アパート経営と区分マンション投資の違いは？メリット・デメリットを比較

アパート経営すべきか、マンション投資すべきか、不動産投資を検討している人の中にはこの二択で迷っている人も少なくないのではないでしょうか。どちらにもメリット・デメリットがあるため、判断が難しいポイントと言えます。

それぞれのメリット・デメリットを知り、自分の優先順位を整理した結果、どちらの投資が自分に向いているか判断することが重要です。

そこで本記事では、アパート経営とマンション投資のメリット・デメリットを比較し、その上でそれぞれの投資に向いている人を解説していきます。アパート経営とマンション投資で迷っている人は、参考にしてみてください。

目次

1. アパート経営とマンション投資のメリット・デメリット比較
2. アパート経営に向いている人
   2-1．大きな収益を上げたい人
   2-2．土地の価値も重視している人
   2-3．建物全体で投資計画を立てたい人
3. マンション投資に向いている人
   3-1．初期費用をおさえて不動産投資をはじめたい
   3-2．なるべくリスクを小さくしたい
   3-3．手間を最小限に抑えたい
4. まとめ

1．アパート経営とマンション投資のメリット・デメリット比較

アパート経営とマンション投資の大まかな傾向におけるメリット・デメリットは、それぞれ以下の通りです。なお、ここでいうマンション投資は区分（一室）のマンション投資を指します。

アパート経営は複数戸ある共同住宅のため、マンションと比較して投資額が大きくなります。そのため、大きな収入を得られる可能性がある反面、マンション投資よりもリスクが大きくなる特徴を持っています。

一方、区分マンション投資は建物全体ではなく部屋ごとに物件を購入するため、収益が少なくデメリットがあるものの、1回あたりの投資額が少なく済み、都心部など賃貸需要の多いエリアでも検討できるメリットがあります。

一概に「どちらが優れているか」、ということは言えないため、不動産投資でどのような結果を得たいのか、リターンとリスクのバランスをどのようにとるのか、個人の考え方によってアパート経営かマンション投資を選ぶことになります。

上記メリット・デメリットの比較を踏まえた上で、次章からはアパート経営とマンション投資、それぞれどのような人に向いているかを解説していきます。

2．アパート経営に向いている人

アパート経営は、主に以下のような目的を持った方に向いていると言えます。

• 大きな収益を上げたい人
• 土地の価値も重視している人
• 建物全体で投資計画を立てたい人

詳しく解説していきます。

2-1．大きな収益を上げたい人

アパート経営は比較的利回りが高く総収入額も大きいため、大きな収益を上げたい人に向いています。アパート経営は中古アパートを一棟購入するか、土地を購入してアパートを建築する、もしくは既に保有している土地にアパートを建築します。

そのため、取得費用は区分マンションより高くなるものの、収益も高くなる可能性があります。その理由は、不動産投資の収益が「保有資産額×利回り」で計算されるからです。

保有資産額と利回りが高いアパート経営は、その分収益額も大きくなります。ただし、保有資産額が大きい分、以下のデメリットがあることに注意しましょう。

• ローンを組むハードルが高い
• 売却価格が高いため買い手が見つかりにくい

借入金額が多くなるとローンを組むハードルが上がり、多額の自己資金を必要とするケースもあります。また、売却検討をする場合も物件価格が高額になり、実需の居住用住宅としても売却できないため、区分マンションより買い手は付きにくい傾向があります。

2-2．土地の価値も重視している人

アパート経営は土地も全て自分の所有物になるため、以下のメリットがあります。

• 土地は経年劣化しないため価値が落ちにくい
• 建物を解体して別の用途に利用できる

土地は建物と違い経年劣化しないため、保有年数に伴って価値が落ちるわけではありません。周辺環境の変化や人口減少などによって価値の下落はあり得るものの、数十年後も価値が残り続ける可能性があり、大きなメリットと言えます。

またアパート経営の場合は、土地が残るため古くなった建物を解体して別の様々な用途に利用できます。例えば駐車場経営や、自宅の建築も検討できるでしょう。

2-3．建物全体で投資計画を立てたい人

アパート経営の場合、所有権は土地および建物一棟です。建物一棟の所有権があると、以下を自分の意志で決められます。

• 共用部の修繕計画
• 共用部の清掃頻度
• 共用部の増改築や設備の導入

上記は将来の支出に関わってくるものの、入居者の満足度にも影響するため退去率（空室率）を左右する要素になります。

例えば、共用部の修繕や清掃を頻繁に行えば、支出が多くなり収益性は下がります。しかし建物の資産価値を保つことができ、入居者の満足度は向上や退去率の低下につながる重要なポイントとなります。

これら共有部分も含めた管理の支出と効果のバランスをコントロールしたい人はアパート経営に向いていると言えます。なお区分マンションの場合、上記は管理組合（区分所有者全員）で決めるため、自分一人ではコントロールできません。

3．マンション投資に向いている人

一方、マンション投資は以下のような人に向いています。

• 安価に不動産投資をはじめたい人
• なるべくリスクを低くしたい人
• 手間を最小限に抑えたい人

一つずつ解説していきます。

3-1．初期費用をおさえて不動産投資をはじめたい人

区分マンションはアパートのように、広い土地と建物一棟を購入するわけではないため、比較的低価格で取得できます。

取得費用が少なくなれば、融資額と物件購入時の諸費用も安くなるため、はじめて不動産投資をする人にとってもハードルが低く、検討しやすい不動産投資と言えます。

3-2．なるべくリスクを小さくしたい人

区分マンションは比較的に好立地な物件でも低価格で購入できるケースが少なくありません。好立地の物件は空室リスク・家賃下落リスクが低くなります。

また、アパートは木造・鉄骨造の建物が多いのに対し、マンションは鉄筋コンクリート造の建物が多く、それにより以下のメリットがあります。

• 遮音性が高い
• 家賃下落率が低い
• 融資に通りやすい

鉄筋コンクリート造のマンションは耐用年数も長期間になるため、木造・鉄骨造のアパートと比較して金融機関の担保評価が高い価値を保つ期間が長くなります。高い担保評価を保てることから売却時の融資に通りやすくなり、早期売却が期待できる点も特徴です。

3-3．手間を最小限に抑えたい人

上述の通り、マンション投資は共用部の管理・修繕などの保守管理は、全て管理組合が主導します。そのため、共用部の保守管理を自分の意志でコントロールできないものの、自身でコントロールする手間を省き、全て管理組合に任せられるとも言えます。

管理会社が提案して、管理組合で決議する流れになるため、アパート経営ほど保守管理に手間がかからない点はメリットです。例えば本業で忙しい会社員の方など、なるべく投資に手間をかけたくない人は、マンション投資に向いていると言えます。

まとめ

このようにアパート経営とマンション投資のメリット・デメリットは、それぞれ表裏一体と言えます。特に物件取得価格の違いや、手間がかかるどうかの違いは大きいと言えます。

今回解説したメリット・デメリットの比較を参考に、投資の優先順位を整理した上で、どちらの投資を選択するか検討してみましょう。

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中村 昌弘

都内の大学を卒業後にマンションディベローパーに就職。マンションディベロッパーでは、新築マンションの販売や中古不動産の仲介業務に従事する。 2016年に独立して、不動産関係の記事を中心としたライター業務としても活動。自身のマンションを売却した経験もあるため、プロの視点・一般消費者の視点と、両方の視点を持った記事が執筆できる点が強み。

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