京都で不動産投資を始めるメリット・デメリットは?エリアの特徴や物件タイプも

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京都は古くから日本の歴史的な建物が並び、現在でも国内外から多くの観光客を集めている都市の一つです。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による観光減や、京都市内の学校に通う学生の需要に依存している側面など、注意しておきたいポイントもあります。

そこで今回のコラムでは、京都府で不動産投資を始めるメリットとデメリットを解説します。京都府内を5つのエリアに分け、それぞれの特徴や適した物件タイプも紹介します。

目次

  1. 京都府の不動産投資に関する基本情報
    1-1.京都府の人口推移
    1-2.京都府の地価推移
  2. 京都府で不動産投資を行うメリット
    2-1.ターゲットを絞りやすい
    2-2.狭い居住室に慣れている傾向がある
  3. 京都府で不動産投資を行うデメリット
    3-1.建物を建てるのに規制がある
    3-2.不動産の供給数が少ない
  4. 京都府のエリア別特徴と適した物件タイプ
  5. まとめ

1 京都府の不動産投資に関する基本情報

この項目では、京都府内で不動産投資を行う際に覚えておきたい、人口推移と地価推移のデータについて紹介していきます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

1-1 京都府の人口推移

不動産投資で重要なのが入居者の賃貸需要があるかどうかという点です。そこで、京都府の人口がどのように推移しているのか、総数を表にしました。

集計日 人口総数
1998年10月1日 2,641,787人
2003年10月1日 2,647,889人
2008年10月1日 2,640,782人
2013年10月1日 2,621,658人
2018年10月1日 2,597,575人
2019年10月1日 2,590,868人
2020年10月1日 2,578,087人
2021年10月1日 2,561,358人

※参照:京都府「京都府推計人口

京都府では2000年代後半から人口減少が始まっており、最新のデータである2022年3月1日の「京都府推計人口」は2,550,886人と減少傾向が続いています。1カ月間で3,303人が減少しており、自然減少(1,815人)も、社会減少(1,488人)もどちらも減少しています。

府庁所在地である京都市でも同様に人口減少が続いており、2022年3月1日の推計人口は1,446,692人で、前月から2,316人(自然減少990人、社会減少1,326人)の減少です。注目すべきは、自然減少よりも社会減少の方が多い点と、京都市内の11区すべてで人口が減少していることです。

1-2 京都府の地価推移

次に不動産投資をするために必要な土地の価格推移を見ていきます。下記は、京都府内の2021年1月1日時点と2022年1月1日時点の住宅地の平均地価を表にしたものです。

地域 2021年1月1日 2022年1月1日
京都府全域 146,500円 147,300円
京都市域 215,600円 217,200円
近郊地域 135,000円 135,900円
山城地域 742,00円 735,00円
南丹地域 56,600円 56,400円
中丹地域 35,700円 35,500円
丹後地域 23,000円 22,800円

※出典:京都府「令和4年地価公示の概要(京都府)」より抜粋

2021年1月1日時点で住宅地の平均地価は減少傾向にありましたが、2022年の調査では上昇に転じているのが分かります。対前年平均変動率で確認してみましょう。

地域 2021年1月1日 2022年1月1日
京都府平均 △0.6 0.1
京都市 △0.4 0.5
近郊地域 △0.3 0.4
山城地域 △1.5 △0.7
南丹地域 △0.9 △0.7
中丹地域 △0.8 △0.6
丹後地域 △0.8 △0.8

2021年の調査では、すべての地域で地価が下落していましたが、2022年の調査では京都市内を中心に上昇しました。これによって京都府の平均地価も上昇しています。

2 京都府で不動産投資を行うメリット

京都府は著名な大学が複数あることから学生が多く、また優良企業の本社が点在しており、ターゲットを絞りやすいといったメリットがあります。詳しく見てみましょう。

2-1 ターゲットを絞りやすい

京都府における不動産投資を考えた場合、メインターゲットとなり得るのが大学の学生です。下記の表は、「文部科学統計要覧(令和3年版)」(文部科学省)から抜粋した都道府県別の大学設置数と学生数です。

都道府県 大学設置数 学生数
東京都 143校 759,035人
大阪府 55校 246,839人
愛知県 51校 193,465人
神奈川県 31校 187,328人
京都府 34校 162,601人
兵庫県 36校 126,730人
福岡県 34校 122,999人

※出典:文部省「文部科学統計要覧(令和3年版)」より抜粋

都道府県別で言えば、学生数で全国で5番目に多いのが京都府です。そのほか、下記の統計からも、京都府に学生が多いことが分かります。

例えば、政府統計「統計でみる都道府県のすがた2022」によると、人口10万人当たりの大学の数は1.32となっており、2位の石川県(1.14)、3位の東京都の(1.01)よりも多く全国で1位となっています。

また、令和2年度の学校基本調査と令和元年の人口推計によって総人口に対する大学生の割合を算出すると、京都府が6.3となっており、東京都の5.5、石川県と大阪府の2.8を抑えてこちらも全国1位となっています。(※参照:京都府「学生の街・京都」)

このように学生が多いことから、単身者向けのワンルームマンションなどの需要が見込めるのです。また地域を絞りやすいのも特徴の一つです。京都府内で大学が多い地域は下記のようになっています。

順位 大学設置エリア 校数
1位 京都市左京区 6校
2位 京都市上京区 5校
3位 京都市北区 4校
3位 京都市右京区 4校
5位 京都市中京区 3校
5位 京都市東山区 3校
5位 京都市伏見区 3校
5位 南丹市 3校

左京区や上京区などは特に大学が多く、学生向けの物件を供給しやすいと考えられます。

2-2 狭い居住室に慣れている傾向がある

総務省統計局によると、京都府は東京都についで全国で2番目に狭い居住室になっています。

都道府県 2008年 2018年
東京都 15.84畳 14.92畳
京都府 16.67畳 16.30畳
大阪府 17.26畳 16.94畳
神奈川県 17.45畳 16.64畳
宮城県 17.77畳 17.46畳

※出典:総務省統計局統計TodayNo.152「都道府県別でみる住宅状況~住宅及び世帯に関する基本集計(確報値)より~」より抜粋

10年前の調査に比べると部屋は広くなっているものの、東京都に次いで居住室が狭いエリアであることが分かります。この背景には学生や単身者向けの住居が多いことが起因していると考えられます。このような傾向は、例えば不動産投資をする際に居室の広さよりも最寄駅までのアクセスや住環境の優先順位を高めるなど、エリアに合わせた戦略を立てる際に役立ちます。

2 京都府で不動産投資を行うデメリット

京都府の中心都市である京都市での不動産投資の主なデメリットのひとつに建物規制があります。高さやデザインに制限があるために、土地の形状によって条件に合った物件を建てるのが難しく、土地価格に対して収益性を高める難易度がやや高いという点に注意が必要です。

3-1 建物を建てるのに規制がある

京都市は、約1200年前から栄えた古都の街並みが残っていることもあって景観法が厳しく、建物を建てる際には規制があります。そのうちの一つが、建物の高さ制限です。

2007年に導入された「新景観政策」によって京都市内の建築物の高さが最大31mまでに制限されています。そのため10階程度の建物しか建てられなくなっています。この高さに対する規制は、市街地の特性に応じて25mや20m、15mなどとなっており、最も低いところでは10mとなっています。アパートであれば3階建て程度となります。

また、建物のデザインにも規制があります。歴史的な街並みと調和する色彩などといったような指定があり、美観形成地区に面している鴨川周辺では洋風デザインの建物は認められないという規制もあります。そのためオーナーが思ったような建物が建てられないことも考えられ、デメリットの一つとなります。

3-2 不動産の供給数が少ない

京都市の市街地には前述したように、高さ制限などの規制があります。そのため不動産の供給自体が少なく、条件に見合う物件を探すには時間がかかることが予想されます。

株式会社不動産経済研究所の「全国新築マンション市場動向2021年」によると、京都府内の2021年の分譲マンション販売戸数は2,109戸となっています。これに対し、東京都は13,290戸、大阪府は10,426戸です。それぞれに人口1,000人当たりの戸数を求めると、京都府は0.823戸、東京都は0.952戸、大阪府は1.182戸となります。

京都府では、不動産を所有するまでに時間を要したり、条件に合った物件を見つけられないということも考えられるのです。

4 京都府のエリア別特徴と適した物件タイプ

京都府は北から南に長く伸びた形をしており、府内を5つの地域に分けています。そのエリアの特徴と、不動産投資に適した物件タイプを紹介します。

京都市

京都府の中心的地域です。歴史的な建造物がある一方、京都駅を中心とするエリアには京セラやワコールなどの大手優良企業の本社や複数の大学が並びます。そのためワンルームマンションなどの単身者向けの物件が選択肢として検討されやすいと言えるでしょう。

山城地域

新名神高速道路が全線開通したことにより、関西の交通の結節点として整備が進む地域です。人口減少が進む市町村が多い中、地域内の木津川市では、2010年に69,761人だった人口が2022年3月31日には79,633人になっており、2007年の誕生以来人口が増え続けています。

出産や育児に対する補助金や助成金もあり、ファミリー層が転居していることが要因の一つと考えられます。一方、大学やオフィスのある市内へアクセスするためには電車や車を利用するため、木津川市での不動産投資を検討するのであれば単身者向けではなくファミリータイプの物件が検討しやすいと言えるでしょう。

南丹地域

京都スタジアムを核に交流人口・関係人口が拡大しており、にぎわいを見せ始めている地域です。中心となる南丹市には、京都医療科学大学、京都美術工芸大学、明治国際医療大学などが設置されており、学生向けのアパートなども選択肢として検討できます。

中丹地域

関西北部の中核的な地域で、高速道路や京都舞鶴港などのインフラ整備が進んでいる地域です。中心となるのが福知山市や舞鶴市で、府内でも高い合計特殊出生率を誇る地域となっています。そのため、ファミリー向けのマンション・アパートなどに需要があると考えられます。

丹後地域

長寿者の割合が高く、農林水産業などで多くの高齢者が活躍している地域です。中心となるのが宮津市や京丹後市となりますが、豊富な賃貸需要を見込めないため、いっそう厳しくターゲットとエリアを絞った投資判断が重要となる地域と言えるでしょう。

まとめ

京都というと古都のイメージを持つ方もいますが、学生が多く、日系企業のオフィスが複数あるエリアでもあります。そのため、特に市街地ではワンルームマンションや学生向けのアパートに対する賃貸需要を見込みやすいエリアとなっています。

ただし、物件の供給数の少なさや、建物規制などのデメリットもあります。条件に合う物件を取得する際の難しさもあるため、京都を熟知した不動産会社などパートナー選びが重要と言えるでしょう。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。