不動産売却の媒介契約は専任・一般のどちらがいい?メリット・デメリットを比較

不動産会社に不動産の売却を依頼する際、媒介契約の形態には、主に専任媒介契約と一般媒介契約があります。

専任媒介は1社のみに依頼する契約で、一般媒介は同時に複数の会社に依頼することができる契約です。どちらの契約にするかは、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、個別事情に適した方を選びたいところです。

本記事では、不動産売却を依頼するときの専任媒介・一般媒介契約について、メリットとデメリットを比較して説明し、選択の判断基準についても考えていきます。

目次

  1. 不動産売却の媒介契約、専任・一般の違い
    1-1.専任媒介契約とは
    1-2.一般媒介契約とは
  2. 専任・一般のメリットとデメリット
    2-1.専任媒介契約のメリットとデメリット
    2-2.一般売却契約のメリットとデメリット
  3. 不動産売却における媒介契約の選び方
  4. まとめ

1.不動産売却の媒介契約、専任・一般の違い

項目 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
複数の不動産会社への依頼 × ×
自分で見つけた買主との単独契約 ×
指定流通機構への登録義務
販売活動の報告義務
契約期間 規制は無し 3ヵ月以内 3ヵ月以内

まず、不動産売却を依頼するときの2種類の媒介契約形態、専任媒介契約と一般媒介契約の内容を、両者の違いにも言及しながらみていきましょう。専任媒介契約の説明では、専属専任媒介契約についても触れていきます。

1-1.専任媒介契約とは

専任媒介契約とは、不動産売却の仲介を、1社の不動産会社にのみ依頼する契約です。他の不動産会社に重複して仲介を依頼することはできません。

ただし、自分で見つけてきた相手方とは、不動産会社を通さずに直接契約することができます。

専任媒介契約の有効期間は3カ月です。当事者間で合意すれば中途解約することは可能ですが、契約解除あるいは終了後2年間は、不動産会社から紹介された購入希望者と直接売買契約を締結することはできません。

また、専任媒介契約を締結した不動産会社は、依頼を受けた物件の情報を、7日以内に指定流通機構(レインズ)に登録しなければなりません。不動産会社には、仲介業務の実施状況を2週間に1回以上、依頼者に報告しなければならないことになっています。

なお、専任媒介契約と類似の契約に、専属専任媒介契約があります。専属専任媒介契約は専任媒介契約よりも双方の制限が強い契約で、依頼者は自分で見つけてきた相手方であっても、不動産会社を通して契約しなければなりません。

また、不動産会社は、物件情報を5日以内にレインズに登録し、仲介業務の実施状況は、1週間に1回以上報告しなければならないものとされています。

1-2.一般媒介契約とは

一般媒介契約は、専任媒介契約と異なり、複数の不動産会社に同時に仲介を依頼できる契約です。一般媒介契約を締結した不動産会社のうち、いずれの不動産会社が紹介した購入希望者を選択しても構いませんが、最終的には、どの不動産会社を通して取引を進めるかを決めることになります。

なお、自分で見つけてきた相手方とは不動産会社を通さずに直接契約することができます。一般媒介契約の場合、有効期間に法規制はありませんが、売却スケジュールの観点から、3カ月で契約することが多いといえます。契約解除あるいは終了後、不動産会社が見つけてきた購入希望者と直接売買契約ができないのは、専任媒介と同様になります。

一般媒介契約には、明示型と非明示型があります。明示型は、他の不動産会社に重複して仲介を依頼した旨を通知しなければなりません。非明示型では、他の不動産会社への仲介依頼を通知する必要はありませんが、いずれの場合も、売買契約が成立した場合には、その旨をすべての不動産会社に通知しなければなりません。

2.専任・一般のメリットとデメリット

専任媒介契約と一般媒介契約の内容をお分かりいただいたところで、それぞれのメリットとデメリットを比較しつつみていきましょう。

2-1.専任媒介契約のメリットとデメリット

専任媒介契約は、1社にのみ仲介を依頼するため、積極的な売却活動をおこなってもらえる可能性が高く、依頼者が販売状況を把握しやすい一方、不動産会社の都合優先の売却活動になる傾向があります。

専任媒介契約のメリット

専任媒介契約は、不動産会社側からすると、契約期間中は他の不動産会社に仲介手数料を奪われる可能性がないため、依頼された物件の売却活動に費用や手間をかけることができます。

したがって、積極的な売却活動をおこなってもらうことができ、その分、購入者が見付かる可能性が高くなるといえるでしょう。

また、専任媒介契約では不動産会社は依頼者に報告義務があるため、依頼者は売却活動の状況を把握することができ、依頼者側の意志も不動産会社に伝えやすくなります。

このように、依頼者と不動産会社との信頼関係に基づいた売却活動ができるメリットがあるといえます。

専任媒介契約のデメリット

専任媒介契約では、悪質な不動産会社がレインズ経由の購入希望者よりも自社の購入希望客を優先して情報を抱え込んでしまうようなケースがあります。このような行為を囲い込みと言い、実際には早期に売却できたり、高値で売れた物件の売却機会を逃してしまうことに繋がってしまうデメリットがあります。

専任媒介契約を締結する際は、このような囲い込みを避けるためにレインズへの登録証明を受け取ったり、媒介契約前にしっかり複数の不動産会社を比較検討するなどの対策が重要となってきます。

【関連記事】専任媒介契約で家が売れない原因は?不動産売却が長期化した時の対策5つ

2-2.一般媒介契約のメリットとデメリット

一般媒介契約では、同時に複数の会社に仲介を依頼できるため、購入候補者の間口の広がる可能性がある一方、不動産会社によっては積極的な売却活動をおこなってもらえない可能性もあります。以下で詳しく説明していきます。

一般媒介契約のメリット

一般媒介契約では、同時に複数の不動産会社に依頼することができるため、購入候補者の幅が広がるといえます。また、多くの購入希望者が現れた場合、不動産会社間で売却競争が促進されることもあるでしょう。

仮に自分で見つけてきた購入希望者と売買契約を締結したい場合、不動産会社を通さなくてもよいため、仲介手数料を支払わなくてもよい点もメリットといえます。

一般媒介契約のデメリット

一般媒介契約では、依頼したそれぞれの不動産会社が、自社で仲介手数料を売り上げることができるとは限らないため、広告費などの経費をかけて積極的な売却活動ができないことがあります。

また、依頼した不動産会社がレインズに登録しない可能性もあり、その場合、売却物件の情報があまり広がらず、購入候補者の間口が狭くなってしまうことも考えられます。

さらに、不動産会社に依頼者への報告義務がないため、依頼者が売却状況を把握することができず、売却戦略を練り直したい場合などに差支えが生じる可能性もあるでしょう。

3.不動産売却における媒介契約の選び方

専任媒介契約、一般媒介契約、それぞれにメリット・デメリットがあることがお分かりいただけたかと思います。このようなメリット・デメリットを踏まえた上で、売却物件や売却目的などの個別の事情に適した媒介契約を選択するようにしましょう。

例えば、売却物件の立地が良いなど購入ニーズが多く見込める物件であれば、特別な対策をしなくても売却できる可能性が高いと考えられます。このような場合、一般媒介契約で複数の不動産会社に依頼し、できる限り間口を広げて高値売却を狙うという選択を検討してもよいでしょう。

反対に、築古物件や狭小物件など、購入ニーズが限定される物件の場合、そのような物件の売却を得意とする不動産会社と専任媒介契約を締結し、経費をかけて売却活動をおこなうという戦略が考えられます。

また、売却目的が早期現金化ということである場合、一般媒介契約では不動産会社の売却意欲が下がり、積極的な売却活動をしてもらえない可能性があります。このような場合も、専任媒介契約では、依頼者への報告義務があることから依頼者の意志が不動産会社に伝わりやすく、スムーズに売却活動が進む可能性があるといえます。

ただし、1社としか契約できない専任媒介契約を締結する際は、その不動産会社が信頼できる会社であるかどうか、媒介契約の締結後にしっかり売却活動を行ってくれるのか、慎重に判断することが大切です。出来れば複数の不動産会社に査定を依頼し、査定価格や査定の根拠、営業担当者の対応内容についても比較されてみると良いでしょう。

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まとめ

専任媒介契約は、1社にのみ仲介を依頼するため、積極的な売却活動をおこなってもらえる可能性が高く、依頼者が販売状況を把握しやすい一方、不動産会社の都合優先の売却活動になる傾向があります。

一般媒介契約では、同時に複数の会社に仲介を依頼できるため、購入候補者の間口の広がる可能性がある一方、不動産会社によっては積極的な売却活動をおこなってもらえない可能性もあります。

それぞれの媒介契約のメリット・デメリットを把握した上で、売却する物件や売却目的などの諸事情に適した媒介契約を締結することを検討してみるようにしましょう。

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佐藤 永一郎

佐藤 永一郎

筑波大学大学院修了。会計事務所、法律事務所に勤務しながら築古戸建ての不動産投資を行う。現在は、不動産投資の傍ら、不動産投資や税・法律系のライターとして活動しています。経験をベースに、分かりやすくて役に立つ記事の執筆を心がけています。