ワンルームマンションは比較的価格も手頃で、不動産投資が初めてという方でも始めやすい投資方法と言えます。しかし、物件を購入するためにどれくらい初期費用がいくらか必要なのか、不安に思う方も多いのではないでしょうか。
そこで今回のコラムでは、仲介手数料やローンの際の費用などワンルームマンション投資を始めるのに必要な初期費用について解説していきます。
目次
- 物件を購入するのに必ず必要な費用
1-1.物件の購入費用
1-2.仲介手数料(中古ワンルームの場合)
1-3.各種税金
1-4.管理費・修繕積立金 - 利用する際に必要な費用
2-1.不動産投資ローンを活用する際の費用
2-2.司法書士に支払う報酬
2-3.火災保険料・地震保険料 - まとめ
1 物件を購入するのに必ず必要な費用
賃貸用の物件としてワンルームマンションを選んだ場合、何にどのくらいの費用がかかるのか、紹介します。
1-1 物件の購入費用
不動産投資を始めるには賃貸用の物件が必要ですので、購入費用を用意する必要があります。ワンルームマンションで投資を始めるのであれば、立地や物件の状態などにもよりますが、一都三県の新築物件で2,000万円~4,000万円がおおよその相場となります。
一方、中古物件であれば数百万円台からありますが、築年数が経っていたり、空室期間が長くなっているケースもあるためハイリスク物件の多い価格帯となっています。利回りや物件の状態を考慮し、まずは1,000万円~2,500万円程度の物件を目安に検討してみると良いでしょう。
金融機関のローンを活用するのであれば、物件購入費を全額用意する必要はなく、頭金として物件価格の2割程度が必要になるケースが多いと言えます。新築物件であれば400万円〜、中古物件であれば200万円程度の頭金を用意しておきましょう。
1-2 仲介手数料(中古ワンルームの場合)
不動産の売買は宅地建物取引士が行うことになっており、中古マンションを購入する場合は不動産会社に仲介してもらい取引することになります。不動産会社に仲介してもらう場合、仲介手数料を支払うことになります。
この仲介料は、法定限度額が決められていて、下記のようになっています(宅地建物取引業法第四十六条第一項)。
- 売買価格(税抜き)が200万円までの部分…上限5.5%(税込)
- 売買価格(税抜き)が200万円~400万円までの部分…上限4.4%(税込)
- 売買価格(税抜き)が400万円~の部分…上限3.3%(税込)
なお、下記に記載した速算法を用いるのが通例です。
仲介手数料=売買価格×3%+6万円
例えば、2,000万円の中古ワンルームマンションを購入した場合、2,000万円×3.3%+6.6万円=72万6000円(税込)が仲介手数料となります。
この仲介手数料はあくまでも法定な上限額であり、交渉することも可能です。状況に応じて、不動産会社に相談してみるのも良いでしょう。
1-3 各種税金
不動産を取得すると税金がかかります。種類が多く、納めるタイミングも違いますので覚えておきましょう。
登録免許税
不動産を所有した場合、登記という手続きをする必要があります。土地や建物の所有者を法的に明らかにするためで、所有したら速やかに登記を行います。
物件が新築か中古かによって次の方法があり、それぞれに登録免許税という税金を納めることで登録をします。
物件の種類 | 登記の種類 | 登録免許税 |
---|---|---|
新築物件 | 所有権保存登記 | 建てた場合は不動産価額の0.4%、購入した場合は不動産価額の2.0% |
中古物件 | 所有権移転登記 | 不動産価額の2.0% |
※参照:国税庁HP「No.7191 登録免許税の税額表」
ご自身で登記を行う場合は、下記にある書類をご自身で揃えて法務局に提出します。
- 登記識別情報:土地や建物といった不動産の所有者などが記載されている
- 登記原因証明情報:所有権を移転登記する原因、移転する人やされる人などを明記されている
- 住民票:移転登記をするのが当人であることを証明する
専門的な知識が必要なため、司法書士に依頼するケースがほとんどです。その場合は費用がかかりますので、下記で改めて説明いたします。
印紙代
契約書などの文書は課税文書と言われ、契約の成立を証明するために課税することが「印紙税法基本通達第12条」で決められています。不動産の売買における契約書は第1号文書に当たり、その成立を証明するために収入印紙を貼付することで税金を支払うことになります。
この収入印紙の金額は、契約書に記載されている金額によって異なります。下記の表で確認してください。
記載された契約金額 | 印紙税額(1通または1冊につき) |
---|---|
100万円〜500万円以下 | 1,000円 |
500万円〜1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円〜5,000万円以下 | 10,000円 |
5,000万円〜1億円以下 | 30,000円 |
2021年8月現在、通常よりも軽減されており、契約書の作成日時が2022年3月31日までは上記の印紙税額となっています。詳しくは国税庁の「印紙税の手引き」で確認してください。
固定資産税・都市計画税
不動産を所有することでかかる税金が固定資産税と都市計画税です。毎年1月1日に固定資産台帳に登録されている所有者に対して固定資産税と都市計画税の支払い義務があります。
計算式はそれぞれ次のようになっています。
- 固定資産税=固定資産税評価額×標準税率1.4%
- 都市計画税=固定資産税評価額×制限税率0.3%
中古物件の場合、引き渡し日までの税金を買主が支払うことになりますが、引き渡し日以降については、買主が売主に渡す形式を取ることになります。そのため、契約をして引き渡し日が確定した時点で固定資産税と都市計画税を計算し、決算日に買主が売主に支払う形で収めることになります。
不動産取得税
不動産取得税は、不動産の移転に対して課せられる税金で、売買、贈与、交換、建築などの際に課税されます。ワンルームマンションを取得する際にもその評価額に対してかかり、計算式は下記になっています。
不動産取得税=固定資産税評価額×標準税率4%
この不動産取得税は自治体によりますが、購入後3~6カ月したら納税通知書が届きます。遅れてくるので初期費用として忘れられることもありますが、納税のためにお金を用意しておきましょう。
1-4 管理費・修繕積立金
ワンルームマンション投資の場合、入居者ではなくオーナーがマンションの管理組合に加入することになっています。そのため引き渡し日から、マンションを快適に利用するのに必要な管理費と修繕積立金の支払い義務が生じます。
ただし、どのタイミングで支払うのかはマンションの管理組合や、売買取引、売主との関係などで異なります。例えば、管理組合の口座に振り込むのであれば、当該月末なのか、当該月初なのか、といった決まりがそれぞれであります。確認しておきましょう。
またこの管理費と修繕積立金は、入居者がいなくても必要です。引き渡し日から必ず必要になるので忘れないようにしましょう。
2 利用する際に必要な費用
これまで紹介したのはワンルームマンションを購入する際に必ずかかる初期費用でしたが、この項目では必要であれば利用する際にかかる費用を解説していきます。
2-1 不動産投資ローンを活用する際の費用
ワンルームマンションの場合、自己資金だけで購入することもありますが、金融機関から融資を受けて購入する場合はローンに関わる費用がいくつかあります。しっかり覚えておきましょう。
事務手数料
ローンを借りる際には返済計画書の作成など事務的な業務が発生するため、金融機関に事務手数料を支払うことになります。その計算方法は、定額制と定率制の2つの種類があります。
定額制は借入金に関わらず◯◯円といったように決まった金額が必要になります。一方、定率制は借入金に対して◯◯%の金額になります。融資してもらう金額が3,000万円で事務手数料が5%あれば、60万円となります。
定率制の場合は想定よりも高くなることもありますので、ローンの借り入れの前に金融機関の事務手数料についても確認しておきましょう。
ローン保証料
融資を受ける際に保証人を立てるケースもありますが、ほとんどの金融機関では保証会社を活用してローンの返済を保証してもらう仕組みをとっています。
この場合、一括で支払う方法と、金利に上乗せしてローン返済と一緒に保証料を支払う方法があります。一括で支払う場合は融資総額の2%前後が相場となります。
団体信用生命保険
団体信用生命保険は略して「団信」と呼ばれることもある生命保険です。ローンの借入人(被保険者)が病気や死亡などで借入金を返済できない場合に、金融機関にローン残高が支払われる仕組みです。
金融機関によって対応が違いますが、加入が必須なところもあります。種類も複数あり、死亡だけではなく、がんや3大疾病などに罹患すると保険金が支払われる商品もあります。保険料は一括で支払うケースと、ローンの残高に上乗せされて徴収されるケースがあります。下記の記事も参考にしてください。
【関連記事】不動産投資ローンの団体信用生命保険、仕組みや種類は?注意点も
2-2 司法書士に支払う報酬
前述した所有権移転登記および所有権保存登記の他に、ローンを借りた際の抵当権設定も司法書士に依頼する際は報酬を支払うことになります。仲介手数料のように法的な決まりはなく、依頼する司法書士事務所によって設定されています。
相場は不動産1件につき数万円〜5万円程度ですが、事務所によって違いますので報酬が低く設定されているところを選ぶこともできます。融資をしてもらう金融機関が紹介してくれるケースもあります。
2-3 火災保険料・地震保険料
火災や台風、大雨、洪水などで被害を受けても、火災保険に加入しておくことで補償を受けることができます。特にローンを借りる際は物件が担保となりますので、火災保険への加入が必須となっている金融機関もあります。
保険料は補償のタイプによって違いますが、ワンルームマンション投資を行っているオーナー向けの保険商品を用意している損害保険会社もあります。火災保険の補償対象として、下記のものが含まれているタイプを検討してみましょう。
- 火災、落雷、破裂・爆発
- 風災、雹災、雪災
- 水災
- 水濡れ(上階からの水漏れなど)
- 破損、汚損
- 盗難
なお、火災保険には地震による被害は対象に含まれていないことがほとんどです。そのため地震特約をつけるか、別の地震保険に加入する必要があります。
マンションの管理組合に相談し、どのような保険に入っておくべきか、聞いておくのも一つの手です。万が一、地震が起きて、マンション自体が損壊した場合の補償方法などについても確認しておきましょう。
まとめ
ワンルームマンション投資といっても、初期費用に関しては不動産購入の際と大きく変わりません。初めてマンションを購入するという方は、物件の費用以外にも多くの費用が必要になることをしっかり確認しておきましょう。
余裕を持って自己資金を用意することで、ワンルームマンション投資を滞りなくスタートし、シミュレーションの想定外になった時でも対処しやすくなります。生活に影響が無いよう、投資資金はできるだけ余剰資金で行うことも大切なポイントです。
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倉岡 明広
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