投資型クラウドファンディングは様々な事業者からサービスが提供されており、上場企業だけでなく、株式上場していない非上場の企業が運営しているサービスも数多くあります。
投資型クラウドファンディングは新しいサービスとして注目される一方、法規制なども随時更新されている状況であり、一部の事業者においては金融庁から業務改善命令を行われるケースもあります。つまり、事業者の見極めも投資型クラウドファンディングでは重要なポイントと言えるのです。
本記事では、投資型クラウドファンディングを運営している事業者が上場企業の場合と非上場の場合で、それぞれにどのようなメリットとデメリットがあるのかを解説します。
※本記事は、投資家への情報提供を目的としており、特定商品・銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- 上場している投資型クラウドファンディング事業者の特徴
1-1.IR情報などの企業情報が公開されている
1-2.上場時に会社として審査を受けている
1-3.取り扱うファンドの種類が多い傾向にある - 非上場の投資型クラウドファンディング事業者の特徴
2-1.財務状況などがわかりにくい
2-2.取り扱うファンドの利回りが高い傾向がある - 上場している投資型クラウドファンディング事業者のメリット
3-1.運営事業者としてのリスクが低い
3-2.ファンド規模が大きく募集頻度も高いため投資機会が多い - 上場している投資型クラウドファンディング事業者のデメリット
4-1.利回りはやや低めなファンドが多い
4-2.人気ファンドに応募が集中し投資の抽選倍率が高くなることも - 非上場の投資型クラウドファンディング事業者のメリット
5-1.利回りが高く個性的なファンドがある
5-2.一部の人気ファンドを除いて投資倍率が極端には高くない - 非上場の投資型クラウドファンディング事業者のデメリット
6-1.運営事業者リスクが相対的に高い
6-2.ファンド募集を停止する会社もある - まとめ
1.上場している投資型クラウドファンディング事業者の特徴
投資型クラウドファンディングの運営事業者が上場している場合は、どういった特徴が挙げられるのかを確認します。
1-1.IR情報などの企業情報が公開されている
株式上場を行っている企業は、会社法において財務情報を公開する義務があります。上場企業は情報の公開により社員数や売上、その会社の財政の状況が確認できる点が特徴と言えるでしょう。
1-2.上場時に会社として審査を受けている
上場を行っている企業は、上場時にそれぞれの株式市場で審査を受けています。上場時の審査では、利益は出ているのか、また監査体制の整備やコンプライアンス体制なども審査されます。
監査が義務となっていることから、社会的な信用を得るとともに、会社の事業のオペレーション体制も非上場企業より整っているケースが多いと言えるでしょう。
1-3.取り扱うファンドの種類が多い傾向にある
上場している企業は、売上高において一定の基準を満たす必要があります。そのため会社規模も一定以上となり、社員数も最低でも数十名以上になります。
投資型クラウドファンディングにおいては、会社規模が大きいほど資金調達の手段や規模も大きくなります。そのため、ファンドの種類や投資方法などが豊富になりやすく、投資先の選択肢が多いことも特徴になります。
2.非上場の投資型クラウドファンディング事業者の特徴
次は、非上場事業者の特徴を見ていきましょう。
2-1.財務状況などがわかりにくい
非上場事業者の場合、財務情報を公開する義務はありません。 IR情報などを公開している会社もありますが、情報を積極的に公開しない企業の場合は会員数や売上高、利益の状況などが把握できないこともあります。
2-2.取り扱うファンドの利回りが高い傾向がある
傾向として、非上場事業者が運営する不動産投資型クラウドファンディングでは、取扱うファンドの利回りが、年利10%といった高いものが見受けられます。上場企業が扱うファンドと比べると、投資対象がユニークなもの、利回りが高いものなどがあります。
3.上場している投資型クラウドファンディング事業者のメリット
上場している運営事業者が扱うファンドに投資するメリットを見ていきましょう。
3-1.運営事業者としてのリスクが低い
株式上場を果たしている企業は財務状況をチェックできるので、倒産リスクの把握が可能です。赤字が続いていると倒産して、投資した資金を回収できなくなる事態も起こりえますが、上場企業であれば赤字情報も公開されるため、リスクコントロールが行いやすいと言えます。
また、上場企業は外部の監査も受けるので、財務情報の公正さや、反社会的勢力との交際などのリスクも下げられます。リスクがゼロとは断言はできませんが、上場企業は非上場企業と比較して相対的にリスクが低いと言えるでしょう。
3-2.ファンド規模が大きく募集頻度も高いため投資機会が多い
上場不動産会社運営している投資型クラウドファンディングは、ファンド規模が大きいものが多く、多くの投資機会を獲得しやすいというメリットがあります。
投資型クラウドファンディングは、高利回りの案件などに人気が集まり、応募が集中してしまうことで募集金額以上の応募が集まってしまうことも少なくありません。一方、ファンドの規模が大きいと募集金額が満額達成するまでに余裕があり、投資機会を得やすいというメリットがあります。
また、非上場企業のサービスでは数か月に1度のファンド組成になるケースもありますが、上場企業は様々なファンドの組成を行う傾向があり、募集頻度も高い傾向があります。これらの背景により投資機会が得やすいという点は、運営事業者が上場企業であるメリットと言えるでしょう。
4.上場している投資型クラウドファンディング事業者のデメリット
4-1.利回りはやや低めなファンドが多い
上場企業運営の不動産投資型クラウドファンディングを見ると、極端に高い利回りのファンドは多くなく、高水準のファンドで年利換算5~6%の予定分配率となっています。
上場企業のファンドは、投資規模の大きいファンドを組成していることのスケールメリットがあり、リスクを下げたファンドを組成する傾向にあると考えられます。また、非上場企業のファンドより相対的に低い利回りでも、低リスクであることにメリットを感じた投資家から資金調達を行うことができます。
このような背景から、投資家へ分配される利回りもやや低めに設定されている傾向があると言えるでしょう。
4-2.人気ファンドに応募が集中し投資の抽選倍率が高くなることも
上場企業の不動産投資型クラウドファンディングサイトは、低リスクを好む投資家に利用される傾向にあります。その結果、投資時の抽選倍率が高くなることがあります。
例えば、1,000万円規模のファンドでも、募集をかけると1億円以上の資金が集まる事例もあります。その場合、倍率は10倍以上であり、投資家は10回に1回しか投資できないこともあります。資金を運用したいのに倍率が高いファンドばかりになると、資金を運用できずに資金効率が低下するおそれがあります。
5.非上場の投資型クラウドファンディング事業者のメリット
5-1.利回りが高く個性的なファンドがある
非上場企業の不動産投資型クラウドファンディングでは、年利換算で10%前後という収益性が高いファンドの募集が行われることがあります。これほど利回りが高いファンドは、上場企業が運営するサービスでは中々見られません。
例えば、非上場企業が提供する不動産投資型クラウドファンディングの「COZUCHI(コヅチ)」は、年利換算で200%を超えるファンド実績があります。
また、非上場企業の提供するファンドはこれまでに行ってきた事業に関連したものが多く、これまでに培った豊富なノウハウを背景に、上場企業がリーチしていないニッチなニーズを満たす案件であることがあります。
例えば、モンゴルなどの海外不動産へ投資できる「TECROWD」や、海外投資案件に特化したソーシャルレンディングの「クラウドクレジット」、ブロックチェーン技術のSTOスキームを活用した「大家どっとこむ」など、個性的なファンドを組成している事業者が多いという点はメリットと言えます。
5-2.一部の人気ファンドを除いて投資倍率が極端には高くない
非上場企業のサービスは上場企業のサービスより知名度が低いケースもあり、投資家の数もそれほど多くなく、結果的に抽選倍率が高くならないことがあります。
ただし、前述したCOZUCHIのような高いリターン実績のある事業者は非上場でありながら評判・口コミが広がり、多くの投資家から人気が集まることで抽選倍率が高まることがあります。
投資型クラウドファンディングの人気のファンドへ投資をしていきたい場合は、投資家登録を事前に済ませておき、募集開始のスケジュールを把握することも大切なポイントとなってきます。
6.非上場の投資型クラウドファンディング事業者のデメリット
一方で、非上場事業者が運営するサービスのデメリットについても見ていきましょう。
6-1.運営事業者リスクが相対的に高い
上場企業の場合はIR情報を確認できるので、倒産のリスクがあれば投資を避けることができますが、非上場企業はIR情報などの公開義務がないため、運営会社がどのような経営状況であるかを投資家が判断することが難しくなります。
6-2.ファンド募集を停止する会社もある
非上場の事業者が運営する不動産クラウドファンディングサービスでは、ファンドの募集を停止してしまうケースがあります。不動産投資型クラウドファンディングで2022年8月時点までに会社が倒産したという事例はないものの、ファンド募集の停止が行われると、投資資金の回収までのクールタイムによって資金効率が悪化する懸念があります。
上場企業が運営する不動産投資型クラウドファンディングサービスでは、ファンドの募集停止の事例は多くないため、過去の傾向としては非上場企業の方がファンドの募集停止リスクは高いと言えるでしょう。
まとめ
上場企業と非上場企業が運営する投資型クラウドファンディングのメリット、デメリットについて比較しました。上場企業のサービスは全体的に低リスクである一方、非上場企業が運営するサービスでは、個性的なファンドや利回りが高いファンドがあり、大まかな違いが見られます。
投資する時にはその会社の実績や情報を踏まえ、ファンドの情報を見てリスクを分析することが大切です。運営事業者の規模も参考にしながら、投資先のファンドを選定されてみると良いでしょう。
HEDGE GUIDE 編集部 ソーシャルレンディングチーム
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