アパート経営に適した土地の特徴は?人口・地価推移・家賃相場を調べる手順も

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アパート経営を土地なしで始める場合、土地を探すことが第一歩です。しかし、アパート経営に適した土地の特徴があり、どのような土地でもいいわけではありません。

そこで、今回のコラムではアパート経営に適した土地の特徴について紹介します。またアパート経営をする上で必要な人口推移や地価推移、家賃相場を調べる手順も解説します。

目次

  1. アパート経営に適した土地の特徴
    1-1.間口(接道)が広い
    1-2.整形地
    1-3.南側に高い建物がない
    1-4.広さはできれば40坪以上
    1-5.傾斜地ではない
  2. アパート経営に必要なデータを調べる手順
    2-1.人口推移を調べる手順
    2-2.地価の推移を調べる手順
    2-3.家賃相場を調べる手順
  3. まとめ

1 アパート経営に適した土地の特徴

最寄り駅から近いなど利便性に優れた土地のほかにも、アパート経営に適した土地にはいくつか特徴があります。この項目では、5つの特徴を紹介します。

1-1 間口(接道)が広い

間口とは、道路に接している土地の幅のことを言います。多くの人が入居するアパートの場合、接道している部分に玄関を設けるため、間口が広い方が出入りしやすくなります。間口が狭いと、玄関の位置が限られてしまい、建築プランの選択肢が限定されることも想定できます。

また隣に家などの建造物がある場合は、窓を設けても日差しや眺望が悪い可能性があります。反対に道路に接している間口が広いと、採光しやすくなりなり入居者の確保にもつながります。

アパートを建てる際にも、間口が狭いことがマイナス要素になります。工事車両などが入りにくく、工期が長くなるなどで建設コストが高くなる可能性もあるからです。

1-2 整形地

整形地とは、正方形や長方形といったように、形が整っている土地のことです。複数の住居を整列させ、効率的に部屋を配置するためにもアパートの居室は正方形か長方形になることから、整形地の方が住宅を建てる際に敷地全体を有効活用することができます。

また出口戦略を考えると、他の用途にも使いやすい整形地は売却する際にもプラスに評価されるポイントです。さらに前述した間口が広いことに加え、角地などといった特徴があると土地価格は高くなる可能性があります。

1-3 南側に高い建物がない

たくさんの人に住んでもらうことを考えると、最低限の住環境は備えておきたいものです。日当たりが悪い、風通しが悪いなどといったアパートは入居者を集めにくくなる可能性もあり、入居者の確保がうまくいかないと、キャッシュフローも悪化してしまい、経営を圧迫することもあります。

アパート用の土地は、周辺に高い建物がないか、特に南側に高い建物がないかという点も重要なポイントとなります。日差しを確保することができ、入居者の住みやすさも確保できるからです。また、建物が日陰に隠れている時間が長いと、雨などの後に建物が乾きにくく腐食が進む原因となることからも、建物の維持にも日当たりが良い方がメリットとなります。

1-4 広さはできれば40坪以上

アパート経営は、部屋数が多いほど家賃収入が多くなりますが、土地に限りがあるため、土地の大きさに合わせて部屋数を選択することになります。そのため、入居者のターゲットにもよりますが、土地の広さの目安としては40坪くらいではないと、快適な居住空間は作りにくいと考えられます。

例えば、単身者向けのワンルームのアパートにするとした場合、ひと部屋の広さは5坪(16.53㎡)~7坪(23.14㎡)ほどになります。40坪の土地であれば、1フロアに4部屋程度がつくれることになります。

また土地が広い方が建築プランの自由度が高くなります。隣家との距離も保つことができるため、採光にも余裕を持って建築プランを考えられるからです。

1-5 傾斜地ではない

長年にわたり多くの入居者を確保する必要があるアパートは、できれば傾斜地に建てることは避けたいものです。最寄り駅から徒歩5分だとしても、平坦地よりは傾斜地の方が敬遠されやすく、また傾斜地に建物を建てる場合は土地の造成が必要になるため、費用が高額になることが考えられます。

一方で土地評価額が低く、同じ広さの土地に比べて取得費は安くなりますが、売却する際には売れにくいことも考えられます。これらのリスクを考えると、平坦地の方がアパート経営に適していると言えます。

2 アパート経営に必要なデータを調べる手順

アパートを経営していく上で、賃貸需要や家賃相場などのデータをもとに判断することがあります。そのためこれらのデータを調べる方法も心得ておきましょう。

2-1 人口推移を調べる手順

アパート経営を検討するのであれば、アパートの周辺にどのくらいの人が住んでいるのか、今後も人口は伸びそうなのか、といったことを把握しておきたいものです。人口に関するデータは各自治体のホームページで公開されており、調べることは難しくありません。下記の方法で行ってみましょう。

  1. 自治体のホームページを開く
  2. 「統計情報」などといった項目を探す
  3. 該当する年月のデータを開く

例えば、3月1日の人口を確認した場合、前年の3月1日、前々年の3月1日の人口を調べることで、どのように推移しているのか分かります。エリアを絞る際は都道府県別で全体の人口を把握しつつ、市町村、さらに区ごとなどで人口推移を確認するといいでしょう。

また人口推移を確認する際に、「自然増減と社会増減」「世帯数」の2つについても確認すると、より賃貸需要につながるデータを把握することができます。

自然増減と社会増減

人口が変動するには、「自然増減」と「社会増減」の2パターンがあります。自然増減とは、亡くなった人と生まれた人の差です。例えば亡くなった人が100人で、生まれた人が90人であれば、人口増減はマイナス10人ということになります。

一方の社会増減は、転居による流出数と流入数の差です。転入してきた人が転出していった人よりも多い場合は、社会増となり、反対は社会減となります。

このうち特に注目したいのが社会増減です。総人口が減少していたとしても、転入してきた人が多ければ、賃貸需要につながる可能性があるからです。反対に、転入してきた人よりも転出していった人の方が多い場合は、賃貸需要は減少している可能性があります。総人口の推移と合わせて、把握するようにしましょう。

世帯数の増減

各自治体で公開している統計情報の中には、世帯数も含まれています。稀に1つの住宅の中に2つの世帯が存在することもありますが、1つの住宅の中に1つの世帯だけというのが通常です。そのため総人口が減っていたとしても、世帯数が増えていれば賃貸需要が高くなっていると推測できるのです。

また増えている世帯が単身世帯であれば、一人暮らしの方が増えていることが分かります。このように増減している世帯の特徴を把握することで、アパートの物件タイプを絞り込むことにも役立つのです。

2-2 地価の推移を調べる手順

地価を調べる際も、人口と同様に各自治体のホームページで行うと良いでしょう。通常は「統計情報」などの項目にデータがありますが、土地政策局といった専門部署のページにあることもあります。

注意点は、「公示地価」と「基準地価」の2つ地価があることです。

  • 公示地価…毎年1月1日時点の価格で、公表は3月下旬。国が標準地を選んで、当該標準地の公示価格を判定しているもの
  • 基準地価…毎年7月1日時点の価格で、公表は9月下旬。都道府県知事が基準地を選び、当該基準地の標準価格を判定しているもの

公示地価は国が調べた土地価格の目安で、基準地価は都道府県が調べた土地の適正価格ということになります。公示地価の標準地と基準地価の基準地が重複しているケースが多く、大きな違いはありません。ただし推移を確認する場合に、2020年は公示地価、2021年は基準地価といったように、地価の種類が異なると誤差が出るケースがあります。どちらかの地価に限定して推移を確認するようにしましょう。

2-3 家賃相場を調べる手順

入居者を確保するために重要なのは、適切な家賃を設定することです。そこで、家賃相場を調べる方法を2つ紹介します。一つ目は不動産ポータルサイトを活用する方法です。それぞれのサイトで、似た物件の家賃を調べることで、家賃相場をある程度把握することができます。

また、不動産情報ポータルサイトでは、家賃相場をまとめて紹介しているページもあります。下記のサイトが一例です。

間取りなどの大きな枠組みで家賃相場が表示されるため、細かな違いまでは分からないことが注意点です。またポータルサイトに記載している情報は「募集中」の物件です。成約した家賃ではないため、若干の誤差があることも理解しておきましょう。

また地元で数多くの物件を仲介している仲介店舗では、入居者のターゲットやそれに合わせた家賃相場などを詳しく把握しています。アパートのオーナーをしている旨を伝えると、おおよその家賃相場について教えてくれることがあります。

「地域に競合物件が多い」「問い合わせが多い」「最近は◯◯の設備が人気」といった細かな情報を教えてくれることもあります。このとき1軒の仲介店舗だけではなく複数の店舗に尋ねると、より正確な家賃相場を把握することができます。

まとめ

アパート経営に適した土地の特徴として5つのポイントを紹介しました。土地の形状や向きによって建築プランが左右され、さらに入居者確保にもつながる可能性があります。土地を探す場合は、今回紹介したポイントを数多くクリアできるような土地を見つけましょう。

また賃貸需要を判断するのに役立つデータの調べ方について、手順を紹介しました。データを確認することで、土地探しにも役立ちます。ぜひ参考にしてください。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。