株式投資、有望銘柄はどう探す?候補を調べる7つの方法をプロが解説

※ このページには広告・PRが含まれています

株式投資を行う際には、自分が「利益を出せる」と考えた銘柄を購入することが欠かせません。しかし、どのようにして利益が出そうな銘柄を選定すれば良いかは頭を悩ませる人が多い問題です。そこで、この記事では銘柄を選ぶ際にチェックしておくべき指標や、今後伸びそうな企業を見つけるためのポイントについて解説します。

目次

  1. 銘柄探しのヒント
    1-1.売れ筋の商品や人気店を探す
    1-2.身近なところにも上場銘柄が
    1-3.会社四季報から選ぶ
    1-4.銘柄検索機能を用いる
  2. 投資にも物差しがある
    2-1.EPS(一株あたり純利益)とは
    2-2.PER(株価収益率)とは
    2-3.PBR(株価純資産倍率)とは
  3. まとめ

1 銘柄探しのヒント

投資に値しそうな銘柄を探すためのヒントは、銘柄や市場のデータだけではなく日常生活の中にも様々にあります。一つずつ解説していきます。

1-1 売れ筋の商品や人気店を探す

出かけた先やネットなどで、売れ筋商品や人気店を探すことは銘柄選びのヒントとして有効です。

例えばワークマンという作業服・関連用品の会社があります。同社の株価は3年前と比較し一時5倍以上になりました(2021年2月15日時点)。作業服のイメージが強い会社でしたが、作業服の機能性とオシャレさを合わせもつPB(プライベートブランド)の開発で一般客需要を取り込み、いまでは若者や女性に大ヒット、毎年業績を伸ばしています。この変化に気づき株式に投資していれば資産を大きく増やすことができました。

街には投資の原石が転がっています。日頃からいろいろな情報にアンテナを張り、「原石」を探しましょう。

1-2 身近なところにも上場銘柄が

身近な銘柄に投資する方法もあります。普段から使っているお気に入りの製品や、なくてはならない日用品はありませんか。その中にも上場している企業の製品があります。株を購入することで、企業を応援することもできます。

身の回りのお気に入りの製品であれば、情報も調べやすく、その企業が他にどのような製品を出しているのか、業績はどのように推移しているか、などを調べるにも取り掛かりやすいでしょう。著名投資家にも自身のお気に入りの商品を愛用し、積極的に企業へ投資を行っているという有名な事例もあります。

1-3 会社四季報から選ぶ

会社四季報という上場企業の会社概要や財務状況、業績予想などといった情報が掲載されている書籍(CD-R)があります。東洋経済新報社が3ヵ月に1度出版しています。記者が3ヵ月ごとに企業にヒアリングをし、最新の財務データ(予想)のほか、業績予想や企業評価の手がかりとなるような材料についてコメントが掲載されています。その企業の中期的な成長に関するトピックスや、企業が抱える課題なども記述があります。

上場企業全社が対象となっているため全て読むのには一苦労しますが、財務状況を前期比で比較できるために便利です。初心者の方は、四季報の読み方勉強会なども開催されているため参加してみるのも良いでしょう。

なお、SBI証券、楽天証券、マネックス証券、SMBC日興証券などの口座をお持ちの方は、ネット上で四季報の情報が無料で閲覧できるサービスを利用できます。

1-4 銘柄検索機能を用いる

証券各社が提供しているスクリーニング(銘柄検索)機能を使い、銘柄を財務面から絞り込む方法もあります。使いこなすには、ある程度の財務分析に関する知識が必要となります。財務諸表には馴染みのない方も多いため、難しく感じるかもしれませんが、定型的なもののため、コツをつかめば読みこなせるようになります。

株式分析でよく使われる指標についても、その計算式や内容を学ぶことでより深い分析が可能となります。なお指標については後述します。

2 投資にも物差しがある

株式投資には各銘柄の財務状況を簡単に判断できる指標があり、それらを理解することで銘柄選びをスムーズにできるようになります。以下では主要な指標を3つお伝えします。

2-1 EPS(一株あたり純利益)とは

EPS(一株あたり純利益)とは、当期純利益(税引き後)を発行済み株式数で割った値のことです。株式会社は、発行している株式数が会社によって異なっているため、同じ物差しで株価を比較する必要があります。

例を挙げて説明します。同じ1,000万円の利益をあげたA社とB社があります。A社は株式を1万株、B社は10万株発行しています。EPSはA社が1千円(1,000万円÷1万株)、B社が100円(1,000万円÷10万株)です。このケースではAの一株当たりの価値はBの10倍です。2社ともに株式を上場していた場合、株価が高いのはA社です。

2-2 PER(株価収益率)とは

PER(株価収益率)とは、株価がEPSの何倍まで買われているかを示しており、株価が割安か割高かを判断する指標です。PERは数値が小さいほど割安、大きいほど割高です。

上記例でみると、A社の株価が1.5万円、B社の株価が800円と仮定した場合、PERはA社が15倍(1.5万円÷1千円)、B社が8倍(800÷100円)と求められます。このケースではB社の株価がA社よりも割安と考えられます。ただし、PERは相対的な指数で絶対的なものではありません。日経平均やTOPIXなどの指数のPER、業種のPER、同業他社のPERと比較し、株価がそれらの値より高いか低いかで、株価の水準が割高かどうかを判断します。

なお、PERにはPERと予想PERの2種類があり、予想PERを求める際には、予想EPSを使います。

PERが日経平均やTOPIXなどの指数を大きく上回る銘柄が多々存在しますが、これは企業への成長期待を背景に株価が先行している状況です。それらの銘柄は一旦下落が始まると大きな水準訂正(株価が大きく下落する)が起きるため、初心者の方にはおすすめできません。

2-3 PBR(株価純資産倍率)とは

株価を一株当たりの企業の解散価値(1株当たり純資産)で割って求めた指標です。PBRは株価の下落時によく使われます。PBR1倍は、解散価値と株価が同じということを表しており、数値が小さいほど株価が割安と判断します。PBR1倍が株価の底値の目安とされています。しかし常に1倍を下回っている企業も混在しているため、一概に1倍割れが底値とは言い切ることはできません。

日経平均やTOPIXなどの指数のPBRは1倍を上回って推移していますが、相場急落時には1倍を下回ることがあります。新型コロナの影響を受け、日経平均株価指数のPBRは一時1倍割れとなりましたが、その後1倍を回復しています。これ以外のケースで過去5年間に日経平均株価指数がPBR1倍を下回ったのは、2016年2月(中国の景気減速への懸念)と2018年12月(米中貿易摩擦)です。このことからも指数のPBR1倍割れは底値の目安と考えられます。

参考:純資産とは貸借対照表の右下に表示される項目で、資産から負債を引いたものです(下図参照)。資本とも呼ばれます。

資産 負債
純資産

まとめ

株式投資における銘柄選びでは、PERやPBR、EPSといった業績を示す指標から判断する方法と、自身の身の回りの情報から候補を探す方法を組み合わせることが有効です。

まずは候補銘柄を見つけるため、証券会社のサイトで銘柄検索をしたり、様々な情報源から情報収集をして候補銘柄を複数集め、それから各指標や業績・チャートの推移などを見て投資を判断すると良いでしょう。最初は難しいかもしれませんが、だんだん慣れて早さと精度が上がっていくため、じっくり腰を据えて検討してみてください。

The following two tabs change content below.

藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。