不動産投資を検討している人の中には、頭金をいくら用意すればいいのか、頭金を減らすとどんなメリット・デメリットがあるのか気になる人も多いのではないでしょうか。
不動産投資ローンで頭金を少なくするメリット・デメリットに加えて、頭金の目安に関する考え方についても解説します。
目次
- 少ない頭金で不動産投資ローンを利用するメリット
1-1.早期に不動産投資を始められる
1-2.長期運用による利益の積み上げが可能
1-3.自己資金効率が上がる
1-4.他の投資に回す資金を確保できる - 不動産投資ローンの頭金を減らすデメリット
2-1.返済金利の変動リスクが上がる
2-2.毎月のキャッシュフローが悪化する
2-3.ローン審査を通過するのが難しくなる
2-4.投資規模の拡大には綿密な計画が必要 - 不動産投資を始めるための頭金はいくら必要?
- まとめ
1.少ない頭金で不動産投資ローンを利用するメリット
不動産投資で頭金を抑制する主なメリットとしては、早期に投資をスタートできる点や、分散投資の資金を確保できる点などが挙げられます。
1-1.早期に不動産投資を始められる
不動産投資の頭金は数百万円単位の金額になることも少なくありません。例えばサラリーマンが数百万円以上の自己資金を用意するためには、数年以上の年月が必要になることもあります。
しかし、頭金を少なくすると必要な貯金額が減ります。不動産投資をスタートするまでの準備期間が短くて済む点は、頭金を少なくする大きなメリットです。
1-2.長期運用による利益の積み上げが可能
20代など早期に不動産投資をスタートすれば、60歳までなど長期間の運用が可能になります。
不動産投資は家賃収入が毎月入ってくる資産運用です。運用期間が長くなるほど、結果的には多額の利益を積み上げられます。
なお、不動産投資ローンを利用すると、毎月金利を支払うことになります。この支払金利は確定申告で経費として計上可能です。
【関連記事】不動産投資、確定申告の手順は?計上できる経費や適用できる控除も紹介
1-3.自己資金効率が上がる
不動産投資で頭金を抑制すると、自己資金効率が上がります。自己資金効率とは、毎月の利益を頭金で割りもどして計算する投資効率のことです。
例えば、200万円の頭金を支払った一方で毎月の利益が6万円であれば、自己資金効率は3%ということになります。
必要費用の大半を金融機関のローンで賄って自己資金を抑制できるのは、他の投資にはない不動産投資特有のメリットです。頭金を抑制して自己資金効率を上げる投資は、不動産投資のメリットを最大化した投資と言えます。
1-4.他の投資に回す資金を確保できる
不動産投資での頭金が少なくなることで、頭金で使用しなかった資金を他の投資に分散させることが可能です。投資資金を一点に集中させず、可能な限り分散して投資することはリスクヘッジにもなります。
2.不動産投資ローンの頭金を減らすデメリット
頭金の抑制は分散投資などに効果的な一方で、借入額が増える分だけローン返済のリスクは上がるため、返済や毎月の収支について事前の検証が重要です。
2-1.返済金利の変動リスクが上がる
不動産投資ローンの頭金を減らすと借入額が増えるため、支払金利も多くなります。変動金利のローンを利用している場合は特に、借入額が多いと利上げの影響を受けやすい点に要注意です。
仮にフルローンを利用する場合は特に金利が大きくなるため、毎月の収支シミュレーションを確認することが重要になります。
支払金利は、不動産投資にかかる経費の中でも大きなウエイトを占めます。返済額が大きいほど金利変動のリスクが増え、不動産投資の収益を圧迫することもあります。
2-2.毎月のキャッシュフローが悪化する
返済元本の金額についても、支払金利と合わせて事前のシミュレーションが重要です。借入額が大きいと、家賃収入から経費を差し引いた手残り額が減ってしまいます。なお、このような現金の流れのことを「キャッシュフロー」と呼びます。
借入額が増えると、支払金利が大きくなるほかに毎月の返済元本も大きくなります。支払金利は確定申告で経費計上できますが、返済元本は経費計上できません。
キャッシュフローの悪化を防ぐためには、可能な限り返済期間を長期にして借り入れることが有効です。ただし、長期間の運用を計画している場合は、返済期間が長引くほど支払金利が累積していく点に注意を要します。
2-3.ローン審査を通過するのが難しくなる
借入額が大きくなると、金融機関によるローン審査も厳格化する点に要注意です。不動産会社からは頭金を抑制できると言われていても、審査の結果、想定以上の頭金投入を求められることもあります。
金融機関によるローン審査では、物件の収益性に加えて申込者の属性と呼ばれるポイントを確認されます。属性とは主に以下の内容です。
- 勤務先
- 勤続年数
- 年収
- 資産の有無
- 家族構成
属性評価が良いと、フルローンの場合でも審査を通過できる可能性があります。しかし、勤続年数が短かったり、年収が一定でない場合には、審査を通過できないか頭金を求められることもあるので要注意です。
2-4.投資規模の拡大には綿密な計画が必要
属性の良いサラリーマンは不動産投資ローンを利用しやすいものの、ローンの利用額には限度があります。ローンの利用限度額はおおよそ年収の7倍〜12倍です。
頭金を利用せずにローンを利用しながら物件を買い増していくと、早期に借入額が限度額に到達し、それ以降は買い増しできなくなります。投資規模を拡大していく場合は、適宜保有物件を売却して入れ替えるなど計画的な運用が必要です。
3.不動産投資を始めるための頭金はいくら必要?
不動産投資を始めるために必要な頭金は、一概に具体的な金額で示せるものではありませんが、概ね物件価格の10%〜30%が目安です。
例えば東京23区内の新築ワンルームマンションであれば、立地によるものの2,200万円〜3,300万円(税込)程度の価格となる想定で考える必要があります。
このため、属性によっては500万円前後の頭金が必要です。用意できる自己資金の金額によっては、東京よりも物件価格が安い首都圏の郊外や、地方エリアで物件を探すことも必要になります。
【関連記事】不動産投資ローンの審査が通らない原因は?4つの理由と対策を解説
まとめ
不動産投資ローンの審査では、申込者の年齢や健康状態も確認対象です。例えばサラリーマンの場合は、空室発生時などは本業からの収入が返済原資となるため、収入が減少する定年が近いと審査を通過できないこともあります。
頭金を減らすとローン返済に関するリスクは上がりますが、一方では長期間の運用による利益や分散投資資金の確保などメリットもあります。メリットの方を大きくするためには、不動産投資を始める前に、収支や長期的な投資計画を綿密に検証することが重要です。
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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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