SBIソーシャルレンディングとバンカーズの合併、改善点や今後の運営はいつから?

SBIソーシャルレンディングは、株式会社SBIソーシャルレンディングが運営を行っていた、ソーシャルレンディングサービスです。

累計で1,700億円以上の募集実績があるなど、日本国内でも有数の規模を持つソーシャルレンディングでしたが、2021年初頭にファンドの監査体制や融資先における重大事項の問題が発覚し、2021年6月時点ではSBIソーシャルレンディングはソーシャルレンディング事業から撤退しています。

その後、2022年3月に株式会社バンカーズが運営するソーシャルレンディングの「バンカーズ」が、SBIソーシャルレンディングの事業継承を行うことを発表しました。

本記事では、SBIソーシャルレンディングとバンカーズの合併および事業継承が今後どのように進むことになっているのか、事業継承したバンカーズがソーシャルレンディング事業をどのように運営しているのかを、2022年5月時点で公表されている情報をまとめていきます。

目次

  1. SBIソーシャルレンディングからバンカーズへの事業継承の内容
    1-1.SBIソーシャルレンディングからバンカーズに継承されるもの
    1-2.SBIソーシャルレンディングとバンカーズの事業継承のスケジュール
  2. SBIソーシャルレンディングからバンカーズに事業継承されて何が変わる?
    2-1.SBIソーシャルレンディングの3つの問題点
    2-2.バンカーズのファンド審査の方法・監視体制
    2-3.バンカーズのセイムボート出資によるリスク対策
  3. まとめ

1.SBIソーシャルレンディングからバンカーズへの事業継承の内容

融資型クラウドファンディング「バンカーズ」

バンカーズに関するニュース

バンカーズの概要

バンカーズは、2020年12月1日より始まった融資型クラウドファンディングサービスです。バンカーズを運営するのは株式会社バンカーズで、2019年8月に設立された株式会社バンカーズ・ホールディングの100%子会社に当たります。株式会社バンカーズの前身である泰平物産株式会社は、46年の営業実績がある貸金業の老舗企業です。

融資型クラウドファンディングの仕組みの本質も貸金業であるため、そのノウハウがサービスに活かされているのがバンカーズの大きな特徴です。バンカーズでは2022年5月時点で39億円超の募集実績があります。

SBIソーシャルレンディングとバンカーズが事業継承する経緯や内容を見ていきましょう。

1-1.SBIソーシャルレンディングからバンカーズに継承されるもの

2022年3月11日、SBIソーシャルレンディングとバンカーズの両社から、SBIソーシャルレンディングのソーシャルレンディング事業を、バンカーズが事業継承することが発表されました。

SBIソーシャルレンディングで問題があったファンドに関して投資家には出資金の返済を続けられ、2022年3月をもって完了しています。

SBIソーシャルレンディングでは事業撤退と投資家への返還手続きを続ける中で、同業他社などから事業継承の申し出が複数あり、そしてその中でもソーシャルレンディングサイトバンカーズを運営するバンカーズの親会社、バンカーズ・ホールディングがSBIソーシャルレンディングの全株式を取得する基本合意を行いました。

バンカーズは2020年からソーシャルレンディングの運営を行い、2022年に入ってから毎月数億円規模の募集を行うなど、順調なソーシャルレンディング事業の展開を行っています。

SBIソーシャルレンディングでは、バンカーズの金融機関としての高い専門性と、適正なコンプライアンス及びガバナンスの体制を有していることなどを判断し、SBIソーシャルレンディングに登録していた投資家にも適切なソーシャルレンディングサービスを提供できるものとして、バンカーズを選定しました。

1-2.SBIソーシャルレンディングとバンカーズの事業継承のスケジュール

SBIソーシャルレンディングとバンカーズの事業統合は以下のスケジュールで実行されます。

  • 発行株式の取得:株式会社バンカーズが2022年3月31日付で旧SBIソーシャルレンディングの発行全株式を取得。
  • 定款の変更:2022年3月31日付の臨時株主総会で定款変更の決議を行い、称号をSBIソーシャルレンディング株式会社から「株式会社バンカーズ統合準備室」に変更。
  • 合併決議:同じく2022年3月31日付の臨時株主総会で株式会社バンカーズと株式会社バンカーズ統合準備室の合併決議を実施。
  • 合併公告:2022年4月4日
  • 合併効力発生日:2022年5月9日

2022年のGW明けとなる5月9日から、旧SBIソーシャルレンディングとバンカーズの合併効力が発生し、SBIソーシャルレンディングの事業を継承した新しいバンカーズがスタートすることが分かります。

2.SBIソーシャルレンディングからバンカーズに事業継承されて何が変わる?

バンカーズがSBIソーシャルレンディングの事業を継承することで具体的に何が変わるのか、不安に感じている方もいるでしょう。

2022年5月時点で公開されている情報をもとに、新体制のバンカーズがSBIソーシャルレンディングの事業をどのように運営していくのかを検証します。

2-1.SBIソーシャルレンディングの3つの問題点

SBIソーシャルレンディングが金融庁財務局から行政処分を受けた主な理由は以下の3つです

  • ファンドの取得勧誘に関し、虚偽の表示をする行為
  • ファンドの取得勧誘に関し、重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為
  • 管理上の問題点

※出典:関東財務局「SBIソーシャルレンディング株式会社に対する行政処分について

「ファンドの取得勧誘に関し、虚偽の表示をする行為」とは、ファンド募集に当たり記載した資金用途が虚偽であったというものです。そして資金用途をSBIソーシャルレンディングが把握できていなかったことが問題視されました。

「ファンドの取得勧誘に関し、重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為」は、融資先の企業に対する貸付審査やモニタリングの不備があったということです。十分な監視ができていなかったため、問題を発見できなかったといえます。

また、管理上の問題点について、SBIソーシャルレンディングは以下2つの指摘を受けています。

  • 経営管理態勢及び業務運営態勢の重大な不備
  • 実効的な貸付審査及びモニタリングの欠如

貸付を促進して売上を伸ばすために十分な審査と貸付後のモニタリングを行わず、問題のある融資先に融資を続けていた、ということが指摘の背景です。

以上3つの問題点を踏まえ、バンカーズが事業承継を行うことで問題が改善されるのかを検証するポイントしては「融資先の審査」が重要と言えるでしょう。

2-2.バンカーズのファンド審査の方法・監視体制

バンカーズが行っている審査方法として、ファンド情報には以下のような記載があります。

  • 投資対象のポイント:厳しい基準を満たした企業にのみ投資
  • 透明性:(明確なリスク開示、レポート)独自の5段階評価でリスク開示、出資後も継続レポート
  • 有識者による判定会議:募集ファンドは専門知識を有する弁護士が出席する判定会議で決定

バンカーズを運営するバンカーズホールディングスの役員情報などを見ると、大和証券、三菱銀行、米国公認会計士など金融や法務に関する経験豊富な人材を多数有することがわかります。

実際の監査体制面を見ると、ファンド情報に審査体制のプロセス・債権の回収方針が記載されています。例えば、「不動産リースバック事業支援ファンド第1号」では、以下のような基準が記されています。

審査プロセス(不動産リースバック事業支援ファンド第1号)

借手等 (借手/保証人) から徴求した資料等に基づき、借手等を対象に以下 (1) ~ (10) を総合的に勘案した上で、融資金額、融資期間、金利等の条件を決定します。
(1) 実在性、業務遂行能力
(2) 財務状況
(3) 事業計画の妥当性
(4) 法令遵守状況・社会性
(5) 資金使途の妥当性
(6) 過去1年以内の資金調達状況
(7) 返済計画の合理性・妥当性
(8) 担保価値
(9) 借手の財務状況等を踏まえた利息条件の設定
(10) 当社と借手の利害関係

※引用:バンカーズ「不動産リースバック事業支援ファンド第1号」

債権の回収方針(不動産リースバック事業支援ファンド第1号)

借手からの利払いの遅延等があった場合には、その原因を迅速に確認します。また仮に少額でも遅延が繰り返される可能性が懸念される場合は、第三者への回収依頼や、担保権の実行を含む借手との返済交渉を開始します。さらに回収の長期化や、貸し倒れの兆候が認められる場合には、担保権の実行による回収を適切なタイミングで実行します。ただし、回収方法(回収までの期間・法定の手続きによるか等) は、当社の裁量に委ねられ、借手の信用力、その他の事由を総合的に判断して、回収を猶予することがあります。
第三者への回収依頼や返済交渉、債権譲渡等の回収方針等の決定は、融資審査の担当部門 (融資・商品部、審査部)に加え、管理部門および顧問弁護士による検討を経て対策案を提示し、取締役会の決議により行います。

※引用:同上

このような債務回収方針の明示はSBIソーシャルレンディングにはなかったポイントと言えます。まだバンカーズの融資先が債務不履行となったことはありませんが、回収方針が定まっていることで、スムーズな回収活動が期待できると言えるでしょう。

2-3.バンカーズのセイムボート出資によるリスク対策

バンカーズならではのリスク管理として「セイムボート出資」を行っていることが挙げられます。ここは、SBIソーシャルレンディングと明確に異なる特徴と言えます。

セイムボート出資とは、「in the same boat」を由来とした用語です。投資ファンドを運用する立場の会社が、投資家と同様に自分たちもファンドに対して出資することを指します。

ソーシャルレンディングでは、サービス運営事業者はあくまでも仲介の立場であり、自社が出資するわけではありません。貸出先から出資金を回収できなくても、サービス運営事業者は直接的な損失を被ることはありません。

しかし、セイムボート出資をしていれば、債務不履行になる場合サ-ビス運営事業者も損失を負います。投資家と事業者が立場となることで融資先への審査がより厳密なものとなり、倒産や債務不履行の可能性が高い融資先へのファンド募集が起こりにくくなる効果があります。

なお、ソーシャルレンディングにまつわる匿名組合契約上では、匿名組合の事業者が出資することは出来ないので、バンカーズのファンドでは、バンカーズの親会社であるバンカーズホールディングスが出資を行っています。

このような点がSBIソーシャルレンディングをバンカーズが事業継承することで、従来と変わってくると言えるでしょう。

まとめ

ソーシャルレンディングのようなクラウドファンディング投資はまだ比較的に新しい投資手法であるため、未だ法規制が整っていない側面もあります。事業者の運営が適切に行われるかどうかという点に注意し、案件の審査方法や内容、過去の実績なども参考にそれぞれ検証していくことが大切です。

今回はSBIソーシャルレンディングとバンカーズの合併および事業継承について解説してきました。本記事で挙げたポイントも参考にしつつ、投資を検討されてみると良いでしょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム

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