ソーシャルレンディングの案件の中でも、不動産を取り扱う案件は人気の高いジャンルの一つです。
不動産案件のソーシャルレンディングではソーシャルレンディング会社が投資家から資金を集め、不動産購入資金として事業者へ融資し、生まれた貸付金利を投資家に分配します。
不動産案件では、基本的に資金を集めた不動産会社が購入した不動産を担保に設定するので、貸し倒れが起きてもある程度は資金の回収が見込めます。そのため、投資家に人気があるのです。
この記事では、投資対象を考える際に、実物での不動産投資を行うのとソーシャルレンディングで不動産の案件に投資するのとでは、どのような違いがあるのか解説します。
目次
- 不動産投資とソーシャルレンディングの不動産案件の違い
1-1.不動産を所有できるかどうか
1-2.投資に必要な資金の額が違う
1-3.自由に手放すことができるかどうかの違い
1-4.投資対象を選べるかどうかの違い - 不動産投資のメリット
2-1.自分で自由に不動産を売買できる
2-2.物件を加工して利回りを高められる
2-3.金融機関から資産として認められやすい
2-4.税制面で受けられるメリットが多い - ソーシャルレンディングの不動産案件のメリット
3-1.1万円など、少額の資金から始められる
3-2.利益を得るために必要とする作業量が少ない
3-3. 金利収入のため、毎月一定の利益を得られる
3-4.不動産所有による法的な登録や税金が必要ない - まとめ
1.不動産投資とソーシャルレンディングの不動産案件の違い
まずは不動産投資とソーシャルレンディングの不動産案件の基本的な違いについて見ていきましょう。
1-1.不動産を所有できるかどうかが違う
不動産投資では自分で不動産を購入し、所有することが出来ます。不動産の所有権を持つことができますが、それに伴い固定資産税や維持管理費などのコストが発生します。
一方、ソーシャルレンディングは匿名組合契約を結び、ソーシャルレンディング会社から貸付金利による利益を受け取る権利を得ることになります。ソーシャルレンディングでは実際に不動産を所有しない点が大きな違いとなります。
1-2.投資に必要な資金の額が違う
投資に必要な資金の額にも大きな違いがあります。ソーシャルレンディングは、複数の投資家から集めた資金を融資するため、1万円や2万円といった少額から投資することが可能です。そのため、投資資金が少ない方でも投資を始められます。
一方、不動産投資の場合は少なくても数百万円、数千万円以上の大きな金額が必要です。金融機関の融資を利用したレバレッジを使える点はメリットでもありますが、投資金が大きくなるほどリスクが高くなる点には注意が必要です。
1-3.自由に手放すことができるかどうかの違い
不動産は自分が所有している資産のため、売却のタイミングは自由に設定することが出来ます。売出価格や時期を自己裁量で決定することが可能です。
一方、ソーシャルレンディングの匿名組合契約は、基本的に運用途中の解除ができません。案件に出資した投資金を現金化したい場合にも、運用期間の満期まで待つ必要があります。
1-4.投資対象を選べるかどうかの違い
不動産投資は、自分で自由に投資対象の不動産を選ぶことができますが、ソーシャルレンディングの不動産案件は、ソーシャルレンディング会社が提供する案件の中から選ぶことになります。
特定のエリアや物件に投資したい場合、ソーシャルレンディングでは個別の物件を選ぶことは出来なくなります。
2.不動産投資のメリット
では、ソーシャルレンディングの不動産案件に対し、不動産投資が有するメリットを見ていきましょう。
2-1.自分で自由に不動産を売買できる
不動産は自分に所有権があるので自由に売買できます。現金が必要になったり、運用が面倒になったら不動産を売却して現金化することができます。また、所有している不動産が値上がりしたところで売却し、利益を得られる可能性もあります。
一方、ソーシャルレンディングでは不動産の所有権がなく、投資した後に自由に売買できません。そして、運用中のキャンセルによる資金の引き出しもできないため、資産としての流動性は運用期間に依存することとなります。
ソーシャルレンディング運用中の現金化は、非常に難しいと思っておきましょう。
2-2.物件を加工して利回りを高められる
不動産はリフォームやリノベーション、周辺の土地の買収など、さまざまな工夫で資産価値を高められます。古い建物などの使いにくい不動産でも、自分の努力や工夫次第で利益が上げられる可能性があります。
創意工夫によって収益性が向上するのも不動産投資のメリットと言えるでしょう。
一方、ソーシャルレンディングでは、投資家が選択できるのはどのソーシャルレンディング会社のどの案件に投資するか、という点のみになります。
ソーシャルレンディングには投資をスタートさせた後に手間がない、というメリットがありますが、投資開始後に投資家が自ら手を加えることが出来ない特徴はデメリットとも言えます。
2-3.金融機関から担保として認められやすい
不動産を所有していれば、その不動産を担保にして新たに融資を受けやすくなります。その結果としてスピーディに資産規模を拡大させることも不可能ではなくなります。
一方、ソーシャルレンディングへ投資している投資金は、運用期間中に自由に売買できないため流動性が低く、新たな融資の担保とすることは出来ません。
金融機関の融資を投資に利用したい場合、不動産投資の方が適していると言えるでしょう。
2-4.税制面で受けられるメリットが多い
不動産投資には税金面でも受けられるメリットが多くあります。
例として、不動産投資による不動産所得の損益通算について見ていきましょう。
不動産投資では、減価償却費や借入金の金利など、発生する様々な支出を経費計上することができ、また赤字が発生した場合は給与所得と合算する損益通算も可能になります。これによって課税所得が下がれば、源泉徴収された税金の還付を受けられる可能性があります。
一方、ソーシャルレンディングは雑所得扱いとなり、給与所得との損益通算ができません。
給与所得が500万円、ソーシャルレンディングでマイナス50万円の所得だとしても、年間所得は500万円-50万円=450万円にはできません。
その他、ソーシャルレンディングでは不動産に対する相続税の特例なども無く、不動産と比較すると税制面のメリットが少ないと言えます。
3.ソーシャルレンディングの不動産案件のメリット
次に、ソーシャルレンディングの不動産案件のメリットを見ていきましょう。
3-1. 1万円など、少額の資金から始められる
ソーシャルレンディングの最大のメリットとして、多くの資金を必要としないこと、作業量が少ないことなど、投資のはじめやすさが挙げられます。
ソーシャルレンディングの多くは1万円から投資が可能です。まだ不動産に詳しくない方でも、ソーシャルレンディング会社が用意した案件から選べるため、比較的難易度が低いと言えます。
一方、不動産投資を行うためには、まとまったお金を用意しなければいけません。金融機関から融資を受ける場合、安定した収入や、自己資金が必要になります。
また、不動産投資では、どのエリアのどの物件に投資するのか、該当エリアの人口推移や賃貸需要などを調べ、将来的な収益性についても慎重に検討する必要があります。
ソーシャルレンディングは少額の資金だけ手元にあれば良く、手間もかからないため不動産投資と比較して気軽に始められる点がメリットと言えます。
3-2.利益を得るために必要とする作業量が少ない
不動産から収入を得ることは、不労所得だと言われます。しかし、実際に投資家が行う作業量は多くなります。
自分で物件を選び、売買契約、管理会社の選定、入居者の募集や、場合によっては自分の手でリフォームやリノベーションを行ったりしなければいけません。様々な作業をこなして、入居者が入ってからようやく賃料収入を得ることが出来ます。
一方ソーシャルレンディングでは投資した後にこのような作業はありません。運用の状況を確認するだけでよく、ほとんど作業が発生しない点も大きなメリットと言えます。
3-3.金利収入のため、毎月一定の利益を得られる
不動産投資では入居者がいる間家賃が毎月入るので、比較的収入が安定していると言われています。一方で、一度空室が発生してしまうと、次の入居者が入ってくるまでは収入が途絶えます。また、入居者を募集するためには手数料や広告料などを支払う必要があり、出費も多くなります。さらに、入居者が付いても家賃滞納が発生すれば、手取りで収入を得られなくなってしまうリスクがあります。
不動産投資と同様にソーシャルレンディングにおいても、貸付時の金利が投資家に配分され、案件の運用期間中は毎月決まった日に、決まった金額が投資家の口座に振り込まれます。貸付先の倒産や業績悪化による貸し倒れ(デフォルト)があれば収入が途絶えるリスクがある点には注意が必要です。
3-4.不動産所有による法的な登録や税金が必要ない
不動産を所有するためには、一般的に売買契約を結んで宅建士から重要事項などの説明を受けなくてはいけません。また、司法書士に依頼して土地や建物の所有権移転登記を行ったり、登録免許税や不動産取得税、固定資産税などの税金の納付も発生したりします。
このように、不動産投資では法的な手続きも必要なうえ、数々の税金を課税されることにもなります。
しかし、ソーシャルレンディングではソーシャルレンディング会社と契約を交わすだけでよく、売買契約による登記移転などはありません。個々の案件に投資する時に契約などの手続きはなく、不動産所有による税金も発生しません。
投資したくなった時にすぐ投資できる手軽さも、ソーシャルレンディングの大きなメリットと言えるでしょう。
まとめ
ソーシャルレンディングの不動産案件と不動産投資を比較すると、不動産投資は投資開始のハードルは高いものの、投資後の自由度が高いと言えます。
一方でソーシャルレンディングは自由度が低い反面、少額から投資を始められるため、初心者でも気軽に始められる特徴があります。
初めはソーシャルレンディングで投資の経験を積み、徐々に資金が増えて投資に対する知見が高まったところで、不動産投資などの様々な投資対象にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム
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