マンション投資、中古リノベーション物件のメリット・デメリットは?

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マンション投資を検討している方の中には、新築・築浅マンションだけでなく中古マンションを検討している方も多いのではないでしょうか。

しかし、中古マンションは物件価格が安く比較的に利回りの高いメリットがある反面、新築時よりも空室率が上昇してしまっているデメリットがあります。

そのようなときに、検討対象の一つとなるのが中古リノベーション物件への投資です。

この記事では、中古リノベーション物件のマンション投資について、検討する際に知っておきたいメリット・デメリットを整理していきます。

目次

  1. マンション投資の中古リノベーション物件とは
  2. 中古リノベーション投資のメリット
    2-1.物件を戦略的に選択・カスタマイズできる
    2-2.初期投資を抑え、高い利回りが期待できる
    2-3.リノベーションは費用対効果が高い
  3. 中古リノベーション投資のデメリット
    3-1.ローンの借入条件が不利になることがある
    3-2.入居者募集にリスクがある
    3-3.建物にかかるリスク・制限がある
  4. まとめ

1.マンション投資の中古リノベーション物件とは

投資用の築10年~20年程度の中古マンションを賃貸募集すると、新築あるいは築浅のマンションに比べて家賃が10%~20%程度落ちる傾向にあります。中古マンションを購入し、リフォームを行って貸し出したとしても同様です。

しかし、中古リノベーション物件の場合、今までとは異なる付加価値を加える改修をおこない、同条件の家賃相場よりも5~10%程度高い家賃で入居付けをできるようにします。

入居者のターゲット層を絞り、立地や物件を選定して、ターゲット層のニーズや嗜好に合った大規模な改修工事をおこなうことで他の物件と差別化され、高めの家賃でも入居者に選ばれるようになります。

2.中古リノベーション投資のメリット

中古リノベーション投資のメリットは、物件を購入する側が投資戦略に合わせて自由に選び、カスタマイズができるということと、投資としての効率の良さという面があります。

以下で、詳細を解説していきます。

2-1.物件を戦略的に選択・カスタマイズできる

新築マンションは、供給者側のブランドや資金力などの事情が優先されて建築されるため、間取りや設備なども画一的なものとなる傾向があります。

それに対して、中古マンションは、個々の売主がそれぞれの事情で売り出すことから、立地や物件の広さなどについて、買主が選ぶことのできる選択肢が多いといえます。

さらに、ターゲットとなる入居者層に合わせてカスタマイズできるのも大きなメリットです。中古マンションのリノベーションでは部屋の間取りを変更したり、浴室乾燥機や宅配ボックスを設置したりするなど、新たな設備の取り付けも可能です。(※管理組合の管理規約による)

単なるリフォームでは元々の古い間取りを維持して破損や汚損を修繕するような最低限の対処となりますが、リノベーションではよりターゲットを絞ったカスタマイズが可能になるといえます。

2-2.初期投資を抑え、高い利回りが期待できる

築10年~20年程度の中古マンションは、新築マンションに比べて相場価格(平米単価)が20%~40%程度下落しています。そのうえ、売主の都合でまとまった資金を得るために早く処分したい、というようなケースでは相場より安く売り出されることもあります。

このように、リノベーション投資では、最大の初期投資であるマンションの取得費用を抑えることができることがメリットです。

さらに、中古のマンションの相場価格の下落率は、家賃の下落率よりも2倍~3倍と大きいため、新築と比較して高い利回りが期待できることになります。加えて、リノベーションによって家賃を相場よりも引き上げることで、より高い収益性を得られる可能性があります。

2-3.リノベーションは費用対効果が高い

リノベーション物件では、新築物件よりも様々な設備が設置され、間取りにも工夫が施されていることも少なくありません。

入居者層のターゲットを絞り込んだカスタマイズをおこなっており、新築よりも割安であるため、入居者は決まりやすく、かつ、入居期間も長期になりやすいと考えられます。

また、家賃収入を上げることができるため、中長期的にみると修繕費や管理費などの運営費の収入に対する割合を下げることができ、トラブルが起きるごとにリフォームを繰り返すよりは、結果的に投資効率がよくなる可能性があるとも考えられます。

その他、確定申告の際にリノベーションの費用を減価償却費として計上することも可能です。これらの効果と経費のバランスを併せて考えると、リノベーションは費用対効果が高いといえるでしょう。

3.中古リノベーション投資のデメリット

投資効率の面からメリットが際立つ中古リノベーション投資ですが、デメリットもあります。

キャッシュ・フローにもマイナスの影響を及ぼしかねない側面があり、リノベーションの計画を見直さなければならない問題点もあるので、注意が必要です。以下で、詳細を説明します。

3-1.ローンの借入条件が不利になることがある

リノベーション投資では、中古マンションを取得してリノベーションをおこなうため、新築マンションと比較するとローンの借入条件が不利になる傾向があります。

金融機関は、不動産投資ローンの貸出条件を決定する際、物件の積算評価を参考にしています。この積算評価のうち、建物の評価額が中古マンションでは新築と比べて経過年数分低くなってしまうため、借入条件に不利な影響を与えることになります。

また、不動産投資ローンをリノベーション費用に充当することは出来ず、融資利用の場合は取得費用とリノベーション費用は別々に借りることとなります。リノベーション費用はリフォームローンとなり、不動産投資ローンより借入条件が厳しくなる傾向があることもデメリットと言えるでしょう。

投資効率や利回りがよくても、ローンの借入条件によっては、そのメリットを相殺してしまう可能性もあります。収支のシミュレーションを十分におこなってから、判断することが大切です。

【関連記事】不動産投資ローンが受けやすい中古マンションとは?担保評価の方法から検証

3-2.入居者募集にリスクがある

入居者の入居ニーズの中でも築年数に対するこだわりを持つ方は多く、築年数を重視する入居者層には、築年数が経過しているマンションは検討対象から外れてしまい、集客の間口が狭くなる可能性があります。

また、大手賃貸物件検索サイトでは、一定年数以上の築年数の物件を検索対象から外すことが可能です。このようなサイトでは、リノベーションしてあったとしても、中古というだけで検索されない可能性があり、新築物件と比較して注目されにくい物件となります。

リノベーションの強みである高めの家賃で入居者を募集するには、リノベーション物件に特化した賃貸サイトで募集をしたり、専門の不動産業者に依頼したりするなど、工夫をする必要があるでしょう。

3-3.建物にかかるリスク・制限がある

中古マンションの場合、建物によっては、購入後、表面的にはわからなかったダメージが見付かるケースもあります。排水管の水漏れや柱のヒビなどがあれば修理が必要になり、想定外の出費になる可能性があります。

また、建物の構造によって取り除けない柱があったり、管理規約上の問題があったり、とリノベーションに制限が加わる可能性もあります。売買契約前に、建築士などの専門家に調査を依頼するなども検討してみましょう。

まとめ

中古リノベーション物件のマンション投資では、投資効率は高いといえますが、融資条件や入居者募集について不利になる面や、建物リスクのデメリットもあります。

入居者のターゲットを絞り、それに合わせた物件の選定、リノベーションを慎重におこなうことで、デメリットを軽減した投資計画を立てていくことを検討してみましょう。

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佐藤 永一郎

筑波大学大学院修了。会計事務所、法律事務所に勤務しながら築古戸建ての不動産投資を行う。現在は、不動産投資の傍ら、不動産投資や税・法律系のライターとして活動しています。経験をベースに、分かりやすくて役に立つ記事の執筆を心がけています。