戸建投資の特徴とメリット、注意点を解説。他の不動産との違いは?

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不動産投資と一口に言っても、アパート投資やマンション投資、戸建投資など様々な種類があります。そのため、どの方法を選択すべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか?それぞれ特徴やメリットが異なるため、違いをよく理解してから自分に合った運用方法を選択した方が、リスクを抑えながら安定した運用に繋げられるでしょう。

そこで今回は、戸建投資の特徴とメリット、注意点について解説します。

目次

  1. 戸建投資の特徴
  2. 戸建投資の5つのメリット
    2-1.少額から始めやすい
    2-2.リノベーションしやすい
    2-3.立地条件をあまり気にせずに済む
    2-4.入居期間が長くなりやすい
    2-5.出口戦略を立てやすい
  3. 戸建投資の3つの注意点
    3-1.融資を受けにくい
    3-2.空室が生じると家賃が0になる
    3-3.リフォーム費用がかかる
  4. まとめ

1 戸建投資の特徴

戸建投資は、戸建住宅を取得して貸し出すことで継続的に家賃収入を得る不動産投資の1つです。他の主な不動産投資にはアパート投資やマンション投資が挙げられますが、どのような違いがあるのでしょうか?

例えばマンション投資では、戸建住宅が住宅街にあることが多いのに対して、マンションは駅周辺といった立地条件の良い場所にも多く存在します。また、ワンルームなど単身者向けの間取りも多く、その点もファミリー中心の戸建投資とは異なります。

アパート1棟を全て取得して貸し出すアパート投資では、戸建住宅と同様住宅街に物件があることが多いという点は似ていますが、建物・土地面積が大きいことから、投資額が膨らんでしまいがちだと言えます。またマンションと同様、単身者向けの間取りが多くを占めます。

戸建投資は、相続などで物件を取得したものの、使い道がなくて困っている方の有効活用の手段として注目されています。物件を使わずに所有していても税金などを支払う必要が生じることを考えると、戸建投資もこれから注目を浴びていくと考えられるでしょう。

2 戸建投資の5つのメリット

戸建投資は、新築戸建投資と中古戸建投資の2つに分けられます。新築戸建投資は相続した土地などの有効活用にはなるものの、新たに土地を取得して建築するには投資額が大きくなってあまりメリットがないので、中古戸建への投資がメインになります。

新築・中古を合わせて戸建投資にはどんなメリットがあるのでしょうか?戸建投資の主なメリットは以下の5つです。

  1. 少額から始めやすい
  2. リノベーションしやすい
  3. 立地条件をあまり気にせずに済む
  4. 入居期間が長くなりやすい
  5. 出口戦略を立てやすい

それぞれのメリットについて見ていきましょう。

2-1 少額から始めやすい

主に中古戸建の話になりますが、少額から始めやすいことが戸建投資の一つのメリットです。戸建とマンションとを比較すると、建物の規模が大幅に異なります。マンションは規模の大きさからRC造(一部鉄骨造)であるのが一般的ですが、戸建は規模が小さいので木造が一般的です。

新築RC造は47年かけて減価償却していくため、一般的に築年数が経過しても物件価格の下落が緩やかですが、木造は22年で減価償却していくため、建物価値が下落するぶん、物件価格の下落スピードもRC造より早いのです。

中古戸建の場合は、減価償却の影響で物件価格が安くなっています。投資額を抑えられるため始めやすく、利回りも高くなりやすいことが大きなメリットと言えるでしょう。

2-2 リノベーションしやすい

2つ目のメリットはリノベーションしやすいことです。マンション投資の場合には、内装のやり直し程度はできても、外壁のやり直しや規模の大きなリフォーム・リノベーションは、自分の判断だけではできません。また、アパート投資では、リフォームやリノベーションをある程度自由にできますが、費用が膨らんでしまうのでハードルが高いと言えます。

一方、戸建投資では、全てが自分の所有物であるため、原則自由にリフォーム・リノベーションができます。間取りの変更や外壁の色を変える、ブロック塀を取り壊して駐車場にするなど、入居者需要に合わせて住環境をより良い状況に整えやすいのです。

また、DIYが好きな方などは、自分でリフォーム・リノベーションをすることで修繕費用を抑えられるため、より投資を少なく抑えられるでしょう。

2-3 立地条件をあまり気にせずに済む

また、マンション投資に比べると立地条件をあまり気にせずに済むこともメリットです。マンションは立地条件が良い場所にあることが多いため、そのぶん「駅から徒歩〇分」という条件にこだわって探している方が多い傾向にあります。そのため、マンション投資では立地条件の良さが安定した需要確保のためにも必須条件と言えます。

しかし、戸建住宅に入居を考えている方は、駅からのアクセスの良さよりも「閑静な住宅街」「学校が近い」という住環境にこだわって探している方が多い傾向があります。そのため、マンション投資は条件に合う範囲が狭いので条件に合った物件を探すのがやや難しいのですが、戸建投資では比較的そうした物件は見つかりやすいでしょう。

2-4 入居期間が長くなりやすい

また、戸建住宅は入居期間が長くなりやすいことも大きなメリットの一つです。学生や単身赴任の方を対象としたワンルームマンション投資などが注目されていますが、単身向け物件への投資は安定した需要が期待できるものの、卒業や転勤などで短期の入居になりやすいことがデメリットとして挙げられます。

一方で、ファミリーを対象とした戸建投資は、子供の教育環境などを重視して比較的長期の入居になる可能性が高いと言えます。となると、「戸建投資にこだわらなくても、ファミリーを対象としたマンション投資でも良いのでは?」と思った方も多いのではないでしょうか?

しかし、「ペットを自由に飼えない」「子供が小さいので上下階・左右の部屋に迷惑をかけてしまう」などの理由で、マンションよりも戸建住宅を望んでいる方も多くいます。これらを踏まえると、戸建住宅投資の方が安定した入居が期待できると言えるでしょう。

2-5 出口戦略を立てやすい

5つ目のメリットは出口戦略を立てやすいことです。安定した需要が期待できる地域では、定期的に修繕を実施しながら不動産投資を続けるという選択肢があります。しかし、通常は築年数の経過とともに需要が低下するため、売却などの出口戦略をよく練る必要があります。

マンション投資の出口戦略について考えてみると、以下のような戦略が挙げられます。

  1. 投資用マンションとして売却
  2. 居住用マンションとして売却
  3. 自身の居住用として転用
  4. 修繕して継続して運用

一方、戸建投資の出口戦略について考えてみると、以下のような戦略が挙げられます。

  1. 投資用住宅として売却
  2. 居住用住宅として売却
  3. 自身の居住用として転用
  4. 修繕して継続して運用
  5. 建物を潰して更地として売却
  • 建物を建て替えて運用
  • 戸建住宅は建物を潰すことが容易であるため、建物を潰して更地として売却するという選択肢が加わります。また土地の広さによっては、小規模のアパートを建築してアパート投資に切り替えることもできるなど、出口戦略の幅が広くなると言えるでしょう。

    3 戸建投資の3つの注意点

    戸建投資は、少額から始めやすい・リノベーションしやすいなどのメリットがありましたが、注意しておくべき点として以下の3つが挙げられます。

    1. 融資を受けにくい
    2. 空室が生じると家賃が0になる
    3. リフォーム費用がかかる

    それぞれの戸建投資の注意点について見ていきましょう。

    3-1 融資を受けにくい

    1つ目は購入時に融資を受けにくいことです。自身の居住用の不動産を購入する場合には、住宅ローンを契約することが可能です。しかし、自身の居住用ではなく、投資用の不動産を購入する場合には、住宅ローンではなく不動産投資ローンを契約することになります。

    新築不動産の場合は、不動産投資ローンの融資審査に比較的通りやすいと言えますが、中古不動産の場合は融資審査に通りにくい可能性があります。中古戸建投資の場合は特に注意が必要です。

    銀行の融資審査に通っても、返済期間は法定耐用年数の残存期間内となることが多く、木造で耐用年数が22年しかない戸建住宅では返済期間が短くなります。例えば、築20年の戸建住宅を取得しようとすると、返済期間の目安は2年と、とても厳しい返済計画になりかねません。

    そのため、中古戸建投資を始める際には、どの金融機関であれば融資を受けやすいか、返済期間を長く設定してくれるかなどを確認しておくことが重要と言えるでしょう。

    3-2 空室が生じると家賃が0になる

    戸建投資だけではなくマンション投資にも言えることですが、1戸(部屋)しか運用していない場合には、空室が生じるとその間の家賃収入が0になります。その間もローンの返済などの支出が生じるため、キャッシュフローを圧迫してしまうリスクがあります。

    部屋が複数あるアパート投資であれば、何室か空室が生じても、全てが空室にならない限り家賃収入が得られるので0になることはありません。戸建投資を始める際は、家賃収入が0になる可能性と隣り合わせにあることを考えて返済計画を立てることが重要です。また、資金に余裕がある場合には、1戸ではなく複数戸運用すれば、家賃収入が0になるリスクを抑えられるでしょう。

    3-3 リフォーム費用がかかる

    また、戸建住宅は多くの場合、賃貸するまでにリフォーム費用がかかります。リノベーションしやすいというメリットはありますが、修繕費が多くかかってしまっては、物件の購入費用を抑えられてもトータルの負担が大きくなってしまいます。

    そのため、戸建住宅を購入する際には、修繕費をなるべく抑えられる物件を選ぶことが重要です。また、マンションの場合は、共用部分の修繕は入居者全員で負担するため、修繕費が主に発生するのは専有部分に限られます。しかし、戸建住宅の場合には、全てが修繕対象になります。

    ランニングコストという点では戸建住宅の方が多くなりやすい傾向があるため、運用する際にはある程度のランニングコストを想定した計画的な運用が重要になるでしょう。

    まとめ

    手頃な価格から入手できる中古戸建物件への投資が少しずつ注目を集めています。戸建投資には、入居期間が長くなりやすい・出口戦略を立てやすいなどのメリットがあるので安定した運用が期待できます。

    しかし、多くのメリットがある一方、中古戸建投資には融資を受けにくい・空室が生じると家賃が0になるといった注意点もあります。メリットだけではなく注意点なども総合的に判断してから、自分に合った不動産投資の方法を選ぶようにしましょう。

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    矢野翔一

    関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。