外務省は10月16日、「ビジネスと人権に関する行動計画(2020ー2025)」を公表した。「ビジネスと人権」に関して、今後政府が取り組む各種施策が記載されているほか、企業に対しては、企業活動における人権への特定、予防・軽減、対処、情報共有を行うこと、企業活動における人権への影響の特定、予防・軽減、対処、情報共有を行う「人権デュー・ディリジェンス」の導入促進へ期待すると盛り込まれている。
企業による人権尊重の必要性について国際的に関心が高まり、各国で国別行動計画の策定が促されている。投資家の求めもあり、企業も自らが、人権に関するリスクを特定し、対策を講じる必要がある。持続可能な開発目標(SDGs)の達成のため、人権の保護・促進が重要な要素と位置付けられていることを背景に、日本政府でも関係府省庁が協力するため行動計画を策定する運びとなった。
目的は、国際社会を含む社会全体の人権の保護・促進、「ビジネスと人権」関連政策に係る一貫性の確保、日本企業の国際的な競争力及び持続可能性の確保・向上の3点。基本的な考え方として①政府、政府関連機関及び地方公共団体等の「ビジネスと人権」に関する理解促進と意識向上②企業の「ビジネスと人権」に関する理解促進と意識向上③社会全体の人権に関する理解促進と意識向上④サプライチェーンにおける人権尊重を促進する仕組みの整備⑤救済メカニズムの整備及び改善―を掲げる。
第2章では分野別行動計画として、横断的事項に労働(ディーセント・ワークの促進等)、子どもの権利の保護・促進、新しい技術の発展に伴う人権、消費者の権利・役割、法の下の平等(障害者、女性、性的指向、性自認等)、外国人材の受入れ・共生を挙げた。これに「人権を保護する国家の義務」「人権を尊重する企業の責任を促す」「救済へのアクセス」に関する4つの取り組み、途上国における法制度整備支援や質の高いインフラ投資を推進する「その他の取組」が盛り込まれている。
計画期間は2020年から5年。毎年、関係府省庁連絡会議で実施状況を確認。ステークホルダーとの対話の機会を設け、概要を公表。公表3年後に中間レビュー、5年後に改定するというスケジュール。同省は「本行動計画を通じてビジネスと人権に関する関係府省庁の政策の一貫性を確保するとともに、責任ある企業行動の促進を図り、企業活動により人権への悪影響を受ける人々の人権保護・促進、ひいては、国際社会を含む社会全体の人権の保護・促進に貢献すること、日本企業の企業価値と国際競争力の向上、およびSDGs達成への貢献に繋がることが期待される」としている。
【参照記事】外務省「ビジネスと人権」に関する行動計画(2020ー2025)の策定について
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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