失敗事例から学ぶマンション投資によくある4つのリスクと対策

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マンション投資では、入居者がいる間長期的な家賃収入が期待できるだけでなく、条件が合えば銀行の融資を受けられるため、自己資金が少なくても始められる運用効率の高い資産運用方法として注目を集めています。

しかし、元本保証がない運用方法である以上は何かしらのリスクを伴うため、損をしないためにリスク管理を徹底する必要があります。そこで今回は、マンション投資で損をしないために覚えておいた方が良い4つのよくあるリスクについて、ケーススタディ形式で解説します。

目次

  1. マンション投資によくあるリスク4つ
  2. 空室で家賃収入が0になった
    【リスク対策①】家賃0を想定しながら運用する
  3. 大きな修繕費用がかかった
    【リスク対策②】築年数を確認してからワンルームを購入する
  4. 家賃下落でキャッシュフローが悪化した
    【リスク対策③】家賃は下がるものとして返済計画を立てる
  5. 新築で購入して売却したら価格が低かった
    【リスク対策④】新築ではなく中古マンションに投資する
  6. リスクを想定して対策を練っておくことが重要
  7. まとめ

1 マンション投資によくあるリスク4つ

現在、日本は少子化で人口が減少傾向にあるため、「不動産投資は徐々に厳しくなるのでは?」と思っている方も多いのではないでしょうか?しかし、少子化は進んでいても世帯数は増えており、未婚の一人暮らしが特に増加傾向にあるため、ワンルームなど単身者向けを中心としたマンション投資は時代に合った需要が期待できる運用方法と言えます。

マンション投資は銀行預金のように元本保証があるわけではないため、いくら需要が期待できると言っても、リスク管理を徹底しないと損をする可能性があるので注意が必要です。

では、マンション投資にはどんなリスクがあるのでしょうか?よくあるリスクは以下の4つです。

  • 空室で家賃収入が0になった
  • 大きな修繕費用がかかった
  • 家賃下落でキャッシュフローが悪化した
  • 新築で購入して売却したら価格が低かった

それぞれのよくあるリスクと対策を、以下からケーススタディ形式で見ていきましょう。

2 空室で家賃収入が0になった

不動産投資に興味をもっていたAさんは、長期的な家賃収入を期待してマンション投資を始めましたが、長期的な家賃収入どころか空室が続いてしまい、しばらく家賃収入が0円になる日々が続きました。

不動産投資は長期的な家賃収入が期待できる一方、空室があれば収入が得られないという空室リスクを伴います。なお不動産投資には、戸建投資・ワンルーム投資・アパート投資などの種類があります。アパート投資では複数の部屋を有しているため、全ての部屋が空室にならない限りは多少なりとも家賃収入が発生します。

しかし、戸建投資や区分マンション投資では1物件につき1室しかないため、空室時にはその物件から全く家賃収入が得られません。銀行の融資を受けながら運用している場合には、家賃収入がなくても返済しなければならないため、給料や貯金から返済することになります。

給料や貯金からの返済が困難になると、Aさんは最悪の場合にはマンションを手放さなければならないことになります。

2-1 家賃0を想定しながら運用する

Aさんの「空室で家賃収入が0になるリスク」にはどのような対処法があったのでしょうか?マンション投資では不動産投資に伴う空室リスクが高くなるため、家賃0の期間を想定しながら運用することが重要です。

銀行の融資を受けながらマンション投資をする際の返済原資は家賃収入になりますが、上記のように家賃収入は必ず得られるものではありません。そのため、給料や貯金から返済することを想定しておく必要があります。

例えば、半年以上の空室が生じても、貯金から安定して返済できる程度の貯蓄をあらかじめ確保するなどです。そうすれば、万が一空室が生じて家賃収入からの返済ができなくなった場合でも、想定していた事態なので落ち着いて対処できます。

また、空室リスクを最小限に抑えるためにサブリース契約を視野に入れるのも選択肢の1つです。サブリース契約は一括借り上げとも呼ばれるため、アパート投資などのみに適用されると思っている方も多いと思いますが、区分マンションでも適用できます。

サブリース契約では、得られる家賃収入は通常よりも少なくなりますが、転借目的の不動産会社などが満室状態を保証してくれます。安定して家賃収入が得られるため、空室リスクの不安が軽減されるでしょう。

3 大きな修繕費用がかかった

マンション投資をしていたBさんは、安定した運用を続けていたものの、修繕費用が急に大きくなって家賃収入よりも支出が上回るようになりました。

不動産投資では、築年数の経過とともに建物が劣化するため、適宜修繕が必要になるという修繕リスクを伴います。運用している物件の種類が戸建住宅やアパートの場合には、自分の意志で修繕するタイミングや内容などを決められますが、マンションの場合は毎月修繕積立金を徴収され管理組合で決定されるので、自分の意志では決められません。

マンションはおおむね12年周期で大規模修繕工事が予定されています。12年周期の中でも、24の倍数では耐用年数が重なる部分が多く、修繕費用が大きくなる傾向があります。そのため、大規模修繕工事が近づくと、修繕積立金の額の引き上げで支出が増える可能性があるので注意が必要です。

また、築年数が古い物件では旧耐震基準に基づいて物件が建てられているため、耐震補強で修繕積立金の額が引き上げられる可能性もあります。Bさんは入居者がいて長期的な家賃収入を得ていても、支出増加で給料や貯蓄から返済しなければならなくなる可能性があります。

3-1 築年数を確認してからマンションを購入する

中古マンションは初期投資額を抑えられる一方で、修繕費などのランニングコストが大きくなる可能性が高いので注意が必要です。マンションは約12年周期で大規模修繕工事が予定されますが、24年目以降の大規模修繕工事では一般的に大きな支出を伴います。そのため特に築24年以降のマンションを購入する際は注意が必要です。

1981年6月1日以前に建築確認を受けているマンションの場合は、旧耐震基準に基づいて建てられているため、耐震性が新耐震基準のものより低くなります。2019年時点で築38年を超えるマンションは旧耐震基準で建てられているので、耐震補強による追加修繕が生じる可能性があります。

そのため、築年数の浅い中古マンションを購入して運用すれば、修繕にかかるコストを抑えながら安定した運用につなげられるでしょう。

4 家賃下落でキャッシュフローが悪化した

長年マンション投資をしているCさんは、長期的な家賃収入を得ているにもかかわらず、家賃が下落したことによってキャッシュフローが悪化してしまいました。

空室が生じても、すぐに入居者が現れるような立地条件に恵まれたマンションの場合には家賃下落が比較的生じにくいと言えます。しかし、近くに新築マンションができた、空室が目立つ、築年数が経過したなどの場合には、他の物件と差別化を図るために家賃を引き下げるのが一般的です。

Cさんは返済が完了するまでは同じ家賃収入が続くと思って返済計画を立てていたため、最悪の場合はキャッシュフローが悪化して返済が滞る可能性があります。給料や貯蓄から返済することになるなど、日常生活にも支障が出る可能性があるでしょう。

4-1 家賃は下がるものとして返済計画を立てる

Cさんの家賃下落リスクにはどのような対処法があったのでしょうか?中古に限らず、新築マンションでも築年数の経過による家賃下落リスクは必ず伴うものであるため、あらかじめ家賃は下がるものとして返済計画を立てておくことが重要です。

不動産投資ローンは住宅ローンとは異なり、金利が高いという特徴があるため、返済期間が長くなると返済総額がかなり膨らみます。そのため、不動産投資ローンを契約する際には、1ヶ月当たりの返済額を大きくして返済期間を短くする方が多くいます。

しかし、1ヶ月の返済額を大きくするとキャッシュフローが悪化し、家賃下落リスクに対応できなくなる可能性があるので注意が必要です。返済総額は膨らみますが、家賃下落を想定して1ヶ月当たりの返済額を小さくして、長期間の返済にするといった工夫をしておけば、家賃下落が生じても安心して投資を続けられるでしょう。

5 新築で購入して売却したら価格が低かった

空室リスクや修繕リスクといったリスクを少しでも抑えたいDさんは、新築マンションを購入しました。しかし、ある程度運用してから売却したところ、価格が大幅に下がっており結果として損をすることになりました。

新築マンションには、建設に携わったデベロッパーや販売に携わった不動産会社の利益や人件費、修繕積立基金が上乗せされているため、どうしても価格が高くなる傾向があります。そのため、新築から1年経過しただけでも、購入時の価格と比べると10~20%程度下落することが一般的となっています。

そのため、もし新築マンションを購入して短期間運用した後、売却することを予定していた場合には、Dさんのように売却で損をする可能性があると言えるでしょう。

5-1 新築ではなく中古マンションに投資する

Dさんのようなマンションの価格下落リスクにはどのような対処法があったのでしょうか?新築マンションは利益などが上乗せされているため、老後に向けた数十年単位の長期運用であれば別ですが、10年以内の短期運用にはあまり向いていません。その場合、中古マンションであればある程度は価格下落リスクを抑えることが可能です。

新築マンションの価格は、最初の数年で大幅に下落した後は徐々に下落スピードが落ちていきます。そのため、築2~3年程度の中古マンションをタイミングよく買うことができれば、新築のような需要や修繕リスクの低さが十分得られる可能性があります。

ただし、中古マンションを買っても築年数の経過とともに価格は下落するため、不動産は価格下落リスクを必ず伴うものと割り切り、何年運用すれば売却した場合に利益が生じるのか、出口戦略も意識しておくと良いでしょう。

6 リスクを想定して対策を練っておくことが重要

これまでマンション投資によくあるリスク4つとその対策についてケーススタディ形式で見てきましたが、マンション投資には他にも以下のようなリスクを伴います。

  • 金利上昇リスク
  • 天災リスク
  • 家賃滞納リスク
  • 事故物件リスク

よくあるリスクの項目にも対処法があったように、これらのリスクに対してもそれぞれ対処法があります。これらのリスクの詳細や対策を解説するセミナーもたくさん開催されていますので、気になる方は一度参加されてみると良いでしょう。

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7 まとめ

ワンルームなどの区分マンション投資は、アパート投資と比べると初期投資を抑えられるため、不動産投資経験が少ない初心者でも比較的始めやすい運用方法と言えます。しかし、始めやすいと言ってもリスクを伴うので、よくあるリスクと対策を確認しておくことが重要です。

しっかりとリスク対策をしておけば、万が一の事態が生じても焦らずに済みます。日本は少子化で人口は減少していますが、世帯数は増加しています。特に一人暮らし世帯が増えているため、リスク管理を徹底しながらマンション投資をすれば、安定した需要も期待できるでしょう。

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矢野翔一

関西学院大学法学部法律学科卒。宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP)などの保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産投資を行う。HEDGE GUIDEでは不動産投資記事を主に担当しています。専門用語や法律が多く難しいジャンルですが分かりやすくお伝えしていきます。