実家の売却、遺品整理・片付けのタイミングは?家族の相談から査定の流れも解説

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相続した実家で悩みとなるのは、実家の売却において遺品整理や片付けを行うタイミングではないでしょうか。特に遺品が数多く残る実家の売却は何度も経験する人は稀なので、片付けのタイミングから査定までの流れが不明で戸惑う方が多いのも実情です。

そこで当コラムでは実家の売却を行う流れや、遺品整理・片付けを行うタイミング・注意点などの概要を解説していきます。

目次

  1. 実家の売却で遺品整理・片付けを行うタイミング
    2-1.四十九日を経過した後
    2-2.百日法要・一周忌などの法事
    2-3.実家の売却査定を行う前
  2. 相続した実家・戸建住宅の売却を行う流れ
    2-1.遺言状の確認・相続登記
    2-2.実家の売却査定・相談を行う
    2-3.不動産会社の決定・媒介契約の締結
    2-4.実家の販売開始・内覧案内
    2-5.売買契約・条件交渉
    2-6.実家の売買決済・引き渡し
  3. 実家を空き家として放置すると発生する課題
    3-1.固定資産税の支払い義務がある
    3-2.老朽化により近隣住民トラブルの元になる
  4. 実家の売却、遺品整理・片付けを行う上での注意点
    4-1.売却に伴う税金の発生
    4-2.不用品回収業者と遺品整理業者の違いに注意
  5. まとめ

1.実家の売却で遺品整理・片付けを行うタイミング

実家の遺品整理・片付けを行うタイミングについては、特に法的に定められた基準はありません。しかし、故人の遺品整理・片付けを行う際に、勝手な判断を行うと親族や相続人とのトラブルが発生する恐れがあります。

そのため、家族と相談しながら遺品整理・片付けを行うタイミングとして、目安となる一例について紹介していきます。

1-1.四十九日を経過した後

遺品整理・片付けを行うタイミングは、仏教で故人の魂が旅立つと言われる四九日を目安に行われることがあります。

また法事では家族と親族が集まる数少ない機会のため、相談しながら遺品整理と共に形見分けを行うのにも適しています。故人の遺品整理を勝手に進めるとトラブルが発生する恐れもあるため、親族や相続人と話し合いのもとで進めることで円滑に遺品整理を行うことが可能です。

1-2.百日法要・一周忌などの法事

家族・親族が集まり故人を偲ぶための百日法要・一周忌といった法事も、遺品整理・片付けを行うタイミングとして適しています。慌ただしい四十九日前と異なり、百日法要・一周忌といった法事は故人の死後から一定の日数が確保できるため余裕を持って親族・家族と相談しながら遺品整理を進めることが可能です。

また悲しみがある程度癒えた後に親族が集まる貴重な機会のため、気持ちを落ち着かせて冷静に遺品整理を行うことができるのもメリットとなります。特に遺品が数多く残っており、金品の分配といった慎重な判断が求められる遺品整理の場合には自身の勝手な判断は後に大きなトラブルを引き起こす可能性があるため注意が必要でしょう。

1-3.実家の売却査定を行う前

実家を相続し売却を検討している場合、基本的には物件に残置物が無い状態で不動産買取業や不動産仲介業者への査定を行います。不動産仲介業者に依頼する場合には、残置物が残っていると業者によっては仲介を断られるだけではなく、買主に悪い印象が残り高値で売却を行うことができないケースが多くあるためです。

また、不動産買取業者へ依頼する場合にも、残置物の撤去費用を加味されるため残置物が無い場合と比較して低い査定額となります。

これらの理由から、実家の売却を検討している場合は、遺品整理・片付けを行った後で査定を行うと良いでしょう。

【関連記事】相続不動産の売却、遺品や残置物はどうするべき?それぞれ手順や費用を解説

2.相続した実家・戸建住宅の売却を行う流れ

2-1.遺言状の確認・相続登記

相続した実家を売却する流れで最初に行う工程として、遺言状の確認が必要になります。遺言状とは故人が自身の死後に、相続人に対し自身の裁量で財産の配分を決定することができる書面です。

特に金融資産と異なり、相続人に対して財産の分配が難しい不動産は遺言状の有無で相続内容が変わります。遺言状がない場合や実家の相続に関する概要が記載されていない場合には、遺産分割協議により相続人の決定が必要です。

遺言状や遺産分割協議により実家の相続が決定した場合には、相続の登記が必要になります。相続の登記とは故人の名義になっている実家を、相続人の名義に登録を変更する手続きです。

自分自身の名義でなければ実家を売却することができないため、売却を検討している場合には必ず必要な手続きとなります。また不動産の登記には司法書士への依頼が一般的で、およそ5〜10万円程度の依頼量が必要になる点にも注意が必要です。

さらに、長い年月が経過している物件であれば、隣人との境界線が曖昧なケースも多く正しい情報で登記されていない恐れがあります。そのため売却の際にトラブルへ発展しないよう、隣人との立ち合いのもと境界線の確定といった対策も必要です。

2-2.実家の売却査定・相談を行う

相続登記を行い正式に実家が自身の物件になると、売却までの行程を進めることができます。売却を行うまでの最初の一歩として遺品整理・片付けを済ませた後に、不動産会社に査定依頼・相談を行っておきましょう。

また少しでも高い値段で実家の売却を行うためには、近隣物件価格の相場把握が必要となります。相場の把握にはインターネットの一括査定といったサービスを利用すると、手軽に複数の不動産業者からの査定を依頼することが可能です。下記は主な不動産一括査定サイトの一覧です。

主な不動産一括査定サイト

サイト名 運営会社 特徴
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【関連記事】不動産査定会社・不動産売却サービスのまとめ・一覧

また、実際に不動産業屋に足を運ぶ前にインターネットを利用し事前情報を集めておくことで、おおよその相場を掴むことにもつながります。

例えば、国土交通省が公表している「不動産取引価格情報検索」といったサービスを利用することで近隣エリアの不動産取引履歴を確認することもできます。

土地の査定をする場合には、資産評価システム研究センターの「全国地価マップ」を活用してみましょう。住所を入力すると、固定資産税路線価・相続税路線価を調査することができます。

不動産の仲介価格と買取価格の違い

不動産買取業者は、不動産を買取り、修繕後に売却や賃貸を行う専門業者です。買取業者へ売却するメリットとしては、業者自体が不動産の買取を行うため、不動産仲介に比べて労力をかけずに実家の売却を行うことができる点となります。

ただし、不動産買取業者を利用する場合は、不動産仲介業者を利用するケースに比べて売却額が2~3割程度低くなりやすい点に注意が必要です。

一方、不動産仲介業者は不動産の買主と売主を仲介する代行業者で、双方の仲介手数料を収益とする専門業者です。不動産買取より高い実家の売却額を見込むことができるメリットを持つ反面、実際に現金化されるまでの時間がかかりやすいデメリットがあります。

不動産会社へ査定を依頼する際は、通常「仲介価格」での査定価格を提示されることになります。不動産買取による売却も検討されている場合は、「買取価格」についても併せて査定依頼しておくと良いでしょう。

2-3.不動産業者の決定・媒介契約の締結

実家の査定額が納得できる場合、不動産買取業者を利用するケースでは引き渡し契約まで行程を飛ばすことが可能です。少しでも実家を高く売るために不動産仲介業者を利用する場合には、利用する不動産会社を決定し仲介契約の締結を行います。

仲介契約とは、不動産業者に売主となる自分と買主とのマッチング開始を依頼する契約の総称です。不動産仲介業者を利用した実家の売却を行う際には、媒体契約として以下の3種類から概要を決定します。

  • 一般媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 専属専任媒介契約

それぞれの媒体契約について、それぞれ解説していきます。

一般媒介契約

一般媒体契約とは他の媒介契約と異なり、複数の不動産仲介業やと契約を結び買主を探すことができる契約です。メリットとしては複数の不動産仲介業者を利用して買主を探すことができるため、1社に依存せずに媒介契約を行えます。

また自身で買主を見つけた場合に、直接取引を行うことができるのも一般媒介契約の特徴の1つです。さらに、媒介契約を結んだ後に途中解約も可能なため、リスクが低い媒介契約となります。

デメリットとしては複数の不動産仲介業者を利用するため、不動産業者の積極的な販売活動を望めない点です。実家の売却を急いでいない方で、より良い条件での売却を望んでいる方に適した媒介契約となります。

専任媒介契約

専任媒介契約とは、媒介契約ができる不動産業者が1社のみとなる契約形態の1つです。メリットは自身で買主を見つけて直接取引が行える点に加え、不動産業者の積極的な販売活動を見込める点となります。

デメリットは1社に依存する媒介契約なので、不動産業者の力量により買主が見つかるスピードが左右されます。さらに、媒介契約後の途中解除は広告費といった売却活動で発生した費用が請求される恐れがあります。

3種類の媒介契約では最もバランスの取れた契約内容のため、媒介契約選びに困っている初心者の方でも選びやすい契約方法と言えます。

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約とは、媒介契約ができる不動産が1社のみに加え、自身で買主を見つけても直接取引が行えない媒介契約です。メリットとしては3種類の媒介契約のうち、最も不動産業者の積極的な販売活動を見込める点となります。

理由としては専任媒介契約を結んだ不動産仲介業社は、ライバルに売上を取られる心配がないため低コストで販促活動を行えるためです。

デメリットとしては自身で買主を見つけても直接交渉が行えない唯一の契約で、自由度が最も低い媒介契約となるため注意しましょう。また専任媒介契約と同様に売薬契約後の途中解除は、広告費といった宣伝活動費が請求される恐れがあります。

専属専任媒介契約は売却活動の時間を最小限に抑えたい方や、不利な立地条件の実家を売却したい方にも適した媒介契約です。

【関連記事】不動産売却を依頼する際の媒介契約、一般・専任・専属専任どれが良い?

2-4.実家の販売開始・内覧案内

不動産仲介業者との媒介契約が締結した後は、実家の販売活動や内覧の案内準備といった行程に移ります。実家をより良い条件で売却するためには、物件を大切に扱っていたことが伝わるように内覧で良い印象を与えるのがポイントです。

特に玄関や水回り、リビングといった主要箇所の清掃は自身でも比較的簡単に行えるポイントなので、内覧の前に実施しておきましょう。

2-5.売買契約・条件交渉

購入希望者が現れた場合には、買付証明と呼ばれる購入申し込み書が送られてきます。買付証明とは、購入希望価格・支払い条件・引き渡し希望日といった内容が示された書類です。

条件交渉は直接買主との口頭ではなく、基本的には双方の不動産仲介業者を介して書面で行うことになります。また実家の売却を行う最終判断となるため、気になる部分については必ず確認を行いましょう。

買付証明の内容に納得できる場合には、不動産仲介業者が双方の条件を調整し売買契約の締結へと行程が行われます。

2-6.実家の売買決済・引き渡し

最終手順では買主との売買契約を締結し、実家の売買決済・引き渡しといった行程に入ります。売買決済は実際に実家の売却に伴い、お金を動かし不動産仲介業者・司法書士に報酬を支払う手続きです。

売買契約終結では不動産会社にて重要事項説明・売買契約書の読み合わせを行った上で、契約書への署名・捺印を行い手付金の受領を行います。

決済・引き渡しは売買契約を終結したあとに約1ヶ月後に行われ、買主から手付金を除いた残金を受領します。また決済日には不動産会社・司法書士への報酬支払いが同時に行われる点にも注意が必要です。

3.実家を空き家として放置すると発生する課題

3-1.固定資産税の支払い義務がある

相続した実家を何も利用せずに空き家として放置していたとしても、固定資産税などの税金といった出費が発生します。固定資産税とは、マンションや住宅といった固定の資産を毎年1月1日時点で所有している持ち主に支払い義務が生じる税金です。

さらに、空き家のまま放置して老朽化し周囲からの苦情が寄せられるような特定空き家として認定された場合には、住宅用地の特例の対象外となり、固定資産税が6倍になります。相続した実家を空き家のまま放置するとこのようなリスクがあるため、売却、賃貸などの利活用、住宅として使用するなどの対策が必要になります。

3-2.老朽化により近隣住民トラブルの元になる

相続した実家を空き家として放置した場合、老朽化により倒壊や瓦の落下、雑草による害虫の発生など近隣住民の迷惑になる恐れがあります。特に一軒家は人が住まなくなることで換気が行われず劣化が著しく進むため、空き家として放置することで建物の資産価値を下げてしまうことにつながります。

また、空き家として放置することで発生した事故は、火災保険に加入していない場合には所有者の責任となり高額な賠償責任が発生するケースも存在します。相続した実家の利用用途を特に決めておらず、空き家として放置する場合は近隣トラブルの引き金になりかねないため注意が必要です。

4.実家の売却、遺品整理・片付けを行う上での注意点

4-1.売却に伴う税金の発生

実家の売却を検討している際に注意したいのは、税金の発生が伴う点です。

実家を相続した場合には、以下の税金が発生します。

  • 相続税
  • 登録免許税
  • 譲渡所得税
  • 復興特別所得税
  • 印紙税

毎年確定申告を行う必要が無い会社勤めの方ほど、税金の支払いについて忘れてしまう方もいらっしゃるでしょう。特に、登録免許税と印紙税以外は、実家を売却した翌年の確定申告で税金が決定するため、売却時から税金の支払いまでの時間差があることについても注意が必要です。

なお、相続時の実家の売却などでは、一部条件を満たすことで、以下の特例といった優遇処置も利用することが可能です。

  • 住居用財産の特別控除
  • 10年超の場合の軽減税率
  • 配偶者控除
  • 取得費加算の特例
  • 小規模宅地等の特例
  • 空き家の特例

各条件は複雑なため、自身が相続した実家を売却した際に適応できるかどうかは、事前に税務署や税理士など専門家への相談を済ませておきましょう。

【関連記事】不動産相続の申告を税理士へ依頼するメリット・デメリットは?選び方も

4-2.不用品回収業者と遺品整理業者の違いに注意

実家の売却に伴い、遺品整理や片付けを行う際に業者へ依頼する際には、不用品回収業者と遺品整理業者の違いにも注意が必要となります。不用品回収業者は不要になった家具や家電といった粗大ゴミなどを代行で処分してくれる業者で、大量の残置物を撤去するのに向いている専門業者です。

一方遺品整理業者は故人の遺品整理を専門とした業者で、相続に必要な重要書類の仕分けや遺品の買取りといった専門的な業務を行うことができます。物件の状態によっては特殊清掃やハウスクリーニングといったオプションも承っており、売却に向けた遺品整理・片付けを丸ごと依頼することが可能です。

また業務的に不用品を引き取る不用品回収業者と異なり、遺品として供養を行い故人や親族に配慮しながら業務を進めるのも遺品整理業者の特徴でしょう。そのため、専門的な業務や特殊なサービスを行う都合上、遺品整理業者への依頼費用は、不用品回収業者より高額になる傾向があります。

自身で遺品の仕分けを行える場合には不用品回収業者、どうしても自身で遺品の整理を行うことができない場合には遺品整理業者へ依頼を行うといった使い分けが求められる点に注意しましょう。

5.まとめ

実家の売却に向けて遺品整理・片付けを行うタイミングや流れは、人生で何度も経験する方は少ないので戸惑う方も多いのでは無いでしょうか。

ですが、実家の売却までの流れと遺品整理のタイミングを把握しておくことで、後に家族や親族とのトラブルを発生させずに円滑な相続を行うことができます。

円滑な相続が行えるよう、実家の売却を行うために遺品整理のタイミングと流れを把握し、自身の適した手法で片付けへの取り組みを行いましょう。

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HIROTSUGU

過去に屋根工事・防水塗装・リフォーム業へ携わった現場経験を元に、20代で中古戸建物件を購入し初期費用を安価に済ませるDIYで不動産賃貸業を開始。不動産投資の他に暗号資産や投資信託、FXなど多彩な資産運用経験を元にフリーライターとして執筆活動を行なっています。