【会社員・公務員向け】問題を起こさずに不動産投資を行うための3つのポイント

会社勤めのサラリーマンとして、または公務員として働いている方の中には、「不動産投資をしたい」と考えている方もいるかと思います。しかし、公務員は副業が禁止されている、また会社によっては就業規則で副業が禁止されているため、不動産投資はできないと心配している方もいるのではないでしょうか?

そこで今回は、会社員や公務員が不動産投資を始める上で注意したいポイントについてご紹介します。

目次

  1. 会社員は本来副業をしても問題ない
    1-1.就業規則で禁止されていれば副業できない
  2. 公務員はそもそも副業が禁止されている
    2-1.国家公務員法103条
    2-2.国家公務員法104条
    2-3.地方公務員法38条
  3. 不動産投資を始めた後の住民税額の変化に注意
  4. 問題を起こさずに不動産投資を行うための3つのポイント
    4-1.投資規模を5棟10室、年収500万円以内に抑える
    4-2.副業申請して許可を貰う
    4-3.特別徴収から普通徴収に切り替える
  5. まとめ

1 会社員は本来副業をしても問題ない

会社勤めにおいて「副業は原則禁止」という印象がある方も多いかもしれませんが、実際には禁止されていないというケースも珍しくありません。憲法22条には、「何人も、公共の福祉に反しない限り、住居、移転及び職業選択の自由を有する」と記載されています。

つまり、憲法22条では職業を自由に選択できることについては触れているものの、「副業禁止」ということについては触れていないため、原則禁止されているものではありません。では、なぜ「副業は原則禁止」というイメージが生まれたのでしょうか?

1-1 就業規則で禁止されていれば副業できない

憲法22条では、職業選択の自由については触れていますが、「公共の福祉に反しない限り」という条件付きです。公共の福祉とは一体どんなものなのかと言うと、「社会全体における共通の利益」と言うことができます。

例えば、憲法では様々な権利が記載されていますが、その権利を各人が主張すると他の人の権利との衝突が生じます。公共の福祉とは、権利の衝突を防いで社会全体を良くすることを意味しています。

会社勤めのサラリーマンが収入を増やす目的で全員副業している状況では、会社の業務が疎かになってうまく回らないことが考えられます。そのため、そのような事態を防ぐために、就業規則というルールの中で副業禁止の規定を設けている会社があるのです。

そのため、就業規則で副業が禁止されていれば副業はできません。「副業=ルール違反」となって、最悪の場合には解雇される可能性があるので注意しましょう。

2 公務員はそもそも副業が禁止されている

会社勤めのサラリーマンは、就業規則で副業が禁止されていなければ、副業が理由で業務に支障が出ていない限り基本的には問題になりません。しかし、公務員はサラリーマンとは異なっていて、そもそも副業が禁止されています。以下の国家公務員法と地方公務員法の3つの条文にその旨が明記されています。

  • 国家公務員法103条
  • 国家公務員法104条
  • 地方公務員法38条

それぞれの条文の内容について詳しく見ていきましょう。

2-1 国家公務員法103条

国家公務員法103条の該当条文は以下の内容です。

職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。

つまり、国家公務員法103条では、公務員の職務と営利企業の役員を兼業、自営の兼業を禁止しています。なお報酬の有無に関係なく副業が禁止されている点に注意が必要です。

2-2 国家公務員法104条

国家公務員法104条の該当条文は以下の内容です。

職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。

国家公務員法104条では、103条が営利企業に関する副業の禁止であるのに対し、それ以外の報酬を得る兼業を禁止しているため、国家公務員は全ての副業が禁止されていると言えます。しかし、単発的に発生する講演や雑誌等への執筆で報酬が発生する場合には、定期的または継続的なものと判断されないため、許可があれば報酬を貰っても問題ないと言えます。

2-3 地方公務員法38条

地方公務員法38条の条文は以下の内容です。

職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。

つまり、地方公務員法38条では、任命権者の許可があれば副業を行うことは問題ありません。地方公務員の場合は、実際に副業や不動産投資の許可が下りるかどうかが重要になると言えるでしょう。

3 不動産投資を始めた後の住民税額の変化に注意

「副業が禁止されていても、不動産投資は管理会社に管理を依頼していれば、自身で何かをするわけではないのでバレないのでは?」と思う方もいるのではないでしょうか?しかし、副業が勤務先から指摘されるのは、不動産投資をしている現場を目撃されるケースよりも、給与天引きの住民税が原因となるケースの方が多いのです。

会社や行政に勤めている場合は、所得税(源泉徴収)や住民税、社会保険料などを控除してから給与が支払われます。不動産投資で給料以外の所得が増えると、前年の総所得に基づいて計算される住民税額に変動が出るため、利益が出ても損失が出ても、翌年には勤務先に不動産投資をしていることが分かってしまいます。

4 問題を起こさずに不動産投資を行うための3つのポイント

不動産投資に限らず、会社に副業を指摘される主な原因は、給与以外の所得が生じることによる住民税額の変化です。不動産投資で発生した損益を申告せず、総所得に計上しないという選択肢は、一見会社には分からない手段として考えられますが、脱税になってしまうので絶対にいけません。

では、所属する組織と問題を起こさずに不動産投資を始める方法はないのでしょうか?実際には、以下の3つが方法として挙げられます。

  • 投資規模を5棟10室、年収500万円以内に抑える
  • 副業申請して許可を貰う
  • 特別徴収から普通徴収に切り替える

それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

4-1 投資規模を5棟10室、年収500万円以内に抑える

実は、不動産投資には「5棟10室」という言葉があります。これが何を示すかというと、「事業的規模としてみなすかどうかの基準」です。要するに、所有・賃貸している不動産が5棟以上あるいは10室(10戸)以上であれば業とみなし、それ未満であれば業ではない、とする判断基準です。また一年間の収入(不動産所得ではないため注意)が500万円以上かどうかも基準になります。

そのため、不動産投資の規模を5棟10室未満かつ不動産収入500万円未満に抑えていれば、副業禁止のサラリーマンも公務員も、特に許可を受けることなく合法的に不動産投資を行うことが可能です。

ただし、賃貸する不動産が娯楽や集会、遊戯目的の設備を持つものであったり、宿泊施設などとして利用させたりするものの場合はこの限りではありませんので、就業規則や法律を事前に確認しておく必要があります。

4-2 副業申請して許可をもらう

不動産投資が合法にできる方法としてもう一つ挙げられるのは、真正面から勤務先に副業として申請して許可をもらう方法です。

企業が就業規則で副業を禁止する主な目的は、以下の3つです。

  • 副業の内容が同業で利害関係が生じることを防ぐため
  • 副業をすることで職務に支障が生じることを防ぐため
  • 内部機密などが漏れることを防ぐため

例えば、副業として株式投資をしている場合は、それが勤務中だと職務に支障が生じるので禁止されるケースがほとんどだと言えます。しかし、勤務時間外に行っているだけの話であれば、職務に支障が生じるとは言えないので禁止されない可能性も高いと言えるでしょう。

同様に、不動産投資で物件の管理を自分でしている場合は、勤務中の問い合わせやクレーム対応が発生した場合に職務に支障が生じるので、禁止されることになります。しかし、管理会社に物件の管理を委託している場合は、職務に支障が生じるとは言えないので禁止されない可能性が高いと言えます。

就業規則や法律で副業が禁止されている場合でも、許可があれば安心して不動産投資に取り組めるでしょう。

4-3 特別徴収から普通徴収に切り替える

会社などに副業の所得を知られたくないという場合には、確定申告時に住民税の徴収方法を、自身で住民税を納付するという「普通徴収」に切り替えれば、給与所得以外の所得を他の人に見られる可能性は少なくなります。

しかし、不動産投資で赤字が出た場合は、徴収方法を変更する以前に総所得額が低くなってしまうため、翌年の住民税が安くなり勤務先にも知られることになります。普通徴収を用いることで勤務先に不動産投資をしていることや所得を伏せることはできますが、完璧というわけではありませんので、注意が必要なポイントです。

いずれにせよ、許可が出ていない状態で本業に支障が出るような規模で副業を行っているとみなされると、注意や処分、最悪解雇などに発展する可能性もあります。できる限り許可を取ってから不動産投資を始めるようにしましょう。

5 まとめ

不動産投資は安定した家賃収入を継続して得られるため、副業として始めたいという方も多いと思います。しかし、公務員はそもそも副業が禁止されているほか、会社勤めのサラリーマンは就業規則で副業が禁止されている可能性があるので注意が必要です。

ただし、5棟10室、年収500万円以内の規模であれば許可なく不動産投資を行うことができますし、それ以上の規模である場合でも、副業許可を取れば合法的に不動産投資を行うことが可能です。

不動産投資に興味があるという方は、この記事でご紹介した知識も活かして不動産投資を始めることを検討してみてください。

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矢野翔一

矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。