

最初に設計した投資戦略は、短期間・低予算によるDIYによる貸付で、初期費用を含め表面利回り15%以上を目指す戦略でした。利回りの計算方法は「年間家賃収入÷物件購入価格×100」で表面利回りを計算することが可能です。

なお、この最初に設計した表面利回り15%を目指す戦略は、後に先輩大家さんのアドバイスにより変更になります。この点については後ほど解説します。

2.築古物件の購入前に押さえておきたい諸費用

初めて築古物件を購入する方で最初に押さえておきたいのは、物件購入費用とDIY費用以外に発生する諸費用です。そのため物件を購入できるギリギリの貯金額で買付を行うと、後で思わぬ出費により諸費用が足りなくなる恐れがあります。

私の事例では物件購入価格とDIY費用以外で発生した諸費用の一例は、主に以下の通りでした。

  • 仲介手数料:126,500円
  • 司法書士報酬:75,300円
  • 固定資産税:11,300円
  • 火災保険:16,000円(火災保険・地震補償込み)
  • 印紙代:2,000円

また司法書士の先生や火災保険の担当者は、ありがたいことに先輩大家さんからの紹介により繋げて頂けました。先輩大家さんとの繋がりは、後々設備・電気・ガスといったDIYを行うには難易度が高い・行えない各業者の紹介にも繋がります。

3.築古物件の購入後のDIYの手順・客付け(入居者募集)のポイント

3-1.築古物件の不動産売買契約後、DIYを開始

購入時の物件の状態

物件を契約し購入が終わると、いよいよDIY投資を開始することができます。築古物件のDIYは1つの修繕作業だけではなく、オールマイティな幅広い修繕技術が求められます。

また、闇雲に作業を進めるのでは無く、最初におおよその完成予想・計画を立てるのもお洒落な内装を実現するためのDIY投資では欠かせない工程です。実際に私が購入した物件では内装白と黒を基調とした和モダンをコンセプトとし、主に以下のようなDIY作業を行いました。

  • トタン屋根の塗装
  • 和室の洋室化
  • 内装塗装
  • 一部床の張り替え
  • 一部床下の補強
  • キッチン交換
  • 浴槽交換
  • 壁全体をクロスへ
  • 床全体をクッションフロアへ

途中どうしても分からない作業が出現した場合には、YouTubeで事前学習を行い実際の作業に取り組みます。DIYの修繕手法自体は文字媒体の本より、動画コンテンツを視聴しながら作業したほうが効率良く工程を進めることが可能です。

また施工の途中で先輩大家さんのアドバイスにより、客付時に決定権を持ちやすい女性の方が気に入る水回りを設計し、高めの家賃設計による戦略が推奨されるとのことで、大幅に戦略を変更しています。DIY期間と費用を見直し家賃6万円以上に設計することで、DIY費用を含めた表利回りを24%に上げる路線へと切り替えました。

そのため1階部分の狭い間取りや化粧ベニアを全て解体し、システムキッチンやベニアの張り替えを導入することで吹き抜け風の幅広いダイニングへ改装致しました。

改装後のダイニング(化粧ベニアを全て解体、吹き抜け風の幅広いダイニングへ改装)

また、無料特典を利用するためガスをプロパンへ変更し給湯器交換・浴槽・インターホンといった設備の導入を行うことができました。

※プロパンガスの無料特典で浴槽の改修を行った

更にDIY投資で安価に修繕を行うために、私はジモティやネットショップを利用しています。特にクロスやクッションフロアといった重量が伴う資材は、ネットショップを利用し現地に届けてもらうことで安価なうえ、運搬労力がないため実際にDIY投資を行う方は利用を検討するのも非常に有効な選択肢の1つです。

また、失敗点として、ジモティで安価に購入したインパクトは使い物になりませんでした。DIY投資で最も使う機会の多い商売道具となるインパクトは、できるだけV電圧の高く信頼性の高いブランドのものを用意されるのが良いと思います。

ジモティは首都圏であればキッチンや照明、化粧台など様々な設備を安価に購入することが可能です。難点として運ぶための車が必要になるといった条件が伴いますが、自家用車をお持ちであれば優秀な設備の調達先となります。

修繕中は円安とロシア情勢の影響によりウッドショックと原油価格の高騰が投資費用として悩みの種でしたが、賃貸価格も相乗して上昇している結果として若干強気の家賃設定でも無事客付まで達成することができました。

DIY投資で掛かった諸費用はおおよそ50万円ほどで、物件価格と合わせると合計で約300万円で収めることができました。

3-2.築古物件の客付(入居者募集)で行ったポイント

客付に関してはDIY修繕が8割付近まで近づいたところで、物件を購入した不動産からの紹介の客付業者へ依頼し作業と並行して募集を開始致しました。ただし、完全に完成する前に写真を撮影すると、ネットで掲載されている画像が現場仕様となってしまうため注意が必要です。

※DIY修繕が8割程度進んだ事例。

また、客付で高い家賃収入を設計しつつ空室を避けるためには、周囲の戸建賃貸より何かしらの強みを設定することが必要になります。私の物件で強みとして設計したのは、以下の4点です。

  • システムキッチン
  • 更新手数料無料
  • 礼金無し
  • ペット可能(条件:敷金2ヶ月分)

※高い家賃収入を設計するために、システムキッチンの導入

特にファミリータイプの戸建の入居決定権は女性の方が握っている場合も多いため、キッチンやトイレなどの水回りが綺麗であるほど高めの家賃設計による高利回りを期待することができます。

簡易なDIYで済ませた場合に客付が中々決まらない場合には、Wi-Fi設備・車庫の設置・年配者可能・保証会社不要といった設計も選択肢となります。ただし、保証会社不要の客付は家賃の踏み倒しや夜逃げなど、問題を抱えた入居者によるリスクが引き起こされるため、リスクが高い手段であることに留意しましょう。

入居後は自己管理を行うか、管理会社への委託を検討します。私の場合はアパートと異なり、世帯数が限られている戸建では不要と想定して自主管理を選択しました。

更に逆境と思いきや追い風となったのが円安やロシア情勢によるウッドショックや原油価格の高騰でした。想定よりやや高めの家賃設計で募集してみたところ、物件完成後2ヶ月以内で入居が決まり、この点は嬉しい誤算となりました。

家賃はどうしても借主が決まらない場合に下げることも可能なため、最初は相場よりもやや高めの家賃を設定して実際の賃貸需要を精査してみるのも大切だと、実際に経験してみて得られた学びです。

客付後に発生するトラブル例

入居後に発生するトラブルは、入居して数日中に発生する場合が大多数です。実際に私の物件ではテレビが映らないというクレームが届き、急遽業者を手配するといったトラブルがありました。

幸いにもその後は問題が解決し、入居者の方にも満足頂けています。自主管理を行う際には、入居者へのスムーズなサポートにより快適な住環境を提供し、長く住んで貰うことで空室による損失を回避するということもポイントとなります。

3-3.築古物件のDIYを諦めた箇所・利用した業者例

DIY投資とはいえ、全ての作業を自身でまかなえるわけではありません。どうしても難しい場合には、プロの業者への相談も大切な選択肢となります。

実際に私自身では難しいと感じて外注として職人さんに依頼した工程は、主に以下の2つとなりました。

  • システムキッチンの配管
  • 風呂場のハツリ

※DIYを諦めた、システムキッチンの配管

ただし、作業の外注化は職人さんへ丸投げすると高額な修繕費用になるため、見積り項目のうち幾つかの項目をポイントでお願いし、最終的にどうしても自身で修繕が行えない場合に外注化を決断するといった経費削減もDIY費用を安価に済ませるコツと思います。

幸いにも電気関係は電気工事士2種を取得した先輩大家さんに駆けつけて頂き、いくつかの作業を穏便に済ませることができました。

また、私自身はDIYにより修繕を行いましたが、クロス屋さんは他業種と比較すると安価に作業を依頼することができるので施工時間を短縮したい方は選択肢の1つとして検討してみるのも良いでしょう。

DIY完成後の物件

まとめ

築古物件を実際に購入してDIY投資を行った私の実体験を元に手順や方法について概要を深掘りしていきましたが、実際に経験し築古物件の投資で最も大切だと言える要素は、主に以下の3点となります。

  • 下積み
  • 人脈
  • 物件購入費用

そのため実際に物件を購入する前に、焦らずに準備期間をじっくり養うほど結果として失敗確率を下げることができます。特に知見と経験を深める下積みと、先輩大家さんを手伝うことで得られるコネクションは築古物件のDIY投資で得られる掛け替えのない無形資産の1つです。

休日返上の苦しい知識や経験の習得や内見といった無給時代を合理的に避けようとするほど、後々の大きな手痛い失敗により退場を余儀無くされるのも築古物件のDIY投資による特徴となります。築古物件のDIY投資を検討されている方は、まずは事前準備を怠らずに知識の習得やコミュニティの参加などを通して、情報収集をされていくと良いでしょう。

また、築古物件のDIY投資は大家が対応しなければならない手間の多い投資方法です。本業やプライベートとの兼ね合いなど、自身の環境でチャレンジできるかどうか、判断されてみるのも大切なポイントであると言えるでしょう。

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HIROTSUGU

過去に屋根工事・防水塗装・リフォーム業へ携わった現場経験を元に、20代で中古戸建物件を購入し初期費用を安価に済ませるDIYで不動産賃貸業を開始。不動産投資の他に暗号資産や投資信託、FXなど多彩な資産運用経験を元にフリーライターとして執筆活動を行なっています。