社債の購入方法は?購入場所や銘柄の選び方、運用時のポイントも

社債は個人投資家の方にとって、あまりなじみのない金融商品の一つではないでしょうか。

社債は株のように2倍、3倍に価格が上昇することはありません。しかし、社債は元本割れのリスクが小さいため、使い方によっては個人にとってもメリットがある金融商品です。そこで今回は、社債の購入場所や銘柄の選び方、運用時のポイントについて、新発債をメインに解説します。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 社債とは
  2. 社債の購入場所や投資金額
    2-1.社債の購入場所
    2-2.投資金額
  3. 社債の選び方
    3-1.高格付け債を選ぶ(A以上)
    3-2.償還まで5年以下の社債を選ぶ
    3-3.一般担保付社債を選ぶ
  4. 運用時のポイント
    4-1.満期保有が鉄則
    4-2.儲けようとしない
    4-3.格付けが低い銘柄を避ける
  5. まとめ

1.社債とは

債券市場では債券を発行している業態ごとに債券の呼び方が異なります。国が発行する債券を国債、東京都や大阪府など地方自治体が発行する債券を地方債、財投機関が発行する債券を財投機関債、企業が発行する債券を社債と呼びます。日本の社債は各銘柄に回号が割り当てられ、発行企業名+回号で銘柄が認識されます。

社債を発行している企業の大半が大手上場企業です。それは、社債の償還までの期間が長いため、発行企業の信用力が高く、倒産の可能性が低くなければ社債を発行しても投資家が購入しないためです。

社債にはプライマリー(新発債)市場とセカンダリー(既発債)市場があります。セカンダリー市場とは、新発債が発行された後に取引される市場のことです。

2.社債の購入場所や投資金額

社債投資に関心のある方に向けて、社債を購入できる場所や必要な投資金額について解説します。

2-1.社債の購入場所

国債は銀行や郵便局、証券会社などでも購入できますが、社債に関しては、証券会社で購入することができます。社債は上場株式とは違い、取引所ではなく証券会社の店頭市場で売買されています。それも銘柄ごとに取り扱っている証券会社が異なるため、購入したい銘柄があれば、その銘柄の取扱い証券会社で購入することになります。また、売却時には購入した証券会社に売却します。

2-2.投資金額

債券は種類によって最低投資金額が異なります。投資金額は10万円から100万円です。多くの社債は発行価格が100円に設定されているため最低金額が10万円の場合、10万円×100円÷100=10万円が当初の受渡金額(必要金額)となります。下記表は2020年12月以降に発行された個人向け社債です。

発表日 利息起算日 回号 利率 償還 格付け(R&I) 最低投資金額(万円) 発行額(億円)
12月4日 北海道電力 368 0.13% 2023年12月25日 A 10 100
12月4日 四国電力 313 0.13% 2023年12月25日 A+ 10 125
12月8日 楽天カード 4 0.49% 2025年12月23日 A- 50 300
1月15日 三菱HCキャピタル 81 0.27% 2028年1月28日 AA- 100 200
2月26日 クレディセゾン 85 0.24% 2027年3月15日 A+ 10 200
3月12日 イオンモール 27 0.39% 2026年3月31日 A- 100 300
3月12日 トヨタ自動車 25 0.10% 2026年3月26日 AAA 100 1,000

3.社債の選び方

社債の最大のリスクは、企業の倒産です。社債を発行している企業が倒産してしまうと元本を大幅に下回ってしまうからです。信用調査を行っている帝国データバンクによると、2004年1月以降に会社更生法を申請した193件の平均弁済率(最終的に手元に戻ってきた金額の割合)は11.4%でした。これは1億円社債を購入した場合、手元に戻ってきた金額は1,140万円(1億円×11.4%)で、損失額が8,640万円だということです。

社債選びには倒産リスクの低い銘柄を選ぶ必要があります。高格付け銘柄や一般担保付の社債を購入することで倒産リスクを回避できます。

3-1.高格付け債を選ぶ(A以上)

格付けとは格付機関が、社債発行企業の債務支払い能力を評価し、アルファベットで表したものです。格付機関により若干異なりますが、最上位がAAA(トリプルエー)から順にAA⇒A⇒BBB⇒BB⇒B⇒CCC・・・Dと表示され、BBBより高い格付けであれば倒産確率が低く、BB以下では高くなります。

市場ではBBBより高い格付けの社債を投資適格債と呼び、BB以下の銘柄をハイイールド債(ジャンク債)と呼び区別しています。そのため、社債に投資する際はBBB以上、できればA以上の銘柄を選ぶようにしましょう。なお、格付けは、定期的に見直されるため格付機関や企業のホームページ上で確認するようにしましょう。

3-2.償還まで5年以下の社債を選ぶ

社債の償還は長いものほど利率が高くなりますが、倒産リスクが高まります。現在の金利は歴史的な低水準のため、金利の低下余地がほとんどありません。それを踏まえ、期間の短い銘柄を選ぶようにしましょう。償還まで5年を超えるような銘柄は避け、2年から3年、長くても5年までの銘柄を選ぶように心がけましょう。

5年を超えるような銘柄を避ける理由としては、物価の上昇も挙げられます。10年債を購入し、10年後の満期時に現在よりも物価が上昇していた場合、表面上は額面償還したとしても、実質的な価値は減少してしまうためです。

3-3.一般担保付社債を選ぶ

大半の社債には担保が設定されていません。しかし、2025年3月末までに発行される電力会社の社債(電力債)には一般担保が設定されています。一般担保付の電力債は、会社が倒産してしまった場合には他の債権者よりも優先して弁済を受けることができます。そのため、担保が設定されていない社債よりも電力債の方が倒産リスクが低いといえます。

個人向け電力債の多くは償還までの期間が2年から4年の銘柄が多いため、社債に初めて投資される方にも向いています。

4.運用時のポイント

社債を運用するためのポイントは以下の通りです。

4-1.満期保有が鉄則

社債は満期まで保有するつもりで購入しましょう。途中売却することもできますが、社債の価格は不透明で、投資家は証券会社の提示した価格で売却せざるをえません。提示された価格が額面を下回る可能性があるため、元本割れのリスクがあります。社債投資も株式投資と同様に、余裕資金での運用を心がけましょう。

4-2.儲けようとしない

社債は株式のように価格が大きく上昇することはまずありません。社債の多くは確定した利率が設定されているため、上限価格が決まってしまうからです。期間2年、クーポン1%の社債の上限価格は102円(1年に付きクーポン1円×2回+償還額面100円)です。社債で利益をあげるには、億円単位の金額が必要で、個人投資家が社債で利益をあげることは困難です。

4-3.格付けが低い銘柄を避ける

低格付けの債券には投資しないようにしましょう。社債は償還して初めて投資金額が回収できます。そのため、倒産リスクの高いBB以下の銘柄は避けるようにしましょう。日本市場ではBBの債券はほとんど発行されませんが、発行当初はAだった企業が不祥事を起こし、格付けが引き下げられるケースがあります。

もし、投資している銘柄の格付けが引き下げられた場合には、その要因について確認するようにしましょう。継続的に格付けが引き下げられる可能性があるかどうかを判断し、格付けが引き下げられる方向にある場合には、損失覚悟で売却する必要があるからです。

まとめ

今回は社債の購入場所や銘柄の選び方、運用時のポイントなどについて解説しました。

社債のリスクは企業が倒産してしまうことです。そのため、倒産の可能性の低い企業が発行している銘柄を選ぶこと、償還までの期間が短い銘柄を選ぶことも重要です。なお、電力各社の電力債については、2025年3月末までに発行される社債には一般担保が設定されているため、他の企業の社債よりもメリットがあります。

この他、社債の最低購入金額は銘柄により異なるため、注意が必要です。

The following two tabs change content below.
藤井 理

藤井 理

大学3年から株式投資を始め、投資歴は35年以上。スタンスは割安銘柄の長期投資。目先の利益は追わず企業成長ともに株価の上昇を楽しむ投資スタイル。保有株には30倍に成長した銘柄も。
大学を卒業後、証券会社のトレーディング部門に配属。転換社債は国内、国外の国債や社債、仕組み債の組成等を経験。その後、クレジット関連のストラテジストとして債券、クレジットを中心に機関投資家向けにレポートを配信。証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト、AFP、内部管理責任者。