不動産売却、売買契約書で見るべき4つのポイントは?初心者向けに詳しく解説

※ このページには広告・PRが含まれています

多くの人にとって不動産の売買は何度も経験することではありません。また、売買に伴って大きなお金が動くことになるため、契約内容などについて何に気を付けたらよいのか、不安に感じる人は多いのではないでしょうか。

不動産の売買契約書は基本的に不動産会社などの専門家が作成します。しかし、専門家が作るのであれば問題ないと人任せにするのではなく、契約の主体である売主として、事前に内容をしっかりと把握しておくことが重要です。

本記事では不動産の売却にあたって、売主として確認するべき売買契約書の内容について解説します。

目次

  1. 不動産売買契約書に関する注意点
    1-1.不動産売買契約書の内容は契約ごとに異なる
    1-2.法律に違反する内容は記載できない
  2. 不動産売買契約、締結前のチェックポイント
    2-1.契約解除に関するポイント
    2-2.手付金について
    2-3.契約不適合責任に関するポイント
    2-4.権利関係や売却する不動産に関する正確性
  3. まとめ

1.不動産売買契約書に関する注意点

不動産の売買契約書について事前に把握するべきポイントを解説します。

1-1.不動産売買契約書の内容は契約ごとに異なる

不動産の売買契約書は、売主と買主の双方の意向を書面に残しておくことで、後にトラブルとなった際の証拠となる重要な書類となります。

しかし、細かな記載内容や構成については法律等で指定されていません。全国宅地建物取引業協会連合会などが作成したひな形などはありますが、国が「この内容を書くこと」と指定しているものなどは特にないことを把握する必要があります。

不動産売買契約書を作成するのは、ほとんどのケースで不動産取引を仲介する不動産会社となります。不動産会社ごとにひな形を作っていることもあるため、不動産会社に売却を依頼する場合は、あらかじめ契約書の記載内容についても確認してみると良いでしょう。

不動産会社が売買契約書のひな形を持っている場合は、事前に契約書を一読して内容を把握するのが望ましいと言えます。契約内容を把握することは、取引に関するトラブル防止のために重要なポイントです。

1-2.法律に違反する内容は記載できない

不動産売買契約書に記載する内容は特に制限がないため、売主と買主との間で合意した内容については、特約として記載することも可能です。

しかし、売主と買主のどちらか一方が極端に有利になる内容は、「公序良俗に反する」と判断され、後に裁判となったときに無効となる可能性があります。

そのほか、民法や借地借家法など各種法令において「強行法規」とされているものに反する内容は契約書に記載できません。強行法規とは、各種法令において当事者間の合意に関わらず守る必要がある内容です。反対に当事者間の合意があれば変更できる内容のことを「任意法規」と呼びます。

買主との交渉に際しては、交渉内容が他の取引と比較して極端なものになっていないか、法的に問題がないか、不動産会社の担当者と随時相談しながら進めることで、トラブルを防止することにつながります。

2.不動産売買契約、締結前のチェックポイント

買主と売買契約を締結する前に、売主として把握するべき契約書の内容について解説します。特に重要なポイントは、後にトラブルが起きた場合に費用を負担する可能性のあるものです。

2-1.契約解除に関するポイント

売主として不動産の売却を完遂するために抑えておきたいポイントとして、契約解除に関するものが挙げられます。

契約解除とは最初からその契約をなかったものとして扱うことです。なお、解約は未来に向かってのみ契約の効力を消滅させることを指しており、過去を含めた契約自体を解消する解除とは性質が異なります。

買主と売買契約を締結した後に契約を解除すると、契約内容によっては、受け取っていた手付金の返金などが必要です。そのほか、違約金が発生することもあります。

なお、不動産売買の契約解除に関しては、買主が想定していた住宅ローンや不動産投資ローンの融資を受けられなかった場合に備え、ローン特約を契約書に記載することが多くなっています。

不動産は金額の大きな商品であるため、購入にあたってローンを利用する人は少なくありません。しかし、万一買主がローン審査を通過できなかった場合は、買主が購入資金を用意できないため契約を解除することになります。

ローン特約については、取引慣例上、違約金なし・手付金の返金などの内容が定められます。しかし、例えばローン申し込み手続きの遅延など、買主の不手際によって融資を受けられなかったなどの場合はその限りではない、という条件となるケースもあります。

細かい規定のように思えるかもしれませんが、万一の場合を想定した内容を契約書に記載することは、トラブル防止のために重要です。

2-2.手付金について

不動産の売買においては、売買契約を締結した後に買主が手付金を支払うことが多くなっています。多くの場合、手付金は売買価格の5%~10%などに設定されています。

しかし、手付金の金額については法律で決められているわけではなく、売主と買主との合意の上で契約書に記載します。売主は手付金を受け取る側ですが、念のために金額を把握しておきましょう。

例えば、売主都合によって契約を解約する場合などは、手付金を倍にして買主に返金するケースもあります。このような手付金による解除は「手付解除」と呼ばれ、手付金の返還によって損害賠償の発生を予防する目的で設定されることが多くなっています。

2-3.契約不適合責任に関するポイント

契約不適合責任とは、民法上、売却する対象物を契約の内容に適合させる義務を売主が負うことを指しています。過去には瑕疵担保責任と呼ばれていましたが、2020年4月の民法改正によって名称変更と明確な法的基準を設けられることとなりました。

売却する不動産を買主へ引き渡した後に、契約書に明記されていない不具合が確認されると、売主がこの契約不適合責任を問われる可能性があります。建物の状態を買主に把握してもらうため、売主側で把握している不具合についてはあらかじめ書面での説明が必要です。

なお、買主側でインスペクションと呼ばれる不具合箇所の調査を行うこともあります。しかし、買主がインスペクションをするとしても、トラブル回避のために売主側の不具合箇所告知は必要です。

これらの調査に加えて、契約不適合責任の期間指定をしておくことも重要なポイントとなります。期間指定をしていない場合、買主が不備を知った時から1年間は追及する権利を得ることになるためです。

契約不適合責任については売買契約書の中でも重要なポイントとなります。下記の記事でも詳しく解説しているので、ご参考ください。

【関連記事】契約不適合責任をわかりやすく解説!売主が注意したい3つのポイントも

2-4.権利関係や売却する不動産に関する正確性

不動産の売買契約書や重要事項説明書には売買対象となる不動産の詳細が記載されます。売買契約書・重要事項説明書は各種資料を参考に不動産会社が作成するため、基本的に売主が作成することはありません。

しかし、売買契約書にサインする前には、不動産の詳細についてあらかじめ確認しておくことが重要です。特に抵当権などの権利関係や土地との境界などについては、契約前に確認しておかないと後々重大なトラブルに発展する可能性もあります。

また、売買契約書に正確な内容を記載するためには、売却する不動産に関する正確な情報を把握しておくことが重要です。不動産を売却する前には、購入した時の売買契約書や権利関係が記載された書類を手元に控えておくことが必要になります。

まとめ

不動産の売買契約書には、記載内容について規定する法律などがありません。その一方で、売買契約書は不動産会社などがひな形を作っているため、契約書の内容については専門家に任せておけば良いと考える方もいます。

しかし、取引後のトラブルを予防するためには、売却対象の不動産に関する情報に加えて契約解除や手付金に関するポイントなど、売主として把握するべき内容が複数あります。

仲介会社は売買のサポートをしてくれますが、不動産売買契約を締結するのは仲介会社ではなく、売主と買主の当事者同士となります。不動産を購入した時の契約書など資料を手元に揃えたうえで、署名捺印の前に内容を確認することが重要です。

【関連記事】不動産一括査定サイトで不動産を高く売却する手順は?おすすめのサイトも
【関連記事】はじめての不動産売却、手順や流れは?不動産会社の選び方も

The following two tabs change content below.

HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チームは、不動産投資や金融知識が豊富なメンバーが不動産投資の基礎知識からローン融資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」