コンパクトマンション投資のメリット・デメリットは?注意したいリスクも

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コンパクトマンション投資は、単身者や夫婦二人世帯などを入居者のメインターゲットとするマンションへの投資です。ライフスタイルの多様化によりターゲット層の増加が見込まれることから、注目されている投資家の方もいるでしょう。

そこで今回のコラムでは、コンパクトマンション投資のメリットとデメリットを紹介し、注意したいリスクについても解説していきます。

目次

  1. コンパクトマンション投資とは
  2. コンパクトマンション投資のメリット
    2-1.入居者のターゲットが幅広い
    2-2.利便性が高い物件が多い
    2-3.設備が整っている物件が多い
  3. コンパクトマンション投資のデメリット
    3-1.物件によってはターゲットの絞り込みが難しい
    3-2.ライフスタイルの変化に対応しづらい
    3-3.選択肢が少なく、比較検討しにくい
  4. コンパクトマンション投資で注意したいリスク
    4-1.キャッシュフローが悪化するリスクがある
    4-2.売却に時間がかかる可能性がある
  5. まとめ

1 コンパクトマンション投資とは

コンパクトマンションとは、専有面積が30㎡以上50㎡未満のマンションを指します。単身世帯や夫婦二人世帯、シニア世帯などが増えてきた2000年以降に、東京都内を中心に増加している比較的に新しいタイプのマンションです。

コンパクトマンションには正式な定義はありませんが、ワンルームマンションとファミリータイプの中間に位置し、間取りは1LDKや2LDKが中心です。面積が狭い分、立地条件が良い物件が多いのも特徴で、ファミリー向け物件よりは予算的にも選びやすいという側面もあります。

このコンパクトマンションを保有して貸し出し、賃料を得るのがコンパクトマンション投資です。どのようなメリットとデメリットがあるのか、次の項目から詳しく解説していきます。

2 コンパクトマンション投資のメリット

ワンルームマンションやファミリータイプにはないコンパクトマンション投資のメリットについて、代表的な4つを紹介していきます。

2-1 入居者のターゲットが幅広い

コンパクトマンション投資の大きなメリットは、入居者の対象が幅広いことです。居室の専有面積が30㎡以上50㎡程度で、間取りは主に1LDKや2LDKとなっているため、下記のような方達がメインターゲットになります。

  • ワンルームや1Kでは狭いと感じている単身者
  • 二人だけで暮らしている夫婦
  • ファミリータイプでは広いと感じているシニア世帯
  • 子どもと2人暮らしをしているひとり親世帯、など

東京都が公表している「令和2年国勢調査人口等基本集計結果概要」によると、東京都の総世帯数は約722万世帯です。このうち単身世帯は半数以上の約362万世帯、夫婦のみの世帯は約118万世帯、ひとり親世帯は約52万世帯となっており、総世帯数の約75%を占めています。また総世帯数のうち、65歳以上世帯員のいる世帯は約213万世帯となっています。

2015年の前回調査に比べて、単身世帯、夫婦のみの世帯、ひとり親世帯がすべて増加しており、今後もコンパクトマンションのメインターゲットとなる単身世帯や夫婦二人世帯などは増加する可能性があります。下記の表を参考に見てみましょう。

家族類型 2015年 2020年 増減数
単独世帯 3,164,675世帯 3,625,810世帯 461,135世帯
夫婦のみの世帯 1,134,656世帯 1,185,040世帯 50,384世帯
ひとり親と子供世帯 503,864世帯 526,149世帯 22,285世帯

※参照:「令和2年国勢調査人口等基本集計結果概要」より抜粋

また65歳以上世帯員のいる世帯は前回調査からは約7万世帯増加しており、シニア世帯も増加していることがわかります。核家族以外の世帯が減少し、単独世帯が約7万世帯、夫婦のみの世帯が約1.7万世帯、ひとり親世帯が約1.5万世帯の増加となっていることも特徴です。

家族類型 2015年 2020年 増減数
65歳以上の世帯員がいる世帯 2,064,215世帯 2,131,483世帯 67,268世帯
単独世帯 739,511世帯 811,408世帯 71,897世帯
夫婦のみの世帯 582,081世帯 599,352世帯 17,271世帯
ひとり親と子供世帯 245,047世帯 260,441世帯 15,394世帯
核家族以外の世帯 181,197世帯 154,692世帯 △26,505世帯

※参照:「令和2年国勢調査人口等基本集計結果概要」より抜粋

こうした時代背景に対して、市場で販売されているコンパクトマンションは特別多いというわけではありません。マンション投資を行う投資家も、ワンルームマンションやファミリータイプを活用するケースが依然として主流となっています。

2-2 利便性が高い物件が多い

コンパクトマンションが人気を得ている理由の一つは、利便性の高さです。専有面積が広くないため、良好な立地条件の土地を仕入れてマンションを開発することができるからです。

メインターゲットとなるDINKSなどの共働き世帯や単身者、ひとり親世帯は、最寄り駅から距離が近いなど利便性の高い物件を求める傾向があります。利便性の高いコンパクトマンションは賃貸需要が見込みやすく、家賃が下がりにくい上、高い入居率を維持できることにも期待が持てます。

2-3 設備が整っている物件が多い

コンパクトマンションは、メインターゲットである共働きの夫婦世帯や働き盛りの単身者などが、快適な暮らしができるよう新型の設備が設置される傾向があります。

入居者は仕事で忙しいと想定されるため、宅配ボックスや食器洗浄機のほか、浴室乾燥機など快適に暮らすための設備が多く設置されます。またTVインターフォンや防犯カメラ、オートロックなどのセキュリティ対策も取られ、クリーニングなどが依頼できるフロントサービスが導入されていることもあります。

3 コンパクトマンション投資のデメリット

一方、コンパクトマンション投資を行う場合のデメリットについても紹介していきます。

3-1 物件によってはターゲットの絞り込みが難しい

コンパクトマンションとは、30㎡〜50㎡程度の物件を指します。しかし30㎡と50㎡では専有面積が異なり、入居者のターゲットを絞り込むことが難しくなることも考えられます。

例えば30㎡と50㎡では、浴室やトイレ、廊下などを除くと下記のような間取りが想定されます。

専有面積 想定される間取り
30㎡=約9坪(18畳) ・12〜15畳程度のワンルーム
・8畳+6畳の1LDK、など
50㎡=約15坪(30畳) ・15畳+8畳の1LDK
・12畳+6畳+6畳の2LDK、など

30㎡の物件では、夫婦二人世帯ではやや狭く感じる方がいる可能性があり、ターゲットは単身者がメインになると想定されます。一方、50㎡の物件は、単身世帯では広すぎて敬遠される懸念があります。

コンパクトマンションの中でも、物件の専有面積や間取りによってはターゲットが限定されることになります。物件ごとのニーズを把握し、ターゲットを想定して慎重に物件選びを行う必要があるのです。

3-2 ライフスタイルの変化に対応しづらい

コンパクトマンションは、入居者にとってスペースの無駄が少ないことが強みの一つです。しかし、世帯人員の変化には対応しにくいという弱点もあります。

メインターゲットとなる単身者や夫婦二人世帯は、入居後に結婚や離婚、出産といったようにライフスタイルが変化する可能性があります。その際、家族が増えたり、減った場合にコンパクトマンションでは対応できないケースが考えられ、退去してしまうリスクがある点もデメリットと考えられます。

3-3 選択肢が少なく、比較検討しにくい

コンパクトマンション投資は、新しいマンション投資という視点から専門的に開発しているデベロッパーや不動産投資会社はほとんどない状態です。そのため情報量も少ないといった状況にあります。

また物件の供給数が少ないため、選択肢が多くありません。検討する際に他物件と比較して選ぶことができにくいのもデメリットの一つになります。

4 コンパクトマンション投資で注意したいリスク

メリットとデメリットを把握したところで、コンパクトマンション投資で注意したいリスクについて解説していきます。

4-1 キャッシュフローが悪化するリスクがある

家賃設定など個々の案件によって異なりますが、コンパクトマンション投資では投資した資金に対して利回りが低くなる可能性があります。利便性の高い立地に建てられ、さらに快適に暮らせるように新型の設備が設置されるコンパクトマンションは、ファミリータイプのマンションに比べると専有面積の狭さもあり購入価格が割高になるケースがあるからです。

利回りが低いと、投資資金を回収する期間が長くなったり、キャッシュフローが悪化したり、ローンの総返済額が増えるといったリスクもあります。

4-2 売却に時間がかかる可能性がある

コンパクトマンションは実需向けの物件として購入価格が高めに設定されていることが多くあります。売却の際の価格設定を見誤ると、売却に時間がかかる可能性があります。

また、コンパクトマンションは実需(居住目的)向けマンションとして売却することも検討できますが、物件の広さによって住宅ローン控除の対象外になることから、コンパクトマンションを購入の対象外にしている方もいます。

住宅ローン控除が適用されるのは床面積が50㎡以上で、床面積の半分以上を自己居住用にする必要があります(ただし40㎡以上50㎡未満の住宅であっても、合計所得金額が1,000万円以下であれば住宅ローン控除は適用)。

つまり50㎡未満のマンションを所有するよりも、50㎡以上のマンションの方が割安になる可能性があるのです。そのため専有面積の広さだけで、中古マンションの購入を予定している方の対象から外されてしまうケースも考えられます。

※参照:国税庁「住宅ローン控除を受ける方へ

5 まとめ

マンション投資といえば単身者かファミリー向け物件の印象がありますが、晩婚化やDINKs世帯の増加といった時代背景もあり、コンパクトマンションへの投資も行われるようになっています。

今回のコラムでは、メリットとデメリットを紹介しました。物件が比較的少なく賃貸需要が見込める一方、売却の際の難しさなどデメリットもあります。また、専門的に取り扱いを行っている不動産投資会社も少ないため、情報量が少ない状況にもあります。

コンパクトマンションへの投資を検討する際は出口戦略をしっかりと立て、売却が可能な物件であるか、長期的な視点で賃貸需要が見込める物件であるか、慎重に投資判断をする必要があります。他の物件タイプとも比較しながら、自身の投資目的に合わせて検討していきましょう。



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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。