不動産を売るのが初めての方へ。売却の手続きや流れを分かりやすく解説

不動産は株式などと異なり、何回も売買を繰り返すものではありません。そのため、不動産の売却が初めてで、何から始めればいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか?

何も知らずに不動産の売却を進めた場合、想像していた価格よりも大幅に安くなる可能性もあるため、手順を理解してから売却した方が良いと言えます。

そこで今回は、不動産を売る手続きが分からない方に向けて、不動産を売却する手順を分かりやすく解説していきたいと思います。

目次

  1. 不動産を売却する理由を整理する
  2. 不動産を売却するための8つの手順
    2-1.不動産の売却に適した時期を検討する
    2-2.不動産価格の相場を調べる
    2-3.不動産会社に査定を依頼する
    2-4.売買を仲介する不動産会社を決める
    2-5.不動産の売出価格を決定する
    2-6.売却活動を進める
    2-7.不動産売買契約を締結する
    2-8.不動産を引き渡す
  3. 不動産は売却完了までに数ヶ月単位で時間がかかる
  4. 急いでいる場合には不動産の買取も視野に入れる
  5. まとめ

1 不動産を売却する理由を整理する

不動産の売却を検討している方の理由は様々です。例えば、マンションを購入したものの、購入後に家族が増えた、または子供が成長して手狭になったのでより広い家に住み替えたい、子供が独立して広い家である必要がなくなったのでコンパクトな家に住み替えたい、などです。

そのような理由の場合は、現在の住まいを売却して住み替えた方が良いと言えますが、売却理由が転勤で現在の住まいが気に入っているケースなどでは、売却が必ずしも正しい選択肢と言えない可能性もあります。

たとえな、売却をせずに賃貸用として貸し出せば、転勤から戻ってきた時に再度住み続けることが可能です(※住宅ローンで購入した方で完済をしていない場合、賃貸をするには金融機関に相談が必要です)。

このように、売却に入る前にまずはどのような理由で売却を検討するに至ったのかを考えるほか、売却以外の選択肢が他にないのか考えてから行動に移した方が良いと言えるでしょう。

2 不動産を売却するための8つの手順

不動産の売却は意外と多くの手順を踏む必要があります。そのため、少しでも円滑に進めるためには、以下の8つの手順を理解してから行動に移すことが重要です。

  1. 不動産の売却に適した時期を検討する
  2. 不動産価格の相場を調べる
  3. 不動産会社に査定を依頼する
  4. 売買を仲介する不動産会社を決める
  5. 不動産の売出価格を決定する
  6. 売却活動を進める
  7. 不動産売買契約を締結する
  8. 不動産を引き渡す

それぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。

2-1 不動産の売却に適した時期を検討する

1つ目の手順は、不動産の売却に適した時期を検討することです。売却の理由が転勤などの場合には、自由に売却時期を決められない可能性が高いですが、広い家に住み替えたい、コンパクトな家に住み替えたいなどの理由の場合には、ある程度売却時期を自由に決定できます。

例えば2019年5月時点において、東京では好調なインバウンドや2020年東京オリンピックに向けた再開発や宿泊施設の建設ラッシュなどを背景に地価は依然高い水準にあるため、売るのに比較的適した時期だと言えます。

また、より1年の中で売却の時期について考える場合、進学や転勤などで生活環境が変わりやすい年度の変わり目である4月に向けて、1~3月も売却に適した時期となります。新生活に向けて、1年の中で高い需要が期待できるため、速やかに買い手が見つかりやすいだけでなく、より高く売れる可能性も高いと言えます。

そのため、「いつでも売却すればいい」というものではなく、需要が高い時期がいつなのか、価格相場がどうなっているのか調べておくなど、事前に準備しておくことが重要と言えるでしょう。

2-2 不動産価格の相場を調べる

2つ目は不動産価格の相場を調べることです。事前に不動産価格の相場を調べておくことで、「いくらでなら売る・売らない」という売却のラインを決めやすくなります。

不動産価格を調べる方法には、国土交通省が公表している地価公示や不動産価格指数、都道府県地価調査などを利用して調べる方法や、不動産ポータルサイトなどを使って似たような物件がいくらで取引されているのかを調べる方法などが挙げられます。

もし相場を調べ終えた時点で不動産価格の相場が下がっている場合には、これ以上下がらないうちに早めに売る、もしくは無理に売らずに5年後・10年後に再度上昇するのを待つ、という選択肢をそれぞれ検討しましょう。

また、住み替える場合には、新しい住居を購入する際の資金をどれだけ確保できるかの参考にもなるため、不動産価格の相場を確認しておくことを忘れないようにしましょう。

2-3 不動産会社に査定を依頼する

3つ目は不動産会社に査定を依頼することです。上記の相場調査は、売却予定の物件に似た物件がいくらくらいで取引されているのかを把握するだけで、物件そのものの売買価格が分かるわけではありません。

似たような物件でも、グレードの違いで価格に大きな差が生じることもあるため、この3つ目の手順では物件そのものの価値を把握するために不動産会社に査定を依頼することになります。なお、査定には、机上査定と実査定の2種類があります。

机上査定とは、不動産会社がこれまで取引した過去の経験などから、おおよその査定価格を算出する方法です。すぐに査定結果が出る一方、内装などを確認していないため、正確性に欠けるのが特徴です。

実査定(訪問査定)とは、物件に足を運んで内装の劣化状況や周辺環境などを査定結果に反映する方法です。査定結果が出るまでに時間がかかる一方、正確性が高いのが特徴です。不動産会社で査定結果に多少の違いがあるため、依頼する際は複数の不動産会社に査定を依頼した方が良いと言えます。

複数の不動産会社に査定を依頼すると一口に言っても、1社1社に足を運ぶのは効率的とは言えません。そこで活用できるのが「すまいValue」などの不動産一括査定サービスです。不動産一括査定では、1度に多くの不動産会社から査定結果を得られるため、効率良く査定できるでしょう。

2-4 売買を仲介する不動産会社を決める

査定が完了したら、次は売買を仲介する不動産会社を決めることが必要です。仲介する不動産会社によって円滑に契約が成立するかどうか、高く売れるかどうかが大きく異なってきます。そのため、営業力が高い不動産会社かしっかりと確認しておくことが重要です。

不動産会社との契約方法は、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3つに分類されます。大きな違いは「自分で買い手を見つけた場合の扱い」「複数の不動産会社に依頼できるか」「報告義務があるか」「レインズへの登録義務があるか」です。

レインズは全国の不動産情報が掲載されているサイトであるため、登録された場合にはより円滑に買い手が見つかる可能性があります。どの不動産会社に依頼するか、どの契約方法にするかをしっかり考えてから依頼しましょう。

2-5 不動産の売出価格を決定する

5つ目の手順は不動産の売出価格を決定することです。査定結果は、「このくらいであれば買い手が付くかな」という価格であるため、絶対に従わなくてはならないというものではありません。そのため、売却希望者は査定結果に基づいて、自分の好きな売出価格を決定することが可能です。

しかし、自分の好きな売出価格に決定できると言っても、周辺の価格相場から大幅に逸れている場合は、買い手がなかなか現れない可能性が高いと言えます。そうなると、売れ残りの物件という印象を与えるため、適度な売出価格にすることが重要です。

そのため、買い手は「もう少し価格を下げられないか?」と値段の交渉をしてくるケースが多いため、それを想定して査定結果に少し上乗せする程度にしておくのが無難と言えるでしょう。

2-6 売却活動を進める

不動産会社と売出価格を決めた後は、いよいよ売却活動を進めていきます。売却活動を進めていく中で、すぐ購入希望者が現れたとしても売買契約に移るまでには時間がかかる可能性があります。

例えば、購入希望者の値下げに応じるかどうか、修繕してから引き渡すかどうかなどの調整があるからです。売却を急いでいない場合には、より好条件を提示してくれる購入希望者が現れる可能性もあるため、無理をする必要はありません。

しかし、売却を急いでいる場合は、この交渉をどう乗り切るかが大きなカギとなってきます。譲れる点と譲れない点を明確にするだけでなく、譲れるのであればどこまで譲れるのかを事前に明確にしておくと、円滑に売却活動を進めやすいと言えるでしょう。

2-7 不動産売買契約を締結する

買主との交渉が完了したら、仲介に依頼して不動産売買契約を締結することになります。売買契約を締結する際は、売買契約書の読み合わせや押印、手付金の授与といった手続きをするため、あらかじめどのような書類や物が必要になるのかを確認しておくことが重要です。不動産の売買契約で必要な物は以下の5つです。

  • 実印
  • 印鑑証明
  • 権利証または登記識別情報通知書
  • 本人確認資料
  • 印紙代

印紙や印鑑証明などはすぐ準備できるものではなく、役所などに足を運んで準備する必要があるものです。特に準備に時間がかかるものではありませんが、なるべく早めに準備しておいた方が良いでしょう。

2-8 不動産を引き渡す

最後の手順は不動産の引き渡しです。購入希望者と売買契約を締結したことで不動産を売る手続きが終わったと思った、という方もいるかもしれませんが、厳密には不動産を引き渡してようやく売る手続きが終了します。

売買契約を締結した時と同様、書類や物が必要になるため、何が必要か事前に確認しておく必要があります。以下が、不動産の引き渡しで必要な物となります。

  • 実印
  • 印鑑証明
  • 権利証または登記識別情報通知書
  • 本人確認資料
  • 固定資産税・都市計画税納税通知書
  • 管理費・修繕積立金の額の確認書
  • 住民票
  • 固定資産税評価証明書
  • パンフレット・管理規約・使用細則
  • 抵当権抹消書類

司法書士に登記手続きを依頼するために、一部売買契約の時と同様の書類や物を準備する必要があります。マンションの場合には、パンフレットや管理規約とった戸建住宅と異なる書類や物を準備する必要があるため、事前にしっかり準備しておきましょう。

なお、これらの書類については、基本的に仲介会社から指示があるため、それに従って準備をすると良いでしょう。

3 不動産は売却完了までに数ヶ月単位で時間がかかる

不動産の売却には数ヶ月単位で時間がかかるケースが多いため、逆算して売却活動を進めていく必要があります。

例えば、不動産会社に仲介を依頼するまで約2週間、買い手が見つかるまで約1~3ヶ月、売買契約を締結するまで約1~2週間、決済やローン審査の結果が出るまで約1~2ヶ月、引き渡しまで数週間かかります。これらを合計すると、売却が完了するまでに約6ヶ月の期間を要することになります。

立地条件の良い物件などは、すぐに購入希望者が見つかって2ヶ月程度で売却が完了するケースもありますが、なかなか見つからないと完了まで1年以上かかるケースもあります。そのため、「すぐ売買が成立するもの」と思わずに、計画的に売却を進めていきましょう。

4 急いでいる場合には不動産の買取も視野に入れる

転勤などで不動産をすぐ売却しなければならない方の中には、「数ヶ月も待てない」という方も多いと思います。

売却を急いでいる方の場合には、購入希望者が現れるまでひたすら待つのではなく、不動産会社に買取を依頼するのも1つの選択肢と言えます。不動産会社の買取の場合には、購入希望者が現れるまで待たずに済むため、スムーズに売却を完了できるのが魅力です。

しかし、不動産会社による買取は全ての不動産に対応しているわけではありません。また、買取価格は、相場よりも約20%またはそれよりも低い価格での買取になる可能性があることを理解した上で依頼しましょう。

5 まとめ

不動産の売却を検討している方には様々な理由が挙げられますが、売却だけが選択肢ではありません。売却の理由によっては、賃貸用として貸し出すことも選択肢に含まれるため、まずは売却理由が何なのかを確認することが重要です。

また、「不動産の売却はすぐに終わる」と思っている方もいるかもしれませんが、完了まで6ヶ月程度を要することも多いため、手順をしっかりと確認して事前に準備しておくことが重要です。

どうしてもすぐ売却を完了させなければならない場合には、不動産会社の買取を選ぶのも選択肢の1つです。しかし、買取は全ての不動産が対応しているわけではなく、買取価格も市場より安くなるのが一般的であるため、なるべく最終手段として取っておく方が良いと言えるでしょう。

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矢野翔一

矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。