不動産投資で必要な自己資金は?頭金や諸費用、不動産投資ローンの事例も

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不動産投資を始める際、物件購入費用のほか、仲介手数料、収入印紙代、火災保険料、不動産取得税などの諸費用がかかります。自己資金としてどの程度を用意しておけば良いのかを知りたい方もおられるでしょう。

この記事では、不動産投資にかかるお金と自己資金、不動産投資ローンの活用事例について詳しくご紹介します。不動産投資を始めたい方、必要な頭金の目安を知りたい方は、ご参考ください。

目次

  1. 不動産投資を始めるのにかかるお金
    1-1.自己資金と諸費用
    1-2.仲介手数料
    1-3.契約書貼付用の収入印紙代
    1-4.ローン関係の諸費用や保険料
    1-5.登記手数料
    1-6.火災(地震)保険料・不動産取得税
  2. 自己資金が足りない場合は不動産投資ローンを活用できる
    2-1.不動産投資ローンとは
    2-2.借入可能な上限金額は?
    2-3.頭金の目安
  3. 不動産投資ローンの活用事例
    3-1.自己資金で全額まかなう場合
    3-2.自己資金2割+ローンを活用した場合
  4. まとめ

1.不動産投資を始めるのにかかるお金

不動産投資を始めるには、収益物件を取得するためのお金が必要になります。不動産投資を始める際にかかるお金として挙げられるのが、「自己資金」と「諸費用」です。

1-1.自己資金と諸費用

自己資金とは、収益物件の購入代金に当てられたお金のうち、不動産投資ローンの借入額以外の資金のことです。不動産投資を始める際、自分で用意したお金が自己資金であり、頭金とも呼ばれます。

自己資金の代表として挙げられるのが手付金です。不動産取引における手付金とは、売買契約の際に買主側から売主側に対して支払われるお金のことを言います。また、契約解除に備える目的で支払う解約手付の性質もあります。

不動産売買契約の際に支払われる手付金の額は、物件価額の5~10%程度が相場です。例えば、購入する収益物件の価額が5000万円の場合、不動産売買契約の際に250万~500万円の手付金を支払うことになります。

そのため、不動産投資を始める場合、手付金だけで数百万円単位の自己資金が必要になることもあります。

次に、諸費用とは、収益物件を購入手続きの際にかかる費用のことで、その種類は様々です。収益物件の購入手続きでかかる主な諸費用には、以下のようなものがあります。

1-2.仲介手数料

収益物件を購入する場合、不動産会社に物件の紹介や購入手続きを仲介してもらうのが通常です。そのため、収益物件を購入する際は不動産業者に仲介手数料を支払う必要があります。仲介手数料の金額は、法律で上限が定められており、その具体的な金額は以下の通りです。

売買価格 仲介手数料率
200万円未満 売買金額×5.5%
200万円超~400万円以下 売買金額×4.4%+2.2万円
400万円超 売買金額×3.3%+6.6万円

※上記の仲介手数料は、消費税込となっています。

例えば、不動産投資を始めるために収益物件を5000万円で購入する場合の仲介手数料は、5000万円×3.3%+6.6万円=171万6000円(税込)が上限金額となります。

1-3.契約書貼付用の収入印紙代

収益物件の購入手続きでは不動産売買契約書を作成し、売主と買主間で締結します。

不動産売買契約書は、課税文書であるため印紙税の課税対象となるのが原則です。不動産売買契約書を作成した場合、契約書上記載の金額に応じて、数千円から数万円単位の印紙税を納付することになります。

印紙税は不動産売買契約書に収入印紙を貼付する方法で納付します。印紙税を納付するための収入印紙代は、多くの場合、売主側と買主側で折半することになります。

1-4.ローン関係の諸費用や保険料

不動産投資ローンを活用して融資を受ける場合、手続きの際の事務手数料や保証料などの諸費用を支払わなければなりません。ローン手続きの事務手数料は金融機関によって異なりますが、3~5万円程度が目安となります。

不動産投資ローンの借入の際、保証会社に対する保証の委託費用として支払う保証料は、借入額や返済期間でその金額も変わってきます。借入額が少なく、返済期間が短いほど保証料の金額も低くなります。

また、不動産投資ローンの借入を行う場合、団体信用生命保険に加入しなければならないケースもあります。

団体信用生命保険とは、借入者が死亡したり、高度障害をなったりしたときにローンが完済される保険です。団体信用生命保険に加入する場合、保険料の負担が発生します。

1-5.登記手数料

収益物件を購入する場合、不動産の名義を移すために登記手続きを行います。また、不動産投資ローンの借入をする場合、不動産に抵当権などの担保権を設定するため、その旨の登記手続きも行います。そのため、登記手続きのための手数料を諸費用として支払う必要があります。

登記手数料には、おもに登録免許税と司法書士報酬の2種類があります。登録免許税とは、登記手続きを行うときに納付しなければならない税金です。

不動産の所有権の名義を「売買」を原因として移す登記手続きを行う場合、登録免許税の金額が数十万~数百万円単位になることもあります。

抵当権などの担保権設定の登記手続きをする時も、「借入額×1000分の4」の金額の登録免許税を納付するのが原則です。したがって、借入額が5000万円である場合、20万円の登録免許税を納付することになります。

一方、司法書士報酬の金額は依頼先によって異なります。売買による所有権移転登記手続きの報酬は5万~7万円で、担保権設定登記手続きの報酬は1件につき3万~4万円が相場です。

1-6.火災(地震)保険料・不動産取得税

自然災害や盗難などによって、購入した収益物件が被害を受ける可能性もあります。そのようなときのために、収益物件を購入する際に火災(地震)保険に加入するのが通常です。火災(地震)保険に加入する場合、保険料を支払う必要があります。

また、不動産を購入した場合、原則として不動産取得税が課税されます。不動産を購入後、半年から1年程度後に納付書が送られてくるため、そのときに支払いを行います。

2.自己資金が足りない場合は不動産投資ローンを活用できる

不動産投資を始める際に自己資金が足りない場合、不動産投資ローンを活用することで収益物件を購入するための資金を調達できます。

2-1.不動産投資ローンとは

不動産投資ローンとは、賃貸経営目的で収益物件を購入する際に利用できる不動産担保ローンのことです。

住宅ローンとの違い

自宅を購入するときに利用する住宅ローンも同じ不動産担保ローンです。しかし、不動産投資ローンと住宅ローンとはその性質が異なります。

不動産投資ローンは、収益物件を購入して賃貸経営(事業)を行うことを目的としたローンです。一方、住宅ローンは、自宅購入資金を調達するためのローンとなります。

そのため、不動産投資ローンと住宅ローンの審査基準も異なってきます。不動産投資ローンの場合、ローンの返済原資は収益物件から得られる家賃収入となります。借入者の属性と物件の担保評価に加え、事業の収益性が重視されます。

一方、住宅ローンの審査対象は、借入者の年収、職業、勤務先、保有資産などの属性と物件の担保評価のみです。住宅ローンは毎月の給与や賞与などの個人収入が返済原資となりますが、不動産投資ローンは事業収入が主な返済原資となる違いがあります。

不動産投資ローンのメリット・デメリット

不動産投資ローンを活用するメリットは、自己資金以上に利益率を高くできるレバレッジ効果を期待できることです。足りない分の融資を受けることで自己資金をストックできる点もメリットになります。

賃貸経営を行う場合、空室や賃料下落で収益が下がって赤字が生じるケースもあります。このような場合でも、不動産投資ローンで借入をして自己資金に余裕を持たせておくことで、経営の健全化を図ることもできます。

一方、不動産投資ローンを活用すると利息の返済をしなければなりません。住宅ローンは生活に必要な自宅を購入するためのローンであるため、借入しやすいように金融機関側も金利を低く設定しています。

しかし、不動産投資ローンは、事業目的のローンであるため、金融機関側も事業リスクを考慮して、金利を高く設定しています。

また、不動産投資ローンは住宅ローンと比較して審査基準が厳しい点もデメリットになります。

不動産投資ローンの審査では、個人の属性だけではなく、事業の収益性も判断対象となります。審査に通過するためには、購入する収益物件、借入者の収入や保有資産、事業の収支計画などの資料を提出して、金融機関に融資を認めて貰う必要があります。

2-2.借入可能な上限金額は?

不動産投資ローンの借入可能額は、金融機関によって異なりますが、年収の7~10倍程度が目安となります。例えば、年収700万円の方が不動産投資ローンを利用する場合、4900万~7000万円程度が借入可能な金額の目安です。

なお、不動産投資ローンの借入は、年収500万円を超えると融資を受けやすくなる傾向にあります。

ただし、審査内容によって借入可能額の幅は変動します。購入する収益物件の収益性、申込者の職業、勤務先、借入履歴、保有資産、家族関係などの属性で評価が高い場合、年収の10倍以上の額を融資してもらえるケースもあります。

例えば、業績の良い上場企業に勤めており、なおかつ年収1000万円以上の場合、不動産投資ローンで1億円以上の融資を受けられる可能性もあります。

一方、審査の評価が低い場合、融資金額も年収の7倍未満に抑えられることもあります。融資申請者の年収が700万円であっても、購入する物件の収益性や事業性の面で評価が低いと、融資可能額も4900万円未満の額になります。

また、不動産投資ローンの融資上限額には、融資を受ける人の年収だけでなく物件の担保性も大きく関わりがあります。こちらも金融機関によって審査条件はことなりますが、収益物件の評価額の80%がひとつの目安です。

融資申請者の年収が700万円であっても、購入する収益物件の評価額が5000万円である場合、融資の上限額は4000万円が原則です。したがって、このようなときでも融資金額が年収の7倍未満になる場合があります。

2-3.頭金の目安

不動産投資を始めるときに準備する頭金は、購入する物件価格の10~20%が目安になります。10~20%の頭金を準備できると、不動産投資ローンの審査に通過しやすくなります。

また、新築物件を購入する場合の諸費用は購入価額の約4%になります。一方、中古物件を購入する場合の諸費用は購入価額の約7~10%です。

これらの頭金と諸費用を合わせると、購入価額の30%程度が目安になります。

3.不動産投資ローンの活用事例

不動産投資ではローンを活用すると投資効率(ROI)が良くなることがあります。その具体例として、「自己資金で全額まかなう場合」と「自己資金2割+ローンを活用した場合」で、投資効率がどのように異なってくるかを見てみましょう。

3-1.自己資金で全額まかなう場合

2000万円の収益物件を購入するため、2000万円の自己資金を用意するケースです。運用の結果、家賃収入が年間100万円、諸経費が年間30万円だった場合、実質利回りは(100万円-30万円)÷2000万円×100=3.5%となります。

3-2.自己資金2割+ローンを活用した場合

次に、2000万円の収益物件を購入するため、400万円の自己資金を用意し、あとはローンを活用したケースです。

同じ家賃収入を得た場合の年間の利回りは3.5%となりますが、1,600万円の不動産投資ローンに対する利息がかかります。ここでは年間の利息が32万円で借入を行ったケースを見て行きましょう。

(年間収益100万円-年間経費30万円-利息32万円)÷400万円×100=9.5%

ローンの利息の分、キャッシュフローは低下しますが、自己資金に対する投資効率は上昇していることが分かります。

自己資金に対する収益率(CCR)は、ROIと同じように不動産投資を行う上で重視される指標です。利息の返済や空室または賃料減少によって投資効率が下がることもあるので、注意も必要ですが、不動産投資ローンを活用すると、このようなレバレッジ効果が期待できるので投資効率の向上が見込めます。

まとめ

不動産投資では、収益物件を購入する際に頭金や諸費用が必要になります。

自己資金を用意するのが難しい時は、不動産投資ローンを活用すると投資効率が良くなるメリットがあります。また、物件の収益性や不動産投資ローンを申請する人の属性などによっては、全額フルローンで購入することも可能です。

不動産投資を始める際は、この記事等を参考に諸費用はいくらかかるのか、自己資金はいくら必要になるのかを検討してみてください。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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