マンション投資のセミナーに初めて参加する場合と、そろそろマンションを購入しようと思って参加する場合とでは、セミナーで得るものが異なります。すでにセミナーに参加したり、不動産会社から提案を受けたりして、購入を目前にしている場合は、具体的な運用方法やリスクについて理解することで、運用のイメージをより鮮明に描くことができるでしょう。
今回はそろそろマンション投資を始めようとしている人が、セミナーに参加した際に忘れずにチェックしておくと役に立つ項目について解説いたします。
目次
- 不動産投資セミナーの種類
1-1.不動産投資入門セミナー
1-2.区分投資セミナー
1-3.一棟投資セミナー - 最新の運用ノウハウを知ること
2-1.失敗した話やリスクの話は特に大事
2-2.金利上昇や家賃下落をチェック
2-3.空室の際の対応の仕方について
2-4.賃借人の募集の仕方をチェックする
2-5.設備の修理の頻度について確認する - 金融機関の情報を確認する
3-1.提携先の金融機関によって金利などが異なる
3-2.収支を確認する - 立地は投資を左右する可能性がある
4-1.紹介する物件が駅近だったり周辺環境が良かったりするか
4-2.23区内の物件かその他の物件か
4-3.23区外の物件の場合は最寄り駅を確認する - 管理について確認する
5-1.入居率の確認
5-2.管理や売却も同じ不動産会社が行うかどうか - 非公開物件の紹介
6-1.一般公開されているものとの違いをチェックする
6-2.物件価格だけでなく立地や周辺状況を確認する
6-3.中古物件の紹介は可能かどうか - 個別シミュレーションを作成してみる
7-1.実際に購入した場合のシミュレーションをする
7-2.できればローンが組めるかどうかも確認する - まとめ
1.不動産投資セミナーの種類
不動産投資では不動産の種類により、物件価格や運用方法が異なります。不動産投資セミナーも物件のタイプ別に行われることが多くありますので、自分の投資したい物件のセミナーに参加することが大切です。どのようなタイプがあるのか見てみましょう。
1-1.不動産投資入門セミナー
不動産投資入門セミナーは初心者向けのセミナーになります。不動産投資全般についての基本的な情報や経験者の話を聞くことができます。不動産投資入門と言っても、この時点でマンション投資やアパート経営、一棟マンションなど物件のタイプで分けてあることが多いので、内容を確認して参加することが大切です。
1-2.区分投資セミナー
区分投資セミナーは一般的に区分マンションの投資法を解説するものになります。マンションにはワンルームなどの単身向けのものや、近年では夫婦向けのコンパクトマンションなど家族向けのものがあり、同じマンション投資と言っても物件の価格帯や入居者の層が異なりますので、こちらも内容をきちんと確認して参加することが大切です。
1-3.一棟投資セミナー
一棟投資は建物一棟を購入して賃貸経営するタイプの不動産投資です。一棟投資にはマンションやオフィス、アパートなどがあります。それぞれ価格帯やローンの条件、運用の仕方が全く異なります。一棟投資セミナーの場合もマンションなのかアパートなのかといった物件を間違えないように、きちんと確認して参加するようにしましょう。
こういった分け方以外にも、中古なのか新築なのかという分け方もありますので、自分の投資したい分野に合ったものを選んで参加することが大切です。
2.最新の運用ノウハウを知ること
セミナーでは実際にマンション投資をしている人の話を聴くことができます。そこでは、現在行われている最新の運用ノウハウも知ることができます。どのような点に注目して話を聞けば良いかについて見てみましょう。
2-1.失敗した話やリスクの話は特に大事
本や資料には成功した話や、投資をするメリットが多く書かれていますが、実際に失敗した話やリスクの話は控えめにしか書いてありません。実際の経験者から話を聞ける場合は失敗した話や、その失敗からどのように立ち直ったかなどの話を聞くことができます。
運用を始めると、うまくいくことばかりではありません。経験者がうまくいかなかった話は、自分がうまくいかないときの解決の糸口になるかもしれません。失敗した話やリスクの話は特に注意して聞くようにしましょう。
2-2.金利上昇や家賃下落をチェック
失敗した話と重なる可能性もありますが、金利上昇や家賃下落があった場合の対応についてもチェックしておきましょう。金利上昇は今の日本ではあまり経験がないという人も多いかと思いますが、今後発生する可能性の高いリスクになります。
また、どれくらいの期間でいくらくらい家賃が下落するのかを知っておくことも、キャッシュフローを順調に得るためには必要です。タイミングを知って、しっかり対策ができるようにしましょう。
2-3.空室の際の対応の仕方について
マンション投資をする中で、空室はとても大きな損害です。家賃収入がない場合、オーナーは自分の収入や貯金からローンの返済をしなければいけません。例えば仮に毎月6万円の返済をしているとした場合、5ヵ月空室になると30万円の支払いをすることになります。
金利が上昇したり、家賃下落したりしても数ヵ月で数十万円の損害になることはあまり考えられませんので、空室リスクは損害が大きいリスクだと言えます。対応の仕方についてしっかり学んでおくことが大切です。
2-4.賃借人の募集の仕方をチェックする
賃借人の募集は一般的に管理会社が行います。募集広告の内容や家賃設定によって応募の状況が違ってきますので、広告の内容や募集するタイミングなどは確認しておくと良いでしょう。
2-5.設備の修理の頻度について確認する
設備が破損した場合、オーナーが修理をしなければいけません。特に中古の場合は購入してすぐ修理が発生することもあります。新築と中古では修理のタイミングや金額が異なることが考えられますので、実際はどうなのかを確認するようにしましょう。
3.金融機関の情報を確認する
セミナーを主催している不動産会社によって提携している金融機関が違っていたり、提携している金融機関の数も違っていたりします。金融機関についてどのような点を確認すれば良いかを見てみましょう。
3-1.提携先の金融機関によって金利などが異なる
不動産会社が提携している金融機関によって、金利やその他の条件が異なります。提携数が少ない場合、他の不動産会社が提携している金融機関と比較して金利が高いということも考えられます。金利が高いと感じる場合は、他のセミナーにも参加して、金利がどれくらいの相場になるのかを確認することも大切です。
3-2.収支を確認する
金利が低くてもフルローンを組んだ場合などは月々の返済額が高くなり、収支が悪くなることが考えられます。金融機関をチェックする場合は、金利だけでなく返済期間や家賃との兼ね合いなども含めて、収支を確認することが大切です。収支があまり良くない場合は、借り換えなども頭に入れて運用するようにしましょう。
4.立地は投資を左右する可能性がある
不動産投資は長期の投資になりますので、長期間賃貸ニーズが高く、家賃がスムーズに入ってくることが望まれます。物件が古くなっても賃貸ニーズを高く維持するには立地が大きく関係してきます。立地はどのような点を確認すれば良いかを見てみましょう。
4-1.紹介する物件が駅近だったり周辺環境が良かったりするか
例えば大きな駅の近くだとか、周辺にショッピングモールやコンビニ、ATMなどがあるといった場合は利便性も良く生活環境が整っていることが考えられますので、賃貸ニーズは高くなるでしょう。
セミナーを開催している不動産会社が紹介する物件が、そのように立地の良い場所にあるかどうかは必ずチェックするようにしましょう。
4-2.23区内の物件かその他の物件か
23区内に建つ物件かどうかで、チェックする点が異なります。23区内の物件の場合、物件価格が高く、利回りが低い可能性が高くなります。立地が良くてもキャッシュフローが良くなければ、途中で運用がうまくいかなくなる可能性もあります。高い物件の場合は実際に投資をした場合の収支を確認するようにしましょう。
4-3.23区外の物件の場合は最寄り駅を確認する
23区外の物件は一般的に23区内の物件よりも利回りが良くなりますが、入居率が落ちる可能性があります。せっかく利回りが良くても、空室が多い状態だとなかなか利益は上がらなくなります。
23区外でエリアを選ぶ場合は、最寄り駅を確認しましょう。現在は都心回帰で、企業が多い都心に住みたいという社会人が増えています。そういった人も家賃との兼ね合いがありますので、都心には住めないという人がいることが考えられます。
その場合、都心から30分以内の駅や、複数の路線が通っていて、どこに行くにも便利な駅であれば、23区外でも賃貸ニーズは高い可能性が増えます。23区外の物件を紹介される場合は、そのような視点から最寄りの駅を確認するようにしましょう。
5.管理について確認する
実際に物件を購入した後の管理がどのようになるのかを知っておくことは、今後運用する上でとても重要なことです。管理のポイントについて見てみましょう。
5-1.入居率の確認
入居率はマンション投資を成功させる上でとても大事な要素になります。例えば入居率80%というと一見高いイメージもありますが、実際に80%の場合ではマイナス収支になることもあります。
仮に1,800万円のローンを組み、家賃収入6万8,000円の場合、10年間だと空室率の違いがどれくらい運用に影響するかを見てみましょう。融資の条件は金利2%、返済期間35年とします。10年間の返済額はどちらの場合も715万5,240円です。
入居率 | 入居期間 | 10年間の家賃収入 | 10年間の返済額 | 手残り額 |
---|---|---|---|---|
入居率80%の場合 | 96ヵ月 | 652万8,000円 | 715万5,240円 | ▲62万7,240円 |
入居率95%の場合 | 114ヵ月 | 775万2,000円 | 715万5,240円 | 59万6,760円 |
*経費、家賃下落、金利上昇は含めていません
このように入居率が80%でも、返済額や家賃収入の額によっては運用がうまくいかなくなる可能性もあります。管理面では必ず入居率を聞いて、収支状況を確認するようにしましょう。
5-2.管理や売却も同じ不動産会社が行うかどうか
管理を別会社にするのか、あるいは購入する不動産会社がそのまま管理するのかによって、手放しで運用できるかどうかの違いが生まれます。購入する不動産会社がそのまま管理する場合、売却までワンストップで依頼することができる可能性があります。その場合は引継ぎなどで細かい情報をやりとりする手間が省けます。
セミナーを開催している会社が管理まで行っているかどうかは、今後長い運用期間においてある程度手放しでも運用ができるかどうかに影響してきます。手間なく運用したい場合は重要になりますので、必ず確認するようにしましょう。
6.非公開物件の紹介
セミナーによっては非公開物件を紹介してくれる場合があります。非公開物件は一般的に市場に出ていない物件のため、価格帯や立地など条件面が良い可能性があります。確認のポイントについて見てみましょう。
6-1.一般公開されているものとの違いをチェックする
非公開物件だと思って購入しても、それほど一般公開されているものと条件が変わらなかった、ということがないように、一般公開されている物件と何が違うのかは必ず確認するようにしましょう。
6-2.物件価格だけでなく立地や周辺状況を確認する
非公開物件という紹介の仕方だと、それだけでも得をしたような気持になります。しかし、立地が良くなかったりすると、長期的に見て賃貸ニーズが落ちる要因にもなります。そのため立地もきちんと確認することが大切です。
6-3.中古物件の紹介は可能かどうか
上場している不動産会社の場合、新築の物件を中心に扱っていても、グループ内に管理会社や中古の販売をしている会社があれば、中古の取引も可能な場合が多くなります。その場合、一般の市場に出していない物件が隠れている可能性があります。新築の販売をしている不動産会社でも、中古物件の紹介が可能かどうかを確認しておきましょう。
7.個別シミュレーションを作成してみる
セミナーでは個別相談があり、その際に収支シミュレーションを作成してもらえることがあります。そろそろマンション投資を始めようかと思っている場合は、その場で気に入った物件があればシミュレーションを作成してもらいましょう。
7-1.実際に購入した場合のシミュレーションをする
実際に物件を購入したつもりでシミュレーションを作成して確認してみましょう。いざシミュレーションをすると頭金が不足していたり、想像以上にキャッシュフローがストックされたりといったように、新しい発見もあります。気に入った物件があれば積極的にシミュレーションを作成して、実際にスタートした場合のイメージを持つことが大切です。
7-2.できればローンが組めるかどうかも確認する
不動産会社にシミュレーションを作成してもらう際は、個人情報も伝えることになります。その際、大まかにでも大丈夫なので、果たして融資が可能なのかどうかも聞いてみましょう。実際は審査をしなければ細かい点はわかりませんが、年収や年齢、今の大まかな借り入れ状況などを伝えれば、いくらくらいの物件ならローンが組めるかくらいはわかります。
気に入った物件が見つかって申し込みをしたのに、全くローンが組めない、ということにならないように、どれくらいローンが組めるかを確認しておくようにしましょう。
まとめ
マンション投資のセミナーに参加した際にチェックしておきたいことについてご紹介しました。マンション投資が初めてという人と、そろそろ購入しようかという人や、すでにやっている人とでは、セミナーで知っておきたい内容は異なります。
特にそろそろ始めようという方は、セミナーで不動産投資のリスクや対応の仕方、実際に投資をしたらどのような収支になるかをきちんと確認し、運用するイメージを掴むことが大切です。セミナーでは実際に不動産投資をしている人や専門家がいますので、納得できるまで確認をしてみましょう。
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