被災した家をスムーズに売却する方法は?罹災証明の申請や売却の手順を解説

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台風や豪雨等の自然災害による住宅の被害は年々増加しており、被災した物件を売却せざるを得ないケースも少なくありません。

災害に遭った家を売却する前には、罹災証明書を申請・取得する、公的な支援制度・損害保険の適用可否を確認しておくことで損害を最小限におさえられる可能性が高くなります。

本記事では、被災した家をスムーズに売却する方法、罹災証明の申請や売却の手順について詳しく解説します。

目次

  1. 被災した家を売却する前にするべき事や知っておきたいこと
    1-1.まずは罹災証明書を申請・発行してもらう
    1-2.公的な支援制度・損害保険の適用可否を確認する
    1-3.被災後の住宅は査定額が下がり、売却に時間がかかる
  2. 被災した家をスムーズに売却する手順
    2-1.支援金や保険金を活用して修理を行ってから売却
    2-2.解体して更地として売却する
    2-3.不動産業者に買取を依頼する
  3. まとめ

1.被災した家を売却する前にするべき事や知っておきたいこと

家が自然災害で罹災してしまった時は、まず罹災証明書を申請しましょう。罹災証明書を取得する事で災害の支援制度への申し込みや税金・保険料の減免が可能となる場合があります。

罹災証明書を取得した後は、要件に当てはまる場合公的支援の申し込みが可能となり、支援金や給付金を受け取る事ができる可能性があります。

損害保険に加入している場合は保険が適用となるかを保険会社に問い合わせましょう。

1-1.まずは罹災証明書を申請・発行してもらう

罹災証明書は、台風や地震・風害等の自然災害により被災した住居の被害程度を明記した書類です。罹災証明書の交付により災害の支援制度への申し込みが可能で、被害の程度によって支払われる金額が異なります。

罹災証明書は役所の担当窓口(東京都であれば東京都総務局総合防災部防災管理課)に申請を行い、市町村の担当者が被害状況を調査した後、確認した被害の程度(全壊、大規模半壊、半壊、一部損壊等)を記した罹災証明書が交付されます。

ケースに応じて被災者生活再建支援金や各種税金・保険料の減免等の支援を受ける事ができます。

災害の規模によっては交付されるまで時間がかかる事があり、内閣府では今後自然災害が発生し被災世帯数が多い場合には、地区ごとに罹災証明書の交付時期を調整することも検討しています。

「被災証明書」という似た名前の書類があり、罹災証明書と同様に市区町村から発行されますが、罹災証明書は「住居の被害の程度を示す書類」であるのに対し、被災証明書は「被災した事実を証明するもの」という違いがあります。

支援制度の申請種類となるのは、被害の程度が認定された罹災証明書となりますので間違えないように気を付けましょう。

1-2.公的な支援制度・損害保険の適用可否を確認する

自然災害の被害に遭った際は一定の条件を満たすことで支援制度を利用する事が出来ます。

住宅の損壊により支援金が給付される生活再建支援制度や災害による負傷、疾病で精神又は身体に著しい障害が出た場合に支給される災害障害見舞金等が存在します。まずは要件に当てはまるかを自治体のホームページで確認してみましょう。

損害保険に加入している際は、保険会社に問い合わせてみましょう。保険金や支援金は被災後の生活の再建費用や家の修理費用に充てる事が出来ますので、積極的に活用していきましょう。

1-3.被災後の住宅は査定額が下がり、売却に時間がかかる

住宅が自然災害の被害に遭った後、家の査定額が下がり売却には時間がかかる傾向があります。

災害の規模にもよりますが被災により物件や土地が損壊する、被災地であるというイメージが付くことで査定額が低くなってしまう可能性があります。

そして建物が壊れている場合は修理・解体してから売却を行うケースがあり、どちらのケースも一定の時間がかかります。損害保険に加入している場合は保険金が下りるまでに調査・審査等の期間があります。

売却する際も念入りに査定を行う必要があるため、多くの時間を要する傾向があります。なお、被災した事実は購入希望者への告知義務がある点にも留意しておきましょう。

2.被災した家をスムーズに売却する手順

被災した家の売却方法として、本記事では大まかに下記3つパターンに分けて考えてみます。

  1. 家を修理した後売却
  2. 解体して更地として売却
  3. 不動産会社に買取を依頼する

仲介による売却の方が売却価格は高くなり、不動産業者による買取は相場の約6~7割程度となります。被災した家の場合は売却する上で「早さ」を重視するか、「売却価格の高さ」に重きを置くかで売却方法が異なります。

  • 早さを重視する場合:買取>解体して更地で売却>修理して売却
  • 売却価格の高さを重視する場合:修理して売却>解体して更地で売却>買取

なお物件の被害が大きい場合は、「修理して売却」よりも「解体して更地で売却」する方法で売却価格が高くなり、早く売却できる可能性もあります。

また、これらの手段を講じる前に事前に不動産会社へ相談をしておくことも有効です。建物付きで売却したほうが良いのか、補助金を利用して解体したほうが良いのか、実施する前に相談して慎重に計画を立てておきましょう。

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不動産会社への査定依頼と並行して、今後どのような売却手段があるのか確認しておきましょう。以下、3つの売却パターンについてそれぞれ解説します。

2-1.支援金や保険金を活用して修理を行ってから売却

例えば台風で家が半壊・一部損壊した場合、支援制度による支援金や損害保険金を利用して家をリフォームした後売却するという方法があります。

一定の条件を満たし被災者生活再建支援制度が適用されるケースでは、全壊・解体の場合は基礎支援金が100万円、住宅を補修する際は加算支援金として100万円が支給され、大規模半壊の場合は基礎支援金50万円、住宅の補修は全壊時と同様に100万円が加算されます。(内閣府「被災者生活再建支援制度の概要」を参照)

ただし支援制度を受けるためには罹災証明書を申請・発行、支援金支給申請、自治体が取りまとめ支援法人を通じて給付と言う形になりますので、ある程度の時間がかかることを認識しておきましょう。

損害保険に加入しており、補償の対象となる場合にも保険金が下りますので保険金で家の修理を行った後売却が可能です。保険商品によって補償の対象・金額等が異なり、保険会社に申請・調査・審査の後に保険金が給付されます。

支援金や保険金だけでは修理費用を賄えないケースもありますので、修理後の売却費用をシミュレーションした上で修理を依頼しましょう。

2-2.解体して更地として売却する

建物が全壊した際や修理を行う事が困難である場合、解体して更地として売却するという方法があります。

本来であれば建物の解体は所有者が自費で行いますが、熊本・西日本豪雨等の極端な激甚災害の場合には、半壊以上の撤去を災害等廃棄物処理事業費補助金制度の補助対象とした例があります。

2018年に起きた北海道での胆振東部地震で大きな被害を受けた厚真町では、罹災証明で「全壊」と判定された場合、解体・撤去費用は全額補助金の対象となり、「大規模半壊」「半壊」では費用の半額が補助されました。(厚真市「被災した家屋の解体・撤去工事にかかる助成制度について」を参照)

補助金の対象となる際は災害が起きた後、環境省から都道府県を通じて通知がありますので必ず確認するようにしましょう。

自費で解体する場合には解体業者に解体を依頼します。複数の解体業者に見積もりを依頼し、適正な価格を判断してから業者を決めましょう。

2-3.不動産業者に買取を依頼する

手早く家や土地を処分したい場合には、不動産業者による買取を検討してみましょう。

仲介で売却を行った場合、購入希望者を探す所から始めるため3ヶ月~6ヶ月程度の期間を要します。一方、買取では不動産会社と売却希望者が話し合い、買取価格が決定してからすぐに契約を交わす事が出来ます。

不動産会社によっては損壊した家を解体・修理することなく買取をしてもらう事ができるため、解体・修理費用や手間を省く事が出来ます。

ただし、建物の損傷が大きい場合や需要の少ないエリアの物件であった場合、買取を行える買取業者がいないケースがあります。買取の場合も不動産一括査定サイトを活用するなど、出来るだけ複数の不動産会社へ効率的に問い合わせてみましょう。

まとめ

災害に遭った家を売却する前には、罹災証明書を申請・取得する、公的な支援制度・損害保険の適用可否を確認しておくことで損害を最小限におさえられる可能性があります

まずは罹災証明書を申請し、公的な支援や損害保険が受けられるかどうか調べてみることが大切です。

被災した家を高く売りたい方は、複数の不動産会社へ問い合わせてどのような手段を講じるのが良いか相談してみましょう。

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田中 あさみ

経済学部在学中に2級FP技能士(AFP)の資格を取得。ライターとして不動産投資を含む投資や年金・保険・税金等の記事を執筆しています。医療系の勤務経験がありますので、医療×金融・投資も強みです。HEDGE GUIDEでは不動産投資を始め、投資分野等を分かりやすくお伝えできるよう日々努めてまいります。