暗号資産事業への注力を強める決済プラットフォーム大手の米PayPalが、暗号資産カストディ事業大手のCurvを買収する計画であると報じられた。3月3日にCoinDeskが報じた内容によると、PayPalはCurvを5億ドルで買収する予定であるという。
2020年第4四半期にビットコインの売買および管理サービスを開始して以降、PayPalは暗号資産市場での事業強化を進めている。2020年末には、暗号資産カストディ最大手のBitGoの買収を試みたものの失敗しており、今回Curvに切り替えた格好だ。
PayPalは暗号資産関連サービスを提供するために、米Paxosと提携することでニューヨーク州規制当局より条件付きライセンスを取得していた。Curvの買収に成功した場合、外部企業との提携に頼らずに独自のカストディ事業を展開することができるようになる。
2021年に入り暗号資産サービスの提供範囲を英国に拡大する方針も明らかにしており、年内には傘下の決済サービスVenmoで暗号資産を取り扱う計画だ。暗号資産カストディを買収することにより、機関投資家を含む大口顧客へのサービス提供を拡大したい狙いが伺える。
Curvは、これまでに計5,000万ドル以上の資金調達を行なってきた。出資者には、日本の暗号資産取引所コインチェックを傘下に持つマネックスグループも名を連ねている。今回、PayPalの買収報道が出る以前より、2億ドルから3億ドルの金額で売却を検討していたという。
最近は、Curv DeFiという機関投資家向けのDeFi専用ウォレットを開始していた。大手DeFiレンディングプロトコルCompoundとも提携している。
PayPalは、中央銀行デジタル通貨(CBDC)への取り組みも進めていることを明らかにしている。既存金融のインターフェースとなるPayPalウォレットと、暗号資産のインターフェースとなるCurvを組み合わせることで、CBDCが普及した際により強固なネットワークを築くことができそうだ。
【参照記事】PayPal to Buy Crypto Custody Firm Curv: Sources
株式会社techtec リサーチチーム
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