不動産売却時に知っておきたい媒介契約と売買契約の仕方、注意点

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不動産売却の仲介を依頼する際には、媒介契約や売買契約など、物件の引き渡しが完了するまでに何種類かの契約が関わってきます。不動産は金額が高い取引になりますので、どの契約の際もミスのないように慎重に行うことが大切です。

今回は物件の売却時にあらかじめ知っておきたい、不動産会社と締結する媒介契約と、買主と交わす売買契約について、その手順と注意点を解説いたします。

目次

  1. 不動産売却の方法
    1-1.仲介で不動産を売却する
    1-2.買取で不動産を売却する
  2. 仲介で不動産を売却する際の媒介契約の種類
    2-1.一般媒介契約
    2-2.専任媒介契約
    2-3.専属専任媒介契約
  3. 不動産売却時に作成する書類
    3-1.不動産売買契約書
    3-2.重要事項説明書
  4. 不動産売買契約に必要な書類
  5. 契約から引き渡しまでの流れ
  6. 瑕疵担保責任に注意
  7. まとめ

1.不動産売却の方法

物件を売却する際は、仲介と買取の2種類の売却方法があります。それぞれどのようなものかを見てみましょう。

1-1.仲介で不動産を売却する

仲介は不動産会社が売主と買主の間に立ち不動産取引の仲介をする売却方法です。売主に仲介を依頼された不動産会社は募集広告を出し買主を募集します。仲介を依頼する際に、売主は仲介する不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約には一般媒介契約と専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類の契約方法があります。

仲介では後述の買取に比べ売却価格を高く設定できるメリットがありますが、募集広告を出して買い主からの問い合わせを待つため、長期間売却できないケースもあり、急いで売却をしたい方にとっては売却できない期間が続きかねないことがデメリットになります。

1-2.買取で不動産を売却する

不動産会社が直接物件を買い取る方法を買取と言います。買取の際は重要事項説明書と売買契約書を作成する必要があります。

買取価格は一般的に仲介で売却する際の価格より20%から30%は安くなります。しかし、査定後すぐに買い取ってくれる不動産会社もありますので、現金化を急いでいる方にはその点がメリットになります。

2.仲介で不動産を売却する際の媒介契約の種類

買取では不動産会社と売買契約を締結し、引き渡しが済めば売却は完了します。一方、仲介の場合は不動産会社に依頼する段階でまず媒介契約を締結する必要があります。媒介契約には3種類の契約方法がありますので見てみましょう。

2-1.一般媒介契約

一般媒介契約では、売主は複数の不動産会社に仲介を依頼することができます。不動産会社が発見した買主の中から自分で選んで契約することもできます。また、自分で親せきや知り合いなどから買主を探してきた場合、不動産会社を通さずに契約することもできます。

2-2.専任媒介契約

売主は専任媒介契約をした1社にしか仲介を依頼することができません。買主が自分で探してきた買主とは不動産会社を通さずに契約することができます。依頼を受けた不動産会社には定期的な販売活動の報告義務と指定流通機構へ物件情報を登録する義務が発生します。

2-3.専属専任媒介契約

専任媒介契約と同じように1社にしか仲介を依頼することができません。また、売主が自分で探してきた買主との契約も、依頼した不動産会社を仲介して行わなければいけません。専任媒介契約と同じように定期的な販売活動の報告義務と指定流通機構へ情報を登録する義務が発生します。

一般媒介契約は複数の不動産会社に依頼できるため幅広く募集ができますが、不動産会社としては他の不動産会社で仲介が決まった場合は営業活動が無駄になりますので、優先順位が落ちる可能性があります。

専任媒介契約と専属専任媒介契約は一社だけにしか依頼を行いませんので募集範囲が狭くなりますが、不動産会社としては営業活動が無駄になる可能性がありませんし、販売活動を報告しなければならない縛りもあります。そのため販売活動を積極的に行ってくれる可能性があります。

どの契約方法にするかは、個別の対応になってきますので、事前に各契約の特徴と良し悪しを把握した上で決めることが大切です。以下に契約方法の特徴を表にしたものを記載いたしますので確認しましょう。

項目 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
複数の不動産会社への依頼 × ×
自分で見つけた買主との単独契約 ×
指定流通機構への登録義務
販売活動の報告義務
契約期間 規制は無し 3ヵ月以内 3ヵ月以内

3.不動産売却時に作成する書類

不動産会社が募集広告を出したことで買主が決まり、売買を行う際には、売買契約書と重要事項説明書を作成します。それぞれどのようなものかを見てみましょう。

3-1.不動産売買契約書

売買契約書には、売主がどのような物件を買主に売却し、仲介した不動産会社がどこであるか、などということが謳われています。具体的には以下のようなことや、その他細かい情報などが記載されています。

  • 売主と買主の情報
  • 仲介会社の情報
  • 物件概要
  • 売却価格や手付金・残代金の規定
  • 融資に使う金融機関名
  • 所有権の移転と引き渡しの時期
  • 物件の欠陥に対する責任の規定(瑕疵担保責任)

なお売買契約書には署名捺印をする以外に、売買価格に応じた金額の収入印紙を貼るようになっています。

3-2.重要事項説明書

重要事項説明書には、物件に関する事項や取引条件に関する事項とその他の事項の3つの内容が記載されています。不動産会社は、売買契約締結までに買主に重要事項の説明をしなければならないことが法律で定められています。

重要事項説明書は宅地建物取引士が交付し口頭で説明を行います。買主は重要事項説明書の内容の説明を受け売買を継続するか辞めるかの選択をすることになりますので、とても重要な書類になります。

4.不動産売買契約に必要な書類

不動産売買契約には様々な書類が必要になります。大きく分けると本人を確認できる書類、権利を確認できる書類、物件を確認できる書類の3パターンの書類が必要になります。

以下にマンションを売却する場合に必要な書類をまとめてみました。状況によって不要な書類もありますので、契約の際は個別に確認するようにしましょう。

目的 書類
本人確認のために必要なもの 住民票、印鑑証明書、実印など
権利確認のために必要なもの 登記済権利書または登記識別情報など
物件確認のために必要なもの マンションの管理規約、管理費や修繕積立金に関する書類、耐震診断報告書、固定資産税納税通知書、ローンに関する書類など

5.契約から引き渡しまでの流れ

重要事項説明を受け、契約書を作成しても、購入代金の支払いと登記が行われるまでは不動産売買が終わったとは言えません。

引き渡し日には、買主から売主に売買価格から手付金を引いた残金が振り込まれます。その後、一般的に売主は振り込まれた資金からローンの残債を完済します。同時に司法書士が抵当権抹消登記と所有権移転登記を行い、この時点で引き渡しが完了したことになります。
 

6.瑕疵担保責任に注意

引き渡し後の物件の所有権は買主にありますので、物件で何か問題が起きても基本的には買主が対応しますが、引き渡しから一定期間内の瑕疵担保責任は原則として売主が負わなければいけません。

瑕疵とは簡単には発見できない欠陥や不具合のことを言います。売主が欠陥部分に対する修繕などの責任を負わなければならない期間は契約によって定められ、一般的には引き渡し後2,3ヵ月以内となっています。主な瑕疵には給排水管の故障や漏水、騒音や臭気などが考えられます。

いざという時に慌てないように、引き渡しが終わった後でも瑕疵担保責任があるということを知っておきましょう。また、瑕疵担保責任が発生した時に支払われる保険がありますので、加入しておくことも検討しましょう。

なお、古い物件を売却する際は、瑕疵が多いことが予想され売主の負担が大きくなってしまうことから、「瑕疵担保責任を負わない」という契約内容にすることが一般的です。不動産会社と話し合い、瑕疵担保の取り扱いを事前に決めておきましょう。

まとめ

不動産の契約書には専門用語が多く使われていますし、法律に沿って作成されていますので、読んでもわかりにくい部分も多いのですが、契約書や重要事項説明書にはどういったことが書いてあるのかを知っているだけでも契約時の理解が違ってきます。必要書類も「何のために揃えるのか」を確認することで、取り間違えるミスを極力防ぐことができるでしょう。

また、売買契約を締結した段階では、まだ物件は引き渡されてはいません。土壇場で焦ってしまったり、万一のトラブルを避けるためにも、引き渡しまでの流れを事前に理解しておくことも大切です。

物件売却時には契約の流れや必要な書類をしっかり確認して、手続きがスムーズに行われるようにしましょう。

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西宮光夏

不動産会社での勤務や、所有している不動産運用の経験をもとにHEDGE GUIDEでは不動産関連記事を執筆しています。現在は主にふるさと納税の記事を担当しています。ふるさと納税記事では、地域の人たちが心を込めて提供する返礼品の素晴らしさを、少しでも多くの人にお伝えできればと思っています。