中古マンション投資はミドルリスクの投資方法ですが、中にはハイリスクな物件を購入してしまったり、トラブルが発生して所有していた投資用マンションを手放すといった事態に陥る人もいます。
そこで今回のコラムでは、中古マンション投資に失敗した原因にスポットを当て、6つの失敗原因について解説します。また失敗リスクを回避するためのポイントについても紹介します。
目次
- 中古マンション投資の失敗原因
1-1.利回りを優先してしまった
1-2.修繕費の見積もりが適切ではなかった
1-3.資産価値の下落を考えていなかった
1-4.入居者間のトラブルに気づかなかった
1-5.管理体制を確認しなかった
1-6.管理規約を確認しなかった - 中古マンション投資の失敗リスクを回避するポイント
2-1.立地条件の良いマンションを選ぶ
2-2.厳しめにシミュレーションする
2-3.マンションの管理状況を確認する - まとめ
1 中古マンション投資の失敗原因
中古マンション投資に失敗してしまう原因はさまざまですが、今回は下記の6つを取り上げました。
- 利回りを優先してしまった
- 確認が曖昧だった
- 資産価値の下落を考えていなかった
- トラブルに気づかなかった
- 管理体制を確認しなかった
- 管理規約を確認しなかった
次の項目から具体的に解説していきます。
1-1 利回りを優先してしまった
中古マンションは新築マンションよりも利回りが高いという特徴があり、物件によっては15%以上や20%以上などの高利回り物件もあります。
しかし、高利回りの物件は「立地条件が良くない」「経年劣化による設備不良」「担保性が低く融資が受けられない」などの理由によって、物件価格が低く設定されている可能性が高いと言えます。
このような高利回りの原因を把握しないで物件を購入してしまうと、入居者が確保できずに空室期間が長くなるなど、失敗につながってしまうことがあります。
高利回り物件である要因には、下記のような事例があります。
- 最寄り駅から遠い
- 築年数が経っている
- 家賃が相場よりも高い
- 設備が古い
- 入居率が良くない、など
相場よりも高い利回りの場合、なぜ利回りが高いのか理由を確認し、それに対応できるのかも検討してから購入するようにしましょう。
ただし、売主が売却を急いでいるなど、良質な物件でありながらも利回りが高い掘り出し物のような物件が販売されていることもあります。こうした物件を見つけることができれば、失敗は回避できる可能性があります。
1-2 修繕費の見積もりが適切ではなかった
中古マンション投資では、適切に情報を確認しないために、購入後に入居者を確保できないといった事態に陥る可能性があります。
例えば、オーナーチェンジ物件ではすでに入居者がいるため、室内の状況を詳しく判断することが難しい物件となります。買主は物件を購入した後に新しく入居者を募集する必要がなくすぐに収入が得られるというメリットがありますが、退去後に大きな修繕費を必要とするケースもあります。
その他、長期間の入居者がいるオーナーチェンジ物件では、間取りや設備などが入居者のニーズに合わなくなっていることがあります。また購入前に見学ができないため、退去後に設備の不良が見つかり、大規模な修繕工事が必要なこともあります。そのため家賃を下げて募集したり、支出が増えるなど、予定とは異なった運営になってしまう可能性もあるのです。
実物資産を運用するマンション投資では、この他にも様々な原因で突発的な修繕費用を必要とするケースがあります。設備保証付きの管理会社へ委託したり、修繕費を見越した資金計画を立てておくなどの対策も、重要なポイントとなります。
1-3 資産価値の下落を考えていなかった
経年劣化により、時間が経つほどマンションの建物部分の資産価値は下落していきます。そのため適切なタイミングでメンテナンスを行い、状態に合わせてリフォームやリノベーションを施していく必要があります。
特に中古マンションの場合は、購入した時点ですでに築年数が経っています。つまり、オーナーとしては常に物件の価値を視野に入れて、運営をしていくことも重要です。
マンションの資産価値を考えずに運営していくと、「売却したいときに売れない」という事態を招くことになります。マンションの資産価値の推移もシミュレーションに組み込み、購入時点で出口戦略を立てておくことも大切なポイントです。
1-4 入居者間のトラブルに気づかなかった
国土交通省が行った「平成30年マンション総合調査報告」によると、アンケートに答えた約77%のマンションでトラブルが起きているという結果になっています。その内訳は下記のように、1位が生活音で、2位が駐車や駐輪に関するマナーとなっています。
順位 | トラブルの内容 | 割合 |
---|---|---|
1位 | 生活音 | 38.0% |
2位 | 違法駐車・違法駐輪 | 28.1% |
3位 | ペット飼育 | 18.1% |
4位 | 共用部分への私物の放置 | 15.1% |
5位 | バルコニーの使用方法 | 12.9% |
6位 | 専有部分のリフォーム | 4.3% |
※参照:国土交通省「平成30年マンション総合調査報告」
マンションは戸建てとは異なり、集合住宅になっているため、隣人や上下階の住人との距離が近く、騒音をはじめとしたトラブルが起きやすい構造となっています。
所有している投資用マンションで騒音トラブルがあると、入居者の居住期間は短くなることが想像できます。空室期間が増えることに加えて、入居者が決まる度に仲介業者に支払う仲介手数料や広告費などの費用が必要になります。
こうした事態を避けるには、時間帯を変えて物件見学を複数回行ったり、不動産会社に入居者間でトラブルがないか、確認してみましょう。また、設定家賃の高い物件を選んだり、エレベーターやエントランス、駐輪場などの共有部分の状況を確認するなどして、入居者の属性に問題がないかチェックする方法もあります。
1-5 管理体制を確認しなかった
マンションには区分所有者によって形成される管理組合があり、管理組合でマンションのさまざまなことを決めています。例えば、管理費用の使い道や修繕工事の時期や規模なども管理組合での決定事項です。
多くの場合、管理組合は建物管理の不動産会社へ委託しているため、実際の管理を行っているのは建物管理会社になります。建物管理会社は定期的に管理組合へ管理状況を報告し、環境整備を行っています。
マンションによってはこの管理体制が悪く、廊下にゴミが落ちていたり、廊下に荷物が出されたままだったり、ゴミ集積所でゴミが散乱したままのケースもあります。マンションがこのような状態では、入居者の入居期間が短くなりやすく、入居者の属性低下を招く要因にもなります。
マンションの管理体制を把握することは、入居者に快適な生活空間を提供する物件オーナーの役割の一つです。そのため区分所有者として、管理体制の強化などを管理組合に求めることも大切です。
また物件を購入する際には、エントランスや廊下、エレベーターなどの共有部分の清掃状態、ポストのチラシやゴミ集積所、掲示板などの状態も確認するようにしましょう。
【関連記事】不動産投資で建物管理がなぜ重要なのか?建物管理に強い不動産会社も
1-6 管理規約を確認しなかった
マンションの管理組合では、住民がそれぞれ快適に暮らすためのルールである管理規約を設けています。しかし投資用マンションとして購入する際は、自分が住むわけではないため管理規約を丁寧に確認しないオーナーもいます。そのためマンション経営に影響が及ぶことがあります。
例えば、下記のような例が報告されています。
- ペット飼育可にしようと思ったが、出入り口などの細かな制限があった
- 入居希望者にピアノを設置したいと言われたが、規約を確認したら不可だった
- オール電化にリフォームをしようと思ったが、IHクッキングヒーターは使用禁止だった
- 駐車場に重量制限があるため、大型SUV所有の入居希望者に断られた
- スケルトンリノベーションをしようと思ったが、柱の撤去ができなかった、など
このようにご自身が理想としているマンション運営ができない可能性があります。そのためマンションを購入する前に、適切に管理規約を確認しておくようにしましょう。
2 中古マンション投資の失敗リスクを回避するポイント
中古マンション投資において、失敗のリスクを避けるためには下記のようなポイントがあります。詳しく見てみましょう。
2-1 立地条件の良いマンションを選ぶ
中古マンション投資の基本的な戦略は、中長期的に保有して徐々に家賃収入を積み上げていく投資方法となります。長い期間の入居需要が見込める物件であることが重要となるため、まずは立地条件の良いマンションを優先的に検討されてみると良いでしょう。
その他、下記のようなポイントも中古マンションで確認しておきたい点です。
- 家賃が見合っている
- 必要な設備が揃っている
- 眺望がいい
- セキュリティを強化している
2-2 厳しめにシミュレーションする
中古マンションは運用中のコストが増加しやすい特徴があります。空室になったり、設備を交換したり、リフォームをしたりといったことで費用がかかるからです。そのため購入前には家賃や経費、税金、ローン返済額を設定し、収入と支出のシミュレーションを行いましょう。
このときのポイントは少し厳しめにシミュレーションを行うことです。経費率や空室率を大きく見積もったり、家賃下落率を大きく設定してみましょう。
特に重要なのが、不動産投資ローンの金利です。2022年8月時点ではローンの金利は非常に低く設定されていますが、インフレや円安の傾向が継続し続けると、政策金利の引き上げにより不動産投資ローンの金利も上昇する可能性があります。
ローンの金利上昇が起きると、低利回りの中古マンション投資では、家賃収入と金利の差(イールドギャップ)を生み出すことが難しくなります。不動産投資ローンは基本的に変動金利となるため、金利上昇による負担増により、収支を大きく圧迫する可能性があります。
このような事態に備えてシミュレーションを厳しく行うことで、突発的なトラブルや出費などにも余裕を持って対応することができかどうか、判断することが大切です。
2-3 マンションの管理状況を確認する
中古マンション投資では、マンションの管理状況が重要な判断ポイントになります。中には適切な修繕計画を立てておらず、大規模修繕に向けた修繕費が積み立てられていないなどのトラブルに発展することもあります。
マンション管理については、利回りや経費などと比較してあまり重要視されない面でもありますが、将来の入居率や経費率に大きく関わる部分です。管理状況が適切であるかどうか、現地調査を行うなどして確認しておきましょう。
また、不動産会社の中には設備保証を設けているケースがあります。中古マンション投資では室内の状況が分かりづらく、設備不良が起きるリスクが高いため、設備保証の有無を判断基準に検討されてみるのも良いでしょう。
まとめ
中古マンション投資は、新築時よりも物件価格が安く高利回りを狙いやすい投資対象です。しかし、築年数が経つと経年劣化が起きているリスクが高くなり、高利回りであることを優先しすぎると想定外のトラブルが起きる可能性があります。
中古マンション投資を検討する際は、まずは立地条件や建物管理の状態を把握した上でシミュレーションを行い、運用リスクを負うことができるかどうか判断されることが大切です。
また、低リスクの投資用マンションであるほど利回りが低くなっていく傾向があります。自身に適したリスクとリターンのバランスを考えながら、適切にリスクマネジメントをしていくと良いでしょう。
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倉岡 明広
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