不動産投資のコンパクトマンション・ワンルームマンションの違いは?メリット・デメリットを比較

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近年は1LDK~2LDK程度で30~50平米程度の広さがあるコンパクトマンションが増えてきています。

ライフスタイルの多様化により、経済的に余裕のある単身者や夫婦世帯、高齢者などが増加傾向にある中、コンパクトマンションの需要も拡大が期待されることから、不動産投資の新たな選択肢の一つとなりつつあります。

今回はコンパクトマンションとワンルームマンションを比較して、それぞれのメリット・デメリットをまとめました。

目次

  1. コンパクトマンションとワンルームマンションの比較
    1-1.広さと間取り
    1-2.ターゲット
    1-3.物件数
    1-4.その他の特徴
  2. コンパクトマンションへ投資するメリット・デメリット
    2-1.コンパクトマンションへ投資するメリット
    2-2.コンパクトマンションへ投資するデメリット・注意点
  3. ワンルームマンションへ投資するメリット・デメリット
    3-1.ワンルームマンションへ投資するメリット
    3-2.ワンルームマンションへ投資するデメリット・注意点
  4. まとめ

1 コンパクトマンションとワンルームマンションの比較

コンパクトマンションとワンルームマンションは法的に定められた呼称ではなく、広さや間取りから大まかに分類されたマンションの表し方です。よくある違いとして、比較ポイントを下記の一覧表にまとめました。

コンパクトマンションとワンルームマンションの特徴

特徴 ワンルームマンション コンパクトマンション
広さ 18〜30平方メートル程度 30〜50平方メートル程度
間取り ワンルームが中心 1LDK〜2LDK
入居者のターゲット 学生、若い単身世帯 単身者
夫婦二人
未就学児のいる三人家族
物件数 都市部を中心に多数の物件がある 物件数が相対的に少ない

※傾向を比較したもので、全ての物件に当てはまる特徴ではありません。

それぞれの特徴についてみていきましょう。

1-1 広さと間取り

ワンルームマンションというと文字通り「一部屋」だけの物件が中心で、一部1Kや1DKといった物件もありますが、多くの場合は1R(キッチンやダイニングとの仕切りが無い部屋)になります。

中古ワンルームでは占有面積が20平米以下の物件もありますが、近年は条例で20平米程度のワンルームマンションを建てられない地域が増えて来ています。(※建てられる最低限の占有面積は自治体によって異なります)

そのため、中古市場でも新築や築浅物件と大きく見劣りしない20〜30平米程度の物件の賃貸需要を見込みやすくなっています。

対してコンパクトマンションとはワンルームとファミリータイプの間くらいの間取りの物件を指します。大体30〜50平米程度が中心で、60平米を超えてくると明確にファミリータイプに含める傾向にあります。間取りも少なくとも1LDK、広いものでは2LDKで、複数の部屋がある物件も多く見られます。

1-2 ターゲット

ワンルームは単身住まいを想定した物件であり、契約で複数名以上での居住を禁じている物件も少なくありません。単身世帯の中でも学生や若い社会人がメインのターゲットとなります。

単身でも経済的に余裕のある層では1LDK以上のコンパクトマンションを検討する人が増えてきていますが、東京の山手線内側エリアなどでは15万~25万円程度の家賃帯に差し掛かってくるため、相対的にワンルームマンションの戸数の方が多く供給されています。

コンパクトマンションは、ある程度経済的な余裕のある単身者やDINKSをはじめとした夫婦2人の世帯が主なターゲットとなります。また、2LDKなら子供が一人までであれば、さほど不自由なく生活可能なので、50平米に近い広めのコンパクトマンションは三人家族もターゲットに含まれるでしょう。

1-3 物件数

ワンルームマンションは相対的に物件数が多い一方で、メインターゲットとなる単身世帯は多くの人が賃貸暮らしであるため、借り手も豊富な傾向にあります。そのため都市部で賃貸需要の豊富な地域のワンルームは借り手がつきやすく、また売買もしやすい物件という特徴があるのです。

これに対してコンパクトマンションは一昔前までは供給の少ないカテゴリーでした。従来は、カップルが結婚して夫婦になれば、子供を持つ可能性を想定してファミリータイプの物件を志向する人が多かったためです。

しかし、現代ではライフスタイルの多様化により、コンパクトマンションを希望する人は増加傾向にあります。需要の拡大に対して、コンパクトマンションの物件供給はワンルームやファミリータイプと比較すると相対的に少ないため、特に都市部の好立地な地域では借り手が付きやすいという特徴があります。

1-4 その他の特徴

単身世帯がターゲットとなるワンルームは水回りなどの設備を最小限にして、居室部分の快適性を確保する物件が多くみられます。台所も狭く、ユニットバスや湯船のないシャワールームのみといった物件も少なくありません。

これに対してコンパクトマンションは夫婦で暮らすケースも想定して、水回りの設備はファミリータイプにも引けを取らないほど充実している物件が多くみられます。複数人の食事の準備がスムーズにできる台所がありますし、バス・トイレ別の物件が中心となっています。

立地についてはどちらも大都市の中心部に多く位置しますが、ワンルームは特に駅からのアクセスを重視して借りる人が多いため、より都心部や駅至近の場所に位置する傾向にあります。

2 コンパクトマンションへ投資するメリット・デメリット

コンパクトマンションはこれまで供給が少なかった一方で、潜在的な賃貸ニーズは今後増加が期待できます。また賃料収入の水準が高いのも魅力です。一方で分物件価格が高く、また質の高い管理が求められる点には留意が必要です。

2-1 コンパクトマンションへ投資するメリット

コンパクトマンションへ投資するメリットは次の4点です。

  • 実は多様な居住ニーズに対応しやすい
  • 需要は拡大傾向にあり入居者を得やすい可能性
  • 賃料が相対的に高く、一区画の収益性が高い
  • 設備が充実していて資産価値を維持しやすい

従来はコンパクトマンションのサイズは、単身者には広すぎ、ファミリーには狭すぎる「中途半端な物件」という印象を持たれることもありました。またファミリー層=住宅を購入する、というイメージも強く、単身者向けではない賃貸物件は賃貸需要が出にくい傾向にありました。

しかし、近年は人々のライフスタイルが大きく変わり、長期に渡り独身もしくはパートナーや夫婦二人暮らしを望む人が増えました。子供が増えても一人っ子で3人暮らし、という家庭も多くなっています。さらに高齢化社会の中で、子供が独立した後の高齢者の居住場所としてコンパクトマンションを希望する人も増えています。

従来は需要を得にくいイメージのあったコンパクトマンションでしたが、今では多様なライフスタイルに適応した物件として評価する人もいます。都市部を中心に需要は拡大傾向にある一方で、供給はまだ少ないカテゴリーであるため、賃貸需要を獲得しやすい傾向にあります。

また、賃料については一区画あたりの金額で見ればワンルームよりも高い収入が期待できます。例えば全国賃貸ビジネス協会の「全国家賃動向一覧」によると、2023年2月時点の東京都の平均家賃はワンルームで6.9万円、2LDKなどが含まれる3部屋では9.2万円でした。このようにコンパクトマンションの方が高い家賃が設定できる傾向にあります。

最後に、コンパクトマンションは専有面積が広く夫婦やファミリーで住むケースもあるため、水回りなどの設備が充実している傾向にあります。設備が整った物件は、他の条件が類似していれば入居者を安定的に獲得しやすいため、相対的に資産価値を維持しやすいといえます。

2-2 コンパクトマンションへ投資するデメリット・注意点

コンパクトマンションへ投資するデメリットや注意点は次の4点です。

  • 自己資金やローン借入額が大きくなる
  • 利回りでみると割高な物件が多くなる
  • 物件管理の目が厳しくなる可能性
  • 間取りと需要の見極めが難しい

コンパクトマンションの価格はその地域のワンルームよりも大幅に高くなるケースが多いです。例えば、2022年第3四半期の東京都中央区での中古マンションの取引価格に基づくと、それぞれの平均価格は次のようになります。

間取り別平均取引価格(2022年第3四半期、東京都中央区)


出所:国土交通省「不動産取引価格情報検索」(※平成元年以降築のマンション取引に限定。また間取りの表記がない物件は除外)

物件価格が高額になるため、ワンルームマンションと比較して自己資金やローン負担が重くなります。一部屋あたりの家賃が大きいため、空室が発生したときにはローン返済に伴う赤字額が大きくなる恐れもあります。

また、メリットのところでは「収益額」が高くなると書きましたが、不動産投資の収益性の指標である「利回り(=賃料収入÷物件価格)」で見ると割高になる場合もあります。

例えば上記の中央区の例ではワンルームと1LDK~2DKで2倍以上の価格差があります。この場合ワンルーム対比で2倍以上の賃料を設定的しなければ、利回りで見たときにはコンパクトマンションの方が低水準となるのです。

コンパクトマンションはもともと設備が充実していて、賃料も高いため、入居者の物件管理に対する要求レベルが高い傾向にあります。マンションの管理組合が正常に機能している物件を選び、かつ質の高い管理会社に管理してもらう必要があるでしょう。

最後に、同じコンパクトマンションでも、最もコンパクトな1LDKタイプと、相対的に大きいの2LDKではターゲットが異なります。前者は単身者~夫婦やパートナーが中心ですが、後者は3人のファミリー層も視野に入ります。

そのためマンションが建つ地域の賃貸ニーズを見極め、適切なコンパクトマンションへ投資することが大切です。

例えば、高地価な東京都心部であれば、ファミリーでもコンパクトマンションを借りる人が一定数存在すると考えられる一方で、郊外になれば子供のいる家族はファミリーマンションの購入が中心になるため、経済的に余裕のある単身者や夫婦・パートナーの二人暮らしが賃貸コンパクトマンションのターゲットとなります。このように、その地域の賃貸ニーズに適した物件サイズの見極めが難しいのも、コンパクトマンションの特徴です。

3 ワンルームマンションへ投資するメリット・デメリット

ワンルームマンションは物件価格が低く、会社員などでも自己資金を抑えて始めやすいなどのメリットがあります。一方で、必要最小限の専有面積・設備で建設されるため、条例の変化や物件の設備に関するトレンド変化の影響を受けやすいなどの留意点もあります。

3-1 ワンルームマンションへ投資するメリット

ワンルームマンションへ投資するメリットは次の4点です。

  • 物件価格が低く自己資金・ローンを抑えられる
  • 都市部には安定的な流入が期待できる「単身世帯」がターゲットである
  • 流通量が多く売却しやすい
  • 物件管理の手間が少ない

ワンルームマンションは、先ほどの例のように東京都心部でも2000万円台で購入が可能です。郊外や東京以外の大都市圏まで検討範囲を広げ、中古マンションを視野に入れれば1,000万円台でも優良物件を手に入れるチャンスがあります。

物件価格の低さから自己資金を抑えたフルローンで投資する人も多く、また仮にローンを借り入れるとしても、借入額は相対的に少なく済みます。

【関連記事】マンション投資で必要な頭金は?フルローンを受ける方法や事例、リスクも

前述したようにワンルームのターゲットは単身世帯です。東京都心部を筆頭に都市部は毎年多くの大学生や新社会人が流入してきますが、実家暮らしでない限りほとんどが単身世帯として生活をスタートします。

少子高齢化・人口減少が課題となっているなかでも、東京などは転入超過(転出者よりも転入者が多い状態)にあるため、長期的な賃貸需要も期待できます。

また、ワンルームマンションは物件価格が低いがゆえに買い手も多いため、物件売却も柔軟におこなえます。物件を手放すときの出口戦略を立てやすいのも特徴です。

最後に、居室内の設備や共用部分がシンプルであるため、管理・修繕の手間が少なく、コストも相対的に低く済む傾向にあります。

3-2 ワンルームマンションへ投資するデメリット・注意点

ワンルームマンション投資のデメリットや注意点は次の4点です。

  • 金額でみたときの収益性が低い
  • 自治体の専有面積に対する条例やルールの影響を受けるリスク
  • 思わぬ設備投資が発生するリスクがある
  • アクセス面での要求レベルが高い

ワンルームマンションは相対的に賃料が低くなるため、収益額で見たときには低水準になるケースも多くあります。ローンの借入額が多いと恒常的に赤字化する場合もあります。

近年、住居環境を向上させる目的で自治体が新築の賃貸物件の専有面積に下限を設けるケースが多くなってきています。東京23区内では複数の自治体が25平米以上を条件としています。

そのため、築年数が新しいワンルームは25~30平米程度と相対的に広めの物件が多くなってきています。今後広い面積の物件が増えていけば古く狭い物件は競争劣位に置かれ、賃料を下げなければ入居者を獲得しづらくなる恐れがあります。このように専有面積などに関する条例・ルール変更の影響を受けるリスクがある点に留意が必要です。

ワンルームの設備はシンプルと書きましたが、近年ワンルームの設備は充実化してきています。新築ワンルームはバストイレ別、インターフォン、オートバスは当たり前になっていて、最近は独立洗面台が付いた物件も出てきています。

中古のワンルームはシンプルな設備になっている物件が多いため、物件のトレンドが変わると、入居者を確保するために想定外に設備の拡充を余儀なくされるケースもあるでしょう。高いリフォーム代が発生するリスクに対してあらかじめ備えておく必要があります。

最後に、ワンルームは社会人や大学生の単身利用が主なため、仕事や学業が生活の中心となります。こうした層は、職場や学校までのアクセスの良さを重視する傾向にあるため、ワンルームマンションは駅までの距離や沿線の利便性の要求水準が高くなります。

また、単身者は転居のスパンも短くなるため、原状回復費などの経費や次の入居が決まるまでの空室リスクもあります。これらを加味しても、ワンルームマンション投資においては、管理会社のサポートが厚く、アクセスのよい物件を慎重に選ぶ必要があるでしょう。

【関連記事】入居率が高い(98%以上)不動産投資会社の比較・まとめ

まとめ

従来のワンルームマンションとファミリー向けマンションのほかに、コンパクトマンションという新たなカテゴリが増えています。晩婚化や夫婦二人世帯の増加、高齢者のマンション需要の増加を背景に、今後もコンパクトマンションの需要は増えていく可能性があります。

一方で、ワンルームマンションには物件価格の安さや、都市部での安定的な若年層の流入、物件の流動性の高さといったメリットがあります。どちらの物件にもメリット・デメリットが存在するため、双方を比較したうえで、自分に合った物件でのマンション経営にチャレンジしてみましょう。

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伊藤 圭佑

資産運用会社に勤める金融ライター。証券アナリスト保有。 新卒から一貫して証券業界・運用業界に身を置き、自身も個人投資家としてさまざまな証券投資を継続。キャリアにおける専門性と個人投資家としての経験を生かし、経済環境の変化を踏まえた投資手法、投資に関する諸制度の紹介などの記事・コラムを多数執筆。