当たれば大きい?新興株、IPO株、未上場株の投資リスクを軽減する方法

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株式投資と言えば、多くの人がイメージするのは東証プライム上場株式への投資でしょう。しかし株式投資の中でも、配当には殆ど期待できないものの、株価値上がり時に大きな売却益を得ることを目的とした「ベンチャー投資」と言われる投資があることをご存じでしょうか。

今回は、ベンチャー投資の基本的な知識と種類、投資リスクを軽減する方法について、ご説明していきます。

目次

  1. ベンチャー投資の種類
  2. 新興株
  3. IPO株
  4. 未上場株
    4-1.流動性リスク
    4-2.信用リスク
    4-3.リスク軽減方法
  5. まとめ

1.ベンチャー投資の種類

ベンチャー投資には、上場・非上場企業への2種類の投資があります。上場しているものは新興株、非上場のものは未上場株、これから上場するものをIPO株と呼びます。投資リスクとしては、小さい方からIPO株→新興株→未上場株となります。以下に、それぞれの特徴と投資リスク軽減方法を解説していきます。

2.新興株

「新興市場」とは、新興企業(ベンチャー企業)が多く上場している東京証券取引所の「マザーズ」や大阪証券取引所の「ジャスダック」などの総称として使われる言葉です。新興市場に上場している銘柄を新興株といいます。上場の基準も東証一部と違って甘く、小さい企業が多くなってきます。企業として発展途上である場合が多いので、将来高い成長が期待できる反面、業績の安定面には不安がある場合も多く、株価の変動が大きくなりやすいところが、投資する際のリスクとなります。

会社ができて間もないとか、ネット関係やハイテクの会社などは、会社の口座にまだそんなにお金は貯まっていませんが、新興市場では人気や期待値が先行し、株価が急騰してしまっていることがあります。これから成長するのでは?と期待される会社ほど、会社本来の価値と株価の乖離が大きくなってしまうのです。こういう株に投資をしてしまうと、当初予想と全く違っていたなんていうことにもなりかねません。

そういう時の対処法の一つとして、BPSという考えがあります。会社にとっての純粋な資産を1株あたりで計算するといくらになるのか?という考え方です。この場合の純資産とは、貸借対照表において資産から負債を差し引いたものを指し、負債によって一時的に増えているように見えるものではありません。

新興株の場合、このBPSと、実際の株価が10倍以上も差が開いてしまっている会社がたくさんあります。株価がBPSを大きく上回ると割高、大きく下回ると割安と判断できるので、売買をする際の一つの指標として用いることができます。

大きく上回っているということは、それだけ期待されているということではあるのですが、将来の期待されていたビジネスが失敗すると、このBPSの数字まで株価が戻ろうとします。従って、このBPSを基準に割安なものを選択しておけば、大きな損失は回避できるでしょう。

以上を感覚的な言葉にすると、上場時に期待が先行し過ぎて高値をつけ、その後は業績が伴わず売り叩かれたが、社長の考え方も組織も柔軟で、技術があり、世の中のトレンドと合えば一気に流れに乗っていけそうな期待が持てる株ということになります。

※BPS(Book-value Per Share):「1株当たりの純資産」と訳される。計算式は、BPS=純資産÷発行済株式総数。企業の財務分析をするにあたって、BPSは会社の安定性を判断する際に用いられる。BPSの数値が高ければ高いほど安定性の高い企業と評価することができ、反対にBPSの数値が低ければ低いほど安定性を欠く企業と見ることもできる。

3.IPO株

IPOとは、「Initial(最初の)Public(公開の)Offering(売り物)」の略で、新規公開株ということです。上場が決まっていて、その直前に、上場後の株式の流動性を確保するために一般投資家に株を持ってもらう制度です。つまり上場直前の未上場株を購入できる機会ということになります。

投資の仕方は、証券会社に買い付け予約を行い、抽選で当たれば購入できます。IPO株は上場日に付く初値で売ると利益が出る可能性が高く、投資家に人気です。例えば、抽選に当選し上場前に購入した公募価格と上場後の初値を比較して、初値が高くなっているケースは約90%に登ります。

数値だけで見ると上場後に株価が下がる公募割れ(=損失)になるリスクはIPO全体の10%ということになりますが、抽選に応募する株をしっかり見極めることで、リスクはもっと低く抑えることができます。以下に主なチェック項目を紹介します。

  • 公募株(企業が新しく発行する株式)の割合が大きい
    調達資金が企業に入るので、設備投資や人材育成、新たなサービスなど資金の活用が期待されます。
  • 売出株(既存株主が市場に出す株式)の割合が小さい
    既に株式を保有している株主が、株を売るのでその資金は株主に入ります。企業には資金がまわらないので、売出株の割合が大きいと人気が出ません。
  • 公募株数と売出し数の2つを合わせた公開株数(当選数)が少ない
  • 将来性が高い事業・業種
  • ロックアップ条件あり
    ロックアップとは大株主に対して、条件をつけて上場後すぐに売却できないようにする仕組みです。大株主は上場後にすぐに株を売れないため、需給が安定します。

ただし、IPOは抽選に当選する確率は非常に低くなっていますので、狙った通りに投資ができるものではない点には注意が必要です。

4.未上場株

未上場株への投資は上記2つに比べてやや特殊であり、特有のリスクも孕みます。以下で解説します。

4-1.流動性リスク

未上場株については株式市場では購入することができません。未上場株を取得するには、通常は株式保有者と直接交渉をする必要があり、個人投資家にとって容易なことではありません。また、やっと取得できたとしても、会社の実態が悪化しそうだということで株を手放そうとする際には、未上場株の証券市場がないので、買い手を探すことが大変難しいのです。

未上場株へ投資をする方には、売買目的というよりは、株主として積極的に企業の経営をサポートすることが期待されます。つまり人脈的なメリットのある人や、特定の分野への知見のある人に株を持ってもらい、仲間として事業を運営していくことを求められるのです。逆に言うとそのようなメリットを提供できない人は、そう簡単に株を持たせてもらうことは出来ません。

4-2.信用リスク

未上場企業は一般的に会社規模が小さく、上場企業に比べて信用が低い傾向にあります。また、株式公開予定の延期や倒産などにより、投資元本を大幅に下回ることや、全額を失うリスクがあります。

4-3.リスク軽減方法

このようなまだ名も知られていない創業間もない未上場企業への投資を行う中には、その企業が参入している分野に精通した知識があり、世に出している商品が優れているかどうかを見極める力がある「エンジェル投資家」と言われる人達もいますが、一般個人ではエンジェル投資家と同様の投資はなかなか難しいものです。

一般投資家が、比較的簡単に未上場株へ投資したいのであれば、ファンドを活用するのが有効です。流動性が低く、分析も難しいデメリットのある未上場株を直接取得するのではなく、プロが運営するベンチャーファンドに出資するという間接的な方法でそのリスクを回避することができます。

具体的には、ファンディーノなどの株式投資型クラウドファンディングといったサービスがあります。エンジェル投資家と呼ばれるほどの事業実績と知識、まとまった現金や人脈は有していないものの未公開株に投資したいという場合には、このようなサービスを利用するのが現実的です。

まとめ

未上場株への投資は小口とはいえハイリスク・ハイリターン投資です。宝くじを買うように、最悪の場合は投資した資金を全て失う覚悟が必要です。

新興株は、未上場株とは違い、一旦上場審査基準をクリアして上場しています。この中から将来の大企業が出てくる可能性があります。まだ世の中に認められていない確かな技術を持っている割安株を探し出す楽しみがあります。

最後に、IPO投資は利益を得られる可能性が統計的に高いのが魅力ですが、当選確率はかなり低くなっています。IPOする企業はあらかじめ上場するスケジュールを公表するので、証券会社のIPOのページから申込スケジュールを見て積極的に応募してみてもいいでしょう。抽選にはずれても買付資金がなくなるわけではありませんし、運よく抽選に当たれば、IPO時に大きな利益を得られる可能性があります。

それぞれのリスクを考慮した上で、投資を検討してみて下さい。

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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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