不動産投資型クラウドファンディングでの投資を検討する時に心がけておきたいポイントの一つが、分散投資です。
分散投資とは投資資金を一つの投資対象に集中させず、複数の対象に分散する投資方法のことです。分散投資を行うことで、投資対象の一つで何か問題が起きたとしても一度に多くの資産を失うリスクを避けることができ、リターンとリスクを標準化できるメリットがあります。
本記事では、不動産投資型クラウドファンディングで実際に分散投資するときはどういったポイントに気をつければ良いのか、また実際の投資を行うときのシミュレーションを展開してみました。これから投資をするときの参考にされてみてください。
目次
- 不動産投資型クラウドファンディングで分散投資をする4つのポイント
1-1.運用対象の不動産ファンドを分散する
1-2.クラウドファンディングの運用会社を分散する
1-3.投資時期を分散する
1-4.運用期間を分散する
1-5.運用エリアを分散する - 不動産投資型クラウドファンディングの分散運用シミュレーション
2-1.不動産投資型クラウドファンディング5社でシミュレーション
2-2.運用シミュレーションの結果 - まとめ
1.不動産投資型クラウドファンディングで分散投資をする4つのポイント
不動産投資型クラウドファンディングで分散投資をすることで、一度に多くの資産を失うリスクを避けることに繋がります。
一つの投資対象にしか投資していないと、ファンドの運営会社の倒産や、災害などにより対象不動産に大きなトラブルが起きた時に、自分の資産を一気に失ってしまう可能性があります。
しかし、例えば5つの投資対象に分散投資をしていれば、その中の一つで資産価値の下落などが起きても、損失は単純には1/5に抑えることが可能です。以下より、具体的にはどうやって分散投資をするのか、4つのポイントを見ていきましょう。
1-1.運用対象の不動産ファンドを分散する
まずは運用するファンドを分けることです。高利回りで魅力的なファンドがあると、そのファンドに多くの資金を投入してしまうこともありますが、そのファンドで返済遅延や分配遅延といった問題が起きると、自分の資産の大半を損なう可能性が生まれてしまいます。
そこでまず1つのファンドだけではなく、複数のファンド資産を分散していれば、その中のファンドで問題が起きても損失の範囲を限定することができます。
1-2.クラウドファンディングの運用会社を分散する
次に気をつけたい分散投資のポイントは、不動産投資型クラウドファンディングサービス自体を分散することです。
不動産投資型クラウドファンディングサービスを運営する事業者が倒産してしまった場合、その会社が運営したり募集したりしているファンド全てが影響を受ける可能性があります。複数のファンドに分散投資していても、同じサービス内では全てのファンドが影響を受ける可能性もあるのです。
クラウドファンディング投資におけるこのようなリスクを事業者リスクと言い、まだ新しい投資方法であるクラウドファンディング投資において注意しておきたい重要なリスクと言えます。
事業者リスクを避けるには、投資先を複数の不動産投資型クラウドファンディングサービスに分散することです。複数のサービスを利用していれば、その中の一つのサービスで問題が起きても、元本棄損のリスクを限定的にできます。
分散投資の基本として、複数の不動産投資型クラウドファンディングサービスを活用しながら、複数のファンドに投資するということを意識されると良いでしょう。
1-3.投資時期を分散する
三つ目のポイントは、投資時期を分散することです。資金を同じタイミングで募集しているファンドにすべて投入すると、不動産市況の変化などで全てのファンドが影響を受ける可能性があるためです。
そこで、100万円資金があったとしても同じ月にまとめて投資するのではなく、例えばひと月に10万円ずつ投資していく、というように時期を分散することが効果的です。市況の変化が起きても、ある程度リスクを分散できます。
1-4.運用期間を分散する
不動産投資型クラウドファンディングの分散投資では、運用期間の分散も意識しておきたいポイントのひとつです。
不動産投資型クラウドファンディングでは、ファンドによって運用期間は2~3ヶ月から、長期間にわたるものでは3年以上というものもあります。
不動産投資型クラウドファンディングはファンド運用中のキャンセルができる会社は少なく、キャンセルできない会社が大半となっています。長期間運用されるファンドに投資して、もし運用キャンセルができない場合は、資金をずっと拘束されることになり、手持ちの現金が必要な事態に対応できなくなる可能性があります。
一方、短期運用ファンドの場合は、運用がすぐ終わってしまうので、次のファンドに投資するまで資金を遊ばせておく時間が生まれ、資金の運用効率は悪くなります。一方で、資金償還が早く、市況の変化や現金が必要な時に対応しやすいメリットがあります。
運用期間が短いファンド、長いファンドそれぞれにメリット・デメリットがあり、どちらか一方のファンドに投資を行っていると資金運用の偏りが生まれます。効果的に稼げる長期運用ファンド、市況を見ながら適切にタイミングを見ていける短期運用ファンドを組み合わせることもリスク分散の方法の一つです。
1-5.運用エリアを分散する
運用対象の不動産のエリアも分散していきたいポイントです。不動産投資型クラウドファンディングは、実際の物件を運用しているため、自然災害リスクを受ける可能性があるためです。
例えば、東京のみに不動産を集中していると、東京で洪水や地震などの災害が起きた時に投資している不動産が一気に影響を受ける可能性があります。また、災害以外でも入居需要が減少しているエリアなどもあり、東京都内の中でもエリアによって違いがあります。
災害リスクを軽減するために、東京以外の名古屋や大阪、また海外に分散をしたり、東京都内のファンドへ投資する際も他の運用ファンドと需要の偏りが出ないように注意してみると良いでしょう。
2.不動産投資型クラウドファンディングの分散運用シミュレーション
過去に実際に募集されていた不動産投資型クラウドファンディングのファンドを参考に、分散運用のシミュレーションをしてみましょう。500万円の資金で、複数のファンドに分散投資してみます。
2-1.不動産投資型クラウドファンディング5社でシミュレーション
運営サイト | ファンド名 | 場所 | 種類 | 利回り | 運用期間 |
---|---|---|---|---|---|
CREAL | CREAL新宿 | 東京都新宿区 | 一棟マンション | 4.3% | 18ヶ月 |
Rimple | Rimple’s selection #41 | 東京都文京区 | 一棟マンション | 2.8% | 6ヶ月 |
TSON FUNDING | 森林再生20号(愛知県名古屋市瑞穂区Ⅱ) | 愛知県名古屋市 | 戸建住宅 | 6.7% | 184日 |
COZUCHI | 秋葉原 事業用地 | 東京都千代田区 | 商業用ビル | 4.5% | 12ヶ月 |
TECROWD | TECROWD33号ファンド KHAN VILLA | カザフスタン・アルマティ市 | 戸建住宅 | 11% | 7ヶ月 |
運営会社の分散
運営会社を5社に分散することで、倒産やサービス停止リスクに備えます。また資本力やコンプライアンスで一定の基準を満たしている上場企業運営のサービスを中心に投資することで運営会社の不祥事リスクも下げることに繋がります。
エリアの分散
不動産投資型クラウドファンディングでは、堅実性を持つ東京のマンションファンドが中心ですが、場所の集中を避けるために愛知県名古屋市や海外にもエリアを分散します。
物件タイプの分散
また居住用物件だけではなく、テナントやオフィス物件への投資を行うことで、対象事業の分散にもつながります。
運用期間・利回りの分散
利回りは最も低いものでRimpleの年利2.8%、最も高いものはTECROWDのカザフスタンファンドの11%です。運用期間は6ヶ月から18ヶ月と短すぎず、長すぎないものをチョイスしています。
2-2.運用シミュレーションの結果
先に挙げたファンドに各100万円を投資し、無事運用終了した場合の結果が以下のようになっています。
ファンド名 | 利回り | 運用期間 | 6ヶ月運用益(円) | 満期運用益(円) |
---|---|---|---|---|
CREAL新宿 | 4.30% | 18ヶ月 | 21,500 | 64,500 |
Rimple’s selection #41 | 2.80% | 6ヶ月 | 14,000 | 14,000 |
森林再生20号(愛知県名古屋市瑞穂区Ⅱ) | 6.70% | 184日 | 33,500 | 33,500 |
秋葉原 事業用地 | 4.50% | 12ヶ月 | 22,500 | 45,000 |
TECROWD33号ファンド KHAN VILLA | 11% | 7ヶ月 | 55,000 | 64,167 |
- 6ヶ月運用益合計:146,500円 (満期運用益合計:221,167円)
- 5社の平均年間利回り:5.86%
6ヶ月間運用したときの収益(税引前)と各ファンドの満期運用益です。運用益は運用期間が長いものほど多くなっています。
どのファンドも最低運用期間は6ヶ月以上であり、その期間内での分配金の総額は146,500円、500万円に対する利回りは、年利換算で5.86%となっています。
利回りの高いカザフスタンファンドが平均利回りを引き上げていますが、海外ファンドは通貨リスクや政情リスクなどが存在します。そこで入居率が高く低リスクの運用が見込めるRimpleにも投資することでリスクヘッジを行っています。
このうち1社で想定通りのリターンを得られなくなった場合でも、投資先を分散しているためリスクが低減されています。また、低リスクの案件だけに投資した場合と比較してリターンが標準化され、投資効率が高まっていることが分かります。
このように、分散投資は複数のサービスやファンドへ分散することでリスクの低減を図りながらリターンのバランスを調整する際に適しており、少額資金から投資検討ができる不動産投資型クラウドファンディングとも相性の良い投資方法となっています。
【関連記事】不動産投資型クラウドファンディングを選ぶポイントは?注目の8社を紹介
【関連記事】不動産投資ができるクラウドファンディングの比較・まとめ
まとめ
今回は、不動産投資型クラウドファンディングの分散投資のポイントを説明しました。シミュレーションでは複数のファンドに投資することで、リスクを下げながらも一定の利益水準を確保しています。また運用期間の長短も混ぜていくことで、資金拘束期間のリスクも下げています。
不動産投資型クラウドファンディングでリスクを避けていくには、複数の不動産投資型クラウドファンディングサービスを見て、場所や利回り、期間、運用物件の種類をしっかりと調べておくことが大切です。
詳細な情報を集め、そして投資対象を分散するためには、複数の不動産投資型クラウドファンディングサイトに口座を開設する必要があります。複数の不動産投資型クラウドファンディングサービスに口座を開設し、投資対象を分散することで、リスクとリターンのバランス調整を行うことを検討されてみてください。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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