相続不動産を査定する手順は?トラブルを回避する相続の注意点も

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不動産の相続では、相続人同士で査定方法・金額などの意見が合わないことや、調停・裁判などに発展してしまうケースも存在します。

不動産は売却のタイミングや売却方法、どのような評価方法をとるのかによっても価額が異なります。どの場面でどの評価額を利用したら良いか、意見が別れてしまいやすく、トラブルに発展しやすい遺産と言えます。

本記事では不動産の評価方法や査定の手順、注意点について解説します。不動産相続のトラブルを避け、スムーズな相続を行いたい方はご参考下さい。

目次

  1. 不動産の評価方法
  2. 相続不動産の査定の手順
    2-1.ポータルサイトで相場を調査する
    2-2.複数の不動産会社へ査定を依頼する
    2-3.不動産鑑定士への鑑定依頼を検討する
  3. 不動産相続における注意点
    3-1.土地は隣家との境界を明確にし、正確な面積を把握しておく
    3-2.分野別の専門家への相談を検討する
  4. まとめ

1.不動産の評価方法

不動産の主な評価方法としては、以下の4通りがあります。

実勢価格 公示価格 相続税評価額(路線価) 固定資産税評価額
概要 実際に取引されている不動産の価格 国土交通省が発表する、1㎡当たりの標準値の価格 国税庁が発表する道路に面した1㎡当たりの宅地の価格 主に税金を算出する際に用いられる価格
価格 取引されている価格 土地取引の目安となる 公示価格の8割程度 公示価格の7割程度

相続の際には家屋は「固定資産税評価額」、土地は「路線価」を利用しますが、売却する時には「実勢価格」で取引されます。

注意点として、相続税の計算は「相続税評価額」が適用されるのに対し、不動産の資産性を示しているのは「実勢価格」であることです。これらの評価方法によって価格差が生まれるため、それぞれの価格の違いをおさえておきましょう。

2.相続不動産の査定の手順

相続の対象となる不動産を査定する際は、不動産会社に依頼する前にインターネットで周辺の取引価格の相場を調べておきましょう。

なお、不動産会社による査定で意見が別れる場合には、不動産鑑定士に鑑定を依頼し、鑑定評価書による評価額で話し合いを検討してみるのも良いでしょう。ただし、不動産鑑定士への報酬が発生する点には注意が必要です。

2-1.ポータルサイトで相場を調査する

不動産の査定を依頼する前に、自身で相続対象である不動産の相場を把握しておきましょう。土地や建物の実際の取引価格を調べるには、以下のサイトを利用しましょう。

周辺のエリアで似た条件の物件の売却価格を調べ、おおよその相場を把握しておきます。戸建て・マンション・土地の形状・周辺の環境などで価格が異なるため、ここでは後の不動産査定に役立てるためのおおよその金額を知っておく調査として捉えておきましょう。

2-2.複数の不動産会社へ査定を依頼する

周辺相場についてある程度の調査を終えたら、不動産一括査定サイトで複数の会社に査定額を算出してもらいます。複数社から提示された査定額や査定の根拠を比較し、不動産価格の目安としてみましょう。

下記、主な不動産一括査定サイトの一覧です。下記のサイトは無料で利用することができ、売却するかどうかは査定価格を提示してもらった後で判断できるため、相続不動産の査定においても役立てることができます。

主な不動産一括査定サイト

サイト名 運営会社 特徴
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電話やメールなど遠隔で行う机上査定(簡易査定)の後、訪問査定を依頼してみましょう。同じ会社で簡易査定と訪問査定の金額が著しく変わることは稀ですが、戸建て物件の場合は物件固有の特徴により価格が異なるケースもあります。

訪問査定の際には間取り図や住宅ローン残高証明書、測量図などの物件資料を準備しておきましょう。

また、相続の場合、被相続人が物件に住んでいて亡くなった後、数ヶ月経過してから売却するパターンもあります。人が住まない家は傷みが早く、売却する頃には価値が下がってしまう可能性があるため、定期的にメンテナンスを行っておきましょう。

2-3.不動産鑑定士への鑑定依頼を検討する

不動産鑑定士による鑑定評価では、法律や地理的な状況、市場価格などを参考に鑑定評価が行われます。不動産を売買する時や相続・贈与、賃貸等の場面で活用できます。

鑑定士が作成する鑑定評価書は、国土交通省令で定める事項が記載されています。不動産会社の査定と比較して、より厳格な基準による不動産価格の調査が可能です。ただし、不動産鑑定士事務所への依頼費用が発生する点に注意しましょう。

3.不動産相続における注意点

相続の対象となる不動産は築年数が経過している物件が多く、実際の土地の面積と登記簿(登記記録)に載っている面積が異なる場合があります。

また、不動産相続は様々な専門知識を必要とする場面があり、それぞれに適した専門家への相談をすることも大切なポイントとなります。それぞれの注意点を詳しく見て行きましょう。

3-1.土地は隣家との境界を明確にし、正確な面積を把握しておく

土地が登記された登記記録(旧:登記簿)には土地の面積が記載されています。

登記簿に記載された面積を「公募面積」と言いますが、築年数が古い物件の場合公募面積は数十年間受け継がれてきており、実際の面積と異なるケースがあります。

土地を保有している間に隣家が変わっており、境界線があいまいになっている可能性もありますので、土地を売却する際には隣接地との境界を確定した上で、相続する土地の面積を正確に測定する必要があります。

3-2.分野別の専門家への相談を検討する

相続でトラブルが起こりそうなケースや、どうしたら良いか分からない時には専門家に相談するという手段もあります。

相続では法律、税金、不動産と様々な専門知識が必要となりますので、下記の表で分野別の相談先を確認してみましょう。

法律についての相談

  • 弁護士:相続登記、遺産分割をめぐって意見が食い違う時など多岐に渡る問題を相談できる
  • 司法書士:不動産の相続登記の代理申請や、証明書類などの取得代理が可能
  • 行政書士:官公庁に提出する書類を作成・戸籍謄本を取得する専門家

不動産に関する相談

  • 宅建建物取引士(不動産会社):不動産売却や賃貸の際に相談できる不動産取引の専門家
  • 不動産鑑定士:不動産鑑定の専門家
  • 土地家屋調査士:土地の境界確定に関する専門家

税金に関する相談

  • 税理士:税金・税務の専門家。相続税や贈与税などに関して相談できる

まとめ

不動産は売却のタイミングや売却方法、どのような評価方法をとるのかによっても価額が異なる資産です。価格も大きくなりやすい資産であることから、遺産分割のタイミングで意見が別れてしまいやすく、トラブルに発展しやすい遺産と言えます。

トラブルの回避には、相続人同士が納得できる不動産の評価査定と、状況に適した分割を行うことが重要になります。専門家への相談も検討しながら、慎重に進めて行きましょう。

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田中 あさみ

経済学部在学中に2級FP技能士(AFP)の資格を取得。ライターとして不動産投資を含む投資や年金・保険・税金等の記事を執筆しています。医療系の勤務経験がありますので、医療×金融・投資も強みです。HEDGE GUIDEでは不動産投資を始め、投資分野等を分かりやすくお伝えできるよう日々努めてまいります。