不動産査定と不動産鑑定の違いは?メリット・デメリット、選び方も解説

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不動産の売却では、売却価格の設定を誤って相場よりも安価に売却することがないように、スムーズに売却を進められるように、不動産査定を不動産会社に依頼する方も多いでしょう。

不動産の適正価格を知る方法には、不動産査定だけでなく不動産鑑定もありますが、不動産査定と不動産鑑定は何が違うのでしょうか?

この記事では、不動産査定と不動産鑑定の違い、それぞれのメリットとデメリットについて解説します。

目次

  1. 不動産査定と不動産鑑定の違いとは
    1-1.不動産査定とは
    1-2.不動産鑑定とは
  2. 不動産査定のメリットとデメリット
    2-1.不動産査定のメリット
    2-2.不動産査定のデメリット
  3. 不動産鑑定のメリットとデメリット
    3-1.不動産鑑定のメリット
    3-2.不動産鑑定のデメリット
  4. 不動産査定と不動産鑑定の選び方
  5. まとめ

1.不動産査定と不動産鑑定の違いとは

不動産の売却では、相場に合った売出価格を決めることが重要です。仮に相場より高く売出価格を設定してしまうと売却が長期化し、結果的に値下げして売却してしまうことになりかねないためです。

そのため、不動産を相場より安く売却することを未然に防ぎ、スムーズに売却を進めるためにも、不動産を売却する際の適正価格を把握することが重要です。

不動産の適正価格を知りたい場合には不動産会社に査定を依頼するケースが多いですが、他に不動産鑑定という方法があります。不動産査定と不動産鑑定の何が違うのかを詳しく見ていきましょう。

1-1.不動産査定とは

不動産査定では、不動産会社が近隣の類似物件の取引価格や特徴(築年数、間取り、劣化状況など)、周辺エリアの不動産市況に基づきながら価値を算出します。その他、不動産の残存耐用年数から評価額を算出する原価法や、投資物件の場合は収益還元法などの査定方法があります。

不動産会社による査定は価値を保証するものではなく、査定結果通りの価格で必ず売れるとは限りません。査定額は不動産会社が提示した参考意見であり、公的証明力や法的責任はないので注意が必要です。

また、不動産査定は宅地建物取引士などの国家資格を有していない人でも行うことができます。査定を行う人によって重視するポイントや査定経験は異なるため、査定結果に差が生じやすいのが特徴です。

1-2.不動産鑑定とは

不動産鑑定では、不動産鑑定士と呼ばれる国家資格を所有している専門家が「不動産の鑑定評価に関する法律」に基づいて適正な価値を算出します。

不動産鑑定は不動産鑑定士の独占業務であり、有資格者以外の人が不動産鑑定を行うことはできません。

不動産会社による査定には公的証明力や法的責任はない一方で、不動産鑑定の鑑定結果には公的証明力や法的責任があり、公的に通用する不動産の適正な価値と言えます。

2.不動産査定のメリットとデメリット

不動産査定と不動産鑑定の違いは分かったところで、不動産査定と不動産鑑定のどちらを選べば良いのか分からない人も多いと思います。どちらを選ぶべきか知る上で重要なのがメリットとデメリットを把握しておくことです。

不動産査定のメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。

2-1.不動産査定のメリット

不動産査定のメリットとして以下の2つが挙げられます。

  • 査定依頼は原則無料
  • 査定結果が出るのが早い

不動産会社は不動産売却の仲介の依頼を受けて、不動産の売却を成立させることによって仲介手数料を得ます。そのため、少しでも仲介の依頼につなげるために不動産査定を無料で行っています。

また、現地確認を行わない簡易査定(机上査定)の場合には早ければ依頼した日、現地確認を行う訪問査定の場合には数日で査定結果を得られます。スピード感を持って不動産の価格を知れる点はメリットと言えるでしょう。

2-2.不動産査定のデメリット

不動産査定には、メリット以外に以下の2つのデメリットが挙げられます。

  • 公的証明力や法的責任がない
  • 自分で見極めなければならない

前述したように不動産査定には公的証明力や法的責任がなく、誰でも不動産査定を行えてしまうため、不動産査定を行った人によって査定結果に差が生じやすいというデメリットがあります。

公的証明力や法的責任がない以上、得られた査定結果については所有者自身で信ぴょう性を判断する必要があります。

査定結果が出た後は査定を行った不動産会社にその金額の根拠を聞いて正確な査定結果かどうか見極めたり、複数の不動産会社に査定を依頼して査定結果を比較するなど、工夫が必要と言えるでしょう。

3.不動産鑑定のメリットとデメリット

不動産鑑定にもメリットとデメリットの両方を伴うことから、選択肢を誤らないためにもどのようなメリットとデメリットを伴うのかよく理解しておくことが重要です。

不動産鑑定のメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。

3-1.不動産鑑定のメリット

不動産鑑定のメリットとして以下の2つが挙げられます。

  • 公的証明力や法的責任がある
  • 複数社に依頼を行う手間を省ける

不動産鑑定士が行った不動産鑑定は公的証明力や法的責任があるため、鑑定結果の信ぴょう性は査定結果よりも高いと言えます。不動産相続や離婚の財産分与など、後のトラブルを回避するために不動産鑑定を利用するケースもあります。

また、不動産査定のように複数の不動産会社に査定を依頼する必要がなく、複数社に依頼する手間を省けるのもメリットと言えるでしょう。

3-2.不動産鑑定のデメリット

不動産鑑定には、以下の2つのデメリットが挙げられます。

  • 不動産鑑定には費用がかかる
  • 鑑定結果が出るまでに時間がかかる

不動産鑑定士は不動産鑑定を行うことによって収入を得ています。依頼する不動産鑑定士や物件の規模によって報酬の設定が異なりますが、1回の不動産鑑定に対する報酬は20~40万円程度となります。

不動産鑑定士が行った鑑定結果には、公的証明力や法的責任があります。しっかりと調査や分析を行いながら鑑定結果を出すため、鑑定結果が出るまでに2週間~1ヶ月程度の時間がかかります。

4.不動産査定と不動産鑑定の選び方

不動産査定と不動産鑑定は同じく不動産の価格を知る手段となりますが、その内容は大きく異なるため、目的によって使い分けることが大切です。

不動産売却のために不動産価格を調査するのであれば、不動産を早く・高く売却するためにも、不動産査定が無料でスピード感のある不動産査定が適していると言えます。

不動産査定と同時に売却を依頼する不動産会社の比較にもなるため、効率良く売却活動に移行することが可能です。

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一方、以下のケースに該当するような場合は不動産鑑定を検討してみましょう。

  • 相続税を軽減するための証拠資料を作成する場合
  • 賃料改定のための裁判を行う場合
  • 相続財産の分割がスムーズに進まない場合
  • 銀行融資の担保価値を証明する場合

上記のように不動産鑑定はできるだけ正確な不動産の価値を求められる特殊なケースで用いられます。不動産鑑定には費用がかかり、不動産の売却をそのまま依頼することもできないため、売却目的で不動産鑑定が用いられるケースは限定的と言えます。

しかし、病院やホテル、ゴルフ場などの特殊な不動産は、これまでの取引実績がないため、適正価格を判断することが難しいケースでは、不動産査定ではなく不動産鑑定の方が良いこともあります。状況に応じながら選び分けることが重要と言えるでしょう。

まとめ

不動産売却を成功へと導くためには、適正な売出価格で不動産を売却する必要があります。適正な売出価格を決める方法として不動産査定と不動産鑑定の2つの方法がありますが、何がどう違うのか分からない人が多いと思います。

不動産査定は無料で依頼できる、すぐに査定結果が出るのが特徴です。一方、不動産鑑定は鑑定依頼に費用がかかる、鑑定結果が出るのに時間がかかるという違いがあります。

一般的な不動産の売却には不動産査定が適しています。一方、不動産の正確な価値を求める必要がある、病院やホテルといった特殊な不動産を売却する場合には不動産鑑定が良いと言えます。

状況によって適切な選択肢が異なるため、どのような目的で不動産の価格を知りたいのかよく理解してから選びましょう。

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矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。