災害リスクの高い不動産売却の注意点は?土砂・洪水・津波、それぞれ解説

不動産売却を進めるのであれば、できるだけスムーズに、できるだけ高く売却をしたいと考える方も多いのではないでしょうか。

しかし、土砂崩れや洪水など、災害リスクの大きい不動産の売却を予定している場合、なかなか買い手が見つからずに売却が長期化してしまう可能性があります。

そこでこの記事では、災害リスクの高い不動産を売却する際の注意点について、土砂・洪水・津波に分類して解説します。

目次

  1. 災害リスクの高い不動産の売却は容易ではない
  2. 土砂災害リスクの高い不動産の注意点
    2-1.土砂災害警戒区域
    2-2.造成宅地防災区域
  3. 洪水リスクの高い不動産の注意点
  4. 津波リスクの高い不動産の注意点
  5. まとめ

1.災害リスクの高い不動産の売却は容易ではない

自宅を売却しようと考えていても、所有しているのが災害リスクの高い不動産だった場合、買い手の需要が少なくなることから、売却が長期化してしまう可能性があります。

また、災害リスクの高い不動産の売却では、後のトラブルを避けるために専門知識を備えた不動産会社の協力が必要になります。売却をスムーズに行い後のトラブルを避けるためにも、複数社の不動産会社へ相談し、より専門性の高い不動産会社へ売却を依頼するように工夫が必要です。

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例えば、「災害リスクの高い物件の売却を検討しており、対応可能・経験豊富な不動産会社に依頼したい。」など備考欄に記入しておくことで、効率的に依頼先の不動産会社を見つけられるでしょう。

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次項より、代表的な災害リスクである土砂・洪水・津波リスクの高い不動産を売却する場合の注意点を詳しく見ていきましょう。

2.土砂災害リスクの高い不動産の注意点

土砂災害リスクとは、雨の影響で急傾斜地に土石流または地滑りが起こって居住者に命の危険が及ぶリスクの事です。

このような土砂災害リスクの高いエリアは、土砂災害警戒区域や造成宅地防災区域などに指定されており、何らかの制限が加えられていることがほとんどです。土砂災害警戒区域と造成宅地防災区域の制限について詳しく見ていきましょう。

2-1.土砂災害警戒区域

土砂災害警戒区域とは、土砂災害防止法で指定されているエリアです。しかし、土砂災害警戒区域に指定されている場合でも、建築制限は設けられていません。

さらに危険度が高いエリアの場合、土砂災害特別警戒区域に指定される可能性があります。土砂災害特別警戒区域は売却時に都道府県知事の許可が必要になるので注意が必要です。

土砂災害特別警戒区域では、崖の崩落を防ぐための補強、建物自体を強固にするなど、何らかの対策を練っていなければ許可が得られません。また、崩落した土砂に耐えられる外壁や擁壁の設置といったように、建築制限も加わります。

また、どちらも重要事項説明の際に指定されていることを告知しなければならず、特に土砂災害特別警戒区域の場合は、都道府県知事の許可を得られなければ売却できないので注意しましょう。

2-2.造成宅地防災区域

造成宅地防災区域とは、宅地造成等規制法で指定されているエリアです。該当する不動産は、擁壁の設置や改造など災害を防止するために必要な措置を都道府県知事から求められます。

造成宅地防災区域に指定されている場合には重要事項説明で告知しなければなりません。重要事項説明で告知しておらず、都道府県知事から購入後の所有者に是正勧告または改善命令が行われた場合、契約不適合による損害賠償や契約解除に至る可能性があります。

3.洪水リスクの高い不動産の注意点

日本は台風の影響も受けやすいため、雨量の多い時期は洪水が発生する可能性があります。洪水リスクは土砂災害リスクのように法的なエリアの指定は行われていませんが、2020年8月28日からハザードマップで所在地の確認が重要事項説明で義務化されました。

過去に水害が発生したエリアでは再発する可能性が高く、売却後に水害が発生した場合はトラブルに発展することもあります。トラブルを未然に防ぐためにも、売却の際に重要事項説明でしっかりと告知を行う必要があります。

洪水リスクが高いかどうかは市町村が発行する水害のハザードマップで確認できるため、トラブルを未然に防ぐためにハザードマップで所在地を確認するケースも増えています。告知漏れは契約不適合による損害賠償や契約解除に至る可能性があるため、売却の影響を恐れて事実を隠蔽するといったことがないようにしましょう。

4.津波リスクの高い不動産の注意点

津波リスクの高いエリアは、津波防災地域づくりに関する法律に基づいて都道府県知事が津波災害警戒区域に指定します。

土砂災害警戒区域と同じく、津波災害警戒区域に指定されているからと言って、建築制限が加わるわけではありません。

しかし、津波の被害が甚大になる可能性が高いと考えられる場合、津波災害特別警戒区域に指定されます。津波災害特別警戒区域に指定された場合、津波による浸水が想定される基準水面を下回る部分にリビング等の居住空間となる部屋を設置できません。

こちらは厳しい建築制限が設けられるため、売却が長期化する可能性の高い物件と言えるでしょう。

また、どちらも重要事項説明での告知義務があります。告知しなかった場合には、契約不適合による損害賠償や契約解除に至る可能性があるため、告知漏れが生じないように気を付けましょう。

まとめ

日本は地震や台風による災害が発生しやすく、売却を検討している不動産が災害リスクの高い不動産であることも珍しくありません。

災害リスクの高い不動産は土砂災害警戒区域や津波災害警戒区域などの指定を受けているケースが多く、厳しい建築制限が加わることによって売却が長期化してしまう事例も多く見られます。

売却で不利にならないように、指定を受けている事実を告げずに売却しようと考えている人もいるかもしれませんが、重要事項説明での告知が義務化されており、違反した場合には契約不適合による損害賠償や契約解除に至る可能性があるので注意が必要です。

買い手とのトラブルを未然に防ぐためにも告知漏れが生じないように注意しながら売却に臨みましょう。

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矢野翔一

矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。