元本保証される金融商品は?種類やメリット・デメリット、注意点も

投資には興味があるものの、元本割れが怖くて踏み出せないという人は少なくありません。そこで、今回は元本保証される金融商品を紹介し、そのメリットと注意点、金融ストラテジストの筆者の目線から見た、初心者の方に適した商品について説明します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 元本保証の金融商品のメリット・デメリット
    1-1.定期預金
    1-2.国債
    1-3.個人向け国債
    1-4.政府保証債
    1-5.地方債(ミニ公募債含む)
  2. 一般担保付社債
    2-1.電力債など一般担保付社債
  3. 元本保証付き金融商品の注意点
    3-1.価格変動リスクに注意
  4. 投資初心者向けの金融商品
  5. まとめ

1.元本保証の金融商品

元本保証の金融商品には定期預金、国債、個人向け国債、政府保証債、地方債などがあります。それぞれの商品の特徴、メリット・デメリットについてみていきましょう。

1-1.定期預金

定期預金は、普通預金とは異なり満期まで引き出すことはできませんが、利率が普通預金より高く設定された預金です。

例えばオリックス銀行のスーパー定期(100万円以上)は、2021年3月1日現在、1年定期が0.12%、2年定期が0.15%です。普通預金金利が0.01%なので1年物が12倍、2年が15倍の金利水準です。銀行によって利率が異なるので、事前に調べる必要があります。

  • メリット:普通預金よりも金利が高い。定期預金を担保に借入ができる。
  • デメリット:途中解約すると金利が下がる。銀行等が破綻した場合の保証額に限度がある(預金保険制度)。

※預金保険制度:銀行が破綻した場合、預金保険機構により預金者1人当たり元本1,000万円までとその利息が保証される制度です。ペイオフとも呼びます。元本が1,000万円を超える金額については保証の対象となりません。定期預金が1,000万円を超える場合には、複数の銀行に分けるようにしましょう。

1-2.国債

国債とは、国が元利金の支払いを保証した債券のことです。大きく分けて固定利付債、変動利付債があります。

固定利付債には償還までの期間が2年、5年、10年、20年、30年、40年とあります。変動金利型(利息が半年ごとに変化するタイプ)には満期が15年の変動利付国債や、満期が10年の物価連動債などがあります。国債の最低額面は5万円で、5万円単位(物価連動債は10万円から10万円単位)で投資できます。

また、1年以下のものを短期国債、1年超5年以下を中期国債、5年超10年以下を長期国債、10年超を超長期国債と呼びます。

国債は債券市場の骨格であるため、同じ期間の債券の中で最も金利が低く取引されています。ニュース等で国債利回りとして扱われている国債は10年債の流通利回り(市場で取引されている利回り)を示しています。

一般的に、国債の利回りは償還までの期間が長い銘柄ほど利回りが高くなります。利息は半年に一度、クーポンの二分の一に額面を掛けた金額が支払われます(税引き前)。

  • メリット:種類が豊富。流動性が高く、売却したいときにはいつでも売却可能。国債を担保に融資が受けられる。販売窓口が銀行、証券会社のほか、信用金庫、ゆうちょ銀行、農業協同組合などと広い。毎月発行されている。発行金額が多い。半期に一度、利息を受け取ることができる。
  • デメリット:利率が低い。途中売却の場合、市場金利の影響を受けるため元本割れの可能性がある。

1-3.個人向け国債

個人投資家を対象としており、機関投資家は購入することができません。上記で紹介した国債と個人向け国債はまったく違う金融商品で、個人向け国債には変動金利型の変動10年、固定金利型の固定5年、固定3年の3タイプが毎月発行されています。投資金額は額面1万円からで、利息は最低0.05%(年率)が保証されています。

2021年3月現在、3年や5年国債の市場金利はマイナスですが、個人向け国債は最低金利の0.05%です。売却は発行後1年以上経過すれば可能で、その際、直前2回分(1年分)の利子相当額に0.79685を掛けた金額が手数料として売却金額から引かれます。なお、売却価格は額面100円につき100円です。

  • メリット:額面1万円から投資可能。最低クーポンが0.05%に設定されている。売却価格が市場金利の影響を受けない。半期に一度、利息を受け取ることができる。
  • デメリット:途中売却時には直近2回分相当の利息が手数料として徴収される。国債と比較し利回りは高いが、社債と比較すると低い。発行から1年間は売却できない。

1-4.政府保証債

政府保証債とは、政府が元利金を保証した債券です。政府関係機関などが発行し、利率は同年限の国債の金利より若干高めの水準となります。償還まで保有すれば元本は保証されますが、途中売却の場合、市場の金利水準によっては売却価格が購入価格を下回ることがあります。

  • メリット:国債よりも利率が高く設定される。
  • デメリット:流動性が低く、途中売却する場合は元本を下回りリスクが高い。原則として機関投資家向けのため、個人投資家は参入しにくい。

1-5.地方債(ミニ公募債含む)

地方債は、都道府県や市町村が発行する公債のことです。地方債には国の元利償還に対する財源保障制度等があるため、暗黙の政府保証債と言われています。利率は国債より若干高めに設定されています。期間は5年、10年が中心です。

地方債にはミニ公募債(住民参加型市場公募地方債)と呼ばれる個人向けも発行されています。ミニ公募債は、「発行する都道府県の居住者・勤務する個人投資家」といった制限が設けられます。期間は中期債が中心です。東京都では、ドル建て債なども発行されています。販売金額は、東京都(グリーンボンド)の場合、円建てが額面1万円単位、外貨建ては1,000ドル単位です。

途中売却の場合、市場の金利水準によっては売却金額が購入価格を下回ります。地方債は、銀行や証券会社で購入することができます。なお、金融機関によっては保護預り手数料が必要な場合もあるため事前に確認しましょう。

  • メリット:投資金額が1万円から可能。同じ期間の国債と比べると金利水準が高い。半期に一度、利息を受け取ることができる。
  • デメリット:流動性が低いため、途中売却する場合元本を下回る可能性がある。

2.一般担保付社債

元本保証ではありませんが、一般担保付社債も元本が担保された社債と言えます。

2-1.電力債など一般担保付社債

電力債やNTT債、JT債(日本たばこ産業)、東京交通債券などには他の債権者より優先して弁済を受けられる権利がついています。

2020年4月以降、電力債から一般担保に係る規定が廃止されましたが、特別措置により2025年3月末までに起債される電力債には一般担保が設定されることとなりました。

  • メリット:国債と比較し、高い利率が期待できる。半期に一度、利息を受け取ることができる。
  • デメリット:流動性が低いため、途中売却する場合、購入価格を下回る可能性がある。最低投資金額が10万円単位と、個人向け国債やミニ公募債(地方債)の1万円より大きい。

3.元本保証付き金融商品の注意点

足元では債券利回りが歴史的に低い水準にありますが、今後は金利が上昇する可能性があります。金利の上昇時に長期、超長期債に投資する場合には、価格変動リスクが高いことに注意が必要です。

また債券はインフレに弱いことにも注意が必要です。元本が保証されているからといって長期債や超長期債を購入してしまうと、償還時のインフレ率によって貨幣価値が減価してしまう可能性があります。償還期間が長ければ長いほど不確定要因が多いため、長くても5年までの金融商品に投資するように心がけましょう。

3-1.価格変動リスクに注意

2021年3月現在、コロナ禍による経済の失速を防ぐため、各国中央銀行は歴史的な低水準に政策金利を誘導しています。日本の10年国債の利回りは0.13%、40年債でも0.75%という低水準です。個人向け国債は途中売却時の価格が100円に固定されていますが、他の金融商品は償還前に売却する場合、その時の市場金利の影響を受けます。

利率(クーポン)と債券価格の関係をみると、利率が高ければ高いほど、償還までの期間が短ければ短いほど金利変動にともなう債券価格の変動は小さくなります。反対に、利率が低ければ低いほど、償還までの期間が長ければ長いほど金利変動による価格の感応度が高くなります。

例を挙げて説明します。償還までの利率が0%の5年、10年、40年の国債があります(表参照)。それぞれの金利、価格は下記表の通りです。

項目 5年 10年 20年 40年
利回り 0% 0.10% 0.50% 0.75%
価格 ¥100.00 ¥99.01 ¥90.51 ¥74.16

金利が0.5%上昇し、5年債が0.5%、10年債が0.6%、20年債が1.0%、40年債が1.25%となった場合、債券価格は5年債が97.53円、10年債が94.19円、20年債が81.95円、40年債が60.84円となります。価格の下落幅は5年債が2.46円、10年債が4.80円、20年債が8.55円、40年債が13.31円です。

利回り 0.50% 0.60% 1.00% 1.25%
価格 ¥97.54 ¥94.19 ¥81.95 ¥60.84
下落幅 ¥2.46 ¥4.81 ¥8.55 ¥13.32

金利の上昇幅は同じですが、償還までの期間が長いものほど価格が大きく下がりました。現在、債券利回りが歴史的に低い水準なため、金利は今後上昇することが予想されます。そのため、債券に投資する場合は長期・超長期債を避ける必要があります。

4.投資初心者向けの金融商品

2021年3月の金利水準から判断すると、定期預金に投資するのが無難です。同じ期間の社債や国債金利よりも利率が高いためです。なお債券では個人向け国債、個人投資家向け電力債(2年から3年債)が投資初心者にも良いと言えます。

定期預金は、途中解約すると利率が大きく低下しまいます。そのため、定期預金に預ける場合は、1年定期預金の乗り換えが低リスクです。1,000万円を超える金額を預ける場合は複数の銀行や信金に預けることで元本が保証されます。

個人向け国債は発行から1年経てば額面100円で売却できる点や、最低クーポンが設定されている点が強みです。国債は定期預金とは異なり、元本保証金額に上限がありません。電力債と個人向け電力債は一般担保付ながら、利率が他の社債より高い水準で設定されることが多いのがメリットです。

まとめ

元本保証の金融商品はリスクが限定されているのが特長です。しかし、現在の金利水準では利率も低く設定されるため、2年から3年程度の金融商品への投資を繰り返し、金利が上昇した時点でより長い商品に乗り換える手法が良いでしょう。

インフレリスクや機会損失を考えると、必ずしも元本保証の商品が良いわけではありません。うまく他の金融商品と組み合わせるなどして、最適な資産運用ができるよう検討を進めてみましょう。

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藤井 理

藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。