土地活用、定期借地と定期借家の違いは?メリット・デメリットを比較

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土地活用には、大きく分けて定期借地と定期借家の2種類があります。定期借地は土地のまま、定期借家は建物を建てて貸し出し、賃料収入を得る活用方法です。

似た言葉で混同されることの多い2つの契約ですが、メリット・デメリットやリスクには大きな違いがあります。土地活用を検討するのであれば、これらの違いについて理解し、それぞれ適した手段を選択することが重要になります。

そこでこの記事では、定期借地と定期借家の違い、それぞれのメリットとデメリットを解説します。土地活用の方法を検討していた方はご参考下さい。

目次

  1. 定期借地とは
    1-1.定期借地のメリット
    1-2.定期借地のデメリット
  2. 定期借家とは
    2-1.定期借家のメリット
    2-2.定期借家のデメリット
  3. 目的に応じて選び分けることが重要
  4. まとめ

1.定期借地とは

定期借地とは、事前に定めた期間だけ、土地を第三者に貸すことです。土地を貸した地主は、借主から賃料を受け取れるという仕組みです。

定期借地は「一般定期借地」「建物譲渡特約付借地」「事業用定期借地」の3つがあります。それぞれの特徴をまとめると以下の通りです。

一般定期借地 建物譲渡特約付借地 事業用定期借地
契約期間 50年以上 30年以上 10年以上50年未満
利用目的 制限なし 制限なし 事業用
契約終了時 更地で返還 地主が建物を買取 更地で返還

建物譲渡特約付借地は、一般定期借地とは異なり契約終了時に地主が建物を買い取るため、地主の負担が大きくなります。また、事業用定期借地は、利用目的が事業用に限られるのが大きな違いです。

定期借地のメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。

1-1.定期借地のメリット

定期借地のメリットとして、以下の3つが挙げられます。

  • 継続的な長期間の収入が期待できる
  • 初期投資がほとんど必要ない
  • 建物が手に入る

定期借地は、契約期間が数十年の長期契約になります。そのため、継続的な長期間の収入が期待できるという点が大きなメリットです。

また、土地をそのまま貸し出すだけなので、建築が必要なアパート経営などの土地活用と比較して初期投資を少なく抑えることが可能です。

建物譲渡特約付借地では、買取費用が必要になるものの、契約満了時に建物が手に入ります。借地契約の終了後に取得した建物を貸し出せば、次は普通借家や定期借家に切り替えられるため、契約終了後の賃料収入も期待できる可能性があります。

1-2.定期借地のデメリット

定期借地のデメリットとして、以下の2つが挙げられます。

  • 得られる収入が少ない
  • 長期にわたって土地を使用できなくなる

定期借地の大きなデメリットの1つが、得られる収入が少ないという点です。定期借地の土地の賃料は、大まかに固定資産税評価額の5~8%程度が目安となります。

仮に、1,000万円の固定資産税評価額の土地の地代が5%だった場合、1年間の賃料収入は50万円、2,000万円でも100万円となります。

また、契約期間が数十年と長い点にも注意が必要です。長い契約期間の間に土地を使用することが出来ず、その他の活用手段を講じることができないためです。

2.定期借家とは

定期借家とは、事前に定めた期間だけ、地主が建てた建物を第三者に貸すことです。建物を建てた地主は、借主から賃料を受け取れるという仕組みになっています。

なお、アパート経営やマンション経営なども借家に該当します。アパート経営やマンション経営では、多くのケースで「普通借家」が適用されており、契約更新が前提の契約形式となっています。

一方、定期借家は契約更新を前提としていないため、契約満了とともに契約が終了するのが大きく違う点です。貸主が原則的に契約解除できない普通借家とは異なり、契約終了後にスムーズに退去を申し出ることが可能で、立ち退き料を支払う必要もなくなります。

定期借家のメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。

2-1.定期借家のメリット

定期借家のメリットは、以下の2つです。

  • 得られる収入が多い
  • 税金を抑えられる可能性がある

定期借地と比べて定期借家は建物を借りる契約であるため、賃料が高く設定されています。そのため、土地活用によって定期借地よりも多くの収入を得ることが可能です。

また、定期借地の場合、土地を借りた人が必ず建物を建てるとは限りませんが、定期借家は必ず何らかの建物を建てます。建てたのが住居の場合には、住宅用地の特例で固定資産税を最大6分の1に抑えられる可能性があります。

さらに、土地や建物といった不動産は、相続税評価額が現金よりも低くなるため、相続税を抑える効果も期待できるという点もメリットと言えるでしょう。

2-2.定期借家のデメリット

定期借家のデメリットは、以下の2つです。

  • 初期投資が多くかかる
  • ランニングコストが多くかかる

定期借地の場合、借りた土地の上に建物を建てることになっても、土地を借りた借主負担で建物を建てるため、初期投資は多くかかりません。しかし、定期借家の場合、地主が建築費用を負担するため、初期投資が大きくなります。

また、定期借地の場合は築年数の経過に伴う修繕や清掃といった維持管理にかかる費用も全て借主負担ですが、定期借地の場合はこれらも全て地主負担となります。初期投資だけでなく、ランニングコストが多くかかるという点にも注意が必要です。

3.目的に応じて選び分けることが重要

定期借地と定期借家のメリットとデメリットを比較する際は、土地活用で求めるリスクとリターンのバランスを取ることを検討してみましょう。

定期借地は初期投資がほとんどかからず、リスクを低く抑えられます。しかし、賃料収入が少ないため、リスクを低く抑えたい人には向いているものの、高いリターンを求める場合には適していない活用手段とも言えます。

一方、定期借家は定期借地よりも多くの賃料収入が期待できます。しかし、初期投資が多く、ランニングコストもかかるため、ミドルリスク・ミドルリターンな活用手段と言えます。

なお、定期借家は途中解約のリスクがあるため、少しでもリスクを抑えたい人は、契約書に途中解約の場合のペナルティ(家賃○年分、建築費用の一部負担など)の設定を検討しておきましょう。

定期借地と定期借家のどちらが良いのかという判断は、土地活用による貸主の目的や土地の需要によってケースバイケースとなります。複数の土地活用のシミュレーションを作成して比較検討しながら、慎重に検討してみると良いでしょう。

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まとめ

定期借地は初期投資が少なく、賃料収入も少ないローリスク・ローリターン、定期借家は、賃料収入が多く、初期投資も多いハイリスク・ハイリターンの運用方法という大きな違いがあります。

どちらもメリットとデメリットを伴うことから、一概にどちらが良いとは言い切れません。土地活用の目的や土地の需要に合う方法を選ぶことが重要ですが、どちらが良いか分からない場合には、複数の活用手段のシミュレーションを作成し、慎重に検討してみましょう。

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矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。