固定資産税、併せて納付する都市計画税を何らかの事情で払えず滞納してしまった場合、家を売却する事はできるのでしょうか?
家を差し押さえられてしまった時は管轄の役所で相談を行い、差し押さえを解除してもらうことで売却は可能です。また差し押さえられていない際も、固定資産税・都市計画税の納付または役所で相談する必要があります。
この記事では固定資産税・都市計画税を滞納した時に起こること、滞納した家の売却について、家の売却方法と分割納付の注意点を解説していきます。
目次
- 固定資産税・都市計画税を滞納するとどうなる?
- 固定資産税・都市計画税を滞納した家を売却する事はできる?
2-1.家を差し押さえられていない場合
2-2.家を差し押さえられている場合 - 売却活動の方法
- 固定資産税を分割で納付する際の注意点
- まとめ
1.固定資産税・都市計画税を滞納するとどうなる?
固定資産税・都市計画税は地方税で年4回支払う事になっていますが、納期内に納付されなかった場合は税金に加え延滞金がかかってしまいます。
事例として、東京都での延滞率は以下の通りになっています。
- 期限の翌日から1ヶ月以内:2.6%
- 期限の翌日から1ヶ月超:8.9%
※東京都主税局「延滞金について」を参照(2020年11月時点)
例えば50万円を1年滞納した場合、約4万5千円の延滞金がかかり、5年経つと22万円以上を支払わなくてはいけません。
その後自治体から督促状や納付催告書が届いても滞納を続けると、給与や不動産・有価証券といった財産が差し押さえられる事態に発展してしまいます。
督促状または納付催告書を発した日から10日以内に差し押さえが可能となりますので、速やかに対処しましょう。
それでも税金を納めなかった場合、差し押さえる財産の調査や滞納者の身辺調査が行われます。差し押さえる財産の対象は給与・自動車・不動産など様々ですが、事情を考慮した上で問題ない場合は滞納者の申し出が通るケースが存在します。
差し押さえられた財産は、競売のようにオークション(公売)にかけられてしまう可能性があります。東京都主税局では「公売情報」を公開しており、車や不動産等が「Yahoo官公庁オークション」で落札されています。
ただし税金はあくまで法律に則り徴収されるもので(租税法律主義)、国民の財産権の侵害にならないよう設定されています。
そのため現状としては公売の件数は多くありませんが、税金を滞納した際は差し押さえられ公売に出される可能性がある事を念頭に置いておきましょう。
固定資産税の滞納に気づいた際は、早目に支払う、支払いが困難な場合は役所に相談し減免・分割払いをお願いする等迅速な対処を心がけましょう。
2.固定資産税・都市計画税を滞納した家を売却する事はできる?
固定資産税・都市計画税を滞納した家を売却する事は可能です。ただし、家を差し押さえられた場合と差し押さえられていない場合で手順が異なります
2-1.家を差し押さえられていない場合
売却は可能ですが、税金を滞納し続けると差し押さえられる可能性があります。
早めに役所に向かい、固定資産税・延滞金を支払った後に売却手続きを行うかなどの相談をしてから売却手続きを行いましょう。
売却活動の途中で差し押さえられてしまうと、解除手続きが必要となりますので早めに対処しましょう。
2-2.家を差し押さえられている場合
家を差し押さえられた際は、役所に相談して差し押さえを解除してもらう必要があります。差し押さえられた物件は不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)に「差押」と記載されますので、購入希望者が物件の登記簿謄本を見た時に分かってしまいます。
滞納分の税金を支払う事で解除されますが、支払いが困難である場合は分納で支払う、事情を説明して交渉することで解除して貰える可能性があります。
ただし自治体によって対応が異なり、「差押の対象となった税金、督促手数料、延滞金、滞納処分費のすべてを完納すれば解除する」と明記している自治体も存在します。
現金化や保管が容易な財産(預金や有価証券等)を提供した時には解除される可能性がありますが、その場合は差し押さえられた財産の売却代金によって税金や延滞金等が支払われる形になります。
3.売却活動の方法
不動産の売却方法は、主に下記3つの方法があります。
- 不動産会社に仲介を依頼して売却
- 不動産会社に買取をしてもらう
- 任意売却を行う
何らかの事情で固定資産税を納めていない世帯では、固定資産税に加え住宅ローンを滞納しているケースが少なくありません。住宅ローンの返済が滞ると最終的には家が競売にかけられ立ち退きを要求されてしまいますので、金融機関に早めに相談しましょう。
税金と住宅ローンを支払える見込みがある場合は3つの方法が可能ですが、金銭的に厳しい状況では任意売却による売却を検討してみましょう。
任意売却は金融機関や保証会社などの債権者が売却価格に納得した際に検討できる売却方法です。これを利用することで、不動産の売却代金だけではローンの残債を支払いきれない時でも抵当権(不動産を差し押さえる権利)を外してもらうことができます。
【関連記事】不動産の任意売却とは?メリット・デメリットや売却手順を解説
自宅が差し押さえられている際でも売却・任意売却は可能ですが、税金は完納する必要があり、売却代金から差し引かれるケースもあります。家の売却代金でローンの残債を賄えない場合は、金融機関と相談して残った債務を支払う事になります。
また、税金やローンの滞納が起きている状況では、上記3つのどの方法を選ぶ場合でも「不動産をできるだけ高く売る」「できるだけ早く売る」という2つの視点が重要になります。
不動産一括査定サイトを活用して複数の不動産会社へ査定を依頼し、査定価格や売却期間、査定の根拠を比較しておくことも検討してみましょう。
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【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧
4.固定資産税を分割で納付する際の注意点
固定資産税を分割で納付している時でも、場合によっては財産が差し押さえられる可能性があります。
なぜなら税金の分割納付はあくまで金銭的に困窮した方のための例外的な措置であり、本来は一括で納付する義務があるからです。
そのため分納中であっても延滞金は発生し、督促状が送付される場合があります。また分割納付中でも財産調査を実施する事があり、税金に充てる事が出来る財産が発見された際は財産の差押えや現金化を行い、滞納された税金に充てる可能性があります。
自治体によって対応は異なりますが、ホームページに上記の旨を明記している市町村がありますので、「分納はあくまで例外的な措置」としてとらえ、財産がある場合は早目に現金化して税金として納付しましょう。
まとめ
固定資産税・都市計画税を滞納している家を売却する事は可能ですが、最終的に税金を完納する事が必須となります。
家を差し押さえられていない時は、差し押さえられる可能性がありますので税金を完納するか役所に相談しましょう。差し押さえられている場合でも、同様の対処を行った後差し押さえを解除してもらう必要があります。
役所で相談した結果、分割で納付する事が認められた際でも延滞金は発生し、税金に充てられる財産が差し押さえられる可能性があります。可能な限り、早めの納付を心がけましょう。
田中 あさみ
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