マンションはエリアや築年数、広さなどが物件によって違いますので、選ぶ物件によって投資スタイルが違ってきます。そのため、投資の目的や自分の投資スタイルにあった物件を選ぶことが投資を成功させる一つのポイントになるでしょう。
今回は立地や駅、築年数といった6つの項目から物件の選び方や注意点についてご紹介します。
目次
- 立地を選ぶ時の注意点
1-1.23区内は賃貸ニーズがあるが物件価格が高く利回りが低い
1-2.東京市部より区部の人口が増えている
1-3.国や企業の制度が区部の人口増加の一つの要因になっている - 23区外で選ぶ場合の注意点
- 中古と新築の特徴と選ぶ際の注意点
3-1.利回りが良いのは中古
3-2.出口戦略を有利にしたいなら新築
3-3.中古は希望のエリアで見つけやすい - 駅を選ぶ際に注意すること
4-1.駅から徒歩10分圏内だと安心
4-2.複数の路線が通っている駅であれば賃貸ニーズはある - 部屋のデザインや設備を選ぶ時のポイント
5-1.奇抜なデザインは避けた方が良い
5-2.設備は部屋を決めるときのポイントになる - いくらくらいの価格帯であればリスクは少ないか
- まとめ
1.立地を選ぶ時の注意点
マンション投資を成功させるには、立地はとても重要な要素です。選ぶ立地によって物件の価格帯や利回りなどが違いますので、準備する資金や、注意すべき点が異なります。立地を選ぶ際はどのような点に注意すれば良いかを見てみましょう。
1-1.23区内は賃貸ニーズがあるが物件価格が高く利回りが低い
東京23区内は人口が集中しており、また賃貸に住む人が多い傾向にあります。長期的に見ても賃貸ニーズは高いことが考えられます。しかし、物件価格が他のエリアと比較して高くなりますので、平均利回りは良くない水準だと言えます。
そのため利回りに注意することはもちろんですが、頭金を多めに準備することもリスクヘッジの一つになります。
1-2.東京市部より区部の人口が増えている
23区内に人口が集中していることに触れましたが、東京都の人口の増減はどのように推移しているのでしょうか。以下は東京都総務局が作成した総人口の地域別(島部を除く)人口増減を表したグラフです。こちらのグラフでは昭和31年から平成30年までの東京都の区部と市郡部の人口の増減状態が確認できます。
*東京都総務局作成「総人口の地域別(島部を除く)人口増減」から引用
こちらのグラフを見ると、昭和41年から平成8年位までは市郡部は増加の一途をたどり、区部の人口は減少していたのですが、平成8年くらいから区部の人口が急激に増加し、市郡部の増加数を抜いています。
このことから、高度成長期には区部より市郡部の人口増加数が多かったものの、近年では区部に人口が集まる傾向が続いているため、賃貸ニーズが高いことが考えられます。
1-3.国や企業の制度が区部の人口増加の一つの要因になっている
区部の人口が増えていることには増えましたが、このことには国が職住近接の施策を推進していることも後押ししていると考えられます。職住近接とは「職場と住居を近接させること」です。職場と住居が近ければ通勤に時間がかかりませんので、通勤のストレスを減少させることができ、仕事に集中できる環境ができるという発想です。
職住近接は国だけでなく、近年は企業もその考えを推奨しています。例えば会社の最寄駅から数駅以内の場所に住んだり、会社から数キロ圏内に住んだりすると家賃補助金を出すなど、独自の住宅補助制度を持つ企業も出てきています。
区部は市郡部と比較すると家賃が高いことがネックになりますが、企業が家賃補助をすることでそのネックが緩和されます。そのようなことも区部が人口増加している一つの要因になっていると考えられます。
このような点から、23区内のマンションは人口集中により賃貸ニーズが高いことが期待できます。しかし、物件価格も高い傾向にありますので、利回りはあまり良くなく、キャッシュフローの蓄積されるスピードが遅いことも考えられます。そのため余裕資金は頭金も含めて多めに準備して取り組むことが大切です。
2.23区外で選ぶ場合の注意点
23区外の物件は、23区内の物件と比較して賃貸ニーズが低いことが予測されます。23区外の市郡部は23区内と比較すると人口の増加が少ないことには触れました。以下のマップでは平成30年中の東京都の区市町村の人口の増減が表してあります。
*東京都総務局作成「東京都の人口(推計)」の概要から引用
こちらのマップを見ると、平成30年中で多くの市郡部、特に都心から離れた多摩西部地区や島部で人口が減少していることが確認できます。このことから市郡部の物件に投資する場合、空室対策は必須と言えるでしょう。
空室になるとその間は家賃収入が入りませんので、十分注意することが大切です。23区内で物件を所有する時と、市郡部で所有する時とでは、空室リスクの違いなどから運用の仕方や注意点が異なりますので、慎重に運用についてシミュレーションしてから取り組みましょう。
3.中古と新築の特徴と選ぶ際の注意点
では、次に新築と中古とでは、どのような点に注意して物件を選べば良いのかを見てみましょう。
3-1.利回りが良いのは中古
マンションは築年数の経過とともに家賃が下落します。しかし、物件価格の下落率と比較すると家賃の下落率の方が小さい傾向にあります。そのため築年数が多く経過している物件ほど利回りが良くなる可能性が高くなります。
このことから利回りの良さを追求する場合は、新築より中古を選んだ方がメリットを享受できることが考えられます。
3-2.出口戦略を有利にしたいなら新築
出口戦略まで考えて投資を行う場合は、売却するまでに何年所有するかにもよりますが、新築の方が比較的メリットは大きい傾向にあります。
新築の場合、所有して20年経過したとしてもまだ築20年程度のため、購入の際に融資を受けるのも難しくなく、十分投資価値があることが想定できます。しかし、築20年の物件を購入して20年後となると、築40年になり賃貸ニーズや投資価値が落ちている可能性が高くなります。このような点から、スムーズに売却をしたい場合は新築の方が有利だと言えるでしょう。
3-3.中古は希望のエリアで見つけやすい
都心部には建築する場所がなくなってきているため、都心で新築が建てられることは少なくなっています。しかし中古であれば都心でもすでに建築されている物件がありますので、購入するチャンスはあります。このことからエリアを重視して物件を選ぶ場合は、中古の方が希望のエリアで購入できる確率は高くなることが考えられます。
4.駅を選ぶ際に注意すること
駅から徒歩で何分かかる距離に物件があるのかで、入居率が変わります。駅を選ぶ際にはどのような点に注意すれば良いのかを見てみましょう。
4-1.駅から徒歩10分圏内だと安心
駅から徒歩で時間がかかる場合、入居率が低くなる可能性があります。しかし、駅に近すぎると物件価格が割高であることが考えられます。
駅から徒歩で何分くらいまでの物件なら、抵抗なく入居しやすいのでしょうか。マイナビ賃貸が調査したアンケート「今住んでいるお部屋、最寄り駅から徒歩何分ですか?」の結果によれば、最寄り駅からは「徒歩5分~10分」と「徒歩20分以上」という回答がそれぞれ23%で多いことが確認できます。
徒歩20分以上のエリアになるとマンションではなくアパートの建築エリアになることが考えられますので、マンションであれば徒歩5分~10分の立地なら高い入居率が期待できると考えられます。
4-2.複数の路線が通っている駅であれば賃貸ニーズはある
23区以外の市郡部では、人口が減少しており賃貸ニーズが低い地域があることには触れましたが、そうした地域でも駅によっては賃貸ニーズが高い場合があります。
通勤や通学をするのに便利なため、複数の路線が通っている駅であれば賃貸ニーズが高いと考えられます。そのため市郡部で物件を探す場合は、複数の路線が通っている駅があるエリアに注目して探すと良いでしょう。
5.部屋のデザインや設備を選ぶ時のポイント
部屋のデザインや設備は入居する際に気になる点です。デザインや設備はどのような点に注意すれば良いでしょうか。
5-1.奇抜なデザインは避けた方が良い
主にワンルームマンションの場合、デザイナーズ物件という売り文句で物件が建設されることがあります。その場合デザイン性は高くなりますが、あまりに奇抜なデザインの場合は、人によって好まれない可能性もあります。そのため奇抜なデザインは避け、賃貸ニーズのありそうなデザインの物件を選んだ方が良いでしょう。
5-2.設備は部屋を決めるときのポイントになるので注意が必要
バブル期に建設されたワンルームマンションには、バスとトイレが一緒になっているものが多く見られます。こうした設備は入居者が部屋を決める際の重要な要素になるため、注意が必要です。
不動産・住宅サイトSUUMOが行った、一人暮らしのシングルに聞いた「設備ランキング2017」によれば、「付いていて当たり前で、付いていなければ借りない設備」として「バス・トイレ別」「エアコン」といった項目を6割の人が挙げています。これから考えると、バスとトイレが一緒になった物件の賃貸ニーズは低くなることが想定できます。
なお、この調査では例えばオートロックなどはランキングが低いものの、セキュリティを重視する女性の方などに人気が出ると考えられますので、できるだけ便利な設備を備えた物件を選ぶようにしましょう。
6.いくらくらいの価格帯であればリスクは少ないか
空室になった場合、ローンの返済金や管理費などは貯蓄から支払わなければいけませんので、高額な物件を購入した場合、空室になった場合のリスクが大きくなります。そのため、購入する物件の価格帯は慎重に検討することが大切です。
それでは、いくらくらいの物件であれば安心なのでしょうか。まずは家賃に対する賃借人の認識を確認しておきましょう。SUUMOによる「分譲賃貸に出せる家賃」のアンケート結果によれば、調査対象300人中160人が「家賃は月10万円以内まで」と回答しており、最も割合が多いことが確認できます。
ただ、このアンケートは単身者だけではなく、分譲賃貸物件に住んでいる/過去に住んでいた/これから住む予定の全国の男女300名に行ったものですので、ワンルームに住む単身者の場合はもう少し低い可能性があるということを知っておきましょう。
仮に家賃10万円だとした場合、いくらくらいの物件であれば余裕のある運用ができるのかを試算してみましょう。
ローン条件を金利2%、返済期間35年とし、物件価格を3,000万円、2,700万円、2,400万円の場合で試算してみましょう。家賃10万円、管理費は共通で3,000円だとします。
価格 | 毎月の支払額 | 管理費支払い後の手残り額 |
---|---|---|
3,000万円 | 9万9,378円 | ▲2,378円 |
2,700万円 | 8万9,440円 | +7,560円 |
2,400万円 | 7万9,503円 | +1万7,497円 |
この場合、3,000万円を超えると管理費支払い後の手残り額はマイナスになることが確認できます。価格が2,400万円の場合には月々1万7,497円が残り、ある程度の余裕がありますが、固定資産税などを支払った場合にはこの収支でもキャッシュフローがマイナスになる可能性があります。
このようなことから、仮に家賃10万円の物件の場合は、できれば価格帯は2,400万円以下に抑えた方がリスクは低いと考えられます。物件により家賃や他の条件が違いますので、全てのケースでこの価格基準が当てはまるわけではありません。実際に物件を購入する場合は個別にシミュレーションして購入するようにしましょう。
まとめ
ワンルームマンションの物件を選ぶ際のコツや注意点について、6つの項目からご紹介しました。
ワンルーム投資は物件のエリアや築年数、価格帯が物件によって投資の仕方や注意すべき点が異なります。そのため、物件ごとにきちんとシミュレーションしリスク対策をすることが大切です。
物件を選ぶ際は、1つの視点から見ているだけではカバーできないリスクもありますので、複数の視点からシミュレーションして選ぶようにしましょう。
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西宮光夏
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