マンションの購入時には頭金や仲介手数料、諸費用など多くの費用がかかります。同じように売却の際も仲介手数料や諸費用などがかかり、また売却後にも税金を支払わなければいけません。
そのような費用を試算していないと、せっかく投資用マンションの賃貸で得た利益が減ってしまったり、マイナスになったりする可能性もあります。
この記事ではワンルームマンションを売却する際の流れを確認した上で、段階ごとにかかる費用についてご紹介します。
目次
- マンション売却の際の流れ
1-1.不動産会社に査定を依頼
1-2.募集広告の公開
1-3.内覧から契約
1-4.物件の引き渡し - マンション売却の際にかかる費用
2-1.不動産会社によっては広告料を取る会社もある
2-2.契約時に発生する印紙税
2-3.登録免許税と司法書士費用
2-4.仲介手数料 - マンション売却後にかかる費用
3-1.譲渡課税所得税と住民税
3-2.復興特別所得税 - マンションを売却することで戻ってくるお金
4-1.住宅ローン保証料
4-2.固定資産税・都市計画税 - そのほかに状況に応じてかかる費用
5-1.リフォーム代
5-2.瑕疵担保責任が発生した場合 - まとめ
1.マンション売却の際の流れ
マンションを売却する際は、買主との契約時や引き渡し時に費用が発生します。まず売却の流れがどのようになっているかを確認しておきましょう。
1-1.不動産会社に査定を依頼
マンションを売却する際は、売り出し価格を決めて買い手の募集をします。価格は自分で決めることができますが、価格が低すぎて本来得られるはずの利益が得られなかったり、逆に高すぎると売却に時間がかかったりするので、一般的には不動産会社に価格査定を依頼し、相場に合った価格を提示してもらう形を取ります。
査定は一般的に一括査定サービスなどを利用して複数の不動産会社に依頼をします。なお、査定依頼にはお金はかかりません。
1-2.募集広告を出す
売り出し価格を決めたら、仲介を行う不動産会社は募集広告を出します。不動産会社は、不動産会社間のネットワークや、大手の不動産情報サイトなどに広告を出し買主の募集をします。
一般的にこの時点ではお金はかかりませんが、中にはこの時点で募集広告代(AD)が発生する不動産会社もありますので、注意が必要です。また、自分が特別に依頼して出してもらう広告の費用に関しては、自分で支払う必要があります。
1-3.内覧から契約
募集広告を見て興味を持った購入希望者がいた場合、不動産会社に問い合わせが入ります。前向きに考えている購入希望者は、資料を見た後に物件の内覧をします。内覧後、希望者が購入の意思を示していれば、価格調整などの交渉を通じて売主と購入希望者の双方が納得する条件を決め、契約へ進みます。
1-4.物件の引き渡し
契約後にそのまま物件が引き渡される、というわけではありません。契約時にはまず買主から頭金を受け取り、その後は金融機関や司法書士が所有権の移転へ向けて色々な準備を行います。準備が整ったら残代金の決済と同時に引き渡しが行われ、所有権移転が完了します。一連の流れが完結するのは、契約から数週間後になる場合が一般的です。
2.マンション売却の際にかかる費用
物件売却の際の流れについて確認しましたが、次にどの時点でいくらくらいの費用がかかるかについて見てみましょう。
2-1.不動産会社によっては広告料を取る会社もある
マンションの売り出し価格を決めたら、不動産会社は色々な募集媒体を使って買主の募集をします。不動産会社の中には、仲介手数料と別に広告料を請求する会社もあります。広告費用は数十万円かかる場合もありますので、どの時点でいくらくらいの費用がかかるのか、最初に確認するようにしましょう。
2-2.契約時に発生する印紙税
印紙税とは不動産の売買契約書に貼る収入印紙のことです。印紙税は物件の価格によって違います。一般的に仲介をする不動産会社が事前に準備し金額を教えてくれるので、自分で準備する必要はありません。
印紙税額は契約書に記載してある価格によって細かく分かれています。国税庁のホームページでは不動産の売買の場合の印紙税は以下のようになっています。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
10万円を超え 50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
50万円を超え 100万円以下のもの | 1千円 | 500円 |
100万円を超え 500万円以下のもの | 2千円 | 1千円 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 1万円 | 5千円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5千万円を超え 1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え 5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え 10億円以下のもの | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え 50億円以下のもの | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
*国税庁のホームページから引用(租税特別措置法により、2019年8月現在、税率が引き下げられています)
2-3.登録免許税と司法書士費用
原則として不動産購入のためにローンを組むと、その不動産には抵当権が設定されます。抵当権とは万が一契約者が返済不能になった際に、金融機関が不動産を差し押さえできる権利のことです。
金融機関は不動産の差し押さえをして競売にかけ、貸したお金を回収するための権利を設定しているのです。そのため、売却する際はローンを完済し、抵当権を抹消しなければ所有権の移転ができません。
抵当権を抹消するには抵当権抹消登記が必要になり、その際には登録免許税を支払わなければいけません。また、登記の際は書類を作成したり、法務局へ行ったりしなければいけません。一般的にそういった作業は司法書士に依頼しますので、司法書士に対する報酬が発生します。
登録免許税は不動産1個につき1,000円です。司法書士費用は一般的に1万円という慣例がありますが、司法書士によって異なりますので、その都度確認することが大切です。
2-4.仲介手数料
売買契約が成立したら、仲介をした不動産会社に仲介手数料を支払います。仲介手数料は取引された不動産の価格によって割合が異なります。また上限は決まっていますが、下限は決まっていませんので、仲介手数料がかからなかったり、相場より低かったりすることもあります。
このように不動産会社によって仲介手数料の規定が異なることがありますので、確認するようにしましょう。以下の表は仲介手数料の上限額を記載したものです。
依頼者の一方から受領できる報酬額 | |
---|---|
取引額 | 報酬額(税込) |
取引額200万円以下の金額 | 取引額の5.5%以内 |
取引額200万円を超え400万円以下の金額 | 取引額の4.4%以内 |
取引額400万円を超える金額 | 取引額の3.3%以内 |
400万円を超える金額の場合は、物件価格の3.3%+6.6万円で速算可能です。例えば物件価格が2,000万円の場合、仲介手数料は2,000万円×3.3%+6.6万円=72.6万円(税込)が上限という認識でいると良いでしょう。
3.売却後にかかる費用
マンションは売却時だけでなく、売却後も税金の支払いが発生します。売却時の費用ばかりに目がいって売却後の税金を試算していない場合、キャッシュフローの計算が狂う可能性もありますので、忘れないようにしましょう。
売却後に支払う税金について見てみましょう。
3-1.譲渡課税所得税と住民税
マンションを売却して利益が出た場合は、譲渡所得税と住民税がかかります。税額は課税譲渡所得金額を出し、その額に税率をかけた額になります。また、譲渡所得の税率はマンションを所有してから売却した年の1月1日時点までの所有期間が5年以内か5年を超えているかで異なります。
5年以内の場合は所得税が30%、住民税が9%になります。5年を超えた場合は所得税が15%、住民税が5%になり、それぞれを課税譲渡所得金額にかけて算出します。
3-2.復興特別所得税
復興特別所得税とは、東日本大震災の復興に必要な財源となる税金のことです。不動産を売却して所得税を納める場合は、所得税額の2.1%を復興特別所得税として支払わなければいけません。
4.マンションを売却して戻ってくるお金
マンションを売却する際と売却後にはそれぞれ費用が発生しますが、逆に戻ってくるお金もありますのでご紹介します。
4-1.住宅ローン保証料
住宅ローン保証料とは、万が一ローンの返済ができなくなった際に、保証会社が代わりに返済をしてくれるための保証料のことです。保証料の支払い方法には一括払いと分割払いとがあります。
分割払いは毎月必要な分だけを支払っていますので返金はされませんが、一括払いをしていて、まだ返済期間が残っている場合は、完済すると保証料の残りの期間分が返金されます。
返金される金額の計算方法は金融機関や保証会社によって違いますので、金額についてはその都度確認が必要です。
4-2.固定資産税・都市計画税
固定資産税と都市計画税はその年の1月1日時点での所有者に支払い義務がありますので、年度の途中で売却しても、新しい所有者に請求書が再送されることはありません。そのため、途中からの所有期間分を買主が売主に対して清算することで調整を行います。一般的に、契約時に売り主が負担した税額分を売買代金に上乗せする形で清算をすることになります。
5.そのほかに状況に応じてかかる費用
マンション売却の際は諸費用や税金など必ずかかる費用とは別に、状況によってかかる費用もあります。どういった費用があるか見てみましょう。
5-1.リフォーム代
設備や内装が劣化している場合は、リフォームやリノベーションをしてから売却することがあります。その際はリフォームの内容に応じて費用がかかります。リフォームは必ずしなければいけないというものではありませんので、状況によって発生する費用と言えます。
リノベーションを行うことによってニーズを高め、売却価格を数百万円高くできることもありますが、リノベーションの費用は数百万円から1,000万円を超えることもありますので、コストパフォーマンスをきちんと試算してから行うことが大切です。
5-2.瑕疵担保責任が発生した場合
マンションの売買後、一定期間の間に瑕疵が見つかった場合、売主には瑕疵担保責任があり、修繕する費用を負担しなければいけません。
ただ、瑕疵担保責任は売買契約書に記載することで期間を短くしたり、瑕疵担保責任を負わなかったりする契約をすることもできます。そのため、瑕疵担保責任の部分については、売買契約書を作成する際に不動産会社に確認することが大切です。
まとめ
マンションを売却する際の費用についてご紹介しました。売却の際は売って終わりではなく、売却後にも税金の支払いが発生します。そのため、どの時点でいくらくらい費用がかかるかを把握していないと、せっかく利益を得られても、費用を支払ったらマイナスになるということも考えられます。
そのようなことにならないためにも、売却の際は慎重に費用を試算して取り組むようにしましょう。
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西宮光夏
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