新築アパートの建築期間の目安は?アパートオーナーが準備すべきポイントも

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アパート経営は建物を取得してからの運営や管理も重要なポイントとなります。建物の建築工程を把握し、近隣への挨拶や入居者募集といった準備を適切に行うことで、スムーズにアパート経営を始めることにつながります。

そこで今回のコラムでは、アパートを新築する際の建築期間について解説していきます。またオーナーとして準備すべきポイントも紹介します。

目次

  1. アパートを新築する流れ
    1-1.基礎工事
    1-2.建方工事
    1-3.屋根工事
    1-4.断熱工事・電気配線工事
    1-5.外装工事
    1-6.内装工事
    1-7.外構工事
  2. アパートオーナーが建築期間中に準備すること
    2-1.管理会社の決定
    2-2.賃貸契約書の作成
    2-3.入居者募集の開始
    2-4.近隣への挨拶
    2-5.入居開始のための準備
    2-6.確定申告の準備
  3. まとめ

1 アパートを新築する流れ

アパート建築工事の内容と目安の日数は下記のようになります。

  1. 基礎工事(2~3週間程度)
  2. 建方工事(1~2週間程度)
  3. 屋根工事(1~2週間程度)
  4. 断熱工事・電気配線工事(1~2週間程度)
  5. 外装工事(2~3週間程度)
  6. 内装工事(3~4週間程度)
  7. 外構工事(1~2週間程度)

基礎工事と建方工事の間は養生が必要なため、期間を開ける必要がありますが、外装工事と内装工事などは並行して行うことが可能です。

また、アパートの建築期間は「階数+1カ月」を目安とすることがありますが、正確には規模や携わる人数によって異なります。また、工場で生産するプレハブ工法や、現場で職人さんが造り上げていく軸組工法など、採用する工法によっても建築期間は異なってきます。

建築を依頼するメーカーや企画会社などからスケジュール表を提示してもらえますので、確認しておきましょう。ここでは、大まかな工程ごとに、アパート建築の流れを解説していきます。

1-1 基礎工事

基礎工事とは、建物を支持し安定させるための土台の部分を造る工事です。流れとしては基礎工事の前に地盤調査を行い、設計図面に合わせて建物の位置を決めます。通常、その後の工程は下記のように進められていきます。

  1. 建物の位置に合わせて掘削する
  2. 防湿シートを敷き詰める
  3. 捨てコンを施工する
  4. 鉄筋を組み立てる
  5. コンクリートを打設する
  6. 立ち上がり部分にコンクリートを打設する
  7. 強度が出るまで1週間程度の養生期間を設ける
  8. 型枠を外す
  9. 給排水管工事などを行う

1-2 建方工事

建方工事は木造建築の骨組みを大工などの職人が組み立てていく工程です。

基礎工事が終わった後に、建物が建つ周囲に仮設足場を組んでいきます。その後の流れは、軸組工法では基礎の上に土台を敷き、その上に柱を立てて梁で柱と柱をつないでいきます。その後、床板張り工事を行い、これを階数ごとに繰り返していきます。

一方、プレハブ工法の場合は、工場で組み立てられたユニットを組み合わせて建物を形作っていきます。

1-3 屋根工事

屋根工事は最上階の梁部分ができてから取り掛かります。雨に濡れてしまうと野地板と呼ばれる構造材に腐食が発生してしまうので、先に合板を張り、その上に透過防水シートを張り付けます。バルコニーがある場合は、同時にバルコニー部分の防水工事も行います。

屋根工事の代表的な工程は下記のようになります。

  1. 屋根の下地を取り付ける
  2. 下葺き材(ルーフィング)を施工する
  3. 屋根材を張り付けて仕上げる

屋根材には主にスレート、トタン、ガルバリウム鋼板などが用いられます。

1-4 断熱工事・電気配線工事

断熱工事は、建方工事が終わった後に行います。柱と柱をつなぐように構造用合板を内側に張り、外側に透湿防水シートを施工します。さらに室内側にグラスウールなどの断熱材を隙間のないように詰めていきます。同時に天井や床下などにも断熱材を詰めていきます。

この断熱工事と並行して行うのが電気配線工事です。内壁を仕上げる前に、室内で電気を使うためのコンセントやスイッチ、照明器具のための配線工事を行っていきます。部屋数が多いケースでは、スケジュール通りに進めることがより重要になります。

電気の配線工事が終わったら、断熱材を隠すように室内側に壁の下地となる石膏ボードを張って内壁を仕上げていきます。

1-5 外装工事

外装工事は外壁にサイディングなどの外壁材を張り付ける工事のことです。屋根工事が完了すると、まずは住宅全体を湿気から守るために透湿防水シートを施工します。その上から外壁下地を取り付け、外壁材を張り付けていきます。外壁を取り付けた後ではできませんので、この間に玄関ドアやサッシ、窓ガラスの取り付けを行います。

建物全体に外壁材を取り付けたら、つなぎ目や窓ガラスなどとの隙間に水が入らないようにシール材などで防水工事を行います。その後、雨樋などを設置して、外装工事は完了です。

1-6 内装工事

内装工事は室内の断熱工事が完了した後に行います。フローリング材や壁紙の張り付け、照明工事など次のようなさまざまな工事があります。

  • クロス張り:石膏ボードの接続部分を処理した後に、壁紙を張り付ける
  • 床材張り:床の構造用合板の上にフローリング材やカーペットなどの床材を張り付ける。洗面所や玄関などはタイルやクッションフロアなどの場合もある
  • 電気工事:スイッチやコンセントなどの調整、照明器具の設置などを行う。配電盤、エアコン、床暖房などの取り付け工事も行う
  • 建具取り付け工事:ドアや引き戸、扉、棚、階段、手すりなどを設置する。押し入れや靴箱なども設置する
  • 設備機器の施工:システムキッチン、ユニットバス、洗面台、トイレ、換気扇、換気システムなどの設備を取り付ける

これらの内装工事は同時進行ができますが、多くの場合でクロスの取り付けを優先して行われます。

1-7 外構工事

敷地内に駐車場やフェンスなどを設置する工事です。通常は外装工事が終わった後に外構工事が始まりますが、影響のない場所の工事を進めていることもあります。

主に下記のような工事を行います。

  • 玄関ポーチのタイル張りや階段造成工事
  • 雨樋や雨水排水枡の接続工事
  • 駐車場の舗装
  • 庭土搬入・庭木設置
  • 外構フェンス、ブロック塀などの設置
  • 外周部の砂利敷き、など

駐車場の舗装、玄関ポーチのタイル張りなどは作業員や作業車の出入りができないため、建築工事の最終盤の工事になります。

2 アパートオーナーが建築期間中に準備すること

アパートを建築するのは施工会社ですが、その建築期間内にオーナーとして準備することがあります。下記を見てみましょう。

2-1 管理会社の決定

建築を依頼したアパートメーカーや企画会社が管理業務も行っているのであれば、そちらに依頼した方が連携も取りやすくスムーズに管理業務に移行することができます。自分で管理会社を見つける場合は、下記の点を注意して選定するようにしましょう。

  • 仲介店舗の有無
  • 入居率の高さ
  • 管理手数料
  • 担当者の対応
  • 業務内容、など

【関連記事】アパート経営の成否を左右する管理会社の選び方は?ポイント6つ

2-2 賃貸契約書の作成

管理会社に依頼する場合は雛形がありますので、そちらを参考にしながら、周辺の賃貸ニーズに合わせてカスタマイズしていきます。特に、賃料や契約期間などは入居率にも大きな影響を与えるため、慎重に検討してみましょう。

なお、自主管理を行う場合など、自身で賃貸契約書を作成することも可能です。国土交通省のホームページ「『賃貸住宅標準契約書』について」も参考にしてみましょう。

2-3 入居者募集の開始

入居者を募集する前に家賃など細かな条件を決定していきます。家賃の最終的な決定は、アパートの建築をアパートメーカーや企画会社に依頼している場合、建築計画の時点でもらった提案書をベースにして行うと良いでしょう。

提案書には市場調査に基づいた家賃が提案されていますが、設備を追加したり、仕様を変更したりといったことで建築コストが増えている可能性があります。管理会社と相談しながら、相場から逸脱しない範囲で家賃を設定しましょう。

家賃以外にも下記のことについて決めておく必要があります。

  • 敷金・礼金・更新料の有無および金額
  • 駐車料金
  • 管理費・共益費の金額
  • 保証人制度の活用および保証人の要不要、など

通常は入居開始の3ヵ月〜6ヵ月前から地域の仲介店、仲介会社に情報を提供して募集を開始します。定期的に報告は受けておき、不明な点は説明してもらうようにしましょう。

2-4 近隣への挨拶

アパートは1棟に複数の入居者がいることになります。長い期間アパート経営を行っていると、近隣へ迷惑がかかってしまうことも考えられます。そのため近隣への挨拶を行っておくことも大切なポイントです。

着工する前、竣工の際に施工会社が近隣への挨拶を行いますが、オーナーが同行するケースもあります。将来のトラブルをできるだけ回避するためにも、近隣と良好な関係性を築くこともアパート経営では重要と言えるでしょう。

2-5 入居開始のための準備

アパートが竣工すると、施工会社から引き渡しが行われます。このときに計画通りのアパートになっているのか、オーナーとして確認を行います。

また各設備についての説明を受け、取扱説明書などを受け取ります。取扱説明書はオーナーが保管する必要がありますが、管理会社に管理を委託するのであれば、これらの対応も行ってくれます。

ただし、賃貸契約書や確定申告の際に必要になる領収書などの重要書類は、オーナー自身が適切に管理しなければなりません。アパート経営に使うスペースを自宅内に確保しておきましょう。

2-6 確定申告の準備

アパート経営で得る家賃収入は不動産所得になり、確定申告を行って所得税を納めることになります。青色申告を行う場合は、青色申告承認申請書を開業から2カ月以内に管轄の税務署に提出する必要がありますので用意しておきましょう。

申請書は国税庁のホームページ「所得税の青色申告承認申請手続」からダウンロードすることもできます。

なお、白色申告の場合は申請する必要はありませんが、青色申告を選択した場合は複式簿記による帳簿を作成しなければなりません。帳簿をパソコンでつける方法と手書き、またクラウドシステムを活用した方法などもありますので、ご自身に合った帳簿作成方法を探しておきましょう。

ただし、確定申告は適切な税務の知識を備えたうえで、正確な申告書類を作成する必要があります。不安がある場合には、税理士など専門家への相談も検討してみましょう。

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まとめ

アパートが完成するまでに、家賃の設定、入居者の募集開始、賃貸契約書の作成など、オーナーが準備することはたくさんあります。建築の工程や期間を把握し、進捗状況に合わせた準備を適切に行っていきましょう。

準備を怠らずに知識を得ていくことで、スムーズなアパート経営のスタートにつながります。建築期間中のスケジュールを確認し、事前の準備を行っておきましょう。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。