「相続をきっかけに始めたアパート経営が赤字に」土地活用の不動産投資体験談

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読者の方の実際の不動産投資体験談にもとづいて、HEDGE GUIDE編集部が失敗しない不動産投資のコツや戦略について解説する「不動産投資の相談室」。今回の体験談は、親の遺産の土地でアパート経営を始めたという40代後半の男性の方です。

相談者プロフィール

  1. M.Tさん
  2. 男性
  3. 40代後半
  4. 上場企業・正社員
  5. 年収701万〜800万

不動産投資の失敗体験談

「アパート経営には以前から興味はありましたので、2005年に親が遺産として残してくれた、東京の土地を相続したことをきっかけにアパート経営を始めました。場所は駅から徒歩11分でしたがアパートは新築でしたので、最初はすぐに満室になりましたが、毎年繁忙期になると3割くらいが退去して、次の入居者がつかないというケースも増えて、家賃収入が減少し赤字になるようになってしまいました。建物が古くなると同時に常に空室が数戸あるという状態になってきました。広告費や修繕費なども予想以上にかかってしまいアパート経営はうまくいっていません。開始してからの累計だと280万円ほどの損失が出ています。」

補足データ

  1. エリア:東京都目黒区青葉台
  2. 物件:新築アパート一棟
  3. 購入時の価格:5000万円(土地保有・物件価格のみ)
  4. 融資条件:借入額3300万円、金利2.5%、返済期間5年(毎月返済額58万円)
  5. 利回り:18.0%(満室時)
  6. 投資期間:2005年3月から2018年1月現在

HEDGE GUIDE編集部からのアドバイス

  1. 【アドバイス①】都内でも駅徒歩10分超の立地には注意
  2. 【アドバイス②】高すぎる利回りの場合は家賃の見直しを検討する
  3. 【アドバイス③】年数が経っても入居者から選ばれる高品質な建物や管理を

【アドバイス①】都内でも駅徒歩10分超の立地には注意

今回は東京都の目黒区という需要もある土地でのアパート経営ですが、駅徒歩の分数が10分(距離800メートル)を超えているため、周辺物件と比べると競争力が低くなってしまいます。駅からの時間が10分を超えると、入居者からは「駅から遠い」とみなされて敬遠されてしまうためです。

実際、駅徒歩10分を超える物件を選ぶ入居者は、賃貸大手企業のアンケートでも全体の3割~4割程度 (※参考1、参考2)という結果が出ており、後々で空室リスクを抱えることになります。新築のうちは、「新築・築浅に住みたい」というニーズで満室を実現できますが、年数が経ってくると他の築浅物件や駅近物件に入居者を奪われてしまうのです。

※参考1 CHINTAI「駅徒歩何分の物件なら住みたいと思える?
※参考2 アットホーム「「“UNDER30”私たちの選び方 ~部屋探しのプロセス&マインド~」(2015-2016年全国)

遺産として相続した土地の中には、今回のようにアパート経営に活用してみたいとお考えの方も多いかと思いますが、保有している土地が必ずしも賃貸向きの土地ではないというケースがあり得ますので、アパートを建てる前に駅徒歩の時間や周辺の利便性をしっかりと調べてから、始めるかどうかを検討したほうが良いでしょう。

アパート経営は長期で運用をしていくものとなりますので、10年後・20年後を見据えて安定的な入居ニーズが見込める立地を確保することが非常に重要です。相続した土地のアクセスや利便性が良くない場合には、その土地を売却したり担保にしたりして、好立地な土地を購入するといった選択肢も視野に入れることが大切です。

【アドバイス②】高すぎる利回りの場合は家賃の見直しを検討する

今回の事例は、相続であらかじめ土地を所有していたという背景はありますが、物件のみで考えたとしても都内で利回り18%というのは高い家賃水準です。オーナーにとっての利回りが高いということは、入居者にとっては家賃水準が高いということでもありますので注意が必要なポイントです。

新築・築浅の頃であれば多少高い家賃に設定をしていても入居者がつきますが、年数が経ってくると、物件のスペック(駅徒歩、築年数、設備)と家賃で周辺物件と比較されるようになるため、家賃水準が高いままだと今回のように入居者がつかなくなってしまうことになります。

もちろん、家賃を引き下げると物件の収益性や不動産価値が落ちてしまうため安易な値下げは禁物ですが、今回のように常に空室が目立つという状況であれば、空室の分の家賃がずっと入らないままですので、家賃を引き下げることで全体の家賃収入を引き上げることが可能です。

また、家賃が高いことのデメリットは、入居者がつかないということだけではありません。家賃水準が高いと現在入居している方の入居期間も短くなってしまうという点にも注意が必要です。入居期間が短くなると、次の入居者を迎え入れるための原状回復費(家賃の1ヶ月~1.5ヶ月程度)や設備の修繕・更新、次の入居者を募集するための広告費(家賃の1ヶ月~2ヶ月分)、次の入居者が決まるまでの空室期間による機会損失(0.5ヶ月~2ヶ月程度)などのコストが余計にかかることになってしまいます。

退去によるアパートオーナーのコスト負担

つまり、平均の入居期間が短くなればなるほど、上記のコスト割合が増えてしまうため、手元に残る実質的な家賃収入が減少してしまうことになります。将来の収益性を落とさないように高い家賃に設定し続けていることが、逆に現在の全体の収益を悪化させてしまっていることがあるため、注意が必要です。

【アドバイス③】年数が経っても入居者から選ばれる高品質な建物や管理を

今回のケースでは駅徒歩10分超の立地や高い家賃などの要因も空室に影響していましたが、建物面でも気をつけておきたいことがあります。それは、築年数が経っても入居者から選ばれる建物を建てるということです。

築年数が経っても選ばれるアパートの特徴は、美観を保っていること・設備が充実していること・入居中の評判が良いことの3つです。まず、美観を保っているというポイントについては、外観が良いことと建物管理がしっかりしていることが条件となります。

たとえば、以下はシノケンプロデュースという大手のアパート会社が企画・販売をしているデザイナーズアパートです。2016年にはグッドデザイン賞も受賞しており、入居者からも非常に好評を得ています。

グッドデザイン賞を受賞したシノケンプロデュースのアパート

室内のほうも非常に洗練されており、広々とした居心地の良い空間となっています。また、設備面でもウォシュレット、独立洗面台などの水回りや収納など、女性からも厳しくチェックされるポイントはもちろん、ルームエアコン、カラーモニター付きインターフォン、ブロードバンド常時接続無料など、入居者が求める人気の設備を標準設置しています。

この他にも、洋室の床を持ち上げることで、1Fのバルコニー手すりの高さを2m以上確保しており、防犯面・プライバシー面にも配慮したデザインとなっているなど、入居者のニーズや入居者が気にかけていることにしっかりと応えた物件となっています。

シノケンプロデュースのアパート室内

このような入居者のニーズを満たす物件は、入居中の満足度も高くなる傾向にあり、入居期間が長くなることに加えて、転勤や結婚など何かしらの理由で退去をする際にもインターネット上に良い口コミを残してくれるなどの好影響があり、次の入居者が決まりやすくなるというメリットがあります。

また、シノケンプロデュースの場合は、グループ会社にシノケンファシリティーズという管理会社があり、建物管理や賃貸管理などを一括で任せることができます。管理のプロに任せることで、適切な建物管理による美観の維持とともに、入居中の設備の故障や不具合への対応、入居者間のトラブルやクレーム対応などをすべて任せることができるため、入居中の不便さや不満を最小限に抑えて入居満足度を高い水準で維持することが可能です。

まとめ

相続などで土地を受け継いだ方は、まずはエリアの人口や駅徒歩の時間を調べて入居需要を検討し、好立地だと判断される場合にアパート経営を検討されると良いでしょう。もし、立地が良くないと判断される場合には、他の土地への切り替えを検討してみて下さい。また、建物や管理については、年数が経っても美観を保つことができるか、入居者から求められる設備を備えているか、入居者から良い評判を得られそうかという視点で会社を選ぶと良いでしょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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