不動産クラウドファンディングのトラブル事例とは?確認したい4つのポイントも

2023年時点、インターネットを介した投資サービスも増え、多くの人が投資にエントリーしやすい環境です。少額で不動産へ投資できる不動産クラウドファンディングも、初心者の方でも従来より不動産投資を始めやすいという側面から人気の高い投資サービスとなっています。

しかし、不動産クラウドファンディングのような比較的に新しいスキームの投資サービスでは、しばしばトラブルに発展してしまうケースも少なくありません。リターンだけでなく、多角的な面からリスクが常に発生する可能性があるものと意識しておくことが大切です。

そこで本記事では、不動産クラウドファンディングに関連した過去のトラブル事例から検証し、不動産クラウドファンディングを始める際に確認したい4つのポイントについてご紹介していきます。

目次

  1. 不動産クラウドファンディング投資のトラブル事例
  2. 融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)のトラブル事例
    2-1.運営会社が投資家の資金を流用
    2-2.運営会社が悪意ある借主から被害を受ける
    2-3.偽サイトへの誘導
    2-4.架空の投資案件の募集
  3. 不動産クラウドファンディング投資のトラブルを未然に防ぐには
    3-1.運営会社の実績を調査する
    3-2.詳細が記載されている案件を選ぶ
    3-3.分散投資を心がける
  4. まとめ

1.不動産クラウドファンディング投資のトラブル事例

不動産クラウドファンディングは、少ない資金からの不動産投資が可能であり、情報の公開が進んでいることから人気の高い投資サービスの一つです。

不動産情報が開示されているため、実際の物件情報を確認したり、周辺の賃料相場や売買実績などを確認することで投資家側から情報収集も行いやすく、融資先が非開示になる融資型クラウドファンディングと比較して透明性が高いというメリットもあります。

一方で、個人投資家の方の中には細かなスキームの違いの認知が進んでいなかったり、実際の物件情報を確認せずサービス事業者の提供する情報を鵜呑みにしてしまうケースも少なくありません。

国土交通省の「小口化不動産への投資をかたった詐欺的勧誘等に係る注意喚起」によると、確認された事例は融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)に関するものや、架空業者によるものであるとされています。

特定の投資商品についてインターネットを介して募集を行うという視点でみると、潜在的には不動産クラウドファンディングも同じリスクを内包していると指摘されており、「無登録・架空業者による勧誘」「自転車操業的な運営」という2つの手口が不動産クラウドファンディングでも起こり得るとされています。

不動産投資被害の事例

2.融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)のトラブル事例

投資型クラウドファンディングの中でも、特に投資トラブルの事例が多いのが融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)です。実際に融資型クラウドファンディングで発生したトラブル事例も確認しておきましょう。

2-1.運営会社が投資家の資金を流用

案件が架空というだけではなく、融資型クラウドファンディングの運営会社が投資家の資金をキャッシュバックキャンペーンと称して、顧客に現金を還元していた事例もあります。(※証券取引監視委員会「株式会社みんなのクレジットに対する検査結果に基づく勧告について」)

このように、融資型クラウドファンディング黎明期には、投資家の不利益になる行為を働く会社もありました。

また必ずしもトラブルに直結するとは限りませんが、融資型クラウドファンディング会社が親会社やグループ内の会社へのみ融資を行っていたというケースもトラブルに繋がりやすく、注意したいポイントと言えます。この場合、融資型クラウドファンディングは実質的に親会社の資金調達の手段として用いられることがあるためです。

2-2.運営会社が悪意ある借主から被害を受ける

融資型クラウドファンディングの運営会社自体にはトラブルはないものの、事業者と借主との間で法的トラブルが発生してしまったという事例があります。

日本の融資型クラウドファンディングの中でも、大手といえるクラウドバンクでは、2023年に貸付先会社から返済が行われず、保証債務の履行を請求したものの、連帯保証人は連帯保証契約の無効を主張し、債券回収のために訴訟を提起するに至っています。。(※参照:クラウドバンク「償還の遅延に関しまして」2023年9月時点)

出資先が匿名で募集される融資型クラウドファンディングでは、投資家が持つ情報だけでトラブルを見抜くことは困難と言えます。資金の分散を行うことで問題が発生した時のリスクをできるだけ小さくするような対策が必要となってきます。

REITでは偽社員による勧誘のトラブル事例も

REIT(不動産投資信託)では、実際に対面での詐欺行為も発生しています。偽社員による投資トラブルを見抜くのは難しいものですが、社員と名乗る人間の紹介で投資を行うときには、その社員が実際に会社に在籍しているのかの事実確認を行うことも重要です。

2-3.偽サイトへの誘導

インターネット上における偽サイトへの誘導という事例も発生しています。既存のクラウドファンディングの投資サイトのコピーサイトを作成し、そのサイトにアクセスした人に対し個人情報などを入力させる、という手口になっています。(※参考「【注意喚起】LENDEX類似サイトに付きまして|ソーシャルレンディング」)

投資のための資金を銀行口座への入金などを促すことで、投資家の不利益を発生させています。ただし、このような偽サイトはURLを見ると日本国内のサイトではない場所に設置されているケースが多く見られます。

偽サイトを見抜くためにもクラウドファンディング投資サイトを見るときはまずURLをしっかりと確認するようにしましょう。

2-4.架空の投資案件の募集

融資型クラウドファンディングは、事業者が投資家から資金を集め、資金を必要とする会社への融資を行う投資手法です。融資を受けた会社は融資金を基に事業を展開し、事業の利益で融資の際の金利を支払い、この金利収入を原資に投資家へ分配されます。

このような仕組みの融資型クラウドファンディングでは、融資する会社やその事業が存在しなかったというトラブル事例も発生しています。貸付先の会社が匿名であるケースも有るので、こういったトラブルが発生しやすくなっているのです。

実際に、エーアイトラスト株式会社という金融事業者では、架空の案件で募集(総額約15億7千万円)を行ったことにより行政処分を受けた事例があります。(※参照:関東財務局「エーアイトラスト株式会社に対する行政処分について」)

3.不動産クラウドファンディング投資のトラブルを未然に防ぐには

不動産クラウドファンディングに投資する際は、上記のクラウドファンディング関連のトラブル事例を踏まえ、十分に注意して投資検討していくことが大切です。どのようなポイントを押さえていけば良いか解説します。

3-1.運営会社の実績を調査する

不動産クラウドファンディングのトラブルを回避するには、運営会社の実績を調査することが大切です。例えば、上場企業であれば上場時に反社会的勢力との交際や資本力などの審査を受けており、悪意ある会社との交際や取引が起こりにくいです。また、財務状況も公開義務があるので、その会社の現在の資本力や経営状況も把握できます。

ただし、過去には当時最大手の株式会社SBIソーシャルレンディングの業務停止命令のトラブル事例があったように、会社規模が大きいことが必ずしもトラブルの可能性をゼロにできるわけではありません。(※参照:金融庁「SBIソーシャルレンディング株式会社に対する行政処分について」)トラブルの可能性を極力小さくするという一つの視点としてとらえ、多角的に検証していくことが大切です。

【関連記事】投資型クラウドファンディングの運営会社の見極め方は?上場・非上場で違いを比較

3-2.詳細が記載されている案件を選ぶ

融資型クラウドファンディングでは貸付先の情報を公開していないことも多く、過去にはこの匿名性が大きな要因となってトラブルに発展してしまうケースがあります。融資型クラウドファンディングは、かつて融資先の企業名を公開してはいけないという金融庁の指導があり、匿名義務を利用して投資家の不利益が発生する案件を組成するという事例が発生していたのです。

不動産クラウドファンディングにおいても、トラブルを防ぐために投資先の物件情報が詳細に公開されているファンドであるかどうかという点に注目されておくと良いでしょう。

詳細な物件情報が開示されていれば、現所有者の情報や不動産価格から類推できる担保性、周辺エリアの賃料相場なども確認することができます。投資である以上、元本棄損のリスクをゼロにできるわけではありませんが、細かな情報を調べていくことでリスクを小さくできます。

【関連記事】不動産クラウドファンディングのファンド選びのポイントは?最近の動向や注意点も【インタビューあり】

3-3.分散投資を心がける

ここまで挙げた対策を行っても、資金を集める事業者や運用スキーム上の関連会社が悪意を持った行為を働いている場合、トラブルに発展してしまう可能性があります。

不動産クラウドファンディングへ投資を行う時は、できるだけ多くの会社そして多くの案件に分散投資するようにしましょう。投資先を分散することで、一つの会社や投資案件で何か問題が発生しても、リスクの範囲を限定でき、投資から撤退するような大きな損失を発生させずに済むのです。

なお、運営上の問題が無い投資商品であっても投資の損失リスクは存在しています。トラブル発生のリスクを回避するという観点だけでなく、健全な投資リスクを回避するという意味からも、分散投資は効果的な投資手法の一つです。

【関連記事】不動産投資型クラウドファンディングの分散投資のコツは?実際の募集案件でシミュレーション

まとめ

投資型クラウドファンディングでは、過去に様々なトラブルが発生していました。その多くは匿名化を利用した問題のある案件の組成であったり、運営会社がそもそも投資家の不利益に繋がる行為を知っていて行っていたのも事実です。

しかし、過去の行政処分が行われた経緯から悪質な会社は徐々に淘汰され、また上場会社が運営するクラウドファンディング投資サービスも増加しています。

不動産クラウドファンディングに投資を行う際も同様に、運営元の会社の信用性や資本力、詳細に情報公開されている案件を選ぶことでリスクを小さくすることができます。

また同時に投資先の分散を行えば、想定外の問題が起きたとしてもそのリスクを限定できるので、この点も留意していきましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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