新築ワンルーム投資と中古ワンルーム投資、それぞれ何に注意するべき?

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ワンルームマンションの投資では、新築と中古で投資の仕方が異なる部分があります。新築は中古と比較して割高感があり、利回りが低い傾向にあります。一方、中古の場合は新築と比較して設備などの修理が発生する回数が多かったり、空室が多くなったりすることが考えられます。

そのようなリスクを回避して運用するには、それぞれどのような点に注意すればいいのでしょうか。今回は新築と中古ワンルームの特徴を確認した上で、それぞれに投資をする際の注意点について考えてみたいと思います。

目次

  1. 新築マンションと中古マンションの投資上の違い
    1-1.価格帯と利回りの違い
    1-2.新築と中古の不動産投資ローンを組む際の違い
    1-3.新築は中古と比較して長期的にニーズがある可能性が高い
    1-4.中古ワンルームは価格帯や利回りが多種多様
    1-5.立地は中古ワンルームの方が選択肢は広い
    1-6.中古は運用実績から、ある程度リスクがわかる
  2. 新築ワンルームの投資方法
    2-1.キャッシュフローに注意してシミュレーションする
    2-2.フルローンが組める場合でも慎重に対応をする
    2-3.繰上返済を積極的にする
    2-4.節税効果が期待できる期間に注意する
  3. 中古ワンルームの投資方法
    3-1.立地を絞って検討する
    3-2.瑕疵に注意して購入する
    3-3.借り換えのタイミングに注意する
    3-4.物件価格が低すぎるワンルームの運用には注意する
    3-5.大規模修繕のタイミングや修繕積立金などに注意する
  4. まとめ

1.新築マンションと中古マンションの投資上の違い

新築とは、建てられたばかりでまだ誰も居住したことがない物件のことを言います。具体的には「竣工後1年未満かつまだ利用されていないもの」が新築に当たります。そしてこの条件に当てはまらない物件を総じて中古と呼びます。

では、新築と中古ではどのような特徴があるのかを見てみましょう。

1-1.価格帯と利回り

新築は建物の価値が高く、また物件価格に販売会社の利益が含まれているため、中古と比較して価格帯が高い傾向があります。利回りは物件価格に対する年間の家賃収入の割合ですので、物件価格が高いと利回りが低くなります。そのため新築は中古と比較して利回りが低く、キャッシュフローが蓄積されにくいという特徴があります。

それに対し、中古は一般的に新築と比較して価格帯が低いため利回りが良くなります。利回りが良いと得られるキャッシュフローは多くなる傾向にありますので、キャッシュが蓄積されるスピードは新築より早くなる可能性があります。

しかし、同じ中古でも都心に建っている築浅の物件の価格帯は新築に近く、利回りがあまり高くない傾向にあります。

1-2.新築と中古の不動産投資ローンを組む際の違い

金融機関が融資を行う際の審査では、契約者の収入や仕事の属性を見るだけでなく、物件の担保評価も行い融資額や金利を決定します。担保評価とは、物件が融資額に見合う価値があり、返済が滞った際に売却することで資金回収ができるかを評価することです。

新築の場合、入居率が高い傾向にあり家賃収入が安定的に入ってくる可能性が高いため、資産価値も高いことから金融機関は競売などで資金が回収できる見込みが高くなります。そのためフルローンが組めたり、中古と比較して金利が低かったりするケースが多くなります。

一方、中古は築年数が多く経過するほど損傷が目立つようになり、空室率が高くなる可能性があるため、売却価格が安くなり資金が回収できないリスクが高まります。そのため中古は新築より担保評価が低いことが多く、融資条件も新築より悪くなる傾向にあります。

また、新築の場合多くの物件で30年や35年ローンが組めますが、中古の場合は法定耐用年数から築年数を引いた期間が、組むことができるローンの目安期間になります。建物の耐用年数は建物の構造により以下のように定められています。

構造 法定耐用年数
木造 22年
鉄骨造 34年
鉄筋コンクリート造 47年

例えば築30年のワンルームマンションを購入したい場合、RC造の法定耐用年数は47年ですので、この場合組めるローンの返済期間は以下のようになります。

47年-30年=17年

この場合では17年の期間程度でしかローンが組めないことになります。30年ローンを組める場合と17年しかローンを組めない場合で月々の返済額にどれくらい違いがあるかを試算してみましょう。

仮に物件価格2,000万円、金利2%の場合だと以下のようになります。

期間 月々の返済額
30年 6万6,252円
17年 11万5,729円

この条件で比較した場合、期間17年の方が、月々の返済額は約5万円多くなることが確認できます。さらに審査の結果、金利が高かった場合はさらに返済額が大きくなります。

このように中古を購入する際は金融機関の審査が厳しかったり、ローンを組める期間に制限があったりし、その結果収支が悪くなる可能性がありますので、家賃収入と返済のバランスをしっかりシミュレーションして取り組むことが大切です。

1-3.新築は中古と比較して長期的にニーズがある可能性が高い

新築の場合、中古と比較して長期的に入居者のニーズが高い可能性があることが考えられます。例えば古いタイプのワンルームでは、バスとトイレが一緒になっているものがありますが、時代の変遷とともにバス・トイレは別々のものが好まれる傾向が出てきました。

このように、以前はあまり抵抗がなくても、時代が変わると好まれなくなる造りもあります。不動産会社は日々住みやすさを追求し研究し、マンション建築に活かしていますので、中古より新築の方が入居者にとってニーズは高い可能性が高くなるのです。

1-4.中古ワンルームは価格帯や利回りが多種多様

新築のワンルームマンションは、広さが同じくらいで設備が同じグレードの物件であればあまり価格帯が変わらない傾向にありますが、中古は新築よりも価格帯や利回りが多種多様です。

中古は築年数の幅が広く様々な物件が存在するため、間取りや広さ、設備、損傷の具合などに違いがあり、価格帯も幅が広くなります。新築の場合の投資スタイルはある程度絞られますが、中古の場合はバリエーションの幅広さから、投資スタイルを絞りにくいデメリットがあります。

1-5.立地は中古ワンルームの方が選択肢は広い

都心では新築のマンションを建設する場所が少なくなっているため、希望のエリアで新築ワンルームを購入するのは難しくなっています。しかし、中古であれば希望する立地の良いエリアでも購入できる物件がある可能性が高くなります。

立地にこだわってワンルーム投資をしたい場合は、新築より中古の方がエリアの選択肢は広くなると言えます。

1-6.中古ワンルームは運用実績から、ある程度リスクがわかる

中古の場合は既に運用実績がある状態で購入することになりますので、どのような属性の人が住み、どのようなトラブルがあり、設備はどのような修理が多いかなど、ある程度把握できた状態で所有することができます。

しかし、新築の場合は購入後に始めて入居者を募集し運用がスタートする形ですので、どのような属性の人が多く住み、どのような修理が多いのかがわからない状態で運用をしなければいけません。そのようなことから、中古の場合は修理やクレームの傾向がわかっている分、リスクに備えて運用ができる点でメリットがあると言えます。

新築と中古ワンルームの運用上の特徴について比較しました。ワンルーム投資をする際は、それぞれの特徴を活かした運用をすることでメリットも大きくなります。しっかり把握して取り組みましょう。

2.新築ワンルームの投資方法

新築と中古にはそれぞれ特徴がありますので、特徴を活かしたり、リスクに注意したりすることでより効率的な運用ができます。まずは新築の投資法について見てみましょう。

2-1.キャッシュフローに注意してシミュレーションする

新築は価格帯が高く、中古と比較して利回りが低いのが特徴です。また、フルローンなど融資が組みやすいこともある一方、キャッシュフローが出にくい点がデメリットと言えます。

利回りが低いということは、返済額に対して家賃収入が少ないケースが多くなるため、その場合蓄積されるキャッシュフローは少なくなります。空室になったり、突発的な修理が発生したりした場合は貯金から費用を支払わなければならないため、資金繰りが苦しくなる可能性も出てきます。

新築の物件を購入する場合はキャッシュフローに注意してシミュレーションすることが大切です。

2-2.フルローンが組める場合でも慎重に対応をする

新築の場合、フルローンが組めるケースが少なくありません。フルローンが組める場合、頭金が必要ありませんので、初期費用をかけたくない方にはメリットになります。しかし、フルローンが組めるということは、頭金を入れる場合よりローンを組む金額が大きくなるということですので、月々の返済額は多くなります。

フルローンを組んで仮に毎月の収支がプラスだったとしても、キャッシュフローがあまり多く蓄積できない場合は突発的な修理や空室になった場合の費用が足りなくなる可能性もあります。そのため、フルローンが組める場合でも、頭金を入れなくても良いかどうかを検討するようにしましょう。

新築は先に触れたように収支が悪い傾向がありますので、投資する際は少しでも収支が良くなる工夫をすることが求められます。

2-3.繰上返済を積極的にする

新築の場合は、収支をより良くするためにも、資金に余裕がある時に繰上返済を積極的にしましょう。必ずしなければいけないというものではありませんが、繰上返済は収支の改善につながります。繰上返済をすることで残債の元金を減らすことができますので、毎月の返済額や総支払額を減らす効果があります。

繰上返済には手元資金が必要ですが、長期で見た場合はメリットがあります。特に収支があまり良くない新築物件の場合は検討するようにしましょう。

2-4.節税効果が期待できる期間に注意する

ワンルーム投資を始める際に、節税ができるということで始める方もいるでしょう。しかし、節税ができる期間には注意が必要です。

ワンルーム投資では、物件の減価償却費や返済金の金利部分、その他の経費などを損金計上できます。不動産所得が赤字になった場合、本業の収入から支払った税金(源泉徴収税)を返還してもらえる可能性があります。実際のキャッシュフローがプラスになっても、赤字であれば納税額が安くなるため、不動産投資には節税効果があると言われています。

ただ、ここで注意したいのは節税効果が期待できる期間です。経費の中で大きな割合を占めるのは減価償却費ですが、減価償却費を計上できるのは一定期間だけですので、その後は思ったような節税効果が見込めなくなります。

3.中古ワンルームの投資法

中古ワンルームは新築と比較して物件の価格帯が低く、利回りが良い傾向があります。しかし、同じ中古ワンルームでも築1年位の築浅の物件から、築数十年の物件までありますので、築年数によって注意点などが異なります。どのような点に注意して投資すればよいのかを見てみましょう。

3-1.中古ワンルームは新築と比較して利回りが良い

中古ワンルームの利回りについて見てみましょう。新築の場合と同じように不動産・住宅情報サイトのライフルホームズに掲載されている物件で試算してみましょう。

築8年、31.38㎡、都営大江戸線牛込柳町駅徒歩2分、価格が2,590万円の物件を購入して賃貸経営をした場合を試算してみましょう。募集家賃は11万5,000円(+管理費5,000円)です。

【購入条件】

物件価格 頭金 ローン価格 金利 返済期間
2,590万円 190万円 2,400万円 2% 35年

この条件でシミュレーションした場合の収支は以下のようになります。

月々の返済額 家賃収入 管理費 毎月のキャッシュフロー
7万9,503円 11万5,000円 5,000円 4万497円

この物件では毎月のキャッシュフローが4万円を超えることが確認できます。

3-2.立地を絞って検討する

東京都心の立地の良い場所は新しくマンションを建設する場所が少なくなっていますので、希望のエリアで物件を探すのは難しくなっていますが、中古の場合はすでに建設されたものを探しますので、比較的希望の立地で見つけやすい傾向にあります。

立地はワンルーム投資で成功するにはとても重要な要素になりますので、中古のワンルーム投資をする際は、立地を絞って物件を探すことも必要です。

3-3.瑕疵に注意して購入する

中古物件には目に見えない瑕疵が隠れている可能性があります。瑕疵とは目視では確認できない欠陥や損傷のことを言います。

瑕疵は購入してしばらく時間が経過して発見されることもあります。売主の責任期間が過ぎていた場合は買主が自分で修理代を負担しなければいけません。修理内容によっては数十万円以上する可能性もありますので、購入する際はきちんと確認してから購入することが大切です。

3-4.借り換えのタイミングに注意する

低金利の日本では、ローンの借り換えをすることで、さらに低い金利でローンが組める可能性があります。うまく借り換えをした場合、毎月の返済額が低くなり、収支も良くなります。しかし、中古の場合は借り換えるタイミングに注意が必要です。

先に触れたように、中古物件のローンの返済期間は法定耐用年数から築年数を引いた年数しか基本的には組めません。築年数によっては30年間で組んでいたローンが、20年やもっと短い期間でしか組めないという可能性もあります。

その場合は金利が低くなっても、月々の返済額が変わらない可能性も出てきますので、タイミングには注意して借り換えを計画することが大切です。

3-5.物件価格が低すぎるワンルームの運用には注意する

利回りは物件価格に対する年間の家賃収入の割合です。家賃が高くなくても、物件価格が低ければ利回りは良くなります。しかし、物件価格が低すぎると、利回りが良くても手残りの額はそれほど多くない可能性があります。

また売却の際に高く売却できないことも考えられます。利回りばかりを追求するあまり、キャッシュフローが確保できないほど安い物件に安易に手を出さないように注意しましょう。

3-6.大規模修繕のタイミングや修繕積立金などに注意する

中古ワンルームを購入する際は、大規模修繕の時期や修繕積立金の額などに注意しましょう。大規模修繕の際に修繕積立金では修繕費用が足りずに追加で支払わなければならないケースもあります。

また、その時は足りたとしても、その後の積立金が値上げされるということもあります。大規模修繕が貯まっているかどうかや、直近の大規模修繕はいつ行われたかなど、購入前に確認することが大切です。

まとめ

新築と中古のワンルーム投資をする際の注意点について確認しました。新築の場合は価格帯が高いため、収支の改善をしながら運用することが必要になります。それに対し中古は新築と比較して利回りが良い可能性が高いのですが、瑕疵や大規模修繕などの物件の劣化に注意しなければいけません。

新築を購入する場合でも中古を購入する場合でも、細かい点まで確認して投資活動をするようにしましょう。

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西宮光夏

不動産会社での勤務や、所有している不動産運用の経験をもとにHEDGE GUIDEでは不動産関連記事を執筆しています。現在は主にふるさと納税の記事を担当しています。ふるさと納税記事では、地域の人たちが心を込めて提供する返礼品の素晴らしさを、少しでも多くの人にお伝えできればと思っています。