投資信託初心者に適したファンドの選び方と分析方法は?買うタイミングも

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つみたてNISAの口座数(金融庁発表)は、2020年12月末時点で2019年末時点と比べ1.6倍になりました。将来への不安の高まりなどから、若者を中心に長期の資産運用への関心が高まっています。

一方、投資信託には興味があるものの、いざ投資信託に投資しようと考えても、約6千本もある銘柄からどの銘柄に投資したら良いのかわからないという声を聞きます。そこで今回は、投資信託の銘柄選びのポイントや分析方法などを解説します。

目次

  1. 投資信託の種類は2つ
    1-1.インデックスファンド(パッシブファンド)とは
    1-2.アクティブファンドとは
  2. 投資信託の運用対象を選ぶ
    2-1.株式型とは
    2-2.債券型とは
    2-3.バランス型とは
  3. 投資信託の選び方
    3-1.運用実績を調べる
    3-2.信託報酬などのコストと過去の実績を調べる
    3-3.純資産が少ない銘柄を除外する
    3-4.償還期限が無期限の銘柄を選ぶ
  4. ファンドの良し悪しを見極める
    4-1.トータルリターン(過去の実績)を調べる
    4-2.シャープレシオを調べる
  5. 投資信託を買うタイミング
  6. まとめ

1.投資信託の種類は2つ

投資信託の種類は、インデックスファンドとアクティブファンドの2つです。投資信託初心者の方には、インデックスファンドが理解しやすいため、取り組みやすいと言えます。

1-1.インデックスファンド(パッシブファンド)とは

インデックスファンドとは、株式指数などの指数の動きに連動するように運用されている投資信託(ファンド)のことです。株式指数には、日経平均株価(日経225)やTOPIX、米国のS&P500、ナスダック指数などニュースでお馴染みの指数のほか、英国のFT100指数など聞きなれない指数も多くあります。

債券の指数も、NOMURA-BPI総合やFTSE世界国債インデックスなど様々あります。株式や債券のほかにもREIT(不動産投資信託)指数、コモディティ指数に連動するファンドもあります。

インデックスファンドの特徴としては、手数料が安いことが挙げられます。

1-2.アクティブファンドとは

アクティブファンドとは、株式や債券などの指数を上回る収益を目指したファンドのことです。運用のプロであるファンドマネージャーや、分析のプロであるアナリストが銘柄を絞りこみ、投資をします。特徴として、ファンドにより運用成績が大きく異なることや手数料がインデックスファンドよりも高いことが挙げられます。

2.投資信託の運用対象を選ぶ

ファンドによって運用対象が異なるため、何に投資をしているファンドか確認しましょう。主に株式型、債券型、バランス型があります。

2-1.株式型とは

株式型とは株式投資に特化したファンドです。対象銘柄により分類分けされています。国内株式に特化したものや、全世界、先進国、新興諸国の株式に投資するファンドがあります。

初心者の方には全世界に特化したファンドが適しています。日本は超高齢化社会を迎えているため、長期的に見ると他国と比較し株価の上昇率が低くなる可能性があるからです。

株式型ファンドは長期運用に適しています。それは長期間保有することで元本割れのリスクを抑えることができるからです。また経済成長による株価の上昇が利益に繋がる期待もあります。

海外資産を投資対象にするファンドには「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジ無し」があります。為替ヘッジありは通貨の変動の影響が抑えられているファンドで、為替ヘッジ無しファンドは、通貨の動きがそのままファンドの価格に影響します。

外国株を対象としている場合、為替ヘッジありのファンドのリスクは株価変動ですが、為替ヘッジなしの場合のリスクは、株価と為替変動の二つです。初心者の方が先進国株に投資する場合は為替ヘッジ無しのファンドを、新興国株式は為替のリスクが高いため為替ヘッジありを選ぶと良いでしょう。

2-2.債券型とは

債券型は国債や社債などを投資対象としているファンドです。債券型も株式型と同様に国内を対象としたファンドや、先進国や新興諸国を対象としたファンドがあります。

債券ファンドは、株式ファンドと比較するとリスクは低いものの長期的に大きなリターンは期待できません。元本リスクを取りたくない方は、個人向け国債が額面1万円から購入できるので検討すると良いでしょう。

2-3.バランス型とは

複数の金融商品に投資する投資信託で、株式、債券、REITなどを組み合わせて投資するファンドです。

株価と債券は往々にして逆の動きをします。株式市場が好調な時は金利が上昇(債券価格が下落)し、株式市場が不調の時は金利が低下(債券価格が上昇)します。複数の金融商品に投資することによってリスクを分散することができます。

投信初心者の方には、リスクを抑えつつ収益が期待できるバランス型も相性が良いものです。

3.投資信託の選び方

投資信託を選ぶ際に、その他確認しておきたいポイントを解説します。

3-1.運用実績を調べる

ファンド選びの際には、運用実績を確認しましょう。運用実績とは過去の運用成績のことで、各証券会社や投資信託評価会社のモーニングスター、投資信託協会が提供している銘柄検索機能を使うと便利です。

実績を調べるには騰落率を調べます。これは、ファンドが設定されてからどれぐらい上昇(下落)したかという値です。SBI証券の投資信託パワーサーチでは6ヶ月、1年、3年の騰落率が算出されます。堅調に上昇しているファンドを選ぶようにしましょう。

3-2.信託報酬などのコストと過去の実績を調べる

信託報酬とはファンドを管理・運用してもらうための手数料のことです。日々ファンドの運用資産から自動的に徴収されているため、別途支払う必要はありません。

信託報酬はファンドによってまちまちで、アクティブファンドの手数料の方がインデックスファンドより高く設定されています。コストは安いほうが良いのですが、コストに見合った収益をあげているアクティブファンドも多く存在します。手数料に見合った運用成績を継続しているファンドを選ぶようにしましょう。

3-3.純資産総額が少ない銘柄を除外する

純資産総額とはファンドの規模を表すもので、ファンドが保有している資産の時価に配当金や利息を加算し、その中からコスト(未払報酬や未払分配金)を差し引いた金額のことです。

各ファンドには最低限の設定額(受益権口数)が決まっており、それを下回ると運用会社が効率的な運用ができないと判断するため、繰上げ償還されます。途中償還は長期運用にとって好ましくありません。そのため純資産総額が大きなファンド(理想的には100億円以上)を選ぶようにしましょう。

3-4.満期までの期限が無期限のファンドを選ぶ

投資信託は長期運用が前提なので、満期までの期限が無期限のファンドを選ぶようにしましょう。ただし、事情により運用したい年数が決まっていれば、その年数に合ったファンドであれば問題ないでしょう。

3-5.分配金は再投資

分配金を再投資することで、資産を大きく増やすことができます。これは複利効果によるものです。例えば、利回り7.18%で10年間運用できると資産は2倍に成長します。長期投資が前提の方は、分配金なしのファンドを選ぶようにしましょう。自動的に再投資をしてくれるためです。

4.ファンドの良し悪しを見極める

どの投資信託を選べば良いかをさらに分析するためのポイントは以下です。

4-1.トータルリターン(過去の実績)を調べる

過去の運用成績がそのまま将来にわたって継続することはまずありません。しかし、過去の運用成績が良ければ、将来も高い収益が期待できる可能性が相対的に高いと見込めるため、過去の実績を調べて運用成績が良いファンドを選ぶようにしましょう。

4-2.シャープレシオを調べる

シャープレシオとは、収益をあげるために、どれくらいのリスクを取ったかという指数です。計算には、分子にファンドの平均リターンから安全利子率(国債の金利)を差し引いた値を、分母にはファンドの標準偏差(ブレ幅)を用います。数字が大きいほど良いファンドです。

例えば、Aファンド(収益率15%、安全利子率0%、標準偏差15%)と、Bファンド(収益率40%、安全利子率0%、標準偏差70%)を比較すると、シャープレシオはAが1でBが0.57です。

A=(15%-0%)÷15%、B=(40%-0%)÷70%

Aのファンドは、収益率がBより低いものの、標準偏差が小さい(ブレ幅が小さい)ためシャープレシオはBを上回りました。AのファンドがBよりも良いファンドということになります。つまり、収益が高くても、ファンドの動きが不安定(標準偏差が大きい)な場合、シャープレシオが低くなります。収益と標準偏差のバランスが大切です。

5.投資信託を買うタイミング

投資信託を買うのに良いタイミングは、マーケットが大きく下落した時です。例としては、2008年9月のリーマンショックや最近のコロナショックが挙げられます。いずれも、株価が大きく下落したものの、その後の各国金融政策により株価は上昇に転じています。

大暴落はめったに起きないため、買うタイミングを計るにはチャートを使います。チャートとは過去の値動きを図式化したもので、過去のデータを分析し、売り買いの水準を求めることができます。求めた水準をチャートポイントと言います。買いの水準は買いのチャートポイントとなります。

チャートに興味のある方は、チャート分析手法にも目を通されると良いでしょう。

まとめ

投資信託初心者に向いているファンドは、インデックスファンドです。市場の動きと連動するため、初心者の方にも動きが把握しやすいファンドです。特に、全世界株式に投資をするインデックスファンドが良いと言えます。

まずは少額から投資を始め、慣れてきたら、今回ご紹介したファンドの選び方や分析方法、買うタイミングなどを参考にして金額を増していきましょう。

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藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。